エンゼルギア 天使大戦TRPG

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
2014年4月26日 (土) 05:11時点における61.27.100.144 (トーク)による版 (瑞穂基地の関係者)
(差分) ← 古い版 | 最新版 (差分) | 新しい版 → (差分)
移動先: 案内検索

エンゼルギア 天使大戦TRPG(エンゼルギアてんしたいせんティーアールピージー)は井上純弌F.E.A.R.が製作したミリタリー・ファンタジーテーブルトークRPG2003年にエンターブレインから書籍版で発売された。2009年にはルール第二版が発売されている。

概要

天使”によって世界征服を成し遂げた“合衆国”とそれに抵抗する“ヤシマ”および“統一帝国亡命政府”の、最新鋭兵器“シュネルギア”に乗り込むパイロット=ギアドライバーとその周囲の人々の人間ドラマを主に取り扱う、戦場ロマン作品。

ゲームシステム的には『天羅万象』のロールプレイ評価ルールの流れを汲む、ロールプレイ特化型RPG。

『エンゼルギア 天使大戦TRPG』はRUNEより発売されたアダルトゲーム『ANGEL-CORE』(エンゼル・コア)の続編企画にあたる『エンゼルギア』をテーブルトークRPG化したものであるが、原作となるはずのPCゲーム版『エンゼルギア』は諸事情により製作休止状態である[1]

2009年4月にはルール第二版にあたる『エンゼルギア 天使大戦TRPG The 2nd Editon』も発売された。本項ではこれについても解説する。なお、2003年版のみに言及する場合は『1st』、2009年版のみに言及する場合は『2nd』と記述する。

システム

『エンゼルギア 天使大戦TRPG』のルールは同じ製作スタッフによって作られた『天羅万象』と酷似したものになっている。

行為判定

行為判定6面ダイスを数個振って、判定に使用した技能のレベル以下の出目がいくつ出るかで達成値を決める。

一度の判定で振れるダイスの個数は能力値と技能によって決まり、通常は10個未満であることがほとんどである。しかし、このダイスの数はプレイヤーキャラクターが持つ「特技」などによって瞬間的に増やすことができる。『1st』では「ロゴス」と呼ばれるポイントを消費することでもダイスを大量に増やすことができたため、シナリオのクライマックスでは100個近いダイスを一度に振ることさえ珍しい光景ではなかった。

MoEシステム

天羅万象と同じように、PCによるロールプレイのシーンとPLによるドラマのすりあわせを行う幕間とを区別したロールプレイ評価ルールが実装されている。これをMotion of Emotion システム、通称『MoEシステム』と呼ぶ。

『MoEシステム』は以下で解説する「ロゴス」と「ダーザイン」の二つのルールを柱としている。

ロゴス

プレイヤーキャラクター (PC) が格好いいロールプレイをした際にゲームマスター(GM)から「パトス」と呼ばれる特別なポイントが与えられる。パトスはGMからだけでなく、GMが指定したプレイヤーが「裁定者」となり、他のPCのロールプレイを評価しパトスを与えることもできる。

パトスは後述する「ダーザイン」を取得するために消費されるポイントだが、プレイヤーキャラクターはこのパトスを「ロゴス」と呼ばれる別のポイントに変換することもできる。

ロゴスはゲーム中の行為判定を有利にするために消費されるポイントであり、これを使えばヒロイックな行動も可能となる。以下にロゴスを使用して行えることの例をいくつか挙げる

  • 行為判定に使用される技能値の数値を上昇させて、判定の成功確率を高める。
  • 行為判定に使用されるダイスの個数を増加させて、判定の達成値を上昇させる(『1st』のみ)。
  • 行為判定の達成値を直接上昇させる(『2nd』のみ)。

ロゴスは使えば使うほど「アガペー」と呼ばれる別のポイントがたまっていく。このアガペーが666点を越えたPCは、「天使化」と呼ばれる現象を起こし、ヒトの器を捨て昇天してしまう。天使化を起こしたPCは以後はNPCとなりプレイヤーの手を離れてしまう。

ダーザイン

PCは自分が所持するパトスを消費することで他者(PCでもNPCでも良い)と特定の人間関係を結ぶことができる。人間関係の強さはレベルで表され、1から5まで設定されている。例えば、【セラピアからの好意 レベル1】などと記述された人間関係ならば、セラピアというNPCから自分のPCは少し好かれているという人間関係が築かれるわけである。

