DVD

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市販のDVD録画用生ディスク
パナソニックDVD-RAM

DVD(ディーブイディー)とは、デジタルデータの記録媒体である第2世代光ディスクの一種である。

目次

DVDの位置付け

媒体の形状や記録・読取方式はCD(コンパクトディスク)とほぼ同じだが記録容量がCDに対してはるかに大きく、通常の12cmで比較するとおよそ6倍になるため、CDでは不可能だった長時間映像の記録ができることが特長である。 開発にあたっては、ハリウッド映画業界からの要求で「現在のメディアを上回る高画質・高音質で、1枚につき片面133分以上の収録時間」[1]を目指すこととされ、1枚あたりの記録容量は当時の技術水準との兼ね合いから、VHSビデオテープ方式と同等の画質で133分の録画が可能となる4.7GB(片面一層の場合)のディスクとして開発された。

従来のビデオテープ(VHSなど)がそうであったように、映像記録の主要メディアに位置づけられており、映画ドキュメンタリードラマなど、様々な映像ソフトが市販されている。また、民生用カムコーダノンリニア編集対応パソコンなどの普及に伴い、自主編集した映像をDVDに保存することも可能になった。

概要

DVDフォーラムの記載[2]によれば0.6mm厚、直径12cmのポリカーボネート製の円板を2枚、張り合わせたもの。サイズはCD(コンパクトディスク)と同サイズであり、DVD-Video だけでなくコンピュータ用のデータ・ストレージ(保存媒体)としても使用される。

読み取りには、650nm赤色レーザーを使用。プレーヤーやドライブは、CD-DACD-ROMの再生にも兼用できるものが一般的である。

家庭用のDVDプレーヤーの販売は1996年に開始された。2001年12月には、DVDプレーヤーの国内出荷台数がVTRを上回った。パソコン分野でも光学メディアの中心はCDからDVDに移行しつつある。オーディオ分野では、一部愛好者向けに留まり、大きく普及していない(DVD-Audio参照)。

メディアの製造コストは、VHSの1つあたり120円程度に対し、DVDは1枚当たり20円程度と著しく低い。取扱いも容易なので、パブリッシャー側からすれば収益が上げやすい。このため、映像を取り扱う産業では、セルDVDを(副ではなく)主な収益源として活用している企業が増え、業界の状況を一変させている。こういった状況を、俗に「DVDバブル」と呼ぶほどである。テンプレート:要出典

DVDの規格には、ディスクの物理構造による違いとデータの書き込み方の形式(論理フォーマット)による違いがある。さらに、ビデオ用途ではアプリケーションフォーマットによる違いもあり、それぞれの組み合わせでさらに多くの種類が存在する。

記録方法

トラックに沿って、ピットと呼ばれる凹みを作ることで、記録することができる。読み取る際は、レーザー光線を当て、凹み有無による反射の違いを利用する。

なお、DVDのトラック形状は同心円型ではなく、CDと同様の渦巻き型である。

記録型DVD

記録型DVD規格としてDVD-R(1回だけ書き込み可能)とDVD-RWDVD-RAM(複数回の書き込みが可能)がDVDフォーラムによって制定されている。これに対抗するものとして、DVD+RWアライアンスの策定したDVD+RDVD+RWがある。なお各ディスクについては、DVDの種類 で詳しく記す。

記録型DVDについて、一部海外メーカーのものに品質に重大な問題がある場合がある[3]。品質の悪いディスクは動画の再生時にブロックノイズが入る、再生が止まる、保存したデータが消える、ドライブやレコーダの寿命が縮むといった問題を引き起こす可能性が高い。

しかし、ドライブの性能や相性によって書き込み品質が下がることもあるため、一概に国産メディアを使えば大丈夫という保証はない(国内ブランドでも海外製メディアを採用していることがある)。安心して使うためには、これから利用するメディアを1枚買って書き込みテストを行い、問題がないことを確認してから利用することが望ましい。また、発売当初は100年程度もつといわれていた書き込みメディア耐久性であるが、これはあくまで良質なメディアの加速試験(実際に100年間試験するのではなく、代わりに紫外線の照射強度などを変えて100年間相当の環境にするもの)における結果であって、現実には数年程度でデータが消えてしまう品質の悪いディスクも存在する。長持ちさせるためには、紫外線の当たる場所や高温多湿な場所を避けることが重要である。また、VHSと比較してテープが絡まって故障する心配は無いものの、ディスクが傷つくと読み込み不可能になる可能性があるため、保管には十分注意が必要である。

DVD の名称

DVDフォーラムは、DVDは Digital Versatile Disc を意味するとしているが[4]、ディスクの正式名称は「DVD」である。

第1世代光ディスクであるCDに対し、DVDは動画を収録可能な第2世代光ディスク「Digital Video Disc[5]として企画された。当初はVHSの置き換え需要などが主に想定されていたが、「用途はビデオだけに限定されないこと」が指摘されるようになると、この名称には疑問の声も出てきた。そこで、video の代わりに「多用途」の意味がある versatile(ヴァーサタイル)を用いることで「Digital Versatile Disc」へと変更になった経緯がある。

上記の理由から、DVDを「Digital Video Disc」の略称とするのは誤り[6]だが、正式名称を「DVD」にしたことと、先の映像記憶媒体であるビデオテープから「V」と言えば「video」を連想すること、開発に至った経緯などから[7]Digital Video Disc」も俗称として限定的に使用されている。

DVD登場までの経緯

第2世代光ディスクの開発と規格争い

DVD登場以前の1990年代初頭、CDより高密度の第2世代光ディスク媒体の規格として、当初は青色SHGレーザーによる光ディスクを開発していたがテンプレート:要出典ハリウッド映画業界の早期に商品化してほしいという要望により、1994年末には東芝タイム・ワーナー・松下電器産業(現・パナソニック)・日立パイオニアトムソン日本ビクター(現・JVCケンウッド)の連合による赤色レーザーを使ったSuper Density Disc (SD) の開発がされていた。一方で、フィリップスソニー陣営による MultiMedia Compact Disc (MMCD) も同時期に開発されており、1980年代VHSベータ戦争の再来が危惧されていた。

そこで、IBMルー・ガースナー (Lou Gerstner) が仲介に入り、フィリップスとソニーはMMCD規格の採用を諦めることと引き替えに、SD規格のサーボトラッキング機構に関する2項目の修正を認めることで、フィリップスとソニーも東芝主導のSD規格につき、両陣営は合意に至った。

1つ目の項目は、フィリップス・ソニーの特許技術である「プッシュプル式トラッキング」技術を可能とするためのピットジオメトリーの採用だった。2つ目は、Kees Imminkの設計によるフィリップスの「EFMPlus」採用だった。これは、東芝のSDコードよりも効率が6%低かったため、SD規格自体の容量は5Gバイトだったが、結果的に4.7ギガバイトの容量となった。EFMPlusは、ディスク面に対するひっかき傷や指紋等に対する耐障害性に大きく優れていた。結果として DVD specification Version 1.0 が1995年に発表され、1996年9月に完成した。名称はDVDになったが、SDのロゴはSDメモリーカードのロゴに継承されている。

