セリエA (野球)
テンプレート:スポーツリーグ セリエA(セリエ・アー, Serie A)は、イタリアの野球トップリーグの名称。serieは英語のseriesに当たる。
イタリア野球界はセリエA1をトップにA2、B、C1、C2とレベルごとにカテゴリ分けされている。セリエA1:8チーム(2007年から。2005年までは10、2006年は9チーム)、A2:20チーム、B:39チーム、C1:66チームの、合計125チーム(外部チーム含む)によって優勝が争われている状況である。セリエA2は、ジローネA(Girone A)とジローネB(Girone B)とにわかれて試合を行う。
2010年、イタリアンベースボールリーグに移行し、2013年現在、下部組織として運営されている。
概要
イタリアにおいて野球は1944年にローマ南部のネットゥーノという町に伝えられたのが始まりとされ、その4年後の1948年には早くも野球・セリエAが誕生し公式戦が行われたと記録されている。2006年には、競技人口は5万人[1]を突破し、6歳から18歳のジュニアプレーヤーが年齢別に区切られた組織で育成されている。平均月収は10~20万円程度。他国のように学校や企業などが主体で自然発生的に生まれた球団・クラブはなく、全てが計画的に作られている。これもセリエAならではの特徴と言える。
1960年代からは強豪国キューバなどから、指導者や選手などの人材を招聘、国際試合などにおいてヨーロッパ野球界をリードする存在になったが、国際野球連盟によって国際試合へのプロ選手の参加が認められるようになると状況は一変。他国と比べて実力的に劣るようになり、欧州ではメジャーリーグ等へ積極的に選手を送り込んでいたオランダの後塵を拝するような状態になってしまった。このため近年では国内リーグの強化だけでなく、アメリカマイナーリーグ等へ選手を送り出すという方針が取られている。
また、国際ルールが変更され、金属バット使用から木製バット使用に変更された際に若年層の適応が遅れ、現在の弱体化を招いてしまったと言われている。第35回のIBAFワールドカップの代表チームは平均年齢24.8歳という若年層主体で挑んだが、欧州予選リーグで全7ヵ国中6位という結果に終わった。
その後は確実に力をつけ、2010年の第17回IBAFインターコンチネンタルカップでは、二軍選手主体とはいえオールプロで挑んだ日本に3-0で完封勝ちをするなど、過去国際野球大会で最高となる3位に入った。
試合システム
セリエA1は8チームによる1リーグ方式が取られている。ホームとロードの3連戦、6回総当たりの計54試合によってリーグ戦が争われる。
リーグ戦の上位4チームがプレーオフに進出。さらにプレーオフで上位2チームが勝ち残り、「ウィンド・ベースボール・シリーズ」(メジャーリーグのワールドシリーズにあたる)によってリーグチャンピオンを決定する。このチャンピオンは翌年6月に開催されるヨーロピアンカップの出場チームになる。
外国人登録システム
セリエAでは2006年シーズンから外国人登録システムに変更が加えられた。詳細は以下のとおりである。
外国人選手
セリエA1では同時に5人までの登録が認められ、シーズン途中での交代も認められる。セリエA2では外国人選手の登録は認められない。
外国で育ったイタリア国籍の選手
イタリアでは、父母か祖父母がイタリア国籍であればイタリア国籍を取得できる。この制度を利用して国籍を取得した、外国で生まれ育ったイタリア国籍取得者をオリウンド (oriundo) と呼ぶ。このオリウンド選手を1チーム7人までに制限する。
- 規定により、イタリア人選手は、イタリア国籍であり、10~21歳のうち半分以上ジュニアとしてイタリア野球連盟に登録されている必要がある。オリウンド選手はこの規定に入らないイタリア国籍選手を指す。
投手に関する特例
週3回の試合のうち、1試合はイタリア人投手のみの登板とする。
2005年以前のシステム
2005年以前はセリエA1の外国人選手の登録は1シーズンのべ5人、A2はのべ1人までであり、外国人投手の投げる試合は週に1試合しか設定できなかった。オリウンド選手に関する規定は特に無かった。
セリエA1参加チーム
2008年シーズンは以下の8チームで行われている。
- レンジャーズ・レディプリア・ベースボール・クラブ - フォリアーノ・レディプーリア
- フォルティトゥード・ベースボール・ボローニャ - ボローニャ
- ベースボール・ゴード - ルッシ
- Bbc グロッセート - グロッセート
- ネットゥーノ・ベースボール - ネットゥーノ
- パルマ・ベースボール - パルマ
- リミニ・ベースボール - リミニ
- サン・マリノ・ベースボール・クラブ - サンマリノ(サンマリノ共和国)
