スーパージェッター

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テンプレート:基礎情報 テレビ番組スーパージェッター』は、1965年1月7日から1966年1月20日までTBS系で全52話が放送された、TCJ(後のエイケン)製作のSFアニメ。モノクロ。放送時間は毎週木曜18:00 - 18:30(JST)。なお、海外輸出向けとして26本がカラーでリメイクされ、国内では再放送時(1966年1月27日 - 1967年6月29日。放送時間は同じ)に使用された。2011年10月からカラー版も含めてTBSチャンネルで放映、そして2014年からHDリマスター版で再びTBSチャンネルで放送中だが、こちらはモノクロ・カラー版が重複している物はカラー版、重複してない物はモノクロ版と、混合して放送している。

現在、正式な番組タイトルは『未来からきた少年 スーパージェッター』とされており、その典拠は現存するオープニングフィルムのタイトル表示である。しかし、このオープニングには話数がかなり進んだ本編のカットも含まれていることから差し替えである可能性があり、当時の出版物、玩具、等の版権商品に『未来からきた少年』を冠したものは確認されていない。

作品解説

本作はTBSが企画したオリジナル作品である。 TBSが自らアニメ作品を企画した経緯は『エイトマン』の海外放映権にまつわるトラブルに由来する。TBSが『エイトマン』の海外放映権をアメリカのABC Filmsに販売した際、契約書が英語だったために、TBS側は契約時に内容を確認できなかった。そのため、放映権以外にも商品化権、音楽著作権、出版権などの海外における『エイトマン』の諸権利を一括して売る契約であることが、契約書の翻訳後に判明した。[1]

さらに、『エイトマン』は原作が存在する作品だったため、原作者や出版社に無許可で権利を売却してしまったことも問題になった。そのため原作者の平井和正桑田次郎、そして出版社の講談社に事後承諾を求めることになった。

上記のトラブルの反省から、本作では権利をTBSに集中させるべくオリジナル作品になることになった。久松文雄の漫画はいわゆる「原作」ではなく雑誌展開のためのコミカライズ作品である。 1話はパイロットフィルムとして制作された。草創期のアニメ界では、SFものが書けるシナリオライターがおらず、前番組の「エイトマン」に続く形で、まだ売れっ子になる前のSF作家が脚本を執筆、SF性の濃いアイデアとストーリーを生み出した。また、推理作家の加納一朗山村正夫が参加したことで、日本推理作家協会のテレビラジオ委員会を通じたTBSとの交渉で脚本家にも原作権が認められ、商品化権料の半額を久松と分け合う形で配分された。豊田有恒の場合、当時の大学卒の初任給100か月分にあたる約200万円を得たという。

提供は丸美屋食品工業。ただし(カラー版を含む)再放送は複数社提供。

モノクロ版とカラー版

全52話中第1、9、14、15-17、22、24-26、28、30-32、34-36、38、39、41、42、45、47、49、51、52話の計26話がカラーでリメイクされた。 モノクロ版とキャラクターデザインが一部異なる。モノクロ版の原動画を元に制作した話と、新たに描き直した話がある。

1993年に発売されたLD-BOXはカラーリメイク版が存在する話はカラー版を、残りはモノクロ版を収録という形式だった。これはカラーでリメイクされた話の元になったモノクロ版のフィルムが行方不明だったため。DVD化の際にエイケンの倉庫を捜索した所、何も書かれていない箱があり、その中からモノクロ版のマスターポジが発見された[2]。2002年に発売されたDVD-BOXではモノクロ版は全52話、カラー版は映像特典として第1話のみ収録されている。これにより、モノクロ版とカラー版を見比べる事が出来るようになった。絵コンテ完全復刻盤(第15話)が特典として付属。 2004年に単品のDVD全8巻が発売された。

LD-BOXではカラー版は全26話中22話しか収録されず、残り4話分を見る方法は無い。現存するカラー版は退色が著しい。

ストーリー

30世紀タイムパトロールであるジェッターは、悪人ジャガーを追跡中にタイムマシン同士の衝突事故で20世紀に落下してしまう。

タイムマシン・流星号の時間航行機能の故障で20世紀に取り残されたジェッターは、国際科学捜査局の西郷長官の要請をうけて犯罪捜査へ協力することを決心する。

ジェッターの装備・能力

  • 未来人として、現代人の数倍すぐれた知能と体力を持つ。
  • 周囲の時間を30秒間だけ止めることができ、流星号の呼び出し機能・トランシーバー機能をもつ、腕時計型のタイムストッパー
  • 重力を中和することで空中を飛ぶことができる反重力ベルト
  • 相手を一時的にしびれさせる銃・パラライザー銃。市川治のインタビューによると当初の設定は人を殺すことができる銃であったが、「正義のヒーローが人を殺すってのはなんとかならないですか」という市川の提言により現在の設定へ変更された。のちにアメリカで放映された際、この設定が非常に好評を博し『鉄腕アトム』に次ぐ人気番組になったという。[3]
  • 赤外線透視ゴーグル。
  • 防弾スーツ

流星号

主人公のジェッターが愛用する、エアカー型のタイムマシン。車輪はついており、通常の車のように走行できるが、飛行機能があるため、地上を走行してる場面は少ない。形状はいわゆる流線型。材質は不明で、狭い場所などに車体が引っかかると、ボディを軟体動物のようにくねらせて穴から抜け出すシーンもある。

最高速度マッハ15(タイムマシン同士の衝突がなければマッハ30)で飛行し、水中活動も可能であり、また電子頭脳を搭載しており自律して活動でき、ジェッターの呼びかけに応じて飛来する。電子頭脳をロボットに移し、ロボットの姿で活躍したエピソードもある。