この統合により、規格の乱立は避けられると一旦は思われたが、その後各家電メーカーや映画会社から多数の注文をつけられ(ランダムアクセス、2時間収録、ドルビーデジタル収録など)、後述の「DVD-」や「DVD+」「DVD-RW」「DVD-RAM」など、多数の派生規格が生まれた。

DVD-Videoメディア・プレイヤーの商用化

DVD-Videoメディア及びプレイヤーの初の商用化は日本では1996年11月、米国では1997年3月、欧州では1998年、豪州では1999年になされた。世界で初めての市販DVD-Videoソフトはビクターエンタテインメント松下電器産業(現・パナソニック)の制作による「世界初のDVD電脳マガジン Ya&Ya 」であり、1996年11月1日に発売された。このDVDソフトには、マルチアングルビデオクリップやマルチストーリードラマ、隠しコマンド、動画コンテンツ上の透明ボタンによる別映像へのジャンプ、音声付き静止画遷移メニュー画面など、DVD-Video実用化の当初から多彩な機能が盛り込まれていた。

ちなみに、初の2.1chサラウンド音響は『ツイスター』、5.1chサラウンドは『インデペンデンス・デイ』が初である。 ちなみに、世界で最初に発売されたDVDは谷村新司のライブDVDである。

規格

容量

種類 12cm 8cm
片面一層 4.7GB (4.37GiB) 1.4GB (1.30GiB)
片面二層 8.54GB (7.95GiB) 2.6GB (2.42GiB)
両面一層 9.4GB (8.74GiB) 2.8GB (2.61GiB)
両面二層 17.08GB (15.90GiB) 5.2GB (4.84GiB)
  • 容量4.9GBの片面一層12cmDVDも存在する。
  • 両面のディスクは、片面に対して2倍の容量を持つが、二層のディスクは一層に対して2倍の容量を持たない(詳しくは後述)。

二層構造

DVDは、大容量の記録を目指したディスクであり、CDではレーベル面に当たる面にも記録できるよう、両面記録の規格が存在する。しかし、レーザーディスクのように一面の読み込みが終わった際に裏返すのは手間がかかる。そこで、片面に二層構造を持たせることで、一層構造より多くの容量を確保することができ、裏返す手間もなくなる。ユーザ記録型のDVD+R DLが市場に登場したのは2004年6月で、DVD-R DLが2005年5月である。光学ドライブによっては、相性や仕様で読み取れないものもある。また、一層方式に比べレーベル面の取り扱いに注意しないと、CDのように記録層が破損する等のトラブルに見舞われる。

二層構造の場合、全反射をする層を2つ持たせると奥にある層の読み込みができなくなる。それゆえ、片面(両面)二層ディスクの1層目(「レイヤ0」または 「L0」と呼ぶ)が薄い金属膜でできており、2層目(「レイヤー1」または「L1」と呼ぶ)は全反射をする構造になっている。レイヤー0は薄膜であるから読み取り検出率が悪くなるが、記録密度を下げることで読み取り性能を向上させている。したがって、二層ディスクは一層ディスクの2倍の容量を持たない。

レイヤー0は、内側から外側に向かって記録・読み込みをしていく1方式であるが、レイヤー1は2方式ある。

パラレル方式
1層目と同じく、内側から外側に向かっていく方式。
オポジット方式
外側から内側に向かっていく方式。

これらの情報は、DVDの管理情報としてレイヤ0の最も内側に記録されている。ちなみに、DVD+R DLではオポジット方式のみの仕様となっている。二層ディスクのDVDを再生していると、途中で読み込みレイヤーを切り替えるときが来る。DVD-Videoを再生している場合、一部の再生機ではレイヤーの切り替えに時間がかかり、ビデオ再生が一時停止したような状態になることがある。

二層方式のDVDを「DL」と略して呼ばれることが多いがDVD-DLは Dual Layer、DVD+DLは Double Layer と正式名称はそれぞれ異なる。

転送速度

データの転送速度は等倍速で11.08Mbps (=1385kiB/s) である。これはCDの転送速度を1倍速 (150kiB/s) として、9倍速程度に相当する。規格上定められている最大転送速度は16倍速(DVD-Rの場合)であるが、これは177.28Mbps (=22.16MiB/s) に相当する。

論理フォーマット

DVDで主に使用される論理フォーマットは以下である。

CD時代から使用されているISO 9660に加えて、より拡張性の高いUDFに対応している。映像用途ではDVD-VideoがUDF 1.02、デジタル放送の録画で使われるDVD-VRにはUDF 2.00が使用されている。

PC向けのデータDVDでは上記のどのフォーマットでも使用できるが、PCのDVDドライブとOSが対応していないければ読み込むことができない。ISO 9660は古い規格で拡張性に乏しい分、互換性には優れているため、ISO 9660とUDF 1.02の両方に対応したUDF Bridgeも使用される。

ライセンス

DVDのフォーマットおよびロゴのライセンスは、DVD Format/Logo License Corporation[8] (DVD FLLC) が管理している。

利用用途

デジタルビデオの記録

DVD自体は、主にデジタルビデオ映像を記録するためのCDの記憶容量を超えるメディアとして開発された。実際には、その他の各種デジタルデータも記録できるようになっている。デジタルビデオといえばDVDと認知されるほど広く定着したが、正確には数種類あるデジタルビデオの中の一つにすぎない。デジタルビデオ映像が記録されたDVDのことを世間的に総称で「DVDビデオ」と表現することが多いがそれとは別にDVDへのデジタルビデオ映像データの記録方法の1つに「DVD-Video」があり、両者は同義ではなく全く別のものである。

DVD-Video」は、DVDにデジタルビデオ映像のデータをDVD-Videoフォーマット (「DVD-VF」) で記録したものに限定される。

一方、「DVDビデオ」という総称はDVDにデジタルビデオ映像のデータが記録されたもの全て(DVD-Video、DVD-VRAVCHDAVCRECなどビデオ専用アプリケーションフォーマットで記録したもの、ビデオ専用フォーマットを用いずにMPEGファイルやAVIファイルを直接記録したものなど)が対象になる。ビデオカメラの撮影記録メディアとして記録されたものも一般的にここに包含される。テンプレート:要出典

各種デジタルデータの記録

コンピュータ補助記憶メディアとしても用いられる。PCなどのデータの保存・退避・バックアップなどとしても利用可能で、DVDが digital versatile disk とも言われるのはそのためである。

ただし、DVDの登場当初に比べると、フラッシュメモリの容量当たり単価は著しく下がっており、1メディアの最大容量では、DVDの次の世代の光ディスク規格Blu-ray Disc (BD) を超えている。1メディアの容量当たり単価こそDVD、BDを下回ってはいないものの、USBメモリなどの堅牢性、融通性から、PCなどでの単なるデータの受け渡し用途としては、フラッシュメモリにその座を明け渡している。AV機器でのフラッシュメモリ媒体の採用は、据え置き型映像レコーダーの分野においては、著作権保護 (DRM) の絡みもあり、限定的である。

