ミッチャー級駆逐艦
ミッチャー級駆逐艦 | ||
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DD-927 ミッチャー | ||
艦級概観 | ||
艦種 | 嚮導駆逐艦 | |
艦名 | 海軍功労者。一番艦はマーク・ミッチャー提督に因む。 | |
前級 | ギアリング級駆逐艦(DD) | |
ノーフォーク (DL-1) | ||
次級 | フォレスト・シャーマン級駆逐艦(DD) | |
ファラガット級駆逐艦(DLG) | ||
就役期間 | 1953年 - 1978年 | |
性能諸元 | ||
排水量 | 基準:3,642t | |
満載:4,855t | ||
全長 | 149m | |
全幅 | 14.5m | |
吃水 | 4.5m | |
機関 | FW製ボイラー DL-2,3: 86kgf/cm², 510℃ DL-4,5: 84kgf/cm², 518℃ |
4缶 |
蒸気タービン(各40,000hp) | 2基 | |
スクリュープロペラ | 2軸 | |
速力 | 最大: 36.5ノット | |
航続距離 | 4,500海里(20ノット時) | |
乗員 | 360名 |
ミッチャー級駆逐艦(ミッチャーきゅうくちくかん、テンプレート:Lang-en)は、アメリカ海軍の嚮導駆逐艦の艦級。1番艦の艦名はマーク・ミッチャーに因む。
新しい主機関と強力な対潜・砲熕兵器を搭載する新世代の駆逐艦として1948年から整備が進められ、4隻が建造された。ミッチャーとジョン・S・マケインは、後にミサイル駆逐艦として改装されている。
来歴
本級は、駆逐艦隊などの旗艦となる大型の駆逐艦として開発された。当初はDD-927級として、従来の駆逐艦に属するものとして計画されたが、1番艦の建造途中である1951年に、嚮導駆逐艦(DL: Destroyer Leader)という新しい艦種に分類されるように変更された。この新しい艦種には、ミッチャー級のほかに、対潜作戦のエースとして建造されていた「ノーフォーク」(CLK-1)も属することとされており、「ノーフォーク」のほうが先に進水を迎えたことから、DL-1の番号はそちらに譲ることとなった。なお、嚮導駆逐艦は、1955年にさらにフリゲートと再改名された。
設計
船体設計は、フレッチャー級駆逐艦の系譜を引き継ぐ平甲板船型を採用しており、乾舷はかなり高い[1]。
主機関には、アメリカ海軍として初めて、蒸気圧力1,200 psi以上の高圧ボイラーが採用された。適切な運用を模索するため、前期建造艦と後期建造艦では異なるタイプのボイラーが搭載されており、DL-2/3では圧力テンプレート:Convert、温度510℃の蒸気を扱うゼネラル・エレクトリック社製の強制循環ボイラが、DL-4/5では圧力テンプレート:Convert、温度518℃の蒸気を扱うフォスター・ホイーラー社製のドラム型ボイラが採用されたが、強制循環ボイラは実績不良であったことから、竣工から6〜7年で従来の自然循環ボイラーに換装された。また主機関としては2段減速のギヤード・タービンが2基搭載されている。蒸気性状の高圧・高温化に伴い、従来の巡航タービンを用いた主機方式では不具合と考えられたことから、シリーズ・パラレル方式の蒸気タービンが開発されて搭載された。シリンダー構成は、高圧・中圧タービンと低圧・後進タービンの2胴式であり、この方式は効率良好で、構造単純、運転容易などの利点があり、以後の米海軍艦艇で広く用いられた。機関配置としては、前から、前部缶室・右舷機関室・後部缶室・左舷機械室という4室のシフト配置が採用されている[2]。
装備
兵装面でも、多くの新兵器が搭載された。防空用には、新開発の両用砲であるMk.42 54口径127mm単装砲が、対潜用には、誘導対潜魚雷用の固定式発射管のほか、対潜前投兵器であるMk.108「ウェポン・アルファ」対潜ロケット砲などが搭載された。ソナーとしては、建造当初はSQG-1を搭載していたが、1950年代中盤に、標準的なAN/SQS-4に換装された。
