アルザス語

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テンプレート:Infobox Language アルザス語(Elsassisch, アレマン語: Elsässerditsch, Elsässische, 標準テンプレート:Lang-de, テンプレート:Lang-fr, Alsatian language)は、フランスアルザス地方のドイツ語方言

概要

アルザス語は高地ドイツ語のうちの上部ドイツ語に属するアレマン語の一方言で、地元のアルザス人によって話されている。アルザス・ドイツ語とも呼称される。

また、ドイツバーデン=ヴュルテンベルク州の東部にあるシュヴァーベン地方で使用される方言よりも、西部にあるシュヴァルツヴァルト(黒い森)を含むバーデン地方に属するスイス国内で使用される方言に近い。

長年のフランスによる支配からアルザス語は他のドイツ語方言に比べて、フランス語からの外来語が多くならざるを得なかった。例えば、「雨傘」を意味する語は標準ドイツ語の Regenschirm とは大きく異なり、フランス語の parapluie の訛った形である Barabli であることが指摘される。しかし猶大部分の語彙はドイツ系である。

フランスでの反独感情から第二次世界大戦後長い間にわたって、アルザスでは初等教育の段階でドイツ語教育がほとんど行われなかったほか、フランス語教育が強化され、アルザス地方内で流通する新聞の児童向け紙面など、児童向けや若者向けの出版物では専らフランス語が使用されるなど、公の場でのドイツ語やアルザス語排除の風潮が続いた。

1999年、地域言語を重視する、いわゆるジョスパン改革によって、幼稚園や初等教育の段階でドイツ語教育が行われるようになったが、それ以前の名残もあって現在でも、世代が下るほどアルザス語を母語とせず、フランス語を母語とする者が多くなる傾向が続いている。

音韻対応

意味的、また音韻・通時的対応語の一覧表:

項目語
英語(< 古英語 OE
アルザス語 標準ドイツ語(Standard German)(古高ドイツ語 OHG/ahd. < ゲルマン祖語 (フランス語 < ラテン語 シュヴァーベン語 Swabian
Earth (< eorþe) 「地、土地」 harz Erde (< *erþō) terre erd
heaven (< hefon [hevon], heofon, hiofon) 「天、空」 hemmel Himmel (< *χimin-) ciel
(chambre)
hemml
water (< wætar) 「水」 wàsser Wasser (< *wat-) eau (< aqua)
(ondine)
wasser
fire (< fŷr) 「火」 fihr Feuer (< *fūir) feu feier
man (< man, mann, mon, monn, pl.men, menn(/männ/)) 「人、夫」 mànn Mann, pl.Männer (< *mann(on)-) homme
woman, pl.women [wimen] (< sing.wiman, pl./wĭmän/ < OE sing.wimmann, (<) wīfmann 'wife-man' cf.*Weibmann)
? 「女性、妻」
frài Frau (< OHG (f.)frouwa < (m.)frō) femme frau
eat (< et·an) 「食べる」 ass·a ess·en (< *et·an) manger ess·a
drink (< drinc·an) 「飲む」 trenk·a trink·en (< *driŋk·an) boire trenk·a
big (< ON)
great (< grēat) 「大きい」
groos groß (< *γrauta) grand, grande graus
little
clean (< clæ:ne) 「小さい」
klai klein (< *klaini) petit, petite kloi
night (< niht [ni], neaht cf.Scots-E. nicht) 「夜」 nàcht Nacht (< *naχt-) nuit nàcht
day (< dæġ) 「一日、日中、日」 däi Tag (< *daγar, daγaz) jour dàg

言語事情

フランス語とアルザス語の看板
kerchplatz = Kirchplatz
  • フィリップス(宇京頼三訳)『アルザスの言語戦争』
白水社 2010年5月 ISBN-13: 978-4-560-08077-1

関連項目

ファイル:Rue du Sauvage.JPG
ミュルーズにある標識(フランス語とアルザス語)

外部リンク

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