本作ではこのように人間関係を数値化して管理できるのだが、この人間関係を表すステータスハイデガー哲学の存在論から用語を拝借して「ダーザイン(現存在)」と呼ぶ。

ダーザインの特徴は、「相手が自分をどう思っているか」という形で人間関係を記述している点である。テーブルトークRPGで人間関係を扱ったルールの多くは「自分が相手をどう思っているか」で扱われることから考えると、NPCの感情をプレイヤーが操作できるのはテーブルトークRPGでは稀有である。このことから、本作は恋愛ゲームに非常に近いプレイ感覚を持つ。

ダーザインのレベルが5まで上昇すると、そのダーザインにつき1回だけ通常のロゴス以上に行為判定を有利にすることができる(これを「ダーザインの昇華」と呼ぶ)。『2nd』ではダーザインの昇華によってオーギュメントと呼ばれるある種の必殺技を使用することも可能となった。

世界設定

現代の地球そっくりのパラレルワールドが舞台。ただし、この世界では科学技術と共に魔術や呪術が現実のものとして人々に知られている世界である。国家は彼らを保護し国益のために利用している。特に近代以降は魔術や呪術の軍事利用が積極的に研究されており、実用化されている。

諸事情により国名などは全く違うが明らかにモデルとなる国が分かるように作られている。

設定部分には『新世紀エヴァンゲリオン』のオマージュがかなり多い。なお、世界観が『コードギアス』と似ている部分もあるが、エンゼルギアの方が3年以上先んじており、ここについてはいわゆる偶然の一致とも言えるものであり、オマージュというわけではない。

世界情勢

『エンゼルギア 天使大戦TRPG』の地球は、世界大戦が40年もの間続いたすえに、軍事的宗教国家"合衆国"が世界を席捲した世界である。唯一、合衆国の傘下に入ることを拒んでいる国が極東の島国"ヤシマ"であり、合衆国の目下の課題はヤシマを屈服させることになっている。

十数年の間ヤシマと合衆国は事実上の休戦に入っていたのだが、1999年に合衆国がヤシマに三発のミサイルを放ったことから戦争が再発した。

PCたちはこのヤシマの軍人・軍属となり、合衆国の「天使兵」を撃退し、国土を守ることがゲームの目的である(なお、PCゲーム版とあわせて1999年の夏がTRPG版の基本的な時代設定になっている)。

天使兵と天使核

天使とは神の使いとして遣わされたといわれる超常存在のことである。『エンゼルギア 天使大戦TRPG』においては主要な敵役になる。

その肉体はエーテルによって構成され数10mの巨体を持つ。高等言語である天使語によって会話するため、低級存在であるヒトとのコミュニケーションはとれない。現在は合衆国軍と協力しているがその真の目的は不明。どうやって合衆国は天使を味方につけているかも謎につつまれている。

古代に地上に降り立った天使たちの中には人類との間に子をなしたものもいる。天使の血を引く人類の子孫たちはその体内に天使核(エンゼルコア)と呼ばれるエーテル結晶体を持つ。統一帝国はこの天使核を摘出して軍事利用する研究が大戦期より続けられており、その結果開発されたのが天使核兵器(エンゼルギア)といわれる超兵器群である。天使核兵器は現実の世界から見ると明らかなオーバーテクノロジーの結晶であり、実戦に投入された天使核兵器として知られるものには、肉体の一部をエーテル動力で作動する機械に置き換えたサイボーグ兵士「機械化兵」、クローン技術により人工的に作られる人造兵士「完全機械化兵」、飛行型パワードスーツである「フライングユニット」、巨大ロボット兵器である「シュネルギア」などがある。

合衆国

アメリカをモチーフにした架空の国。大戦の前までは大統領制だったようだが、現在は「法王」と呼ばれる人物による宗教的独裁体制が敷かれている。

合衆国が一変したのは1945年の天使降臨によってである。天使とのなんらかの合議の上で合衆国軍は天使兵を自らの軍事組織に組込み、「合衆国十字軍」を結成。それを使って枢軸に支配されていた世界中の国を「解放」「保護」「協力」の名のもとに自らの勢力圏においていった。各国の自治は表向きは認めているものの安全保障の名目で各国に合衆国の基地が置かれていて実効支配されているのと変わらない状況である。

合衆国は現在は半ば鎖国に入っていて国内の状況がどうなっているかは諸外国には伝えられない。ただ、世界各国にある合衆国の基地に配備されている合衆国軍とその軍人たちのみが、合衆国内の状況を知る窓口になっている。