DVDの種類(物理フォーマットの違い別)

ディスクの物理構造の違いにより以下のものが提供されている。

読み出し専用型

DVD-ROM

DVDにコンピュータ用の読み取りファイルを記録したもの。容量は一層タイプが片面4.7GB・両面9.4GB、2層タイプが片面8.5GB・両面17GB。

論理フォーマットはUDF Ver.1.02である。DVDフォーラムにより標準化されており、パソコンゲーム機データ配布用媒体として定着している。

ゲーム機としてはPlayStation 2XboxXbox 360がソフト用の媒体に採用しており(ニンテンドーゲームキューブWii は独自規格を採用)パソコンではアップルMac OS Xが媒体に採用しWindows 98 Second Edition以降のMicrosoft Windowsがサポートしている。

市販のDVDビデオソフトは、このDVD-ROMの物理フォーマットのディスクに映像データがDVD-Videoのアプリケーションフォーマットで記録されたもの。

ゲームやDVDビデオソフトなども含めたDVD-ROMはあくまで読み取り専用であり、書き込み型としては機能しない。したがって、他の書き込み型DVDやレンタルも含む市販ビデオテープソフトなどのように、その作成時には記録媒体にデータを直接記録して作成されているわけではない。データ記録面に読み取り用のピットを形成したマスター原盤(スタンパー)を作成後、それを元にしたプレスと張り合わせの工程による物理的な工法によって量産されている。そのため、書き込み型DVDに比べてはるかに経年化学変化の影響は受けにくい(物理的な形状破損や読み取りレーザー光反射層の金属素材の劣化がない限りは基本的に読み取り可能)。

書き込み可能型(DVDフォーラムが制定した正式規格)

以下、全てのメディアに「データ用 (for DATA)」と「ビデオ録画用 (for VIDEO)」の2種類があり、違いは後者にはCPRMHD RecAVCRECに対応している。地上デジタル放送移行前は私的録音録画補償金制度により補償金が上乗せされていたが、移行後は、コピー制限があるという理由で補償金が上乗せずに販売されている(私的録音録画補償金制度#デジタル放送専用レコーダーの私的録画補償金問題を参照)。なおCPRM非対応の録画用メディア(アナログ放送専用などと表示されている場合もある)にはコピーワンスのデジタル放送を記録できない。

なおDVD-R/DVD-RWの「-」は本来ハイフンであるが、DVD+R/DVD+RWとの区別のために「マイナス」と読まれる場合(「+」を「プラス」と読む)も多い。一方、DVD-RAMの「-」もハイフンであるが、DVD+RAMが存在しないので「マイナス」とは殆ど読まれない。

追記型

一度だけの書き込みが可能(ファイナライズ前なら削除や追記も可能)なタイプとして以下のものがある。

DVD-R

DVD Recordable Discの通称。ライトワンス型の記録型DVDフォーマットである。容量は片面で4.7GB、両面で9.4GBである。

DVD-Rで記録されたディスクは、一般的なDVD-VideoやDVD-ROMドライブで再生出来る可能性(互換性)が最も高いが、かなり古い初期(1990年代)のDVDプレーヤーだと再生できない場合が多い。この原因は「機器とメディアの相性」や「データを読み取る反射率の相違」による問題もあるが、ディスクへの書き込み方式を工夫することで「再生できない問題」を回避することができる可能性も高い。初期のDVDプレーヤーでは正しくTOC(目次)を読み込めないため「再生できない問題」が発生することもある。この場合、初期のDVDプレーヤーでも再生できるようにディスクアットワンスの書き込み方式でディスクをファイナライズする手法を試してみると良い。またDVD-R対応と謳われている機器同士でもメディアの相性問題もあり絶対再生できるとは限らない。

データの記録は、ディスクの基板上に連続した線上に存在するランド(丘)に挟まれたグルーブ(溝)に強いレーザー光を当てることでピット(くぼみ)を焼付け形成することで行なわれる。ピットを形成する皮膜の記録材料には有機色素材料を使用しておりレーザー光照射による色素の分解という化学変化を利用しているため、素材コストの関係で比較的に価格を安価にできる一方で一度しかその場所にはデータを書き込めない。また、当初のVersion1.0規格では3.95GBだったが、Version2.0規格で4.7GBに容量を増加した。またVersion2.0規格では業務用の「DVD-R for Authoring」と一般向けの「DVD-R for General」の2つに規格が分かれており、一般向けの「for General」にはコピー防止機能が組み込まれている。

日本国内でもっとも普及している規格でテンプレート:いつテンプレート:要出典、それにより量産され、価格が最も低く、パーソナルコンピュータ用としてはDVD-RAM/RやDVD-RW/Rといった両対応ドライブが登場しCD-Rに代わるものとして広く普及している。家庭用DVDレコーダーにおいてもパナソニックとソニー以外の企業はDVD-R/-RWドライブを採用している。またパナソニックも2005年春以降のモデルはDVD-RWへの書き込みに対応している。

また、記録面皮膜材料に有機色素材料を使用していることで光の中でも特に紫外線の影響を受けやすく、太陽光を長時間当てた場合など記録情報が失われることがあることが実験で示されている。DVD-RAMやDVD-RWは皮膜材料に有機色素材料とは異なるものを用いているので光の影響による経年変化はほとんどないとされているが代わりに熱に弱いと言われ、アメリカ国立標準技術研究所 (NIST) では「書き換え可能なDVD-RAMやDVD-RWは熱に敏感に反応する素材を使っているためにDVD-Rより長期保存には使えない」としている。いずれにせよ、保存環境やディスクの質によって寿命は大きく変化する。

コピーワンスの制限がかかった地上デジタルテレビ放送BS・CSデジタル放送の場合、DVD-Rへの録画は出来なかったが2004年に録画が可能なCPRM対応DVD-R(CPRMへの対応はDVD-VRフォーマット時のみ可能)が登場した。

DVD-Rは、現時点において将来的な互換性がもっとも担保されていると目されているディスクである。DVD-RAM/RやDVD-RW/Rどちらのプレーヤーでも再生可能であり、将来的にこれらのプレーヤーが青色レーザーを利用したプレーヤーにとって変わられてもメディア自体を読み出すことが出来なくなる事態は最も低いと考えられるメディアである。テンプレート:要出典

DVD-Videoでの記録の場合、テレビ放送/DVD-VR/DVD-Videoの各音声方式の違いによる影響のためレコーダーでテレビ放送の二ヶ国語放送/解説放送が記録出来る市販レコーダーは2006年現在製造されていない(ステレオ放送は可能)。ただし後年はDVD-VRフォーマットでの記録が可能な製品も販売されており、DVD-VRの場合は二ヶ国語放送/解説放送の記録も可能。またDVD-Videoフォーマットでの記録の場合でも、マルチ音声トラック機能を用いて二ヶ国語以上の音声のDVD-Videoディスクを作成することは可能(DVD-VRでの記録も、DVD-Videoでの二ヶ国語切り替えディスクの作成もその可/不可は録画機器や作成ソフトなどのツール側の機能による)。また、東芝パイオニアシャープ等の一部メーカーのDVDレコーダーでは追記型VR記録が可能であるがファイナライズ処理を行わないと他のプレーヤー等で再生はできない。またDVD-Rメディアの初期状態はDVD-Videoフォーマットだが、DVD-VRでフォーマットをするとDVD-Videoフォーマットには戻せない。

