ヤマハ・YZF-R1
YZF-R1(ワイゼットエフ アールワン)は、ヤマハ発動機が1998年に発売開始した4ストローク998ccの大型自動二輪車(オートバイ)である。日本国外市場向けであったが、2009年モデルより正式に日本国内仕様の販売が開始された。
目次
概要
1998年に、ホンダ・CBR900RRの対抗車種となるスーパースポーツモデルとして発売された。
エンジンとフレームは、FZR1000やYZF1000R サンダーエースとの差別化を図るため、全くの新設計で開発され、FZR1000以来、ヤマハのリッターモデルに久しぶりに倒立フロントフォークが採用された。中型車並の車重に当時最高クラスのエンジン出力、鋭角的なデザインが話題となり、スーパースポーツブームの火付け役となった。
なお、本車両の影響で今までスーパースポーツマシン(以下SSと省略)としての金字塔であったCBR900RRシリーズも大幅な改良が要求される事になり、カワサキからはZX-9RがスポーツツアラーからSSに改良され、初代GSX-Rで衝撃を与えたスズキからは、GSX-R750のボアアップ版である、GSX-R1000が誕生することになり、各社が刺激し合い、今テンプレート:いつも続くSS戦国時代に突入していく事となる。
モデル
1998年式 (初代)
- 1997年のミラノショーで発表。開発コンセプトは「ツイスティロード最速」。サーキットよりも公道でのコーナリングに主眼が置かれた設計となっている。乾燥重量177kg。最高出力150psを発生するエンジンはヤマハ初のサイドカムチェーン方式。「カミソリステア」と呼ばれるシャープなハンドリングを実現。
2000年式 (2代目)
・外見こそ初代に似るが、ほぼフルモデルチェンジともいうべき250箇所に及ぶ多数のパーツ変更、改良が施される。フレームも一見同じに見えるが材質変更やスイングアームピボット部の肉厚アップなどが行われている。サーキットよりも公道に最適化するという思想は引き継がれるが、完成度はEXUPの特性も相まって非常に高いモデルといえる。 テンプレート:-
2002年式 (3代目)
- 燃料供給装置をキャブレターからサクションバルブ付きフューエルインジェクションに変更。2軸式EXUPの採用。フロントフォークは43Φへ大径化。スイングアームの軽量化。それに伴うフレーム剛性の見直しとポジションの最適化が図られている。
- ポジションランプ一体の軽量コンビネーションヘッドライト・超薄型LEDテールランプの採用。エッジの効いた斬新なフォルムとこだわり貫かれた細部デザインは秀逸であり、国内外SSデザインにセンセーションを巻き起こした。
2004年式 (4代目)
- センターアップマフラーを採用
- ヤマハ車としては初採用のラムエアシステムを装備(なお、FZR1000ではFAIと呼ばれる新鮮な空気を取り入れるシステムは搭載していた)、最高出力を172ps(ラムエア過給時は180ps)と、大幅に向上させる
- ラジアルマウント式ブレーキキャリパーを採用
- ラジアルポンプ式ブレーキマスターシリンダーを採用
- 2005年モデルより、カナダ仕様にもイモビライザーを標準装備
2006年式 (5代目)
- エンジン内部のポート形状、フューエルインジェクションに変更を加え、2004年式と比較して3psの出力向上
- スイングアームを2004年モデルより16mm延長
- オーリンズ製の前後サスペンションやマルケジーニ製アルミ鍛造ホイール、専用設計のスリッパークラッチなどを装備し、1,330台限定生産モデル「YZF-R1SP」を追加
- 車体重量は2004年式と比較して1kg増加の173kg(SPは2kg増加の174kg)となったが、先述の通り出力も向上したため非過給時でも(あくまでもカタログ上の出力かつ、乾燥重量状態においてであるが)パワーウェイトレシオが1を切った
2007年式 (6代目)
テンプレート:Double image aside 2006年にドイツ・ケルンで開催された「インターモト」で発表。YZF-R6同様のYCC-T(ヤマハ電子制御スロットル)と、量産市販車では初となるYCC-I(可変式エアファンネル)を装備する新設計エンジンは、ラムエアシステムによる過給なしで2005年モデルのGSX-R1000をも凌ぐ180psを発生させる。なお、このエンジンはヤマハ伝統の5バルブを捨て、YZR-M1同様の4バルブを採用している。また、外観は似ているもののフレームも新設計となっている。 テンプレート:-
2009年式 (7代目)
2008年9月発表。車体デザインとフレーム構造を全面的に変更し、エンジンはクランクシャフトをクロスプレーン型に変更し振動を低下させ出力は182psを発生。フロントフォークは左右別々の機能構造として性能を向上させている。
またYCC-Tを活用したモードマップ切り替え機能 YAMAHA D-MODE を装備している。
2009年6月15日より日本仕様も発売された。主な装備は日本国外仕様と同一となっており、エンジン出力は日本の加速騒音規制と排ガス規制に適合させながら145psの数値を確保した。
2012年のモデルチェンジではエンジン制御にトラクションコントロールシステムを追加し、マフラーおよびフロントカウルの形状を変更している。 テンプレート:-
レースベース車
日本向けの公道仕様とは別に、毎年台数限定でレース向けに公道用部品を取り外した「レースベース車」が発売されており、公道での走行はできないが価格を若干抑えている。
脚注