ヤシマ

日本をモチーフにした架空の国。人々の平均的な日常生活様式や文化は21世紀の日本人と似ているが、帝族と言われる古来から続く皇族によって統治される帝政の国である。

合衆国の脅威から国土を守るために国土全体に呪法結界と呼ばれる障壁を張り巡らせていたのだが、1999年に合衆国より放たれた3発のミサイルのせいで呪法結界の一部が破れ、その地域には合衆国軍や天使兵が侵攻できるような状態になっている。だが、それでもこの地域には人はまだ何千万人も住んでおり日常生活を送っている。

統一帝国

ドイツ第三帝国をモチーフにした架空の国。大戦時は総統と呼ばれる人物に率いられ大陸で版図を広げていたが、合衆国の天使兵との戦いにより敗北を続け、1986年に天使兵により国土を焼き尽くされ滅亡する。現在、ヤシマ内に亡命政府が作られており少数の生き残りの統一帝国の民たちが暮らしている。

天使核兵器の開発と運用に長けた国であり、特に統一帝国親衛隊G3(ゲードライ)には最新の天使核兵器「シュネルギア」を有している。

シュネルギア

いわゆる巨大ロボット兵器。天使兵に対抗するためのヤシマ=統一帝国軍の決戦兵器である。 飛行兵器であり、ケルンと呼ばれる特殊なエネルギーフィールドによって航空力学を全く無視した、マッハ20を超える超高速・超高機動戦闘を展開することが可能。複座式になっていてパイロット(「ギアドライバー」と呼ばれる)とナビゲーターがコンビを組んで運用することが基本になっている。

ドライバーもナビゲーターも、非常に稀な存在である「黒い天使核」を体内に宿す者でないとシュネルギアは反応しない。軍が確認している「黒い天使核」の所有者のほとんどは14歳以下の少年少女(特に女性が多い)なため、戦場に少年少女を送り込む非人道的な兵器でもある。

瑞穂基地

結界が破られた関東地域に作られた軍事基地。『エンゼルギア 天使大戦TRPG』における主要な舞台。ヤシマ軍統一帝国空軍、さらに独立組織である統一帝国親衛隊G3(ゲードライ)の3つの軍組織の共同で設置されている基地で、シュネルギアが配備されている。関東近海に天使兵が接近すると出動が要請され、天使兵が本土に上陸する前に海上もしくは上空にて叩くのが瑞穂基地の使命となっている。最も、それでも上陸を許すことがあり、そうなれば民間への被害を覚悟した市街戦が行われることになる。

PCたちは普段は瑞穂基地に待機しており、基地およびその周辺(学校含む)の人々と交流しながら日常を過ごしている。

クラス

プレイヤーキャラクターは以下の中からクラスを選択することで作成されるが、『1st』と『2nd』でキャラクタークラスのルールは全く異なる。

1st Editon

プレイヤーキャラクターは以下の中からクラスを1つ選択することでキャラクターが作成される

クラスごとに「特技」が一つだけ設定されている。その特技はクラス毎に設定された必殺技のようなものであり、使用するための条件は厳しめなことが多いが、すさまじい効果を発揮できる。

ギアドライバー
シュネルギアのパイロット。シュネルギアを自由にカスタマイズすることができる主役級のクラス。ナビゲーターNPCがついてきて初期からダーザインが結ばれるのも特徴。
設定では14歳以下の女性が多いとなっているがルール的には年齢も性別も制限はない。
ゲームのプレイスタイル的にはPCは「ギアドライバーの中でも特別な存在」というような特性が期待されるため、PCのギアドライバーは女性でなく男性であることが基本的なイメージになっている。
完全機械化兵
脳以外は全て機械でできているという人造人間。「フライングユニット」と呼ばれる飛行パワードスーツを使いシュネルギアと同等の戦闘能力を発揮できる。データ的には超高速戦闘をイメージしたものになっている。
機械化兵
人体の各所を機械で強化したサイボーグ。生身の人間相手の戦闘能力は全クラス中最強に入る。戦闘機に載れば天使兵とも互角に渡り合うことができる。あらゆる状況に平均的に対応できるバランスの良いクラス。
指揮官
部隊に戦術的な指揮を与える指揮官。ゲーム的にはPCを強化する強力な支援系能力を持つ。戦場では輸送艦に乗って他のPCを支援する。
管制官
戦闘空域の情報収集を行い仲間に行動支持を与えるオペレーター。ゲーム的にはエーテル通信、およびエーテル兵器の操作のプロであり、指揮官とは違う方向性で様々なトリッキーな支援を行う。戦場では輸送艦に乗って他のPCを支援する。
情報将校
情報処理に特化した能力をもつエリート士官。いわゆるスパイである。
『1st』ではもっとも使いにくいクラスの1つ。戦闘ではほとんど無能である。しかし、ダーザインルールが他のクラスよりも有利に働くようになっており、ある意味でもっとも『エンゼルギア』の特色を色濃く現したクラスと言える。

