アライブ-最終進化的少年-

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テンプレート:Sidebar with collapsible listsアライブ-最終進化的少年-』(アライブ さいしゅうしんかてきしょうねん)は、原作河島正、作画あだちとかによる日本漫画作品。単行本は、全21巻。

概要

講談社漫画雑誌月刊少年マガジン』で2003年から2010年まで連載されていた。単行本は講談社より少年マガジンKCのレーベルで刊行されている。

「もしも荒れ狂う現代人が特殊な超能力を持ったら……」ということを中心に現代人の狂気的な本能を描くSF作品。

  • 第1部 - 北海道編まで。数か月後を描いたエピローグ「Intermission」あり。9巻で完結。
  • 第2部 - 第1部の2年後の世界が舞台。10巻~21巻で完結。

ストーリー

第1部
舞台は日本の中心、東京。幼い頃、両親を交通事故で亡くした叶太輔は、姉であり、自身が通う高校の養護教諭である叶陽子、幼馴染の落合恵、そして親友である広瀬雄一と共に普通の高校生活を送っていた。
ある日、太輔は「何か」が自分の中に落ちて来たのを感じる。そのときは気のせいとやりすごすが、その日の帰宅途中、自分の目の前に笑顔の少女が飛び降りて来て自殺した。「自殺」……それを一瞬、羨ましいと感じてしまった太輔は大きく戸惑う。さらに自分の周りだけでなく、日本全国、世界各国で、ときを同じくして自殺者が相次いでいることを知り、動揺する。後に<悪夢の一週間>と呼ばれる日々の始まりだった。
第2部
湖で死闘を繰り広げた叶太輔はアクロの心臓と合体し暴走した広瀬と共に溶岩に沈む。アクロの心臓は広瀬と太輔と共にマグマにより消滅し、世界滅亡は阻止された。それから2年後、世界中では自殺者を出した<悪夢の一週間>、それにより生まれた能力者の存在も忘れ去られようとしていた。勇太も奈美も成長し、元の生活へと戻っていた。しかし、彼等は広瀬と共に消滅した筈のアクロの心臓の鼓動を感じていた。2人はあの悪夢の日々が終わったとは思えず、世界が偽りの平和を保っていることに日々不安を感じながら毎日を過ごしていた。
そんな2人の不安を壊す出来事が起こる。勇太の学校に転校してきた手塚葵。彼女は勇太に太輔が生きているということを伝えた。太輔が生きていることを知った勇太と奈美は葵の家族と出会う。一方、在日米軍が不穏な動きを開始していた。ハルの死をきっかけに絶望と罪悪感に打ちひしがれていた雨宮記者は在日米軍の密告者と出会い、米軍の計画を知る。それは"Living Rock"を利用した極秘軍事プロジェクトだった。その岩は、かつて太輔が広瀬と共に葬ったはずの、あのアクロの心臓であった。