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DVD-R DL

DVD-R DL (Dual Layer) は1層タイプのDVD-Rを発展させたもので、片面に2層記録が可能。容量は片面で8.5GBである。両面のものは市販されていない。

初期は+DLに比べて記録速度が遅くシェアも低かったが、現在では速度では+DLに並びほとんどのドライブで対応している。2005年6月に三菱化学メディアよりCPRM対応のDVD-R DLが発売された。

繰り返し記録型

削除や再フォーマットにより、繰り返し記録できるタイプとして以下のものがある。

DVD-RW

DVD-RWはパイオニアが開発したDVD ReWritable Discの通称。容量は片面4.7GB・両面9.4GB。なお日本ビクター(現・JVCケンウッド)が2層のDVD-RW(DVD-RW DL、容量8.5GB)を開発し[9]、2007年6月のDVDフォーラムの承認後、同8月に発売予定だった[10]が、対応ドライブが製品化されないまま2008年3月に発売の凍結が発表された[11]

データの記録は、基本的にはDVD-Rと同じ方式。ただし記録マークを形成する皮膜の記録材料にはDVD-Rのような有機色素材料ではなくアモルファス金属材料を使用しており、色素材料のように光による化学変化で分解するわけではなくレーザー光照射による加熱でのアモルファス金属の結晶化・非結晶化を利用している(結晶化することでその場所の反射率が変化する)。結晶化した場所に再びレーザーを当てて結晶状態を溶かして急激に冷やすことで非結晶化が可能であり、データの消去や再利用(同じ場所へのデータ書き込み)が可能となっている。又、DVD-Rに比べてデータ記録後の光による経年変化の影響を受けにくいのもこの使用材料の違いによるもの。この方式でデータが書き込まれた場合、読み取り時のレーザー光の反射率がDVD-ROMやDVD-Rに比べて若干弱いという弱点がありドライブによってはDVD-Rに比べて再生互換性が若干劣るのはその理由による(ただし、新しい製品では対応改善がされているものがほとんど。またこの点については後述のDVD-RAMも同様の特性があるがDVD-RWの場合は読み取りドライブの互換性が高い関係でDVD-Rの書き換え型として使用されるため、直接の比較対象になる場合が多い)。

記録型DVDとして最初に登場したDVD-RAMはDVD-VideoやDVD-ROMとのフォーマットの互換性が低かったためDVD-RWは互換性を重視、主に動画の記録編集用として開発された。そのため、DVD-RWで記録されたディスクは読み取り専用のDVD-ROMドライブでも読み出すことが可能であることが多い。

書き換え可能回数は1,000回以上で10万回以上書き換え可能なDVD-RAMと比べるとこの点は劣るが、一般的な使用では問題ない(バックアップとして1週間に1回消去と再書き込みを行うと2回×52週=104回で、10年弱かかる)。他の書き込み型DVDとの違いはビデオ用途で使用する場合、買ってそのままではデータの書き込みができないことである。VideoモードとVRモード両方で使えるメリットがある一方でフォーマット形式が異なるため、どちらで使用するかを選択してフォーマットすることが避けられない(約1分程度を要する)。

再生機との互換性を確保するためファイナライズ処理が可能で、ファイナライズを解除し再び追記することも基本的には可能である(レコーダーによっては不可)。

DVD-RAM

Digital Versatile Disk Random Access Memoryの通称。読み書き可能なフォーマットであり、PD規格を提案したことがあるパナソニックが中心となって開発された。内部でさらに細かい仕様の分類があり、容量は片面1.46 - 4.7GB、両面2.92 - 9.4GB。2層タイプは製品化されていない。

1997年4月に2.6GBのVersion1.0規格が制定。この規格はDVD-RAMドライブでもPDが扱えた。2000年夏に片面4.7GBのVersion2.0規格が制定。当初はカートリッジ付きでそこからメディアの取り外しができない規格のみだったが、後にメディア取り外し可能なカートリッジ型やカートリッジ無しの規格も登場。両面メディア (2.92/9.4GB) も存在する。書き込み速度(標準で2倍速、2006年3月現在では12倍速対応のものが登場)、書き換え回数(10万回以上)の面でどの書き換え可能DVDよりも優れている。Windows XPやWindows Vista、Mac OS Xも標準で書き込みに対応。

データの記録は記録面の使用材料はDVD-RWとは異なったアモルファス金属材料を使用しているがレーザー光照射による加熱での結晶化を利用している(結晶化することで反射率が変化する)点では同じなので、書換え可能な点や光による経年変化の影響を受けにくい点の理由も同じである。ただしDVD-RやDVD-RWのようにランド(丘)/グルーブ(溝)のグルーブにだけではなくランドにも記録マークを記録している点が大きく異なる他、ディスク面への位置情報の書き込み方式やディスクの回転制御の方式も大きく異なるなど他のディスク (DVD-ROM/DVD-R/DVD-RW) と異なる点が多いため読み取り装置(ドライブ)の互換性が全くなく、そのため専用の対応ドライブが必要になる。

当初はデータ用として普及したが後にビデオ録画用にも普及した。民生機では書き込みの高速性を利用して録画を行いながら別番組を再生することなども可能。また、録画したDVD-RAMを別の機器で再生させる場合にファイナライズ処理が不要である。データの記録に優れたメディアといえる。

デメリットは前述の構造上の特徴からDVD-Videoとの互換性が無に等しい点で、DVD再生専用プレイヤーやDVD再生対応ゲーム機などで対応機種が少ない点である。また、ドライブによってはカートリッジ付メディアの挿入が出来ないものが多い。現在、カートリッジ型対応のドライブを生産しているのはパナソニックほか少数である。ただし後年は読み取りドライブのマルチ化が進んでおり、未対応ドライブを除き実用上の互換性は大きな問題にはならなくなりつつある。

最近の傾向としてパイオニア、NECなど今までDVD-RAMに対応していなかった複数のメーカーからDVD-RAM対応のドライブ(パイオニアの場合はDVD-RAM録再対応のDVDレコーダーも登場。ただし、2006年4月以降の新機種から)が発売された。ランダムアクセスが可能でありデータの書き込みに専用ライティングソフトが不要である。

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書き込み可能型(DVD+RWアライアンスが制定した別規格)

これらの規格はDVDフォーラムの規格外のため厳密にはDVDとは呼べず、DVDロゴは付いていない。また正式名称に「DVD」の文字はない。このように本来のDVDとは似て非なるものである。しかし2008年現在ではDVD関連ライセンス団体であるDVD6Cがこれらの規格のライセンスを管理するようになる[1]などDVDフォーラムとの規格争いが過去のものになっており、既にDVD規格の一種として認知された感は否めない。

