あめぞう

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

テンプレート:複数の問題

あめぞうあめぞう (人物)が開設した、リンク集と電子掲示板群を核とするウェブサイト「あめぞうリンク」の略称である[1]。特に、そこに設置された日本初とされるマルチスレッドフロート型掲示板「あめぞう掲示板」を指すことが多い。

1997年8月5日に「あめぞうリンク」というリンク集として開設された。スレッドフロート型掲示板が設置されたのは1998年9月6日である。

以下、サイト全体については「あめぞうリンク」、開設者の「あめぞう (人物)」については、「あめぞう」と表記、あめぞうリンクに設置された掲示板は「あめぞう掲示板」、あめぞうが発展させた掲示板形態は「あめぞう型掲示板」として峻別する。

概要

1990年代の大型有力掲示板サイトは、多くのアクセスが集中し、多大な記事が投稿されるため、たいへん利用しづらいものであった。例えば、記事ツリーが縦方向に長くなってしまい、古い記事ほど下へ下へと押し出され、目当ての記事を探し出すのも一苦労だった。また個人運営のサイトは、有名になってアクセスが殺到すると、たちまちレスポンスが重くなってしまい、使い物にならなくなった。

そういった常識を覆したのが、スレッドフロート型掲示板を採用し、進化させたあめぞう型掲示板であった。これが当時としてはたいへん画期的な操作性、利便性を持っており、使いやすさから利用者間の交流をそれまでより容易にした。そして、サーバレンタル会社との提携による(無料サイトに依らない)ディスクスペース確保など、非商用の個人運営サイトでありながら、日本における大規模な掲示板サイトの先駆けともなった。

あめぞうが2000年3月3日にサイトを閉鎖するまでの間、多くの人が訪問した。開設当時の情勢としては、パソコンが高額であり、インターネットがまだ広く認知されておらず、ISDN回線についてはほとんど知られていない頃であり、商用ADSLも立ち上がっていなかったため、ユーザはコア層、好事家層の割合が高かった。従って、コンテンツとしては、ワレズと呼ばれたソフトウェアの違法コピーをはじめとした、アンダーグラウンドな話題が中心であったが、議論の水準は比較的高かったと考えられる。また、雑談のほか、株式・経済・社会情勢・コンピュータ関連など、様々な話題も活発に語られていた。

歴史

当初はアプリケーションの無断配布サイトなどへのリンク集として始められた。しかし、あめぞうが同僚の「あんなの紙芝居みたいのもの、すぐ飽きる。長くやっている奴はバカだ」と言う発言に憤慨し、「あっと思うような情報がネットには流れているんだぞと示してやろう」と、掲示板ページへのリンク集を作ることにした[注 1]。当初は外部の掲示板へのリンクだけであったが、その内、あめぞうリンク内に掲示板を設置し、あめぞう自身がリンク先の掲示板に手広く宣伝を行ったこともあって、人気を増していく[2][3]

1998年3月19日のサーバー移転を契機に積み上げ型のMiniBBSを用いて、「掲示板ニュース速報」[注 2]と「株式速報」を設置。

1998年9月3日に、あやしいわーるどが閉鎖され、難民となった利用者があめぞうに流れ込んだ。直後の9月6日に、Try The Homepageで配布されていたresbbsにスクリプトを変更。

10月中に、「ニュース」「芸能」「スポーツ」「大黒」「漫画」などが新設され、サーバーを移転したのを契機に副題を「大本営発表以外の情報」に変更。29日にはInternet Watchの「ウォッチャーが選ぶ今日のサイト」に選出されるなど、WWW上では一定の知名度を得ている[4]

11月から12月にかけて、「ゲーム」「食べ物」「しりとり」「妄想」「映画」など様々な掲示板が新設される。

1999年1月中旬から下旬にかけて、resbbsを改良し、あめぞう型掲示板が完成。1-2月頃に後に問題となる「内部告発」が設けられる。さらに5月末までに、合計40以上の掲示板を設置。この頃をあめぞうリンクの最盛期とする声が多い[5]

1999年前半には、「BlackBox」「廃墟」といった大規模な私書箱型掲示板が閉鎖することで、そこからも人が流れ込み[6]、同4月には、1日のアクセス数が『Yahoo!掲示板』を超え、日本一の掲示板となって[7]、流行物の雑誌にも取り上げられ[2][8]、一般社会にもその存在を知られるようになった。

1999年5月、ひろゆきが、「あめぞうのセカンドチャンネル」「サブ的な位置づけ」として2ちゃんねるを開設し、あめぞう掲示板に報告テンプレート:Refnest

1999年6月、高負荷により度重なるサーバー移転を余儀なくされたあめぞうリンクを引き受ける、まいたいねっとという業者が現れ、そこに移転する。同月19日、何らかの圧力を受け「内部告発」板が閉鎖されるテンプレート:Refnest[注 3]

1999年7月、2ちゃんねるは6月14日にohayou.comに移転していたが、これがひろゆきが社長である合資会社東京アクセスの所有であることが判明し、善意の一個人などでなく、企業による運営であったことから批難を受ける[9]テンプレート:Refnest