登場人物

主要人物

叶 太輔(かのう たいすけ)
本編の主人公。16歳の高校1年生。東京出身。2部では18歳。広瀬雄一、落合恵とは幼馴染である。幼い頃に両親を交通事故で亡くして以来、年の離れた姉と2人で暮らしている。自分自身は強くは無いが、だからこそ他人のために頑張れる性格。自殺ウイルスが地球に飛来したことで始まった、<悪夢の一週間>を経て、異常な身体能力の向上と共に、能力に目覚める。1部終盤、広瀬と共に溶岩の中に消え、消息不明だったが、第2部において記憶を失い、手塚一家と共に暮らしていた。第2部現在、18歳。2人暮らしをしていたため家事は得意で、6巻では見事な手料理を披露した。2部までに(記憶喪失の間)、純に稽古とつけてもらい体術を会得している。なお、苗字の「叶」の由来は叶姉妹(本当は金田になる筈だったが、編集者から没にされ、悩んでいたところその日につけたテレビに叶姉妹が出ていたため)。落合恵の事が好き。最終決戦で左腕を失い、義手となった。能力が消えた後は料理人を目指し、修行している。
両親の交通事故に、当時の自分が飲んでいたジュースの空き缶が関わっており、そのことから「自分が両親を殺した」と言うのが負い目になっている。
熱(再生と死滅)
触れた物は鉄すら溶かす高熱を発する超常の能力。彼の本来の力は「再生と死滅」であり、細胞組織自体を破壊し、能力者の治癒能力すらも無効にする。それに気づいたのは第1部終盤であり、それまでは「熱」というサブの力になっている。なお、熱の能力は現在でも使用しようと思えばいつでも使用できる。
また能力を使えるようになった直後は熱を伝えられるのは触れたもののみだったが第1部の終盤で遠距離にも『熱』を伝えられるようになる(第2部にも遠距離の植物を発火させているため常に使用できると思われる。)が『熱』によるダメージも治癒能力を無効化してしまうため対人戦闘ではめったに使わない。
再生の力は仮死状態の人間ですら回復させ、サブの熱の力ですら湖を蒸発させるほどの強力な力だが、能力者は普通の人間よりも回復力が高い点、攻撃に回るときは相手を殺してしまう危険性が高い点、などから劇中での使用頻度は他の能力者の能力に比べ極端に少なかった。
落合 恵(おちあい めぐみ)
太輔の幼馴染。物語のヒロイン的存在。いつも口ゲンカが絶えないが、密かに太輔のことを心配している。広瀬に連れ去られ軟禁状態にあった。第1部終盤で勝又に連行され、第2部では、勝又、御霊と共にマンションで暮らしていたが、後に御霊と共に太輔や雨宮と暮らすことになった。勝又によって御霊と共にいるように洗脳されていた模様。太輔たちと広瀬の最終決戦時には御霊をその場に連れて行った。5年後看護師として働いている。
瀧沢 勇太(たきざわ ゆうた)
9歳の小学3年生。2部では小学5年生。埼玉県出身。太輔が最初に出会った仲間。<悪夢の一週間>の中で、母親と共に自殺ウイルスに感染するが、母の自殺を目の当たりにした結果能力に目覚める。子供ながら精神的には妙に大人びていてボケる太輔にびしっとツッコミをする。第2部現在、11歳の小学5年生。能力を得たことにより身体能力が向上し、スポーツ万能で女子に人気がある。旅を終えた後、母方の祖父母に引き取られ、太輔の家の近くに住んでいる。
空間隔離
任意の空間を他から隔離する能力。水・電波・酸素・能力に至る、一切のものを通さない。能力のベースは「箱」であるため、使用時には箱をイメージしている。
最大で海上に浮かぶプラットホームを丸ごと囲える程度の大きさの箱を形成できる。
ただし一度閉じ込められたら出ることは不可能というわけでもなく、広瀬の『無』の力や森尾の『風』の力など物理的な力で無理やり出ることもできる。さらに、怪我などを負っていると防御力が下がってしまう。
楠 奈美(くすのき なみ)
15歳の中学3年生。2部では高校2年生。岩手県盛岡市出身。<悪夢の一週間>の最中、弟を華音に殺されてしまい、能力を得た。弟の仇を取るため、その手掛かりを追って太輔と旅をする少女。実家が護身術の道場で、その3代目となるべく幼少の頃より武術を嗜んでいる。能力と武術と併用して戦うため、戦闘力はかなりのもの。ただし、料理だけは苦手なようである(ジャガイモを切るのに、包丁で思いっきりジャガイモに刺す、怜曰く奈美の作る料理は「生物兵器」)。第2部現在、17歳の高校2年生。能力を身につけたと共に異常なまでに身体能力が向上したため、スポーツ万能になり、後輩の憧れの的になっている。また太輔に対し恋心を抱いていており作中終盤でキス、最終話では気を引くために髪型を変えたり「愛している」と(心の中で)言っている。
氷の爪
大気中の水分を凍らせて、爪を作る。また、爪を投げつけた対象の水分を一気に凍らせて、氷の刃を形成できる。なお、太輔の熱で溶かされたアスファルトも氷柱状に固まっていたことから、液体であれば水でなくても爪状にできるようである。