DVD+RWアライアンス参加企業以外は印刷物で「DVD+R/+RW」という表現をせずに「+R/+RW」と表記し、脚注に「『+R/+RW』は『DVD+R/+RW』と表現されることがあります」と書くことが多い。

DVD-R/-RW/-RAMと同様、データ用 (for DATA) とビデオ録画用 (for VIDEO) が存在する。

DVD-R/-RW/-RAM陣営(以下、DVDフォーラム陣営)と+R/+RW陣営(以下、+RWアライアンス陣営)がVHS対ベータマックスのような規格争いを行って消費者に混乱を招くことが懸念されたが、現在はDVDレコーダーではDVD-R/-RW/-RAMにほぼ落ち着き、パソコン向けドライブでは両対応のスーパーマルチドライブ(後述)が普及したためそれほど混乱は生じていない。現状では、PC用途においては+が有利とする声が多い。その理由として

  1. ランダムアクセスが可能
  2. +RWではフォーマットファイナライズが不要(厳密には、自動処理でファイナライズされている)
  3. +RWは-RWと比較して安価

が挙げられる。

Windows Vistaでは、DVD+MRWと呼ばれる規格がサポートされている。これはパケットライト方式で書き込む際に有効でフォーマットを必要最小限の領域にとどめ、残りの領域のフォーマットは書き込みドライブが未使用のときに実行することでフォーマット時間を大幅に短縮できるというものである。

記録速度や2層メディアの登場など開発スピードがDVDフォーラム陣営に比べて速いことが特長だった。しかしデジタル放送のコピーガードへの対応が未だに実現していないことや、フォーラム陣営側も開発速度を上げていることから、家電では役割をほぼ終えた存在となった。

著作権保護技術としてCPRMではなくVCPS (Video Content Protection System) を採用しているが日本で市販されているDVDレコーダーでVCPSを採用しているものは全くなく、これも家電向け需要が少ない一因ともいえる。

一方で、海外ではシェアはDVD-R/-RW/-RAMに比べて高いと言われる。2002年11月のデータではアメリカ合衆国では約77%、ドイツでは約60%が+R/+RW系である[12]

追記型

一度だけの書き込みが可能(ファイナライズ前なら削除や追記も可能)なタイプとして以下のものがある。

DVD+R

ライトワンス型の記録型DVDフォーマットで、正式名称は plus R(プラス アール)。DVD+Rで記録されたディスクは一般的なDVD-VideoやDVD-ROMドライブで再生が可能とされるが、実際にはメディアID(ブックタイプ)がDVD+Rであるため再生できないケースもまれにある。ただし、ファイルシステムの構造がDVD-Rに比べDVD-ROMに近いためROM化(後述)を行った場合、DVD-Rよりも互換性は高くなる。

記録面材料は、DVD-Rと同様に有機色素系材料である。

当初DVD+RWアライアンス陣営は書き換え型のみを想定してDVD+RW規格を策定したが既存のDVDプレイヤーでの再生互換性が想定より低いことがわかり、その対策としてDVD+R規格を追加する形になった。この際、初期のDVD+RW専用ドライブはファームウェアの更新によりDVD+Rにも対応できるとされたが結局ハードウェアの問題で棚上げとなり一部のユーザーに混乱を招いた。

現在はソニーの「スゴ録」「PSX」(共に生産終了)ブルーレイディスクレコーダーに、DVD+Rでの録画に対応するDVDレコーダーが存在する。パイオニア等も対応レコーダー(デジタルチューナー非搭載機)を販売していたことがある。パソコンでもスーパーマルチドライブによりDVD-Rと全く同じように記録できる。

DVD-Rがたとえ1バイトのデータを記録する際でもダミーデータを上乗せして1.1GBにしてしまう[13]のに対しDVD+Rではダミーデータの上乗せを行わないこと(DVD-Rも後に制限が解除された)、高速化が容易なこと、メディアID(ブックタイプ)がDVD-ROMと同じものに変更可能(メディアIDをROMに変えることをROM化という)であるため互換性が向上することなど利便性という点でDVD-Rを上回っていた。そのため海外では圧倒的なシェアを誇る。反面、DVDフォーラムによって策定されたわけではないこと、再生時に振動の影響を受けやすいこと、ディスク品質にシビアにならなければならないこと、デジタル放送で採用されているCPRMに対応できていないこと、書き込み速度がDVD-Rに追いつかれたといった理由から日本国内ではDVD-Rの販売シェアの後塵(こうじん)を拝している。

DVD+R DL

DVD+R DL (Double Layer) はDVD+Rを発展させたもので、片面に2層記録が可能。DVD-R DLよりも先行して一般市場に出回った。ディスクのメディアIDをROM化することによりDVDプレーヤーでの再生互換性が一般的には高まることが知られている。

繰り返し記録型

削除や再フォーマットにより、繰り返し記録できるタイプとして以下のものがある。

DVD+RW

パナソニックのDVD-RAMに対抗する規格として[14]、DVD+RWアライアンスが策定した。正式名称はplus RW。DVD-ROMとの互換性のある独自の書き換え可能方式を策定している。書き込み可能回数は1,000回以上。

世界三大経済圏の有力電機メーカー[15]が手を組んでいるだけに書き換え型DVDの世界規格を握る可能性を秘めているテンプレート:要出典が、日本の大手電機メーカーでDVDレコーダーにこの方式を採用しているのはソニーのみである。一時は日立製作所とパイオニア(いずれもデジタルチューナー非搭載モデル)に対応機種があったが現在は生産終了している。

高速記録が特長の一つであり登場時は2.4倍速(-RWは1倍速)、2008年1月時点でDVD+RWは8倍速(DVD-RWは6倍速)である。メディアIDの書き換えも可能であり、互換性が高まるとされる。またDVD+RWの片面2層化された「DVD+RW DL」が開発中だったが日本ではDVD-RW DL同様、2008年7月現在、対応ドライブもメディアも発売されていない。

記録面の使用材料はDVD-RWと同じようにアモルファス金属材料を用いている。位置情報の記録方法がDVD-RW系と決定的に異なる。

ただし、録画用メディアとしてはDVD+RWの仕様として「1つのファイルは連続した領域のみに記録される」仕様のため、DVD上での編集により生じた空き領域は使用できない。そのため、CMカットしても実質空き時間が増えないという欠点がある。いったんハードディスクドライブに移し変え、再記録することでは可能である。

DVD+Rよりも先に規格が制定され、当初はDVD+RWと記録型CDの書き込みのみに対応したドライブが発売された。

特殊な物理規格

DualDisc

片面に音楽CD、もう片面にDVDを貼り合わせた両面の再生専用ディスク。2004年に米国の大手レコード会社が発売した(DVDフォーラムが定めた規格ではない)。CD面は正式な音楽CD規格(レッドブック)に準拠していないためCDロゴは付いておらず、メーカーは「音楽専用面」「非DVD面」など遠回しな呼び方をしている。機器によっては正常に再生できなかったり故障の原因となる可能性がある。