2nd Editon

プレイヤーキャラクターは以下の中からクラスを2つ選択することでキャラクターが作成される。同じクラスを重複して選択することもでき、そうすればそのクラスの技能により専門化したキャラクターとなる。

クラスごとに「特技」が複数設定されており、キャラクター作成時とレベルアップのたびに特技を新たに習得できる。この特技はいつでも使うことが可能だが、使用するたびにアガペーが上昇する。

また、特技とは別に「オーギュメント」と呼ばれる必殺技のようなものがクラス毎に設定されている。オーギュメントは5レベルのダーザインを「昇華」しないと使用できないが、すさまじい効果を発揮できる。

アーティラリー
火器の効率的な運用を得意とし、砲術師や狙撃手にあたるクラス。シュネルギア用の大型砲や長距離狙撃砲、ミサイル兵器などの長距離射撃兵器の扱いにも長けている。
ウィザード
医学や機械工学の専門家。研究者や整備士もここに含まれる。
オフィーツィア
士官および下士官を表すクラス。仲間を指揮することで強化できる特技が多い。『1st』の指揮官がこれにあたる。
ガンスリンガー
拳銃や小銃の扱いに長けたものを表すクラス。シュネルギア用のライフルやハンドガンの扱いも同じく長けている。
ギアドライバー
人型の巨大ロボット「シュネルギア」のパイロット。シュネルギアはナビゲーターと呼ばれる副操縦士とチームを組んで操縦するもので、ナビゲーターのダーザインをレベル5にして「昇華」できれば「ナビゲーター専用オーギュメント」が使うことが可能になる。
サムライ
剣や斧、槍などの白兵武器の使い手。シュネルギア用の白兵武器の扱いも同じく長けている。
シンガー
歌を武器にして戦場に立つものたち。シンガーの歌はエーテルに干渉することができ、味方の支援や敵への攻撃が可能である。
ソルジャー
兵士であることそのものを表すクラス。このクラスを習得せずとも兵士という職業につくことは可能である。ソルジャーというクラスを習得した者は兵士であること自体にアイデンティティを持つ者ということとなる。『1st』の機械化兵がこれにあたる。
ツィヴィール
民間人であることを表すクラス。このクラスを習得した者は軍人ではなく、軍に徴用もしくは雇用された民間人、いわゆる軍属となる。
ホムンクルス
クローン技術とサイバネティクス技術を駆使して作られた人造人間であることを表すクラス。『1st』の完全機械化兵がこれにあたる。
ミーディアム
魔術もしくは超能力といった、超常の力の使い手で「媒介」を意味するクラス。この世界を満たすエネルギーである「エーテル」に自在に干渉することができ、戦場ではエーテル兵器(エーテル兵器とはガンダムシリーズにおけるサイコミュ兵器のような、超感覚の持ち主による運用を前提とした兵器を指し、「トラバント」と呼ばれる)を使いこなすことが出来る。また霊感や超常能力によって、事前の危険を察知したり、仲間を回復させたり、武器に力を込めることも可能である。

エンゼルギアの登場人物

『エンゼルギア 天使大戦TRPG』はダーザインルールの存在により、NPCとのコミュニケーションいうものが非常に重要なギミックとして規定されている。しかし、GMが毎シナリオごとにNPCの性格描写を細かく設定して演じるというのは手間が大きい。そこで、このゲームでは瑞穂基地に関係するNPCを大量かつ詳細に設定しておりGMがNPCを演じやすいようになっている。特にNPCの能力でなく性格面が詳細に記述されていることは他のテーブルトークRPGに比べると強い特徴になっている。