御霊と勝又の一派

御霊(みたま)
「あの方」と呼ばれる存在。能力者同士の「湖の戦い」の終結後、密林の中で死亡した妊婦に宿っていた胎児の骸に宿った生命体(南米かと思われる)。全ての能力者の根源であり、頂点に立つ存在である。見た目は子供だが、性格は無垢残忍である。「アクロの心臓」を求めて勝又と共に行動していた。恵には「タマちゃん」と呼ばれている。成長速度は異常で、生まれて2年しかたっていないにも関わらず、小学生程度の体格を持ち、身体はその成長に追いついていない。後に自らの「心臓の欠片」を太輔に貸し、広瀬と一体化した「アクロの心臓」を取り戻させようとした。
その正体は地球とは異なる惑星で生み出された肉体から精神を分離して統合するプログラムである。人はまだ進化が可能と捉え、地球の住民の精神体をも一つに統合して宇宙に飛び立とうとするが、恵の想いに触れて考えを改める。全人類に広大な宇宙と御霊の記憶を見せた後、かつての惑星の仲間と広瀬の精神体を引き連れて新たな進化の旅へと向かった。
勝又 重喜(かつまた しげき)
元刑事で、超常の力を持つ仲間のリーダー格。広瀬の心を開け放ったように、己の得た力に戸惑う能力者達を見つけ、仲間にしている。御霊の指令を受け、世界に何らかの変革を起こそうとしている。第2部現在、恵、御霊と共にマンションで暮らしている。「心臓の欠片」の所有者。
その目的は、心臓を強力に仕立て上げ、肉体の限界を迎えた御霊にぶつけることで互いに対消滅をさせることであったが、自分の考えが間違いであったことに気づいた際、落ちてきた瓦礫に頭を潰され死亡。
ジャン・レノの似顔絵を描いた原作者の河島正が「勝っつんのモデル」とコメントしていたところから、モデルはジャン・レノであるとされている。
洗脳・操作
「心臓の欠片」所有者共通の能力。対象者の頭部に触れることで、その者の心を自在に操る。
(ふくろう)
人語を理解し、喋ることが出来る。死んだ猫に乗り移りもしたが、能力の詳細は不明。「あの方」に作られ、勝又の補助として「アクロの心臓」の回収を任務とする。「アクロの心臓」により暴走した広瀬に消される。
広瀬 雄一(ひろせ ゆういち)
太輔の親友。気弱な性格だったが超常的な力に目覚めてからは人が変わり、密かに慕っていた恵を連れ去った。勝又と行動を共にする。その性格と端麗な容姿が災いしいつも苛められていたが、それをいつも助けてくれる太輔に感謝すると共に強いコンプレックスを抱いていた。終盤に近付くにつれ、やがて恵を自分のものにしたいという欲求が強くなるが、彼女にフラれたことで心に大きな闇が出来、最終的にそれが彼の能力を暴走させることとなってしまう。第1部終盤、太輔と共にマグマの中に消えたと思われたが、第2部で心臓と同化し、マグマの塊の中で眠っていることが判明した。米軍基地襲撃での戦闘で心臓として覚醒した。
終盤、「かつての友」を求めて東京へ向かい太輔たちとの最終決戦を行うが敗北。精神体となって旅することを自ら御霊に志願し、悠久の時へと旅立った。
物体の有無に関わらず、任意の空間を穴を開けたように抉ることが出来る。「アクロの心臓」を取り入れてからは、元々の威力が格段に上昇した。その威力は凄まじく、山を一瞬で抉り取るほど。さらに実体がなくなったため、あらゆる兵器を無効化した。
由良 匠(ゆら たくみ)
勝又一派の能力者。太輔が最初に戦った能力者であり、太輔の事は割と気に入っている。蓬髪ツナギ姿が特徴。独特の美学を持っており、とらえどころの無い男。何か俗世的な感覚を飛び越えたような、一種浮世離れした雰囲気を漂わせるが、他人から自分に対しての「評価」を恐れる人間らしい部分もある。湖の戦いで片腕を失ったものの、生き残った能力者の1人。絵がとても上手い。第2部で「心臓を見る事」を求め米軍基地襲撃に同行したが、D2に右胸を撃たれ、海に沈んだ。心臓に触れた後右腕を失い消滅。
