イランの最高指導者
イランの最高指導者(イランのさいこうしどうしゃ、ペルシア語: ولی فقیه または رهبر)は、イランの国家元首。原語に近い発音をカタカナ表記してラフバルともいう。イスラム共和制の理念に基づき、高位のイスラム聖職者から選ばれる。
1979年のイラン革命で帝政が倒れ、イスラム共和制に基づくイラン・イスラム共和国が成立したのにともない、国家元首に相当する官職として新設された。なお、イランには大統領も置かれているが、他国の大統領が国家元首であるのに対して、イランの大統領は行政府の長であり国家元首ではない。
最高指導者は、ルーホッラー・ホメイニーの唱えた「法学者による統治論」(ヴェラーヤテ・ファギーフ)を具現化したものである。すなわち、イスラム共和制のイランはシーア派教徒の共同体であり、そこでは救世主が出現するまでの間、シャリーアの最高解釈者が「神(アッラーフ)の意思に従う」という形式で国家を指導する責務を負う。
選出規定・職責
行政府・司法府・立法府・イラン・イスラム共和国軍(国軍)・イラン革命防衛隊の五権における最高位であり、国政全般にわたる最終決定権を持つ。その権限は極めて強大かつ広範にわたる。
最高指導者は、国民の直接選挙で選出された86名のイスラム聖職者により構成される諮問機関である専門家会議(シューラーイェ・ハブレガーン)により選出され、任期は終身である。
当初は前任者が後継者を指名する形態が想定されていたが、ホメイニーが生前これを行わなかったため、その死後は専門家会議が次期最高指導者の選出の任にあたることになった。さらに当初は、資格要件としてシーア派聖職者(ウラマー)の最高位である「マルジャエ・タクリード」にある者でなければならないという規定があったが、ホメイニーの後継者として衆目の一致するアリー・ハーメネイーは第三位の「ホッジャトル・エスラーム」でしかなかったため、この資格要件も除かれることになった。
歴代のイラン最高指導者
代 | 最高指導者の氏名 | 在任期間 | 備考 | |
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1 | ルーホッラー・ホメイニー | 100px | 1979年12月3日 – 1989年6月3日 |
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2 | アリー・ハーメネイー | 100px | 1989年6月3日 – 現在 |
注釈
外部リンク
- アリー・ハーメネイー公式サイト(ペルシャ語、英語、日本語等)