ナビゲーター

八坂 凍(やさか こおる)
シュネルギアのナビゲーターを務める14歳の少女。ヤシマ陸軍少尉。
無口系の美少女で戦闘時以外のコミュニケーションは絶無に等しい。流れるような白い長髪が特徴。
拳銃、小銃を得意としており、ナビゲーターとしては拳銃、小銃を扱うギアドライバーと相性が良い。
出生が謎や秘密に覆い隠されたナビゲーター達の中でも一際異彩を放つ存在であり、『2nd』で秘密が明かされる事になる。
トゥアレタ・クレーリオン
シュネルギアのナビゲーターを務める14歳の少女。統一帝国親衛隊G3少尉。
瑞穂学園の委員長をしている怒りっぽいが真面目な子。メガネで吊り目というツンデレの基本要素は抑えられている。
ナビゲーターとしては大口径の火砲やミサイルなどの誘導兵器のサポートに優れている。
PCゲーム版ではメインヒロインになる予定だけあって、彼女の出生には意外な秘密が隠されており、『2nd』でそれが明かされた。しかし、『1st』の基本ルールブックでは4人のナビゲーターのうち一人だけサンプルキャラクターのデフォルトナビゲーターに選ばれないという不遇な扱いを受けていた。しかしながらファンの中では人気が高く、2005年には作者の井上純弌のサークル「希有馬屋」で同人フィギュア化されイベントなどで販売された。
なお、トゥアレタとはギリシャ語で「便所」を意味するが、そのネーミングの意図については不明。
草薙 伊音(くさなぎ いおん)
シュネルギアのナビゲーターを務める14歳の少女。ヤシマ陸軍中尉であり、ヤシマの帝族である草薙家の長女にして帝国軍人。国を守り民を守るという意識がヤシマ勝利のために戦うことを第一に考えている。軍規に厳しく自分にも他人にも等しく厳しい。額にツノが生えており「オニ」とも称されるが、これはヤシマの帝族の血を引いている証拠でもある。
ナビゲーターとしては近接戦闘を行うギアドライバーと相性が良い。これは彼女が剣術の達人であることの表現でもある。
セラピア・パルマコン
シュネルギアのナビゲーターを務める14歳の少女。統一帝国親衛隊G3少尉。
ツインテールのロリっ娘。自分のことを「ボク」と呼び、意味不明な言動で周囲を煙にまくフシギ系の少女。語頭に「うに〜」、語尾に「だよ〜」をつけることが多いのが特徴。口癖は「ぷっぷくぷ〜♪」。
彼女も凍やトゥアレタに匹敵する大きな秘密を持っており、それを知るのは彼女自身と上層部の一部の人間だけのようだ。その秘密は、前作「ANGEL-CORE」の物語と深い関係があるらしいことがルールブックの節々の記述から見て取れ、『2nd』ではそれが明確に示されている。
ナビゲーターとしては砲塔などの火器官制、特に狙撃関連のサポートに優れている。また後述の司鏡紀央に及ばないものの、エーテル兵器のサポートも可能。
タン・メイリィ
ゲーマーズ・フィールド誌7th Season Vol.5において読者投稿により追加されたNPC。『2nd』で正式なナビゲーターとして、基本ルールブックに掲載されている。
シュネルギアのナビゲーターを務める14歳の少女。統一帝国親衛隊G3少尉。コンロン生まれの少女でカンフーが得意。お約束どおりにお団子頭で語尾には「アル」をつける。
表面的には明るい性格だが、家族、恩人など親しいものが天使兵に根こそぎ殺されたという過去がある。それが原因で天使兵に対する激しい憎しみと同時に、親しい者を失う恐怖から他人に必要以上の好意を抱くことを避けている側面がある。
ナビゲーターとしては伊音と同様に近接戦闘を行うギアドライバーと相性が良い。これは彼女が格闘の達人であることの表現でもある。
司鏡 紀央(しかがみ きお)
ゲーマーズ・フィールド誌7th Season Vol.6において読者投稿により追加されたNPC。『2nd』で正式なナビゲーターとして、基本ルールブックに掲載されている。
シュネルギアのナビゲーターを務める17歳の少女。ヤシマ陸軍特務少尉で元は同軍の陰陽部という部署の一つ・結界維持班に所属していた。呪術の才能に長けておりその能力で軍事行動をサポートする。流れるような黒い長髪で普段から巫女装束を着用。
性格はおっとりして礼儀正しい印象があるが、実は彼女の中には感情や自我というものが極端に薄い。『2nd』で明かされるが、実は彼女は合衆国のミサイル攻撃によって死亡し、黒い天使核の力で蘇生したという過去があり、その蘇生の代償として過去の記憶と全ての感情を失ってしまっているのである。現在は失われた記憶と感情を「知識」として覚えなおしたことで、なんとか人間らしく振舞っている。
ナビゲーターとしてはトラバントと呼ばれる、エーテル兵器の扱いのサポートに最も優れている。
T-X
ゲーマーズ・フィールド誌8th Season Vol.3において読者投稿により追加されたNPC。『2nd』サプリメント、エンドレスサマーに正式掲載された。
シュネルギアのナビゲーターを務める女性型完全機械化兵。統一帝国親衛隊G3所属。
射撃関連のサポートに長ける。
次世代型の完全機械化兵の開発実験として、瑞穂基地に努めていたあるギアドライバーの死体に強引に黒い天使核を埋め込んで蘇生させたものがT-Xである。いわばフランケンシュタインのようなものなのだが、この実験は完全には成功しておらず、彼女の肉体は急速に崩壊を始めている。近いうちに彼女が再び死に至るのは決定事項である。また、T-Xは瑞穂基地で生前していたときの記憶がまだ蘇っていない。しかし、基地の仲間たちは彼女のことを熟知しており微妙な関係が予測される。
T-Xの素体になった「あるギアドライバー」とは『1st』の基本ルールブックの付属シナリオ「力の、在処」に出てくるNPC「遠山桂(とおやまかつら)」である。このシナリオは多くのユーザーが一番はじめのプレイで体験するもので、そのときと同じギアドライバーPCでT-Xをナビゲーターにすることで深いダーザイン表現が可能になっている。
T-Xはゲームデザイナーの井上純弌のお気に入りであり、2006年にはトゥアレタに続いて同人フィギュア化もされた。なお、T-Xを投稿したのは後に異界戦記カオスフレアでデビューする三輪清宗である。