圧搾空気
超高密度の空気を圧縮したシャボン玉のような球体を自在に操り、触れた物を粉砕する。また、由良に割る意思がなければ、割れることも無い。しかし、シャボン玉に攻撃することで人為的に割ることも出来る。
森尾 健一郎(もりお けんいちろう)
勝又一派の能力者。太輔に付けられた顔の火傷が治らず、彼を怨んでいる。パイロットになるのが夢だったが、彼の夢想感は夢を叶えるために前進するのではなく、夢をただ見ているという楽なスタンスに幸せを覚えるというもの。湖の戦いにより「内なる欲求」に飲み込まれ、自らの能力で死亡。
風を自在に操り、カマイタチなどを起こせる。また、風に舞って空を飛んだり、空気圧なども作ることが出来る。
岡田 剛(おかだ ごう)
勝又一派の能力者。自分の外見・存在に強い劣等感を抱いている。元々は心優しい少年だったが、人間の欺瞞・醜さに触れて性格が歪み、猜疑主義者と化してしまう。湖の戦いにより死神との約束を破り、首を狩られ死亡。
死神の約束
対象に「約束」と称し契約を交わし、それを破った者を死に至らしめる。死神は約束を交わしたものにしか見えない。また、能力者に対しては使うことが出来ない。
御館 華音(みたち かのん)
勝又一派の能力者。自分本位で、情緒不安定な赤毛の女。常に1番でいないと気がすまない。奈美の弟・悟を殺した宿敵。端麗な外見を持つが、昔は地味な見た目と肌荒れで岡田と同じく自身の存在に劣等感を持っており、その反動で無邪気な残虐さを表出させる。あらゆる価値観を超越しようと、一旦は「アクロの心臓」を取り入れるが、器が小さかったため決壊し、死亡。
音波
固有振動数の合う物質を爆破する事の出来る能力。主に金属物質などを媒介とし、人体を直接爆破することは出来ないが、「アクロの心臓」を取り入れた後は、どんな物質でも爆破出来るようになった。
麻生 英雄(あそう ひでお)
勝又一派の能力者。カトリック系孤児院の出身。人間の生を罪と捉え、贖罪と魂の安らぎと称して人を死に至らしめる牧師。格闘術の嗜みもあり石化の能力よりも、飛躍した身体能力を十二分に制御しての戦法を得意とする(おそらく、格闘術だけで比べれば奈美以上)。湖の戦いで「内なる欲求」に飲まれ、自らの能力で死亡。
石化
右手で触れた物を石に変える能力。人間の場合、完全に石になるまで10数分かかる。
長谷川 論(はせがわ ろん)
勝又一派の能力者。麻生のいた孤児院出身で、彼とは常に一緒に居る子供。孤独感からか、人に遊んでもらいたがる。現在は雨宮一行と共に行動中。
肉体液化
自身の肉体を透明な液体状にすることが出来る。
ハン
勝又一派の能力者。元舞台女優だったが、現在は自分の体がなく、他人の体を支配している。「体を乗っ取る」能力を持つ。軍隊に潜入してアクロの心臓の海没、詩人の奪還を行おうとするが、阻止され失敗。マクファーソンによって殺害された。
人体遷移
他者の体に乗り移る能力。また、その際相手の知識などを読み取ることができる。
ミケーレ
ミッキーと呼ばれる白人の大男。日本語は適当に発音する。恵と勝又達と共にマンションで暮らしている。
勝又に洗脳されて「叶太輔の捕縛」の命を受け、太輔達の前に立ちはだかった。勝又の洗脳により、覚醒した広瀬から心臓の奪還を行うが、阻止され死亡。
重力操作
物質の重量を自在に操る能力。また、指定した場所の重力を局部的に変化できる。
ルドガー
勝又一派の能力者。黒いフードを被っており、虚ろな目をしている。
相対した者の能力を鏡のように写すことで、その相手(能力者)の「『生』の意味」を知ろうとしている。
勝又に洗脳され、ミケーレと共に心臓奪還に向かうが失敗。自分たちが捨て駒であったことを悟り、勝又と袂を分かつ。
複写(コピー)
相対した能力者の能力を行使できる能力。