1950年代後半に入って、本級は、戦前型の艦隊型駆逐艦とともに、FRAM(艦隊近代化計画)改修を受けることとなった。まず、従来使われてきた開放砲架のMk.33 50口径76mm連装砲に代わってMk.37 70口径76mm連装砲が搭載された。また、この際、重量増に対応するため、不発率が高く評判の悪かったMk.108「ウェポン・アルファ」も撤去された。続いて、遠距離の対潜兵器として開発された無人対潜ヘリコプターであるQH-50 DASHが搭載されることとなり、後部Mk.26 3インチ砲と魚雷発射管を撤去してDASHの運用設備(格納庫と飛行甲板)が設置された。さらにソナー・システムも更新され、DL-2/3はSQS-4のかわりにSQS-23を、DL-4/5は艦首ドームを拡張してAN/SQS-26を搭載した[3]。
その後、1964年計画において、DL-2/3はミサイル駆逐艦改装を受けることとなった。これは、駆逐艦向け艦対空ミサイル・システムであるターター・システムを搭載することで、廉価型ファラガット級ミサイル・フリゲートというべき防空艦に改装するというものであった。艦の後部に単装ミサイル発射機とAN/SPG-51誘導レーダー2基を装備した。予期したほどの効果を得ることができず、またトップ・ヘビーに陥ることが判明したため、DL-4/5に対する改装は取りやめられた。トップ・ヘビーの悪癖は、DDG改装を受けなかった艦にも出現しており、このために本級はいずれも短命に終わった。DDG改装を受けなかった2隻は1969年、DDG改装を受けた2隻も1978年に、いずれも就役30年を経ることなく退役した。
なお、「ミッチャー」は1957年2月、ベル47の発着演習を行なっている。この際、ベル47はMk.43短魚雷を搭載して対潜攻撃を展示したが、これは、アメリカ海軍の駆逐艦が対潜攻撃ヘリコプターを搭載した初の例であった。
新規建造時 | FRAM改修後 | DDG改修後 | |
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兵装 | Mk.42 54口径127mm単装砲×2基 | ||
Mk.33 50口径76mm連装砲×2基 | Mk.26 70口径76mm連装砲×2基 ※のちにDASH運用設備のため後部砲塔は撤去 |
Mk.26 70口径76mm連装砲×1基 | |
20mm連装機関砲×4基 | Mk.13 GMLS×1基 ※RIM-24 SAM用 | ||
Mk.108対潜ロケット砲×2基 | - | Mk.16 アスロック8連装発射機×1基 | |
533mm連装魚雷発射管×2基 | Mk.32 3連装短魚雷発射管×2基 | ||
爆雷投下軌条×1条 | |||
艦載機 | - | QH-50 DASH×2機 ※後日装備 |
飛行甲板のみ |
FCS | Mk.68 GFCS×1基 | ||
- | Mk.74 GMFCS×2基 | ||
Mk.102 UBFCS×1基 | n/a | ||
レーダー | AN/SPS-6 対空捜索 | AN/SPS-12 対空捜索 | AN/SPS-37 対空捜索 |
テンプレート:仮リンク 高度測定 | テンプレート:仮リンク 3次元 | ||
ソナー | AN/SQG-1(建造当初) AN/SQS-4(50年代中盤に換装) |
AN/SQS-26(DL-4/5) | AN/SQS-23 |
同型艦
番号 | 艦名 | 建造所 | 就役 | 退役 | その後 | 売却日 | リンク |
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DD-927 / DL-2 / DDG-35 |
ミッチャー USS Mitscher |
バス鉄工所 | 1953年 | 1978年 | 国防再利用販売サービス (DRMS) により スクラップとして売却 |
1980年8月1日 | [1] |
DD-928 / DL-3 / DDG-36 |
ジョン・S・マケイン USS John S. McCain |
1979年12月13日 | [2] | ||||
DD-929 / DL-4 |
ウィリス・A・リー USS Willis A. Lee |
ベスレヘム・スチール, フォアリバー |
1954年 | 1969年 | 1973年6月1日 | [3] | |
DD-930 / DL-5 |
ウィルキンソン USS Wilkinson |
1975年6月1日 | [4] |