特に「攻撃」を目的とした装備は無い。前方のライトの部分から「マジック・ハンド」が使用できる。

ジェッターが腕時計型の通信機(タイム・ストッパー)に「流星号、応答せよ、流星号」と呼びかける真似が、子供の間で大流行した。

スタッフ

主題歌・挿入歌

  • 主題歌「スーパージェッター」
  • 挿入歌「流星号のマーチ」
    • 双方とも、作詞:加納一朗/作曲:山下毅雄/歌:上高田少年合唱団。なお主題歌のみ、ジェッター(市川治)の台詞が入っている。
    • 間奏の口笛は山下毅雄本人のものである。
    • OPではラスト、ジェッターが直立した所で、画面下部に「提供 丸美屋食品工業」と提供クレジットが出されたが、東映ビデオの「エイケンTVアニメ主題歌大全集・1」(VHS・LD・DVD)では、以前に同社が発売&レンタルした「エイケンアニメグラフィティ」用に使用された、声優クレジット差し替え版になっていた。
    • カラー版のOPフィルムは、本編を再編集しカラー化して放送した。
    • 2014年の再放送ではOP・クロージングとも、カラー版の有無に関わらず、一貫してモノクロ版を放送、またクロージングでは流星号の飛行&体当たり場面に、声優・主題歌・製作会社の手書き風テロップが添えられている。

メインキャスト

放送リスト

話数 サブタイトル 脚本 演出
1 未来から来た少年 加納一朗 大西清
2 ダイヤボール事件
3 エスパー合戦 筒井康隆
4 逃がし屋バリコン 山村正夫 高垣幸蔵
5 夢の街シャングリラ 眉村卓 佐々木治次
6 ミクロの侵略 桂真佐喜 河内功
7 秘境マンダーラ 半村良 高垣幸蔵
8 白い追跡 桂真佐喜 佐々木治次
9 マイティマミイ族の逆襲 山村正夫 河内功
10 物体X 眉村卓 高垣幸蔵
11 学者売ります 豊田有恒 佐々木治次
12 四次元マシン 加納一朗 河内功
13 未来予言機 筒井康隆 高垣幸蔵
14 海底牧場 山村正夫 佐々木治次
15 影を呼ぶ男 加納一朗 河内功
16 悪魔のようなコマ 辻真先 高垣幸蔵
17 ゴールドマシン 豊田有恒 佐々木治次
18 恐怖の子守歌 加納一朗 高垣幸蔵
19 走れサンダー号 桂真佐喜 河内功
20 替え玉ジェッター 豊田有恒 佐々木治次
21 裏切りロボット 筒井康隆
22 金星作戦 加納一朗 河内功
23 強敵流星号 山村正夫 高垣幸蔵
24 過去への挑戦 豊田有恒 佐々木治次
25 ジェッターを狙え 加納一朗 河内功
26 まぼろしの潜水艦 桂真佐喜 高垣幸蔵
27 魔犬ロボッグ 眉村卓 佐々木治次
28 犯罪王スパイダー 加納一朗 河内功
29 加重力マシン 山村正夫 高垣幸蔵
30 要塞衛星計画 豊田有恒 佐々木治次
31 黄金の遺跡 加納一朗 河内功
32 二人の亡命者 桂真佐喜 高垣幸蔵
33 燃える南極 加納一朗 佐々木治次
34 マイクロ光線 筒井康隆 河内功
35 超特急アロー号 山村正夫 高垣幸蔵
36 タイムスコープ 豊田有恒 佐々木治次
37 ウルトラコピー 眉村卓 河内功
38 巨人タロス 桂真佐喜 高垣幸蔵
39 怪傑ジェッター 加納一朗 佐々木治次
40 水星人モグ 河内功
41 友情 豊田有恒 高垣幸蔵
42 秘密指令 山村正夫 佐々木治次
43 サハラの死闘 眉村卓 河内功
44 暗殺者 桂真佐喜 高垣幸蔵
45 失われた記憶 豊田有恒 佐々木治次
46 冷凍少年 筒井康隆 河内功
47 光る無人島 加納一朗 高垣幸蔵
48 戦慄の7時間 佐々木治次
49 流星対惑星 眉村卓 河内功
50 超人ロイス 山村正夫 高垣幸蔵
51 タイムパトロール 加納一朗 佐々木治次
52 夜歩くバラ 河内功

劇場版

1965年7月24日東映系の「まんが大行進」内で第1話「未来から来た少年」のブローアップ版が上映された。

同時上映は、『狼少年ケン』『少年忍者風のフジ丸』『宇宙パトロールホッパ』『宇宙少年ソラン』の4本。なお当番組と『ソラン』はエイケン作品だが、エイケン作品が東映系で上映されるのはこれが最後となった。

関連事項

日本郵政公社2004年1月に発行した特殊切手「科学技術とアニメ・ヒーロー・ヒロインシリーズ」の第2集にキャラクター及び図版が使用されている。

また2005年に、サミーからパチンコ「CRスーパージェッター」が発売された。

NTTドコモホンダ・CR-ZのTVコマーシャルには、本作品の映像の一部が使用されたことがある。

脚注

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  1. 「商品化権」という言葉は、前述の『エイトマン』の契約書にあった「Merchandising Rights」をTBSが訳した際に誕生したとされている。
  2. まんだらけZENBU17(2002年12月、まんだらけ出版部)P362 星まこと「もっとマンガを知りたい!」第29回『幻の『スーパージェッター』モノクロ版全話が、ついに見られる!』
  3. ロマンアルバム⑥別冊テレビランド『スーパージェッター』(1978年 徳間書店)p.76

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