手塚家

手塚 由紀恵(てづか ゆきえ)
葵達、手塚兄弟の母親。広瀬との戦いで傷ついた大輔を介抱した。「アクロの心臓」を封印しようとしている。7人の子持ちで、子供達は全員父親も国籍も違う。子供の中で葵と純の2人を能力者にしてしまったことを後悔している。米軍基地襲撃時、心臓を封印しようとするが広瀬に殺される。「心臓の欠片」所有者。
洗脳・操作
頭部に触れることで、相手の心を操る能力。
手塚 怜(てづか れい)
手塚家の長男。28歳。金髪でくせっ毛。いつも煙草を大量に吸っている。由紀恵が家を空けていた時期が長いため、実質的な家長。英語が堪能。
手塚家の家代わりである車の整備を日常茶飯事に行っているほか、日本の米軍基地で得たコルト・ガバメントを奪ってすぐ使いこなしたり、メンテナンスも行っていたことから、銃の扱いにも精通しているなど、機械の扱いに長けている。
手塚 純(てづか じゅん)
手塚家の次男。27歳。スキンヘッドで重度の人見知り。それが高じて昔から山奥の寺に引き篭もっていたため、武術に長ける。
心臓との一件後は由紀恵の墓守として一家とは離れて暮らしている。
電撃
体から、電気を発することが出来る。
手塚 杏(てづか あんず)
手塚家の長女。16歳。ボサボサ髪でいつもぼーっとしているが、機械全般に長け、天才的なハッカーでもある。雨宮と共に行動し、心臓や能力者の情報を世界中に流すなどして太輔たちを陰ながらサポートした。
手塚 葵(てづか あおい)
勇太のクラスに転校して来た女の子で、能力者。金髪でツインテール、目が青い。誕生日に母から貰った靴をいつも履いている。太輔を「太兄」と呼び慕っている。勇太とは反目がち。父親は石倉という名前の日系アメリカ人らしい。好き嫌いの多い勇太とは対照的に好き嫌いが少ない。
心臓との一件後は、都内の高校にスポーツ特待生として通っている。
スピード
目にも止まらぬ速度で移動することが出来る。速度は、自動車を追い抜き、勇太の「隔離」で捕らえられない程。

米国

マクファーソン
米軍の特殊部隊に所属する男。階級は一等軍曹。鼻がまるまる無いため、痩せた顔つきのように見える。「アクロの心臓」警護任務に就いている。任務遂行のみを目指し、それ以外のことは考える必要が無いと言い切るなど、迷いが無い。目的の為には手段を厭わず、詩人を連れ出し、「アクロの心臓」奪還にあたる。
D4を庇い重体になるが、その後意識を取り戻す。治療に際して、ホーナー博士のせいで手術の時に鼻をつけられてしまう。心臓暴走後はその危険を認識し、「密告者クレイ」としてレイン(雨宮)に軍の情報を流した。
ちなみに鼻がなくなったのは子どもの頃に父親に虐待を受けていたため。
D2(ディーツー)
本名はカール・アドラー。米軍の特殊部隊の一員。女好きの美青年であるが、任務であれば標的を厭わない。ボルトアクション式狙撃銃(レミントンM700と思われる)による、観測者を伴わない単独遠距離狙撃手(観測は軍曹からの直視による無線報告であった可能性もある)。シナモンコーヒーが好物。由良との戦闘により全身を爆破され死亡。上半身だけになっても由良を殺そうと銃弾を放ち右胸を打ち抜くなど、殺し屋としてのプロ意識が高かった。
D3(ディースリー)
米軍の特殊部隊の一員。強面の巨漢で、爆破工作・爆発物処理担当。ハンに体を乗っ取られてしまう(この時点でD3は死亡)。ハンはしばらくの間、D3になりすまして活動していたが、最後はマクファーソンに正体を見破られ、頚動脈を斬られて死亡。
D4(ディーフォー)
本名はエマ。元大使館員の娘で、米軍の特殊部隊の一員。能力者ではないが、類稀な動体視力と瞬発力の持ち主であり、能力者と互角以上に渡り合う。その実力は、米軍基地に侵入してきた大輔達を捕まえるほど。しかし、奈美と戦って敗北したことにより、その力は消滅。
カイル・ホーナー
米軍の軍用開発チームに所属する博士。奇抜なファッションと子供のような好奇心を持っている。「アクロの心臓」を軍用兵器として使用するために研究しており、米軍関係者の中では、心臓の本質に誰よりも迫っていた。プリンが好物。
ワスプ上院議員
「アクロの心臓」を国益に利用するため、ホーナー博士に研究させている政治家。マクファーソンは彼の私兵である。研究は極秘で行わせており、米国政府ですら認知していなかったが、心臓の暴走により世界中に心臓の存在を気付かれてしまう。事の発端が自分であることを大統領に知られてしまうが、特に責任はとらされていない模様。
ちなみに大統領の夫である。
大佐
米海軍大佐。「アクロの心臓」極秘研究の、米軍における責任者。ワスプ上院議員と親密な関係を持ち、マクファーソンからは軍人というより政治家のように見られている。心臓を狙う能力者たちの度重なる襲撃と、心臓の暴走に手を焼き、その結果、一時的に指揮官から外されてしまう。その後、軍の情報漏洩をきっかけに指揮官に復帰、最終的には心臓への核ミサイル攻撃を命じられる。
心臓や能力者に振り回された人物だが、艦長を失った上に防水隔壁をズタズタにされた空母の指揮を執って沈没から防ぐあたり、海軍士官としては決して無能でない様子である。
ワスプ大統領
米国の女性大統領。マクファーソンの情報から次に「アクロの心臓」が現れるのが東京であることを知り、軍を差し向けて戦う事を決意した。心臓に通常兵器が効かないことから核ミサイルの使用を許可をするが、広瀬によって無効化されてしまった。
米国および人類のために決断・行動するなど、責任感は強い。心臓との戦いの後、御霊が見せたビジョンを「人類共通の夢」として世界平和を勝ち取ることを宣言する演説を行った。その際、核ミサイルを無効化されたのを良いことに「核を使用することなく戦いに勝利した」と発言するしたたかさも持ち合わせている。

