アイゼン

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ファイル:Ski boot crampons.jpg
プラスチックブーツに装着した12本爪ワンタッチアイゼン

アイゼンは、底に装着するツアッケ(Zacke)という爪のついた金属製の登山用具。氷や氷化した雪の上を歩くために用いられる。和製登山用語で、ドイツ語のシュタイクアイゼン(Steigeisen )に由来する。英語ではクランポン(Crampons )。

解説

一言にアイゼンと言っても2〜14本爪と様々で、爪が多くなるにつれてグリップ力は強くなり、より厳しい登山で使われることが多い。

爪が6本以下の物やチェーンアイゼン(14本爪など)は軽アイゼンと呼ばれる。前方向の爪がなく、主に積雪時の森林限界を超えない標高での登山や雪渓の通過に使われる。一般的な登山靴やトレイルランニングシューズなどに取り付けられるが、4本爪などのアイゼンは踵と爪先の部分に爪がないため、斜面を下る際などには注意を要する。また、チェーンアイゼンは取り外しが容易な反面、爪が短いため雪団子ができやすく急な斜面などの登高には向かない。

8〜14本爪の物は前2本の爪が水平前方に伸びており、この爪は氷壁などの登攀を目的とした設計になっている。特にアイスクライミング用のものには、前2本の爪が水平に突きだしたものもある。軽アイゼンとは異なり、対応するサイズのアルパインシューズでないと取り付けられない[1]。軽アイゼンではないアイゼンを装着しての歩行時には、爪をズボンやスパッツに引っ掛けて転倒する危険があるため、両足の踵を接近させないように歩くことが推奨される。

爪は主に鋼鉄を素材として製造されている。通常の鋼鉄は低温下で脆性があるため、ニッケル合金などを採用したものもある。アルミニウム製のフレームに特殊鋼製のポイントを取り付けたものや、より高価ではあるが、軽量化と耐久性の両立を図ったチタン合金製のものも存在する。

ストラップで締め付け、固定する「ストラップアイゼン(バンドアイゼン)」と、スキー板のようにリテンション金具で固定する「ワンタッチアイゼン」とがある。ストラップアイゼンは取り付け時の手間がかかる、靴の甲を圧迫してしまうといった問題が指摘される。一方、ワンタッチアイゼンは装着する靴のつま先に、「コバ」と呼ばれる装着用の切れ込みが必要である(この切れ込みは雪山用を意図した登山靴に存在する)。

画像にも見える黄色い板のように「アンチスノープレート」などと呼ばれ、アイゼンの裏側に雪団子ができてグリップが失われるのを防ぐプラスチック製の板が装備されている製品があり、後から取り付けられるように汎用パーツとして売られているものもある。

脚注

  1. 取り付けられたとしても靴の剛性が足りないためにストラップの締め付けによる鬱血を招いたり、靴底のたわみによりアイゼン本来のグリップ力が発揮できない。

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