48DVD

2006年、日本出版販売株式会社から48DVDという、開封後約48時間の間のみ再生可能な使い捨てのDVDが販売されたが不調に終わった。酸素に触れると徐々に劣化する色素を記録に用いている。使い捨て式であるため環境面での批判があった。

DVDとHD DVDツインフォーマットディスク

片面にDVD-ROMとHD DVD-ROMの両規格を収録した多層構造のディスク。映像ソフトで製品化されている。

アプリケーションフォーマットによる違い

ディスクに書き込むビデオデータ形式の違いにより以下のものが存在する。

この節ではDVDフォーラムが策定したDVDとしての正式な規格を記述する。DVDフォーラム以外の規格はその他で記述する。

DVD-Video

テンプレート:Main DVDに複数の映像、音声、字幕を記録するフォーマット。マルチアングルでの記録も可能。複製防止技術(厳密には、再生技術である)として Content Scramble System (CSS) という暗号化をすることが可能。論理フォーマットはUDF Ver.1.02。

本来は市販DVDビデオソフトの製作用(読み出し専用)に策定された規格であるが、家庭用DVDレコーダーや、パソコンで専用ソフトウェアを使っての記録・追記・書き込み前の編集などが可能になった。

DVDの規格上は両面2層まで可能(富士フイルムから両面式のDVD-Rが発売されている)であるが、パッケージソフトとして販売される性格から片面2層とし裏面に絵やロゴ等(レーベル)を印刷する場合がほとんどである。なおディスクを返すことなく、両面自動連続再生可能なプレーヤーが存在しない。そのため、2枚組でも両面2層でも入れ替える必要性がある点は同様なのでユーザの利便性にとっては大差がないと言える(ちなみに、LDでは両面再生対応機種が存在した)。

DVD-Videoプレーヤーのほか、LDとのコンパチブルプレーヤー(2008年1月現在、生産中)、VHSとの複合機などで再生できる。またディスクサイズが12cmと小型であるためラジカセやカーオーディオ、LCD付ポータブルプレーヤーなど様々な対応機器が存在する。PC用のドライブでも利用可能であるため、DVD-ROMドライブを搭載したPCでは、DVD-Videoの視聴が可能であることが多い。

世界をいくつかの地域に分け、リージョンコード(地域コード)を割り当てることで地域限定のリリースやリリース日をずらすということができる。DVDプレーヤーとDVD-Videoディスクの地域コードが一致しないと再生できない。一致してもテレビ方式が合わないと再生できない。PCに海外のリージョンコードの入ったDVDを入れると勝手にリージョンが変更されることがある。

映像はMPEG-2で記録され音声は標準でPCMドルビーデジタル (AC-3)、オプションでDTS(デジタル・シアター・システムズ)が利用可能である。地域によって、その他の音声フォーマットにも対応する。

DVD-VR

テンプレート:Main 正式には、DVD Video Recording Format。一部ではDVD-VRFとも表記されているがいずれも同じものであり、登場時からの時間の経過と共にDVD-VRとしての記述に収束方向にある。論理フォーマットはUDF Ver.2.00。

DVD-Videoフォーマット規格を元に、家庭用レコーダーで記録するためにより適した規格に改良したもの。技術的な内容は近似しているので、レコーダーの設計者が両方式間のコンバート機能を設計する際には便利ではあるが、記録されたディスクとしてはDVD-Videoフォーマットとの間に互換性があるわけではない。

HDD搭載のDVDレコーダーの多くは実質的にはDVD-VRレコーダーの性格で企画開発されたものが多いため、録画物をHDD内に記録する場合はDVD-VRの規格に応じた形式が用いられる場合が多い。ごく一部の機種ではHDDへの記録でもDVD-Videoフォーマットで行うものがある。

DVD-Audio

テンプレート:Main コンパクトディスク (CD) に比べ高音質で、著作権保護など複製されにくい特徴を備えた、通称「次世代CD」規格としてDVDフォーラムが1999年に策定を完了させたオーディオ専用のアプリケーションフォーマット。

リニアPCM 最大192kHz/24bit(2.0chステレオ時のみ)、最大96kHz/24bit(最大5.1chサラウンド)に対応する。可逆圧縮音声データを収録することも可能 (MLP)。論理フォーマットはUDF Ver.1.02。読み取り専用の音楽ソフトだけでなく、パーソナルコンピュータ用の音楽制作アプリケーションと記録型DVDを用いて作成することも可能。

「次世代CD」規格としては日本ビクター(現・JVCケンウッド)・パナソニック・東芝・パイオニア等が推進したDVDオーディオと、ソニー・フィリップス等が推進するスーパーオーディオCD(以下・SACD)の2つの規格がある。これらの間に互換性はない。理論上テンプレート:要出典範囲とデータ収納率の良さではダイレクトストリームデジタル方式を採用するスーパーオーディオCDの方が有利であるが、変換誤差への強さや超高周波域のS/N比ではDVDオーディオの方が有利である。

DVDオーディオの再生にはDVDオーディオ対応のプレーヤーが必要である。ただしソフト(録音媒体)によってはDVD-Videoに準拠したデータを併せて収録しており、その場合はDVDプレーヤーでも再生ができる(ただし音質はDVD-Video相当となる)。また、音楽コンテンツ向けの付加機能として映像コンテンツを収録することもできる。

ユーザーがハイサンプリングレートで録音した音源を再生する用途にはスーパーオーディオCDよりもDVDオーディオの方が有利であると言える。ダイレクトストリームデジタルの録音物にはイコライザですらかけられない上に、1bitレコーダーを用いた録音はファイル形式が異なるので市販のスーパーオーディオCDプレイヤーでは再生ができる対応機種はほとんど存在しないからである。DVDオーディオではその点、専用ソフト[16]を用いればDVD書き込みに対応した光学ドライブを用いてDVDオーディオ規格のディスク媒体の作成が自由に可能であった。

スーパーオーディオCDの項目にあるように、高音質・サラウンドへの需要は盛り上がらず、利便性に優れているMP3音楽配信などが普及したため、DVDオーディオもスーパーオーディオCDも共に普及のペースは非常に鈍い。

スーパーオーディオCDはオーディオ愛好者から一定の支持を得て専用プレーヤーも発売されているが、DVDオーディオの方は自然消滅に近い状態である。日本の業界団体・DVDオーディオ プロモーション協議会は2007年3月をもってホームページを事実上閉鎖した。2013年現在ではマルチ対応のユニバーサルプレーヤー[17]が対応する。また、2008年以前まではパソコン用のDVDビデオ再生アプリケーションの一部[18]もDVDオーディオの再生をサポートしていた。

DVD-AR

正式には、DVD Audio Recording FormatDVD-Audio に対する DVD-VR に相当する規格である。2007年現在は規格として存在するのみで、適応製品としては開発されていない。

DVD-SR

正式には、DVD Stream Recording Format。論理フォーマットはUDF Ver.2.01。デジタル放送の放送信号(ストリーム信号)をそのまま丸ごと記録するための方式。ハイビジョンをDVDに録画できるが、可能記録容量の関係でDVDへの適応は2008年現在は行なわれていない[19]。DVD-VRと一部共通性があるので、同一のディスクに記録して利用できるメリットもある[20]