セリエA2参加チーム
ジローネA
- アヴィリアーナ・ベースボール - アヴィリアーナ
- ボッラーテ・ベースボール・クラブ - ボッラーテ
- ノヴァーラ・ベースボール - ノヴァーラ
- コッレッキオ・ベースボール・クラブ - コッレッキオ
- ジュニア・パルマ・ベースボール・クラブ - パルマ
- ベースボール・コドーニョ - コドーニョ
- ミラノ・ベースボール - ミラノ
- パテルノー・チッタ・デイ・ノルマンニ - パテルノー
- ピアチェンツァ・ベースボール - ピアチェンツァ
- サーラ・バガンツァ・ベースボール・クラブ - サーラ・バガンツァ
ジローネB
- アンツィオ・ベースボール - アンツィオ
- ラティーナ・ベースボール - ラティーナ
- ネットゥーノ・ベースボール2軍 - ネットゥーノ
- レッジョ・ベースボール - レッジョ・エミリア
- ベースボール・リッチョーネ - リッチョーネ
- モデナ・ベースボール - モデナ
- ウニオーネ・ピチェーナ・ベースボール - モンテグラナーロ
- マリーナ・ベースボール - ラヴェンナ
- カゼルタ・ベースボール・クラブ - カゼルタ
- ベースボール・リヴォルノ - リヴォルノ
A1の各シーズン
2007年シーズン
2007年は以下の8チームで行われた。
- アヴィリアーナ・ベースボール (Avigliana Baseball) - アヴィリアーナ
- MPS グロッセート (Monte Paschi Siena Grosseto) - グロッセート
- T&A サンマリノ (T&A San Marino) - サンマリノ
- ダネージ・カッフェ・ネットゥーノ (Danesi Caffè Nettuno) - ネットゥーノ
- カリパルマ・パルマ (Cariparma Parma) - パルマ
- イタレリ・フルティトゥード・ボローニャ (Italeri Fortitudo Bologna) - ボローニャ
- デ・アンジェリス・ゴード (De Angelis Godo) - ルッシ(ゴード)
- テレマーケット・リミニ (Telemarket Rimini) - リミニ
リーグ戦結果
チーム名 | 試合数 | 勝数 | 負数 | ゲーム差 | 勝率 | |
---|---|---|---|---|---|---|
パルマ | 42 | 28 | 14 | - | .634 | プレイオフ進出 |
ボローニャ | 42 | 27 | 15 | 1.0 | .619 | プレイオフ進出 |
グロッセート | 42 | 26 | 16 | 2.0 | .619 | プレイオフ進出 |
ネットゥーノ | 42 | 25 | 17 | 3.0 | .595 | プレイオフ進出 |
サン・マリノ | 42 | 21 | 21 | 7.0 | .500 | |
リミニ | 42 | 21 | 21 | 7.0 | .500 | |
ゴード | 42 | 12 | 30 | 16.0 | .286 | |
アヴィリアーナ | 42 | 8 | 34 | 20.0 | .190 | A2から昇格。A2へ降格 |
プレイオフ準決勝
- パルマ 3勝 - ネットゥーノ 4勝
- ボローニャ 1勝 - グロッセート 4勝
プレイオフ決勝
- グロッセート 4勝 - ネットゥーノ 3勝
2006年シーズン
2006年を戦ったチームは以下の9チームである。本シーズンは奇数チームのため週ごとに1チームずつ交替で休みの週が生まれた。
- オペル・アンツィオ (OPEL Anzio) - アンツィオ
- コロニエ・デッラ・マレンマ・グロッセート (Colonie della Maremma Grosseto) - グロッセート
- デ・アンジェリス・ゴード (De Angelis Godo) - ルッシ(ゴード)
- T&A サンマリノ (T&A San Marino) - サンマリノ
- ダネージ・ネットゥーノ (Danesi Nettuno) - ネットゥーノ
- チェーチ・ネグリ・パルマ (Ceci Negri Parma) - パルマ
- イタレリ・ボローニャ (Bologna) - ボローニャ
- コムコル・モデナ (Comcor Modena) - モデナ
- テレマーケット・リミニ (Telemarket Rimini) - リミニ
リーグ戦結果
チーム名 | 試合数 | 勝数 | 負数 | ゲーム差 | 勝率 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
ボローニャ | 48 | 30 | 18 | - | .625 | プレイオフ進出 |
ネットゥーノ | 48 | 28 | 20 | 2.0 | .583 | プレイオフ進出 |