瑞穂基地の関係者

ヴィヴリオ
統一帝国親衛隊G3の指揮官。階級は大佐。74歳の女性だが、様々な理由により外見は少女にしか見えない。天使核兵器の歴史の生き証人であり、公式シナリオでは機械化兵のキャラクターへのコネに多用されている。
瑞穂基地におけるシュネルギア部隊のトップであり、勝利のためならば手段は問わない冷徹な指揮官。基地司令であるギュンターの意向を聞かずに部隊を独断で出撃させることもしばしばある(G3は統一帝国軍とは独立した命令系統を持っており、彼女の独断は軍規違反にはならない)。
PCゲーム『ANGEL-CORE』から引き続き登場しているNPC。
天羅WARにも、同じヴィヴリオという名の謎めいたNPCが登場している。
リュンマ・サカモト
シュネルギアのギアドライバーを務める13歳の少女。統一帝国親衛隊G3少尉。
戦争で家族をなくした戦災孤児だが、そんなことはおくびも感じさせない前向き元気少女。性格は生真面目で素直。
スターシステムとして天羅WARに同名のNPCが登場する。
天野 ツバサ(あまの -)
シュネルギアのギアドライバーを務める15歳の少女。統一帝国親衛隊G3少尉。軍人としては戦いにやる気がまったくない素行不良な少女。ただ日常では楽観的で社交的な話せる姉さんタイプ。サボリ癖があり男性関係にはだらしない。また、自分の事を「俺様ちゃん」と呼ぶなど感性も常人の斜め上を行っている。
アクシア・リヒトヴィッツ
シュネルギアのギアドライバーを務める25歳の女性。統一帝国親衛隊G3大尉。性格はざっくばらんで親しみやすい。小隊長を務めてありPCたちの直属の上官となることが多い。
ギアドライバーとしては稀有な成人パイロット。10代が圧倒的に多い部下のギアドライバーたちに先輩として時に厳しく時に優しく指導する。実はギアドライバーになったのには意外な過去があり、『2nd』でそれが明かされる。
リメッツェ 9-11(ノイン-エルフ)
瑞穂基地に配備されている女性型完全機械化兵。統一帝国親衛隊G3軍曹。人間らしい感情は排されており、完全に戦闘のための人形。彼女はシリーズとして同時に何体も作られており、9-11とは第9世代のシリアルナンバー11という意味である。
プシナプシナ
瑞穂基地でオペレーターを務めるわずか10歳の少女。統一帝国親衛隊G3准尉。世界にほとんど残っていないと言われる古代種エルフェンの生き残りであり、先天的な強い感応力をかわれてオペレーターに登用されている。
『エンゼルギア』の原型になった井上純弌の同人誌『エンゼルコア2』ではプシナは現在のセラピアの位置にすえられたNPCで年齢設定ももっと上だったという逸話がある。
中島 三郎(なかじま さぶろう)
瑞穂基地の整備班長を務める53歳の男性。戦車、航空機、シュネルギアなどの整備を一気の束ねる。機体を雑に扱うパイロットには階級関係なくどやしつける頑固親父だがメカニックとしての腕は超一流で、整備兵やパイロットには「おやっさん」と親しまれている。
中島 茜(なかじま あかね)
瑞穂基地の整備員を務める14歳の少女で、中島三郎の娘。優れたメカニックであるが、男ばかりの整備工場で育ったせいか少々がさつな所がある。向上心が強く新技術に目がない。昔堅気な父親とは技術論で対立することもしばしば。
羽村 総司(はむら そうじ)
瑞穂基地で軍医を務める29歳の男性。通常の医療業務のほかギアドライバーの体調管理やデータ収集も行っている。いつも口に笑みを浮かべた飄々とした態度で酒とタバコと美女を好む。
なぜか軍の機密に対してかなり精通しており、瑞穂基地の中には彼の正体についていぶかしむものもいる。彼は一体何者なのか。それはGMが決めることになる。
ニナ・ホルツマン
