ディアゴナール
ディアゴナール(テンプレート:Lang-fr-short)は、フランス語で「対角線」を意味し、六角形に見立てたフランス全土の対角線にあたる9つのルートを制限時間内に走る長距離サイクリングである「ディアゴナール・ド・フランス」(テンプレート:Lang-fr-short[1])を指す。ブルベの一つ[2]。
またかつて、これにちなんだ自転車の商品名があり、自転車の一形態を表す名称とみる向きも存在する。
ディアゴナール・ド・フランス
1930年、「シクロツーリスムの父」と称されるヴェロシオ(Vélocio〈フランス語版〉)、本名: ポール・ド・ヴィヴィ(Paul de Vivie〈英語版〉)の発案により始まった[2]。現在の主催者はフランス・シクロツーリスム連盟 (Fédération Française de CycloTourisme, FFCT) で[2]、参加はその会員に限られる。フランス国土の「対角線」をなす920キロメートルから1,400キロメートルまでの9つのルートを、それぞれ77時間から116時間の制限時間内に、時速12キロメートル程度(休憩時間などを含む)で走破する。各ルートは起点・終点の規定があるものの、具体的なコース・日程は自由に組むことができる。ヴェロシオの遺言により、すべて自力で賄うことが鉄則とされ、自動車の伴走などは禁じられている。
ルート
- ブレスト - マントン[3](1,400km、116時間)[2]
- ダンケルク - ペルピニャン[4](1,190km、100時間)[2]
- ダンケルク - マントン[5](1,190km、100時間)[2]
- アンダイエ - ストラスブール[6](1,170km、99時間)[2]
- ブレスト - ペルピニャン[7](1,060km、89時間)[2]
- ブレスト - ストラスブール[8](1,050km、88時間)[2]
- ダンケルク - アンダイエ[9](1,050km、88時間)[2]
- アンダイエ - マントン[10](940km、78時間)[2]
- ストラスブール - ペルピニャン[11](940km、78時間)[2]
ディアゴナールという「車種」
1950-1960年代、フランスの自転車製造業者であるルネ・エルス (René Herse) が、diagonale を販売していた。またこのモデルには、Ideale #92 diagonale というフランス製のサドルが採用されている。
1982年、日本の大手自転車メーカーであるブリヂストンサイクルが、高級量産スポーツ車「ユーラシア」シリーズに「ユーラシアグラン ディアゴナール」という製品を追加した。これは当時の日本式ランドナーに700×32Cサイズのタイヤを履かせたようなもので、ツーリングとスポルティーフの中間に位置する製品であった。新ジャンルのツーリング用自転車として位置づけられ、その後も同社は、ユーラシアの上位ブランドである「アトランティス」や、後継ブランドの「トラベゾーン」にもディアゴナールと称する700Cランドナーをラインナップした。当時を知る人の中には「ディアゴナールという自転車のジャンル」が存在すると記憶しているケースがある。しかしこれは、メーカーの枠を超えて広く用いられた名称ではない。このためディアゴナールが車種の名称として確立されているか否かは微妙である。なお、ブリヂストンはディアゴナールのラインナップを1990年代の中ほどまで継続したようである。
ルネ・エルスとブリヂストン両社のモデルは、コンセプトやデザインの傾向がよく似ているが、前者はセンタープルブレーキを装備するのに対して、後者は輪行の際の分解を容易にするためカンチレバーブレーキを採用している。