トルコ軍
トルコ軍(トルコぐん、Türk Silahlı Kuvvetleri)は、ヨーロッパ大陸と小アジアにまたがるトルコ共和国の軍隊。兵員数は約65万人で、兵員規模に関しては北大西洋条約機構加盟国で第2位に位置する。指揮権は平時には大統領に属し、戦時には参謀総長(Genelkurmay Başkanı)に属すると憲法によって規定されている。また、参謀総長の地位は事実上陸軍の指定席である。独自の核戦力は保持していないがアメリカとニュークリア・シェアリングを行っているので核抑止を可能としている。
国父アタテュルク以来の国是である世俗主義原則などの体制の守護者を任じ、1960年、1980年の2度の軍事クーデターを起こすなど、政治色の強い軍隊として知られ、現在でも高い政治的発言力を持つ。
徴兵制度
トルコは良心的兵役拒否すら認めない完全な男性皆兵制をとっており、身体の障害などの理由がない限り、男性には15ヶ月間の兵役(大卒者は12ヶ月)が課され、それぞれ陸軍・海軍・空軍・沿岸警備隊に配属される。定期バスなどは道端で時々、軍のID検査があり、兵役を逃れている者がいれば、即刻そのまま任地に強制連行される(一旦、家にも帰れない)。18歳~40歳までの男性で、IDカード保持者(国籍保持者の男性)を対象に行われるが、学生の間は免除される。また、ジャンダルマは徴兵制をとっていない。一般には20歳までに兵役に応じ、最下級の兵士(er)としての訓練と任務に就くことになる。また、大学を卒業した者は、兵卒ではなく予備将校としての訓練を受ける。
兵役期間中の給与はきわめて安く、軍種・兵科・任地などにより異なるが、2004年現在おおむね2,000万トルコリラ(20新トルコリラ)程度である。これは、トルコの物価においてタバコ8箱程度であり、そのため一般には兵役は無償(bedava)とみなされている。これに対して職業軍人は「有給軍人(para askeri)」と呼ばれる。以前は代人料を払って兵役の期間を短くする制度があったが、貧富で差が出てきて問題になったため、今は廃止されている。
編成
トルコ軍は統合参謀本部(Genelkurmay Başkanlığı)を頂点に、陸軍・海軍・空軍によって編成されている。また戦時においては、内務省所属のジャンダルマ・沿岸警備隊がそれぞれ陸軍・海軍の指揮下に入ることとされている。
陸軍
- 第1軍司令部
- 第2軍司令部
- 第3軍司令部
- エーゲ軍司令部
- 第4軍団司令部(首都防衛)
- 訓練・ドクトリン司令部(軍級)
- 補給司令部(軍団級)
- キプロス駐留トルコ平和部隊司令部(軍団級)
- 航空司令部(旅団級)
さらにこれらの上級司令部の下、以下の師団・旅団等の戦闘部隊等が配置されている。
- 10個軍団
- 2個機械化歩兵師団
- 2個機械化歩兵師団司令部
- 1個歩兵師団
- 1個歩兵訓練師団
- 14個機械化歩兵旅団
- 14個機甲旅団
- 12個歩兵/国内治安旅団
- 5個特殊任務旅団
- 5個訓練旅団
海軍
テンプレート:Main アンカラの海軍司令部の下、以下の上級司令部が置かれている。
- 艦隊司令部(軍級)
- 北方海洋方面司令部(軍団級)
- 南方海洋方面司令部(軍団級)
- 海洋訓練・教育司令部(軍団級)
さらにこれらの上級司令部の下、以下の艦艇及び戦闘部隊等が配備されている。
過去に所属した艦艇も含めた詳細は、トルコ海軍艦艇一覧を参照。
空軍
- 戦闘機 F-5A/B×87機
- 戦闘攻撃機 F-16ファイティングファルコンC/D×224機 F-4ファントムⅡE×174機
アンカラの空軍司令部の下、以下の上級司令部が置かれている。
- 第1戦術空軍司令部(軍団級)
- 第2戦術空軍司令部(軍団級)
- 航空補給司令部(軍団級)
- 航空教育司令部(軍団級)
さらにこれらの上級司令部の下、以下の戦闘部隊等が配置されている。
- 19個戦闘スコードロン
- 2個輸送スコードロン
- 5個教育スコードロン
- 6個警戒スコードロン
- 1個給油スコードロン
- 8個地対空ミサイルスコードロン
脚注