Blu-rayの派生規格のAVCRECが登場以降はそちらが主流である。

HD Rec

HD DVDのアプリケーションフォーマットに準拠したハイビジョン映像を記録型DVDに記録する規格。DVDフォーラムが2007年に策定した。東芝が対応レコーダーを2007年末に発売。

テンプレート:Main

DVDフォーラム以外で策定されたアプリケーションフォーマット

DVD+VR

正式には、DVD+RW Video Recording Format。他のアプリケーションフォーマットと異なり、その名の示すようにDVD+RWアライアンス陣営が策定したDVD+RW向けの Video Recording フォーマット。論理フォーマットはUDF Ver.1.02。DVD-VRがDVD-Videoとの再生互換性が全くない一方で、DVD-Videoとの再生互換性を目指して策定された規格。論理的にはDVD-ROMドライブやDVD-Videoプレーヤーでの再生可能なフォーマット。DVD-RWと異なりCPRMは規格上存在しないため、「1回だけ録画」のデジタル放送を記録することはできない。

各種デジタルデータの記録

上記のDVDビデオとしてのアプリケーションフォーマット以外にも、PCのメモリ上で認識可能な各種データも書き込み可能である。ゲームソフトのプログラムやDVDビデオの規格では許容されていない各種画像・映像データファイルも書き込み可能で、読み取り機器側さえ対応していればそれらのデータファイルの表示・動作も可能となる。用語としての定義とは別に、DVD が digital video disk ではなく digital versatile disk という名称であるのはこれによるものである。

AVCHD

前述した各種デジタルデータファイルの書き込みの延長線上にあるものでもあるが、既存のDVDビデオの各種規格とは別にハイビジョン動画ビデオの記録と再生を目的にした次世代規格として2006年にAVCHDの規格が登場した。ソニーとパナソニックが策定したもので、DVDフォーラムとは無関係。書き込みも読み出しも専用対応機器が必要である。

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AVCREC

Blu-ray Disc Association が策定した、HD Recと同様のハイビジョン映像記録用規格。従来のDVDレコーダーで採用されているDVD-Video・DVD-VR規格はハイビジョン規格の映像信号をSD(標準画質)にダウンコンバートしなければならない。DVDメディアにハイビジョンを記録するにはDVDビデオ規格 (DVD-Video・DVD-VR) にハイビジョン規格の解像度を新たに加える規格変更が必要になるが規格変更の必要性の他にも大きな問題がありDVD-Video・DVD-VR規格で映像圧縮技術に採用されているMPEG-2ではDVDメディアには2層メディアでも1時間以下、1層メディアでは30分以下となり特にテレビ番組の録画を目的にした場合の実用性に乏しいためDVDメディアにハイビジョン映像をMPEG-2のままで記録するDVD規格は当初から考案・策定されていない。

ただし映像を記録する際の圧縮技術に従来のMPEG-2の約2倍の圧縮効率を持つMPEG4 AVC/H.264を採用したHD RecやAVCRECにより、ハイビジョンのままでDVD-VideoやDVD-VRと同程度の時間をDVDメディアに記録できる。2007年11月に松下(現:パナソニック)がAVCREC対応レコーダーを発売した。HD RecとAVCRECの間に互換性はないが、各社から発売されたAVCREC対応のレコーダー・BDプレイヤーが市場を席巻している。HD Recは事実上東芝のみで終焉を迎え、同社もAVCREC対応へとシフトした。

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ドライブ

ファイル:MATSHITA DVD-RAM UJ-840S Drive.jpg
ソニーPCVAIO VGC-V174Bに内蔵されているDVDドライブ。このドライブでは、2層であるDVD+R DLを含め、10種類の光ディスクの再生に対応している。

最初にDVD-ROMドライブが開発されたのは1996年である。

初期の搭載製品としては1996年11月8日に発表され、12月20日に発売されたパナソニックWOODY CF-200DVなどがある。CF-200DVが搭載したのはATAPI接続のDVD-ROM読み出し等倍速、CD-ROM読み出し6倍速のドライブだった。同日には同様の仕様である内蔵型のLK-RV8581ATがP3ブランドの製品として発売された。 (製品の内訳はドライブ品番SR-8581-BとDVD再生用ボード(Windows95用)である。)

DVD-ROMドライブ登場時はパソコンのパフォーマンスが低く、DVD再生の際はソフトウェアのみではスムーズな再生ができなかった。 しかし、1999年頃からソフトウェアのみでDVDの再生が行えるようなパソコンが普及してきたため、(Pentium II 350MHz/Celeron400MHz以上のプロセッサー)DVD再生用ボードが不要になった。

1999年頃からDVD-ROMドライブが搭載された機種も出てきたが、本格的な採用は2000年後半にコンボドライブが登場した頃からである。2001年からは書き込み可能型DVDドライブが登場し、読み出し専用型との世代交代が進んでいる。

2000年頃のWindows Me搭載PCではDVD-ROM未対応機種が多かったが、2002年に登場したWindows XP搭載PCからはDVD-ROMに未対応の機種が減っている。

2006年には第3世代光ディスクHD DVDBlu-ray Discとのコンボドライブと同時に搭載PCも登場し2007年1月30日に発売のWindows Vista (Ultimate) では主な供給メディアがCDからDVDに移ったこともあり、DVDに対応しないPCは新製品のラインから完全に消えている。

パソコン用DVD記録ドライブではCD-RCD-RWの記録も可能である。

ドライブの種類

ドライブの大きさの分類はデスクトップ及びDVDレコーダー向けとノート型向け(スリムドライブ)があり、接続方式がパラレルATAとシリアルATAに分類されている。近年はシリアルATA接続が主流になっており、それぞれ読み書きの方式によって以下の3つに分類できる。

DVD-ROM
CD/DVD-ROM、DVD-Videoの読み出しのみ対応。登場当初から2001年にかけて多く見られた。
コンボ
CD/DVDの読み出しと、CD-R/RWへの書き込みに対応。2001年後半から2003年にかけてはこれが主流だった。今ではDVD書き込み可能型ドライブに取って代わられているが、低価格機では2000年代後半になってからもこちらが搭載された機種も存在する。2006年にはHD DVDやBlu-ray Discとの複合ドライブも現れた。
書き込み可能型
DVDの書き込みに対応。さまざまな規格が存在する(後述)。

書き込み可能型ドライブの規格の種類

各ディスクが登場した当初はそれぞれのディスクに専用のドライブが必要だったが現在のドライブはDVD-R/-RW規格を含めた複数対応機器がほとんどであり、DVD-Rや-RW規格を使用すれば互換性の問題はほとんどない。もっとも全ての規格に対応するドライブが普通になり(ただしPioneerの一部製品ではDVD-RAMは読み込みのみと言う製品も存在する)、どのDVDの規格に対応するかというよりもいかに高速で書き込めるかを掲げた製品が増加したためこれらの呼称は廃れつつある。なお現在ではほとんど全てのDVD書き込み型ドライブでCD-R、CD-RWへの書き込みも可能である。