その他

叶 陽子(かのう ようこ)
太輔の姉で、彼の通う高校の保健室の先生。亡き両親に代わって太輔を育て上げた。そのせいか、逞しく気丈な女性である。(そのため、勇太からしばし「姐さん」と呼ばれる)普段は表面には出さないが、誰よりも太輔のことを心配している。第2部では、姉弟の絆により太輔の記憶を蘇らせた。最終決戦時には核ミサイルを撃たせないために駆けつけた多くの民間人の中にその姿が見られた。
心臓の一件後に結婚した模様。
雨宮 今日子(あまみや きょうこ)
週刊誌の熱血女性記者。ゴシップやオカルトを重視する編集方針に反発し、集団自殺に始まる一連の事件の真相を追う。第2部現在、米軍の密告者と接触したため、マクファーソンに襲撃されたものの、論のお陰で助かる。生き残った能力者の詳細、及びアクロの心臓の行方を調べている。米軍の密告者との会合シーンでは流暢な英語を披露している。東京をアクロの心臓が襲撃した時は世界中に現状を伝えるために小田と共に最後までその場に残っていた。
心臓の一件後は小田と共に難民キャンプなどを取材している。
小田 正志(おだ まさし)
週刊誌の記者で、雨宮の後輩。スチャラカ社員に見えるが、仕事はちゃんとこなす。雨宮に振り回される不運な星回り。現在雨宮と共に行動中。愛車は旧型ミニ(初代は華音により爆破され、現在のものは二代目)。
吹石 稜(ふきいし りょう)
旅に出たばかりの太輔を叱咤し、勇太を母性で包んでくれた女性。長距離デコトラの運転手で、夫と娘を愛する元ヤン。
陽子に太輔の無事を伝えに行って以来、陽子の飲み仲間となり、太輔の誕生日には娘を連れて家を訪れる。
東京をアクロの心臓が襲撃した時は核ミサイルを撃たせないため想いを同じくする多くの民間人をデコトラに乗せて東京を訪れた。
小倉(おぐら)
恵の友達。精神体(自殺ウイルス)に乗り移られて、広瀬が能力を覚醒させた後で飛び降り自殺した。
岡地(おかじ)
陽子の同僚。精神体(自殺ウイルス)に乗り移られて、陽子の目の前で自殺した。
宇都宮 芳勝(うつのみや よしかつ)
勝又の警察学校の同期。勝又の誘いを拒絶し、家族全員を死に導こうとするが、太輔らに阻止され自殺する。家族を死に導こうとしたのも、その後に起こる変革が戦争を引き起こし、それによって家族が死んでいくことを恐れてのもので、最期まで自分の家族のことを考えていた人物だった。
幻覚
相手の心の中を覗き、幻覚を見せる。太輔たちには、自分の能力を「支配」と偽っていた。
宇都宮 芳照/鈴(うつのみや よしてる/りん)
父・芳勝に命を狙われ逃亡の旅を続けていた兄妹。父の作った幻覚の中で危機に陥るが太輔・勇太の働きで死を免れる。
三咲 清光(みさき きよみつ)
太輔が旅の途中に出会った、生まれつき目が不自由な老人。いつも神社で猫と戯れている。太輔に重要な言葉を残す。第2の集団自殺により階段から転がり落ち、死亡。
千里眼
触れることで、その人の過去と未来を見通す能力を持つ。
橘 春花(たちばな はるか)
太輔らが泊まったライダーハウス(旅行者のための簡易宿泊所)兼レストランの娘。明るく心優しい道産子少女。愛馬「アオ」が行方不明になり落ち込んでいる。第1部終盤、太輔の目の前で広瀬に殺されてしまい、彼の心の罪悪感を暴走させ、それがアクロの心臓を覚醒させるきっかけとなってしまった。
楠 悟(くすのき さとる)
楠 奈美の弟。生まれつき心臓が弱く、激しい運動をすると発作を起こすため周囲に迷惑をかける自分にコンプレックスを持っていた。奈美の誕生日に髪留めをプレゼントして喜ばせようとしていたが、華音に殺される。
ダン・フリードキン
「詩人」と呼ばれ、勝又や由紀恵と同じく「心臓の欠片」を持つ能力者。自分の保身の為に軍隊の収容所にいたが、ハンの収容所襲撃の際にマクファーソンによって連れ出された。フルネームは「ダニエル・フリードキン」。米軍基地襲撃事件後、御霊により心臓の欠片を奪われ死亡。
洗脳・操作
触れることで、触れた相手を洗脳することが出来る。