瑞穂基地で看護士を務める19歳の女性。統一帝国系のヤシマ人。ヤシマ亡命後に生まれた二世なので、メンタリティは完全なヤシマ人である。真面目で優しく人当たりがよいという理想的な「白衣の天使」。他人のいうことをすぐ真に受けるため騙されやすい。
フリューゲル・ズィーガー
瑞穂基地に配備されている第九飛行隊の隊長を務める28歳の男性。統一帝国空軍中尉。空軍最強と称えられたエースパイロットである。
生粋の軍人であり冷静な現実主義者だが、その反面、古風な騎士道精神を心の奥に秘めている。その点が部下からは上官への尊厳を越えた熱い思いが寄せられている。
男が惚れる男として設定された渋いNPC。実はアクシアとはかつて恋人同士だった。
ギュンター・ハルトマン
瑞穂基地司令を務める45歳の男性。統一帝国空軍大佐。瑞穂基地のトップ。
叩き上げのベテランで過去の多くの戦場で国を救った祖国の英雄。亡命政府の首脳陣に推挙されたが、生涯現場主義を貫く彼は最前線である瑞穂基地の司令の座につく。
少年少女を戦場に送り込むことになるシュネルギアにはいい感情は持っておらず、ヴィヴリオとはしばしば対立する。
雛子・クライス・ガイスト(ひなこ -)
瑞穂基地のオペレータを努めるわずか12歳の少女。予知能力・千里眼・そして強力な結界生成能力に優れており、優秀な管制官として重宝されている
生まれつき病弱。先天的な視覚障害がありそれを機械化手術で補っているが、機械化との相性が悪く彼女の視界は16×16ドットの光の点滅のみで表示される。
他人に対しては礼儀正しく穏やかな人柄だが、それは人見知りの激しさの裏返しである。
元々はPC版ゲームの主人公の義妹として設定されていたキャラクターであり、『1st』ではPC版との差別化のためかTRPG版では名前のみしか紹介されなかったキャラクターである。PC版ゲームの開発休止により『2nd』からはTRPG版にも登場することになった。なお、彼女をゲームプレイに登場させた場合、プレイヤーキャラクターの誰かが彼女の義兄(姉)となる。
クベルタ 10-9(ツェン-ノイン)
瑞穂基地の地下倉庫で眠っているのを発見された完全機械化兵の少女。数十年以上前に作られたらしいが、現在でもまだ作られていないはずの「第10世代完全機械化兵」の刻印がされている。クベルタ自身は過去の記憶は失っている。
最初の発見者を「主人」と認識し、世話を焼こうとするが、本人はかなりのドジっ娘。時折未来を見通すような言動をすることもある。
雛子と同じく元々はPC版ゲームに登場予定であったキャラクターであり、TRPG版にも『2nd』で登場し、そのサプリメントでT-Xと共にナビゲーターとしても登場することになった。
エーテル兵器の扱いに長け、ナビゲーターとしてもエーテル兵器のサポートに優れ、その力は司鏡紀央と同等を誇る。
七支隊(しちしたい)
ゲーマーズ・フィールド誌8th Season Vol.1において読者投稿により追加されたNPC。
七支隊はシュネルギア戦闘のサポートをすることに特化した戦闘機部隊である。六人により構成されていて全員が女性。ゲーム的には六人で1キャラとして扱う。余談だが、六人全員が凄まじい程の爆乳である。
三条 恭花(さんじょう きょうか)
ゲーマーズ・フィールド誌8th Season Vol.4において読者投稿により追加されたNPC。
瑞穂中学校の生徒で14歳の少女。軍属ではなくただの一般人である。
彼女はある日、天使兵の襲撃により家族と友人、そして自分の足を失った。それ以降、彼女は復讐のために兵士になることを決意。しかし、特別な適正もなく軍事訓練の経験もない子どもの彼女を瑞穂基地が受け入れられるわけがない。それでも彼女はいつか戦場にいける日を夢見て、不自由な義足をひきずって毎日を自主的な訓練にあけくれている。

