謎の村雨城
テンプレート:しんにょう テンプレート:Infobox 『謎の村雨城』(なぞのむらさめじょう)は、1986年4月14日に任天堂から発売されたゲームソフト。
目次
概要
ファミリーコンピュータ ディスクシステム初期のオリジナルゲームソフト。
ディスクシステムの登場に合わせて作られた、ハードウェアメーカー自身が手掛けたゲームソフトで、そのためディスクシステムオリジナルのゲームとしては比較知名度があり、後述するように移植版も登場している。だが、発売時期がディスクシステムの発売より遅れたことや、同年にディスクシステム用として任天堂から発売された『ゼルダの伝説』や『メトロイド』、コナミの『悪魔城ドラキュラ』がシリーズ化されたのに対し本作はシリーズ展開されなかったことなどから、他の作品に対してややマイナーな方に部類される。
和風の世界観である為か、日本以外では発売されていない。そのため、海外で本作関連の紹介がある場合は大抵ローマ字表記である“Nazo no Murasamejo”が使われている。ただし、後述のようにWii『戦国無双3』でゲスト出演した際、海外版では“The Mysterious Murasame Castle”(ザ ミステリアス ムラサメ キャッスル)という英訳が付けられている(イギリス版『戦国無双3』リリース発表時の記事を参照[1])。
2004年8月10日、ファミコンミニシリーズ・ディスクシステムセレクションとしてゲームボーイアドバンスに移植されたほか、2008年8月19日、Wiiのバーチャルコンソール、2013年7月3日、ニンテンドー3DSのバーチャルコンソール、2014年7月30日、Wii Uのバーチャルコンソールでそれぞれ配信されている。
ストーリー
江戸時代、四代将軍・徳川家綱が天下を治めていた頃。ある地方に村雨城と呼ばれる城があった。城の中には巨大な石像・ムラサメが祀られていた。
村雨城もその城下町も平和な日々を過ごしていたが、ある嵐の夜、天上を引き裂くような雷鳴と共に、金色に輝く謎の物体が村雨城に落ちた。そして城内から異様な叫び声が上がる。謎の物体の正体は宇宙生命体で、その力でムラサメに命を与え、城を乗っ取ったのだ。
謎の宇宙生命体は村雨城だけでなく、その周囲にある青雨城、赤雨城、緑雨城、桃雨城の城主たちをも支配し、4色の謎の玉を手渡した。邪悪な力に支配された城主達は玉の力で忍軍や魔物を操り、人々を苦しめた。
村雨城の異変の噂を聞いた幕府は、噂の真偽を確かめるため、そして噂が事実だったときは災いの根源であるムラサメを倒すため、剣法指南役の青年剣士・鷹丸(たかまる)を、密かに村雨城下に送り込んだ。
しかし、その密命はムラサメに知られてしまった。鷹丸が江戸を出ると同時にムラサメの刺客が襲い掛かる。だが、幕府随一の剣客である鷹丸は刺客たちを蹴散らし、村雨城を守る4つの城の1つ、青雨城下にたどり着いた…。
内容
トップビュー・画面切り替え形のアクションゲーム。スクロール方法がゼルダの伝説に類似している。ただし本作は、限られたパワーアップアイテム以外にプレイヤーキャラクターを強化させる要素はなく、アクション主体のゲームとなっている。
村雨城と、そこに至る4つの道中と城を舞台とする。侍、忍者、般若など、登場するキャラクターも和風の要素を強く持っていた。道中、城からなるゲームマップは広大で、隠されたパワーアップアイテムを探しながら、それぞれの城の最も奥に位置する城主(ボス)を退治していく。四方八方の物陰から飛び道具を主体に襲いかかってくる敵の忍者に対し、刀を武器とした侍が1人で立ち向かうというシチュエーションが多く、ゲームとしての難易度は高め。エンディングはあるが無限ループ。
ゲームの進行状況はディスクカードにセーブすることができる。メニュー画面の「ナマエ トウロク」を選び、名前をつけることでセーブファイルを作成できる(最大3つ)。ファイルは「ナマエ マッショウ」で削除できるが、コピーはできない。また「ナマエ シテイナシ」でファイルを作らずにゲームを始めることもできるが、この場合はセーブができなくなる。
登場キャラクター
プレイヤーキャラクター
- 鷹丸(たかまる)