グロッセート | 48 | 28 | 20 | 2.0 | .583 | プレイオフ進出。準優勝 |
リミニ | 48 | 25 | 23 | 5.0 | .521 | プレイオフ進出。優勝 |
ゴード | 48 | 25 | 24 | 6.0 | .500 | A2から昇格 |
モデナ | 48 | 23 | 25 | 7.0 | .479 | |
パルマ | 48 | 22 | 26 | 8.0 | .458 | |
サン・マリノ | 48 | 22 | 26 | 8.0 | .458 | |
アンツィオ | 48 | 14 | 34 | 16.0 | .292 | A2から昇格。A2へ降格 |
プレイオフ準決勝
- ボローニャ 2勝 - リミニ 4勝
- ネットゥーノ 1勝 - グロッセート 4勝
プレイオフ決勝
- リミニ 4勝 - グロッセート 1勝
2005年シーズン
2005年セリエA1を戦ったのは以下の10チームである。
- プリンク・グロッセート (Prink Grosseto) - グロッセート
- T&A サンマリノ (T&A San Marino) - サンマリノ
- アチェガス・アルピーナ・テルジェステ・トリエステ(Acegas Alpina Tergeste Trieste) - トリエステ
- カッフェ・ダネージ・ネットゥーノ (Caffè Danesi Nettuno) - ネットゥーノ
- パテルノー・チッタ・デイ・ノルマンニ - パテルノー
- チェーチ・ネグリ・パルマ (Ceci & Negri Parma) - パルマ
- イタレリ・ボローニャ (Bologna) - ボローニャ
- フィウーメ・コストルツィオーニ・モデナ (Comcor Modena) - モデナ
- テレマーケット・リミニ (Telemarket Rimini) - リミニ
- パルフィンガー・レッジョ・エミリア (Palfinger Reggio Emilia) - レッジョ・エミリア
リーグ戦結果
チーム名 | 試合数 | 勝数 | 負数 | ゲーム差 | 勝率 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
ボローニャ | 54 | 35 | 19 | - | .648 | プレイオフ進出。優勝 |
サン・マリノ | 54 | 35 | 19 | - | .648 | プレイオフ進出。準優勝 |
ネットゥーノ | 54 | 34 | 20 | 1.0 | .630 | プレイオフ進出 |
リミニ | 54 | 33 | 21 | 2.0 | .611 | プレイオフ進出 |
パルマ | 54 | 33 | 21 | 2.0 | .611 | |
グロッセート | 54 | 30 | 24 | 5.0 | .556 | |
モデナ | 54 | 24 | 30 | 11.0 | .444 | |
レッジョ・エミリア | 54 | 19 | 35 | 16.0 | .352 | 降格 |
トリエステ | 54 | 16 | 38 | 19.0 | .296 | 降格 |
パテルノー | 54 | 11 | 43 | 24.0 | .204 | 降格 |
プレイオフ準決勝
- ボローニャ 4勝 - リミニ 1勝
- サン・マリノ 4勝 - ネットゥーノ 2勝
プレイオフ決勝
- ボローニャ 4勝 - サン・マリノ 3勝
日本野球との関連
- 2003年、巨人の小野剛がセリエA1のサンマリノへ移籍が決定した際にマスコミで報道された。
- 2004年、アテネ五輪において長嶋ジャパンがイタリアをキャンプ地とした際に、セリエA選抜チームとの練習試合を行っている。
日本人の在籍選手
- 脇田善旨 2001年 - ボローニャ(セリエA1)
- 品田操士 2002年 - ボローニャ(セリエA1)
- 小野剛 2003年 - サンマリノ(セリエA1)
- 前田勝宏 2003年 - ボローニャ(セリエA1)
- 浦口雅広 2004-5年 - レッジョエミリア(セリエA2-A1)
- 寺田祐也 2005年 フィオレンティーナ(セリエA2)
- 湊川誠隆 2005-6年 - レッジョエミリア(セリエA1-A2)
- 八木虎造 2005-6年 - パレルモ(セリエC。日本でのプロ経験なし。2007年はリトアニアのカウナス・リトアニカでプレーしチームをシーズン3冠に導く。本職はプロカメラマン)
関連項目
- 野球
- イタリア野球・ソフトボール連盟 (FIBS)
- セリエA (サッカー)
- セリエA (バレーボール)
- セリエA (バスケットボール)
- 国際野球連盟 (IBAF)
- IBAFワールドカップ
- イタリアンベースボールリーグ