早い報告では6月、確実なところでは8月20日から、あめぞうウイルス[注 4]が来襲して蔓延し、管理に疲れたあめぞうが失踪。管理者を失ったあめぞう掲示板のパーミッションをまいたいねっと側が落とし始める。こういったことが続いて、8月12日に、ohayou.comから2ch.netへ移転していた2ちゃんねるへ利用者の流出が続いた。10月14日、メイン掲示板の「@広場」が停止。21日はまいたいねっと上の残りの掲示板も壊滅し、旧サーバーの一部掲示板だけが残る。

11月には、実質機能停止におちいったあめぞう掲示板の後継を模索する試みが利用者により始められ、臨時掲示板が各所に設けられた。12月1日、「あめぞう避難所として作られた掲示板へのリンク集を作り、難民を誘導する」として「あめぞう2000計画」発動。

12月31日、元あめぞうサポートを務めていた通称"サポート"により、"あめぞう"という同機能のものが設けられ、名前が紛らわしいのであめぞう(仮)と改名。

2000年3月3日、機能停止していたまま残存していたあめぞうリンクが消滅。

2000年6月、あめぞう(仮)が突如閉鎖し、後継を巡って混乱と乱立が進んだ。

あめぞうの荒廃、そして閉鎖へ

だが、1999年春頃からサーバ不調や荒らしが増え始めたこと、一部掲示板の書き込みによってあめぞうが脅迫を受けたとされることなど、運営において様々な問題が起こってきていた。

この時、あめぞうは掲示板上で、サイトの引き継ぎ先の団体を求めていた。西村博之(ひろゆき)がそれに応じる発言をしていたが、あめぞうは「個人では自分と同じ結果(脅迫などの圧力を受け、運営ができなくなる状態)になってしまう」とそれを断った経緯がある。

それとともに、そのころ開設された2ちゃんねるに利用者が移ったこともあり(当時は両サイトを兼用する利用者もいた)、徐々にあめぞうリンクは衰退していった。さらに追い打ちをかけるように、あめぞうウイルスといわれるスタイルシートを利用した荒らしが発生、あめぞう掲示板は壊滅し、2000年3月3日に閉鎖され、それ以後は事実上復旧することはなかった(ただし、サーバ設定の変更などによって、一時的ではあったが一部の板が使用可能になったことがあった。現在あめぞう掲示板の過去ログとして残されているもの多くは、その時にサルベージされたものである)。

あめぞう型掲示板

あめぞう型掲示板はデータファイルが分割されておらず、ひとつの巨大な塊であったため、一つ問題が起きると全体が使い物にならなくなったり、直接関係ない部分のログが破損してしまった[10]。また、2ちゃんねるは最上部の一覧表示をHTMLで出力することで負荷を軽減したが、あめぞう掲示板はCGIであったので、アクセスする度に負荷がかかった[11]

管理はあめぞう一人で行われていた訳ではなく、「あめぞうサポート」と呼ばれる管理権限者を設け、彼らに削除や板の新設という高い次元の管理まで行わせた[12]

脚注

注釈

テンプレート:Reflist

出典

テンプレート:Reflist

参考文献

  • 河上イチロー 『サイバースペースからの挑戦状』 雷韻出版 1998年12月 ISBN-13: 978-4947737021 pp.42-47
  • 哭きの竜 「真ザ・バトルウオッチャー・ロワイアル R2:電網英雄伝説~黎明篇~」 『B-GEEKS vol.2』 2001年10月1日 三才ブックス pp.96-97
  • 井上トシユキ 『2ちゃんねる宣言 挑発するメディア 増補版』 文藝春秋 2003年12月10日 ISBN-13: 978-4167656867 pp.46-52,84-102
  • ばるぼら 「掲示板文化の今後」 ハッカージャパン(編) 『2ちゃんねる中毒』 白夜書房 2002年7月10日 ISBN 978-4893677815 pp.52-57
  • 「技術座談会」 『2ちゃんねる公式ガイド2002』コアマガジン 2002年8月19日 ISBN-13: 978-4877345372 pp.179-184
  • ばるぼら 『教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書』翔泳社 2005年5月10日 ISBN-13: 978-4798106571 pp.256-276
  • あめぞう型掲示板普及委員会 『あめぞうの歴史
  • 三河人 「5分で解る?!あめぞう(仮)の歴史」 (2007-2008)

外部リンク

テンプレート:Internet-stub
  1. ばるぼら (2005) p.256
  2. 2.0 2.1 武田徹記事 『日経トレンディ臨時増刊号』 1999年4月22日 日系BP
  3. 「あめぞうインタビュー 於:羽田・新東京国際空港 日時:3月21日16時40分-18時10分 参加:●あめぞう、○武田徹 △天野(日経トレンディ編集部)」
  4. ウォッチャーが選ぶ今日のサイト1998年10月28日- internet watch
  5. ばるぼら (2005) p.258
  6. ばるぼら (2005) p.204
  7. 哭きの竜 「真ザ・バトルウオッチャー・ロワイアル R2:電網英雄伝説~黎明篇~」
  8. 『ダカーポ』 1999年4月21号 マガジンハウス
  9. 2ch打倒の切り札
  10. 「技術座談会」 『2ちゃんねる公式ガイド2002』
  11. ただし、ひろゆきと連絡を取り、7月半ばにはあめぞうリンクもHTML出力となっている。 ばるぼら (2005) p.262
  12. ばるぼら (2005) pp.258-259


引用エラー: 「注」という名前のグループの <ref> タグがありますが、対応する <references group="注"/> タグが見つからない、または閉じる </ref> タグがありません