- 剣術と忍術に長けた、幕府最強の剣客。剣と小柄、そして様々な術を使って敵を倒す。
敵キャラクター
ザコキャラクター
- 忍者(にんじゃ)
- 白・黒・青・赤・緑・桃・ピカピカ(後述)が存在。体当たりや手裏剣、一部のものは炎で攻撃してくる。色が同じでも行動が異なる場合がある。
- ピカピカ忍者
- 白と黒に点滅する忍者。物陰から出てきて歩き回るもの1種類のみが存在し、飛び道具は持たずトゲ付きの時限爆弾を仕掛ける。倒すと爆発するので、至近距離で刀で斬ったりするとダメージを受けてしまう。
道中に登場する敵
- 中忍(1)(ちゅうにん1)
- 位の高い忍者。特定の出入口に近づくと突然出現し、爆弾のように破裂する「雷玉」を投げつけてくる。
- 中忍(2)(ちゅうにん2)
- 坊主頭の中忍。中忍(1)と同じく特定の出入口に近づくと出現し、追いかけてきて火炎を吐いてくる。
- 山賊(さんぞく)
- 山に住む男たちで、ムラサメや城主の配下ではない。岩山に出現し、歩いてきて斧を投げつけてくる。
- ムササビ
- ムササビのように滑空する忍者。素早く飛び回り、十字手裏剣を放つ。
- 天狗(てんぐ)
- 有名な日本の妖怪。主に森の場面に出現する。つむじ風となって円状に動き回り、小さなつむじ風を放って攻撃してくる。
- 土ぐも(つちぐも)
- 背の丸い怪人。不気味な効果音とともに土中から現れ、十字手裏剣を3連発で放ったのち再び土中へ消える。
城内に登場する敵
- 侍(さむらい)
- 城内の通り道を守る敵。画面上で鷹丸と同じ高さに移動する。普段は刀を中段に構えていて飛び道具が通じない。接近すると刀を振り上げ、飛び道具で倒せる状態になる。
- 中忍(5)(ちゅうにん5)[1]
- 黒装束の中忍。数個の火の玉を円状に纏い、一定間隔で一つずつ飛ばしてくる。纏った火の玉はバリアになっており、鷹丸の飛び道具を撥ね返す。
- 中忍(6)(ちゅうにん6)[1]
- 長髪の中忍。中忍(1)と同じく出入口付近に突然現れ、雷玉で攻撃してくる。
- 中忍(7)(ちゅうにん7)[1]
- 薙刀を構えた侍のような中忍。構えた薙刀を振り回しながら、上下左右にランダムに移動する。薙刀は鷹丸の飛び道具を撥ね返してしまう。
- 門番(1)(もんばん1)
- 城主の部屋へ向かう道を守る門番。3-5人で組んで現れ、鷹丸の正面めがけて投げ縄で攻撃してくる。全滅させると奥へ続く階段が出現する。
- 般若(はんにゃ)
- 城内の姫の部屋に潜む敵。姫(後述)に化けていて、接近すると正体を現して襲い掛かってくる。姫か般若かは接近するまで判別できない。耐久力が高いうえ、部屋を移動しても出てきた通路から現れ、しつこく追いかけてくる。
村雨城に登場する敵
- 邪鬼(じゃき)
- 村雨城での下っ端的存在の小鬼。忍者と同様の動きをし、鬼火で攻撃してくる。鬼火は刀や飛び道具で相殺可能。
- 中忍(3)(ちゅうにん3)
- 村雨城に住みつく落武者で、髑髏の顔をしている。特定の部屋の出入口に鷹丸が近づくと現れ、中忍(1)と同じく雷玉で攻撃してくる。
- 中忍(4)(ちゅうにん4)
- 髑髏顔の中忍。行動パターンは中忍(2)と同じで、鷹丸を追いかけてきて火炎を吐いてくる。
- 門番(2)(もんばん2)
- ムラサメの部屋へ向かう道を守る門番で、鬼の顔のような頭部だけの怪物(説明書や攻略本のイラストでは、手足のある人型の姿で描かれている)。2体で現れて左右に移動し、自身の場所で炸裂して8方向に飛び散る「光り玉」で攻撃してくる。
ボスキャラクター
- 青雨城主(あおさめじょうしゅ)
- 第1ステージ青雨城の城主。裃を着た典型的な奉行姿という出で立ち。雷玉を4連続で投げてくるが、最初のボスだけあって弱い。
- 赤雨城主(あかさめじょうしゅ)
- 第2ステージ赤雨城の城主。歌舞伎の役者のような顔をしている。彼の投げる雷玉は爆発すると白忍者が出現する。一定時間鷹丸の攻撃が素通りする「透明の術」を使う。
- 緑雨城主(りょくさめじょうしゅ)
- 第3ステージ緑雨城の城主。分身の術で四体に分かれて火炎弾で攻撃してくる。
- 桃雨城主(ももさめじょうしゅ)
