キクイモ
テンプレート:生物分類表 キクイモ(菊芋、学名:Helianthus tuberosus)は、キク科ヒマワリ属の多年草。別名はアメリカイモ、ブタイモ、サンチョーク、エルサレムアーティチョーク。北アメリカ原産で、世界中に外来種として分布している。
特徴
草丈1.5〜3mと大きくなり、菊に似た黄色い花を9-10月につけ、10月末に地中に塊茎を作る。茎や葉に小さな刺がある。繁殖力は強い。 本種と花がよく似ているキクイモモドキ Heliopsis helianthoides という植物がいる。
分布
北アメリカ北部から北東部を原産地とする[1]。 南アメリカ、ヨーロッパ、アジア(日本を含む)、オセアニアに移入分布する[2]。日本には江戸時代末期に飼料用作物として伝来した。栽培されているもの以外に、第二次世界大戦中に加工用や食用として栽培されたものが野生化したものもある。
外来種問題
日本には1850年代から1860年代に初めて導入され、全国に定着が拡大している[1][2]。河川敷や草地に生育する在来種の植物と競争し、駆逐する危険性がある[1]。
名称
キクイモの和名は、菊に似た花をつけ、芋ができるために付けられた[3]。エルサレム・アーティチョークは英名 Jerusalem artichoke に由来する。Jerusalem はイスラエルの都市エルサレムのことだが、この植物との関わりはない。 もと、古いイタリア語ではキクイモを Girasole Articiocco(ジラソーレ・アルティチョッコ)と呼んでいた。「ヒマワリ・アーティチョーク」の意で、ヒマワリとは花が、アーティチョークとは味が似る。このGirasole をジルーサウルと発音して Jerusalem (ジュルーサラム)と混同し、英語で Jerusalem artichoke というようになったとする説がある[4]。
利用
主成分は多糖類イヌリンを含む食物繊維であり、生の菊芋には13-20%のイヌリンが含まれる。通常の芋類と異なり、デンプンはほとんど含まれない。
塊茎を食用とする。料理としては牛乳煮、バター焼き、フライ、スープ、味噌漬け、煮物など。また、イヌリンは消化によってオリゴ糖の一種キクイモオリゴ糖(イヌロオリゴ糖)となるため、健康食品として顆粒やお茶として加工され市販されている。さらに、飼料とするほか、果糖の原料にもされる。
岐阜県恵那市岩村町では、菊芋の味噌漬けや粕漬けが名物として販売されている。長野県下伊那郡泰阜村・阿智村や熊本県阿蘇郡小国町では、キクイモを用いた地域振興をしている。
- Gewaschene-Topinambur-Knollen.jpg
キクイモの塊茎
- Root of Helianthus tuberosus.JPG
葉を茂らせた頃の根
脚注
外部リンク
- ↑ 1.0 1.1 1.2 テンプレート:Cite book
- ↑ 2.0 2.1 キクイモ 国立環境研究所 侵入生物DB
- ↑ テンプレート:Cite book
- ↑ James Edward Smith "An Introduction to Physiological and Systematical Botany" (1807), p108注。(2011年6月21日閲覧)。現代のイタリア語でキクイモは topinambur、アーティチョークは carciofo だが、ジェノバ地方では アーティチョークのことを articiocca という。