DVD-R/-RW
DVD-RとDVD-RWに対応。初期のドライブに多い。
DVD-R/RAM
DVD-RとDVD-RAMに対応。これも初期のドライブに多い。
DVD+R/+RW
DVD+RとDVD+RWに対応。日本ではあまり見かけないが、海外では比較的多かった。
DVDマルチ
DVD-R、DVD-RW、DVD-RAMの全てに対応する規格である。記録・再生に対応する規格の他、再生のみに対応した規格も策定されている。あくまでもDVDフォーラムの規格であり、DVD+RWアライアンスの策定したDVD+R/+RWには対応していない。現在ではスーパーマルチ・ハイパーマルチに世代交代して、ほとんど見かけなくなっている。
DVDデュアル (DVD±R/RW)
DVD-R、DVD-RW、DVD+RW、DVD+Rの4種類に対応。DVD-RAMの採用に消極的なメーカーに多く見られた。DVD+R DL、DVD-R DLへの記録やDVD-RAMの再生も可能なモデルもある。
DVDスーパーマルチ・ハイパーマルチ
DVD-R、DVD-RW、DVD-RAM、DVD+R、DVD+RWの5種類に対応(パナソニック製のものはカートリッジにも対応)。ハイパーマルチはこれに加えて2層タイプのDVD+R DL、DVD-R DLへの記録も可能(ただし一部モデルは+R DLのみ)。2004年から2005年にかけてはスーパーマルチが多かったが現在はこのハイパーマルチが主流であり、現時点での書き込み型DVDドライブとしては最終モデルでもある。

今後DVD+RW DLや DVD-RW DLのCPRM対応型が登場することも考えられるが2008年現在、既にDVDよりも記録容量の大きいBlu-ray Discの普及が始まっていることから、上記のハイパーマルチドライブが最終モデルとなると思われる。

なお「デュアル」「スーパーマルチ」「ハイパーマルチ」などの名称は正式に策定されたものではなく通称であり、メーカーによって名称が異なる場合がある。そのため、「ハイパーマルチ」の性能を持っていても「スーパーマルチ」と表すメーカーもある。これらの製品は「DVD±RWドライブ」等と表現されることが多い。

ドライブ生産メーカー

ディスク製造メーカー

DVDの後継規格

2000年代前半、DVDで用いられる赤色レーザーに比べ、より波長の短い青紫色レーザーを使用した高密度な第3世代光ディスク規格としてBlu-ray Disc(以下BD)とAOD(後のHD DVD)が登場した。DVDと同じ12cmサイズのディスクだが、既存のDVDプレーヤーでの再生互換はない。第3世代光ディスク機器の多くは主にユーザーに対する販売・普及戦略上の理由からDVDの再生機能も併載することでDVDの再生を可能として、機器としての互換性を確保している。このように、第3世代光ディスク機器でDVDが再生できるのは第3世代光ディスクの方式自体の互換性ではない。

主に映像ソフトやデジタルテレビ放送HD映像記録用途を主眼としておりソニー・パナソニックなどのBD陣営と東芝・NECのHD DVD陣営は規格統一を模索していたが、2005年交渉が決裂。2006年に分裂した状態で製品化され、ハリウッドの映画産業などを巻き込んだ激しい規格争いが勃発した。しかし2008年2月、製品の発売から2年を経ずして東芝がHD DVD事業からの撤退を発表し第3世代光ディスクのデファクトスタンダードはBDに一本化された。

DVDの規格策定時にもソニーと東芝は、ソニーフィリップス陣営のMMCDと東芝・パナソニック陣営のSDのどちらを選ぶかで対立した。結果的にはCD規格延長を目論むMMCDより、CDと異なり2枚の板の貼り合せ構造を採用し大容量化を実現したSDを基にDVD規格は作られた。一方、同じBD陣営に属するソニーとパナソニックも書き換え可能型DVDで激しく対立した間柄だった。ソニーはDVDと似て非なるDVD+RWを作り出している。またパイオニアやシャープもBD陣営だが、こちらも書き換え型DVDではDVD-RW陣営としてパナソニックと敵対関係である。

しかしデータ記録・搬送用途では従来型DVDがあり、大量のデータ容量が必要な場合でもハードディスクがある。映像分野でもDVDビデオの画像をBD並のHD映像画質に補正補完するアップスケール技術、逆にMPEG-4 AVC/H.264圧縮により記録型DVDにHD映像の長時間録画を可能にする技術などを搭載したレコーダーもある。

テンプレート:Main

脚注

テンプレート:Reflist

関連項目

外部リンク

テンプレート:Sister

テンプレート:光ディスク

テンプレート:Video storage formats
  1. [2](パナソニックホームページ「DVD技術解説」)
  2. DVD Forum Official Website(英語)
  3. 粗悪な記録型DVDメディアが、なぜ“怖い”のか
  4. テンプレート:Cite web
  5. テンプレート:Cite web
  6. DVDは、デジタルビデオディスクではありませんテンプレート:リンク切れ
  7. DVDってどういう意味
  8. DVD Format/Logo License Corporation
  9. 日本ビクター、世界初の片面2層DVD-RWディスク技術Impress PC Watch 2005年4月4日)
  10. 日本ビクター、容量8.5GBのDVD-RW DLメディア(Impress PC Watch 2007年7月3日)
  11. ビクター、DVD-RW DLメディアの発売計画を凍結(Impress PC Watch 2008年3月10日)
  12. [3]
  13. DVD-R/RWはもっと便利に : パイオニア All About DVD-R/RW
  14. パナソニックのDVD-RAM関連特許ライセンス回避の目的もある
  15. 日本のソニー、ヨーロッパのフィリップス、アメリカのヒューレット・パッカードの3社
  16. 2009年1月現在までサイバーリンク・トランスデジタルのDigiOnブランドから発売されていたDVDオーディオ作成用オーサリングソフトの「DigiOn DVD Audio」がこれに該当していた。現在は販売終了。
  17. なお2008年以降に開発および発売された海外ブランドを除く製品ではパイオニア製の単品ユニバーサルDVDプレーヤーのDV-610AVと同パイオニア製のユニバーサルDVDプレーヤー内蔵DVD5.1chサラウンドホームシアターシステムのHTZ-LX61DV(いずれも2013年現在、販売終了)、同パイオニア製の単品ユニバーサルBDプレーヤーのBDP-440(2013年現在、販売終了)およびBDP-450BDP-LX55デノン製の単品ユニバーサルBDプレーヤーのDVD-A1UDおよびDBP-4010UDDBP-1611UDマランツ製の単品ユニバーサルBDプレーヤーのUD-9004およびUD-8004UD-7006などがこれに該当している。
  18. 例 : サイバーリンク社製の「PowerDVD 8 ULTRA」および「PowerDVD 8 DELUXE」等。現在絶版。
  19. 第3世代光ディスクへの記録アプリケーションフォーマットやハイビジョンレコーダーに搭載のHDD録画のフォーマットに一部応用利用されている。
  20. 第3世代光ディスクの市販ソフトがDVDフォーマットの映像も同一ディスクに収録できるのはこのため。