- 第4ステージ桃雨城の城主。唯一の女城主だが、4人の城主の中では最強。8方向に分裂する桃色の花を投げる「幻花の術(げんかのじゅつ)」とワープを駆使する。
- ムラサメ
- 最終ステージ村雨城の中ボス的存在。元は巨大な獣の石像だったが、今では魔物に憑依され魔獣と化している。ムラサメそのものは動き回らないが、壁に当たると3方向に弾ける緑の面を投げる「鬼面の術」と、壁に跳ね返って動き続ける玉で攻撃してくる。
- 謎の生命体(なぞのせいめいたい)
- ムラサメを倒した先の「奥の院」にいる最終ボス。ムラサメを魔獣に変え、4人の城主を支配した諸悪の根源。火炎と弾を放ってくる。
アイテム
アイテムは出現方法により次の4タイプに分けられる。隠れタヌキからのアイテムと兜以外は、画面切り替えで復活する。
タヌキから出現するアイテム
ステージ中にあるタヌキ(信楽焼のような置物)を斬るか踏むと出現するアイテム。タヌキは常に上下左右にランダムに動き回る(道中最後のボーナスステージにあるものは動かない)。
- 風車剣:忍法風車剣の術
- 初期装備の小柄(飛び道具)が風車剣に変わる。攻撃力は小柄とあまり変わらないが、手裏剣は消しつつ貫通し、爆弾も相殺できるようになるなど、敵の飛び道具に対する性能が上昇する。
- 火炎:忍法火炎の術
- 武器が火炎に変わる。攻撃力と飛ぶ速度が上昇し、敵の爆弾はすり抜けるが、射程の制限があるので(小柄と風車剣は射程無制限)遠く離れた敵を攻撃できなくなる。しかしその分次の弾が早く撃てるという利点もある。
- 以上2種類の飛び道具は1発につき巻物(後述)を1消費する。また強さに関係なく最後に取ったものが優先され、アイテムを取った時には3発補充される。
- 赤い印籠:忍法分身の術
- 鷹丸の残り人数が一人増える。道中最後のボーナスステージに出現するアイテムで、4つあるタヌキのどれか2つに隠されている。
隠れタヌキから出現するアイテム
タヌキの中には普段は見えず、出現場所を斬るか踏むと姿を現すものがある。見えない状態でも通常のタヌキと同じく動き回っているので、見つけるには出現場所周辺をある程度探し回る必要がある。透明の術とイナズマの術は後で取った方のみ有効。
- 青い巻物:忍法透明の術
- 鷹丸が一定時間姿を消し、敵の攻撃を受け付けなくなる。術の間は飛び道具を出せず刀のみ使える。ゲームスタート時に所持している。
- イナズマ:忍法イナズマの術
- 画面全体の敵をすべて倒し(一部除く)、手裏剣や炎も消す。隠されたアイテムも出現させる。
玉手箱から出現するアイテム
こちらも普段は隠れていて見えない。隠れタヌキと同じく斬るか踏むかすると玉手箱が出現し、もう一度斬るか踏むかでアイテムが出現する。タヌキと違い動き回ることはない。
- 赤いわらじ:忍法速足の術
- 鷹丸の移動速度が上昇する。2回までスピードアップする。
- 青いわらじ:忍法水ぐもの術
- 本作では池に入っている間は移動速度が落ちるが、これを取ると池の中でも通常の地面と同じ速度で移動できる。また村雨城の血の池(入ると一定時間動けなくなる)も無効にできる。
- 白い印籠:忍法復活の術
- ライフ回復アイテム。画面上方に表示されている「力」が3つに戻る。
- 白い羽矢:忍法羽矢の術
- 飛び道具のスピードが通常の1.5倍になる。下記の連射アイテムと併用可能。
- 飛車:忍法飛車筋連射の術
- 連射アイテム。飛び道具を上下左右4方向に同時に放てるようになる。
- 角:忍法角筋連射の術
- 連射アイテム。飛び道具を前方と両斜めの3方向に同時に放てるようになる。
- 王将:忍法3連の術
- 連射アイテム。飛び道具を前方へ3発同時に放てるようになる。
- 青い羽矢:忍法4連射の術
- 連射アイテム。赤い羽根のついた青い矢で、普段は2連射の飛び道具が4連射で放てるようになる。
- 以上4つの連射アイテムは併用ができず、最後に取ったものが優先される。
- 兜:忍法無敵の術
- 取ると鷹丸が点滅をはじめ、一定時間あらゆる敵の攻撃をすり抜けられるようになる。持ち運べない分有効時間は長く(ただし2周目以降は短くなる)、飛び道具による攻撃も可能。説明書には「術の間は刀を振らないと宝が出ない」とあるが、実際は普段どおり出現ポイントを踏むだけでも出現する。