その他の登場人物

維馬篭 代胤(いまごめ しろつぐ)
ヤシマの情報機関「八坂機関」の長官。ヤシマ陸軍大将でもある。草薙伊音と同じくオニの血を引く。88歳の男性だが、様々な理由により外見は30代にしか見えない。
ヤシマ側の対天使工作最高責任者。過度の秘密主義であり、そのうえ他人を「道具」として見なす冷酷な性格なため、軍内部にも不信の声があるが、天使力技術を握る維馬篭に逆らえるものは軍内には少ない。
最新の天使力兵器が配備されている瑞穂基地にも維馬篭の影響力は大きい。しかし、G3(ゲードライ)、統一帝国正規軍、ヤシマ軍の三つの軍組織の共同で運用されている瑞穂基地は維馬篭にとっても自由に手が出しにくい場所である。瑞穂基地におけるG3のトップがヴィヴリオで、統一帝国正規軍のトップがギュンターなら、ヤシマ軍におけるトップが維馬篭であるとも言えよう。
PCゲーム『ANGEL-CORE』から引き続き登場しているNPC。
ゾフィー・V・シャウベルガー
旧大戦時に統一帝国最高の頭脳と呼ばれていた女性科学者で、様々な天使力兵器の礎を築いた人物。長らく行方不明になっていたが、最近になって合衆国天使十字軍で大佐として活動していることが確認された。彼女は合衆国側でシュネルギアに匹敵する天使力兵器を開発しているともされ、いわゆる「裏切り者」とみなされているが、その動機などは不明。
年齢は現在では79歳のはずだが、様々な理由により外見は20代にしか見えない。
PCゲーム『ANGEL-CORE』から引き続き登場しているNPC。

作品一覧

1st Editon

エンゼルギア 天使大戦TRPG
基本ルールブック。2003年にエンターブレインより発行。ISBN 4-7577-1469-6。
ゲーマーズ・フィールド別冊11 井上純弌の地平
過去にゲーマーズ・フィールド本誌で掲載されたエンゼルギアの追加データをまとめられてある。ISBN 4862240011。掲載内容は以下。
  • タン・メイリィ、司鏡紀央、T-X、七支隊、三条恭花のNPCデータ
  • サンプルキャラクター「ギアドライバー/ストライカー」の追加(ナビゲーターはトゥアレタ)
  • ヴィークルとアーマメントの追加データ

関連製品としてはPCゲーム版をテーマにしたサプリメントの発売予定もあったが、PCゲーム版が開発休止となったため、サプリメントも完成されずに『2nd』に移行することになった。

2nd Editon

エンゼルギア 天使大戦TRPG The 2nd Editon
基本ルールブック。2009年にエンターブレインより発行。ISBN 978-4-7577-4910-8。
エンゼルギア 天使大戦TRPG The 2nd Edition リプレイ 銀翼の救世主
リプレイ。2010年にエンターブレインより発行。ISBN 978-4047264939。
エンゼルギア 天使大戦TRPG The 2nd Edition サプリメント エンドレスサマー
サプリメント。追加データ、追加ルールに加えて、瑞穂基地周辺地域(瑞穂市街や瑞穂中学)の設定の紹介。2010年にエンターブレインより発行。ISBN 978-4047264250。

脚注

テンプレート:Reflist

外部リンク

テンプレート:井上純弌
  1. 『エンゼルギア 天使大戦TRPG The 2nd Editon』あとがきより