アニス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

テンプレート:生物分類表 アニス (anise, Pimpinella anisum) はセリ科一年草。原産地はギリシアエジプトといった地中海東部地域である。開花期には花茎が伸びて高さ50cmほどの高さにまで成長する。種のように見える果実をアニス果(別名アニシード aniseed)と呼び、香辛料として用いる。トウシキミの実(八角・スターアニス)やフェンネルシード(ウイキョウ)と似た甘い香りがある。西洋茴香(セイヨウウイキョウ)と表示されることもある。

イギリスでは1305年に課税の対象となった。集まった税金はロンドン橋の修理のための資金となった。

イーストン聖書辞典(1897年)によると、新約聖書の「マタイによる福音書」23章23節に出てくる「アニス」は、現在ではイノンドと呼ばれる植物を指している。

利用

ケーキクッキーなどの菓子類やパンアブサンウーゾイエーガーマイスターなどのリキュールの他、カレー魚介類、鶏などの料理、クリームスープ、ソースにも使用される。時には息の香りを良くするためや、消化剤としてや、咳や頭痛を鎮めるためにも用いられる。

果実は長さ5mm程度で2つに結合した心皮からなる双懸果であり、強い芳香を持つ。地上に出ている部分は若いうちは野菜として食用にされる。セロリと食感が似ており、香りはアニシードよりもずっと弱い。

アニスは古代ギリシアの時代には主として薬草として扱われ、母乳の分泌を促進する、あるいは分泌期間を延ばすものと信じられてきた。また、魔よけとしての効能も持つと信じられてきた。ローマ人は胃のもたれを解消するため、アニスケーキを食した。他にも、健胃剤、駆虫剤、去痰剤、歯磨き粉の成分として使われてきた。

果実を水蒸気蒸留することで、揮発性のアニス油が得られ、香料として使うほか、少量を腹の張りや子供の疝痛(発作性の腹痛)の治療薬として使うことがある。アニス油は沸点210℃の黄色の液体で、成分は90%程度がアネトールである。他にカビコールアニスアルデヒドアニス酸テルペンなどを含む。

シキミ科の八角(スターアニス)も同じアネトールを含むが、アニスと植物学上の類縁関係にはない。八角はアニスと似た味と香りを持ち、より安価であるため、アニスの代用品として使用されることがある。

ギャラリー

脚注および参考文献

外部リンク

テンプレート:Sister テンプレート:Sister

テンプレート:Herbs & spices

テンプレート:Asbox