用語

能力者
宇宙より飛来した精神体(自殺ウィルス)に乗り移られ超常の力を授かった人間達のこと。通常、感染者の多くはその影響の元、自ら幸福のままに命を絶つが、稀に嫉妬、劣等、憎悪、羞恥、嫌悪などの負の感情、「心の穴」が深い者は生き残る。その結果、回復力を含めた身体能力の異常な向上と、各員の「心の穴」に起因した固有の能力を持つ。学校の屋上から飛び降りたり、内臓が抉られるほどの傷を負っても1日で回復する。ただし、頭を撃ちぬかれた場合は死ぬ。
仲間
能力者同士が、互いを呼び合うときの総称。一定の範囲内であれば、能力者はお互いを探知することが可能であり、これによって太輔は旅の最中、幾人もの「仲間」と遭遇することになる。「アクロの心臓」が世に放たれてからは、心臓が発する強力な波動のせいで探知能力に妨害がかかり、現在は探知不能になった様子。
能力
能力者の持つ力のこと。能力は、その能力者の過去や個人の願望などが反映しており、心の穴の深さと能力の強さは比例する。また、自らの心の穴に蓋をしたり、記憶を失ったり、自覚していない場合、本来の能力に制限がかかる場合もある。
アクロの心臓
勝又達が崇める、「あの方」と呼ばれる者の半身。能力者の力を格段に上げることが出来る。心臓の鼓動は能力者同士の探知能力を妨害し、現在も強く存在する。意志を持ち、アクロの心臓の適合者と認められなかった者は内側からその身を破壊され、消滅する。適合者と認められた者はその強大な力を大きく引き出され、暴走状態に陥る。第1部では広瀬がその適合者と認められ、「無」の強大な力を暴走させた。太輔により、マグマの中に広瀬ごと閉じ込められ、地中で眠っていたところをアメリカ軍に掘り起こされて、横須賀基地に収容されるが船での輸送中、ハンの妨害により現在は太平洋の海底に沈んでいたが、プラットホームの戦闘で広瀬と共に覚醒した。
心臓の欠片
精神体と共に人間に飛来。これが体内にある人間は、他人の心の負の部分が見える。前触れもなく、朧に時に鮮明に、脳に直接再生される。絵・音・匂いなど、様々な形で人の心が抱えている闇が見える。見ないようにしても、それは強制的に見えてしまうため、抗うためには知らないフリをするしかない。
悪夢の一週間
精神体(自殺ウイルス)に乗り移られた感染者の多くが相次いで命を絶った時期。
内なる欲求
アクロの心臓に触れた能力者が己の過去に見入られ、心の穴に吸い込まれるように命を絶つこと。第2の自殺騒動の原因。

関連事項

2008年にテレビアニメ化が発表されたが、アニメーション制作を担当するゴンゾが上場廃止となったことにより制作が停止、2010年に製作中止が発表された[1]。 同年、原作の河島正が死去。

出典

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外部リンク


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