いっかくじゅう座
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
テンプレート:Infobox Constellation いっかくじゅう座(一角獣座、Monoceros)は、冬の南天に見える星座。設定者はペトルス・プランシウス(一般にはバルチウス星座の1つとされているが歴史については後述)。
固有名もついていない4等星がいくつかあるだけの目立たない星座だが、後述のばら星雲など著名な天体が属している。
主な天体
恒星
- β星:実視等級3.76等(合成等級)で、いっかくじゅう座で最も明るい恒星。三重星で、4.7等, 5.2等, 6.1等の3つの星が三角形を成している。この三重星はウィリアム・ハーシェルによって1781年に発見され、ハーシェルは「全天で最も美しい景観の1つ」とコメントした。距離691光年。
- ε星:4.5等と6.5等の星からなる連星である。距離128光年。
- S星(15番星):青みを帯びた白いO型の変光星だが、その変化はあまり大きくない。NGC 2264の中心に位置する。この星は二重星でもあり、8等の伴星がある。
- ロス614:29番目に近い恒星系である。距離13.3光年。近接した連星で、伴星は変光星(V577 Mon)である。
- V838星:2002年に出現した新星 (Nova Monocerotis 2002)。同年1月6日にアウトバーストが始まり、現在もライト・エコーの広がりが観測されている。当初は典型的な新星と考えられていたが、様々な相違点が指摘されている。距離はおよそ2万光年(6キロパーセク)と推定されている。
星団・星雲・銀河
- M50:散開星団
- NGC 2237-2239、2246(ばら星雲):散光星雲。
- NGC 2244:散開星団。ばら星雲に囲まれている。
- NGC 2261(ハッブルの変光星雲):散光星雲(変光星雲)。
- NGC 2264:散光星雲のコーン星雲(コーンは円錐の意)、Snowflake Cluster、狐の毛皮星雲[1]、散開星団のクリスマスツリー星団[1]からなる。
その他
- いっかくじゅう座X-1 - 別名いっかくじゅう座V616星、A0620-00。連星であり、既知で最も近い距離にあるブラックホールと考えられている。
由来と歴史
いっかくじゅう座は、旧約聖書にたびたび登場する架空の動物であるユニコーン(一角獣)をモチーフにしている。この動物は馬に似ていて、額の上には1個だけの角を持ち、この角には解毒作用があると考えられている。この動物は、純潔と清浄を表すと考えられている。
いっかくじゅう座は、ドイツの天文学者ヤコブス・バルチウスによって設定されたといわれてきた。これによって一般に知られるようになったとされる新しい星座である(1624年のバルチウスの星図には Unicornu とある)。しかし、それより以前にオランダの神学者で地図製作者のペトルス・プランシウス(Petrus Plancius)によって創案されたものである(1613年のプランシウス製天球儀のゴアには Monoceros Unicornis とある)[2]。
しかし、天文学者ヴィルヘルム・オルバースと年代学者ルートヴィヒ・イデラー (Ludwig Ideler) は、1564年にこの星座が使われていることと、それよりもっと古くから使われていたと発表した。古典学者のヨセフ・スカリゲル (Joseph Scaliger) は、古代のペルシアの天球儀でこの星座を発見したと発表した。
出典
- ↑ 1.0 1.1 夜空に輝くクリスマスツリーAstroArts
- ↑ テンプレート:Cite web