その他の方法で出現するアイテム
- 巻物
- 風車剣や火炎を使うのに必要なアイテム。敵を倒すと出現する。
- 鎧
- 説明書には載っていない隠しアイテム。ある敵を一定数倒すと突然出現する。取ると飛び道具が「風車剣+3連の術」にいきなりパワーアップする(火炎を持っていた場合でも風車剣になる)。
- 姫(ひめ)
- アイテムとは異なるが、便宜上ここに記載。城内の部屋で見つけると鷹丸の残り人数が1増える。ただし上述のとおり般若が化けている場合もある。
無敵
鷹丸の残り人数が99を超えると無敵になる。初出がファミリーコンピュータMagazineのウル技であり、ウソ技ではないかと噂されたが真実であった。実行は困難を極め、達成までのプレイ時間は最短でも半日規模にも及ぶ。
漫画版
漫画雑誌『わんぱっくコミック』にてやまと虹一により連載された。全1巻。単行本には「必勝テクニック完ペキ版」としてみなづき由宇の攻略漫画が載っている。
ドラマ版
1986年12月8日には、『おニャン子捕物帳 謎の村雨城』(主演・城之内早苗)が月曜ドラマランド(フジテレビ系)で放映された。
CDおよびレコード
- 謎の村雨城 オリジナル・サウンドトラック オーケストラ・ヴァーション (07FA-1085)
- 1986年7月23日に発売されたEPレコード及びカセットテープのA面にアレンジされたものが収録されている。 B面はゼルダの伝説のオーケストラアレンジが収録されている。発売はファンハウスで、いずれも廃盤である。
- ファミコン 20TH アニバーサリー オリジナル・サウンド・トラックス VOL.1
- 2004年1月7日、サイトロン・デジタルコンテンツより発売されたCD内の一作品として収録されている。
その他関連事項
- 取扱説明書のキャラクター紹介の項目で、緑雨城主のイラスト画像が発売当時に生産されたものと、その後追加生産されていた商品のイラストとは全く違ったイラスト画像が掲載されている。発売当時に掲載されていた緑雨城主は、青雨城主のような裃姿で丁髷頭のイラストであったのに対し、追加生産版に掲載されていたイラストは、ゲーム内に登場する姿に限りなく近い姿で掲載されている。
- 後の任天堂作品では、以下のような本作関連の要素が登場したことがある。
- ゲームキューブおよびWii用ソフト『ピクミン2』では、登場するお宝の1つとして本作のディスクカードが「コズミック・アーカイブ」という名称で登場している。
- Wii用ソフト『大乱闘スマッシュブラザーズX』では、本作の道中ステージのBGMが「道中面(謎の村雨城)」という名称で原曲のまま登場している。また、収集要素「シール」では鷹丸の公式イラストが登場。なお、その前作であるGC用ソフト『大乱闘スマッシュブラザーズDX』では、「名前の登録」の際に「おまかせ」を選ぶと「たかまる」と表示されることがあり、本作の主人公の鷹丸のことを指しているのだと思われる。
- Wii用ソフト『キャプテン★レインボー』では、舞台となるミミン島の住人の1人として鷹丸が登場している。
- ニンテンドーDS用ソフト『メイドイン俺』では、プチゲームの一つとして「むらさめじょう」という本作を再現したものが、レコード(音楽)として道中ステージのBGMをモデルとした「なぞのむらさめ」が登場している。また、連動ソフトウェアであるWiiウェア『あそぶメイドイン俺』に収録されたプチゲーム「めいきょうしすい」に登場する抜刀術を使う侍の姿が、青い髪色で髪型もほぼ同じなど鷹丸とデザインの共通点がいくつかあり、鷹丸をモデルにしている可能性がある。
- Wii U用ソフト『ニンテンドーランド』では、ミニアトラクションの一つとして『鷹丸の手裏剣道場』が収録されている。
- 2009年12月3日にコーエーよりWiiで発売された『戦国無双3』には、任天堂とのコラボレーションで内容を忠実に再現した「謎の村雨城」モードを収録している[2]。
- 本作のタイトル画面で雷が落ちた際、画面が激しく点滅していたが、ポケモン事件の影響でGBA版などでは点滅が大幅に抑えられている。