スレイプニル
スレイプニル[1](スレイプニール[2]、スレイプニィールとも記す。古ノルド語:Sleipnir)は、北欧神話に登場する神獣の一つ。主神オーディンが騎乗する8本脚の軍馬である。
呼称
アイスランド語の Sleipnir、またスカンジナビアで言うところの Sleipner は、古くから北欧に伝わる名で、英語の slip などと同系の言葉であるとされ、「滑走するもの」などの意味に解釈される[3]。
特徴
『古エッダ』の『グリームニルの言葉』第44節では「馬のうち最高のもの」と賞賛されている[4]。
雌馬に化けたロキとスヴァジルファリの子供[5][6]で、オーディンに献上された後は彼の愛馬になる。8本の脚を持つ最も優れた馬であり[6]、軍馬である。非常に速く走ることができ、空を飛ぶことができたという。ただし、近代以降の大衆文化の絵画的表現においては必ずしも8本脚で描かれるわけではなく、通常の馬と同じく4本脚であったりもする。例えば、デンマークの挿絵画家テンプレート:仮リンクが描くスレイプニルはときとして見た目はただの馬である。
伝承では、オーディンが人間の英雄シグルズに与えている名馬グラニが、スレイプニルの子孫であるという。
ギャラリー
- Ardre Odin Sleipnir.jpg
スレイプニルに騎乗したオーディンがヴァルハラへ帰還する場面を描いた絵画石碑「シェングヴィーデ絵画石碑 (en)」の細部
- Tjängvide.jpg
シェングヴィーデ絵画石碑(スウェーデン南部のゴットランド島に由来し、現在はストックホルムにあるスウェーデン国立歴史博物館が所蔵)
- Odin rides to Hel.jpg
W・G・コリングウッド (en) が叙事詩『バルドルの夢』をテーマに描いた木版画に見る、オーディンとスレイプニル(1908年の作)
- Odin and Sleipnir - John Bauer.jpg
挿絵画家ヨン・バウエルがヴィクトル・リュードベリ (en) の楽劇 "Our Fathers' Godsaga" のために描いた、オーディンとスレイプニル(1911年の作)
- Verkstadsadministrativt centrum vapen.svg
スウェーデン軍 VAC の紋章
- Försvarsmaktens underhållscentrum.svg
スウェーデン軍 FMUhC の紋章
- HMS Sleipner vapen.svg
スウェーデン海軍特務艦(運送艦)スレイプナー (HMS Sleipner (A343)) の紋章
- Statue Sleipnir.jpg
スレイプニルをモチーフとしたオブジェ(イングランドはウェスト・ミッドランズ (テンプレート:Sname) の一都市ウェンズベリー[en])
スレイプニルを由来としたもの
現代的娯楽作品においてはキャラクターとして登場する。とくにコンピュータゲームの分野で多く見られるが、RPGの大作ファイナルファンタジー・シリーズを一例に挙げることができる。そこでのスレイプニルは6本脚の幻獣にアレンジされている。
日本の企業フェンリルが開発したウェブブラウザーソフト "Sleipnir" は、神馬スレイプニルの名にちなんだ命名である。
脚注・出典
テンプレート:Sister テンプレート:脚注ヘルプ テンプレート:Reflist
参考文献
関連項目
- オーディンの従者たち - 神馬スレイプニル / 大烏のフギンとムニン / 狼のゲリとフレキ
- フェンリル
- シェングヴィーデ絵画石碑 (テンプレート:Sname)
- 伝説の生物一覧#複数の動物が合成(投影)されているもの
- 異馬 - 『吾妻鑑』に記述される九足馬(伝説ではなく、実際に将軍家に見せられている)