ラッシュ (バンド)
1968年、トロントの郊外ウィローデイルにてアレックス・ライフソン、ジェフ・ジョーンズ、ジョン・ラトジーの3人で結成。同年、ジェフ・ジョーンズが脱退し、二代目ベーシストとしてアレックスの友人ゲディー・リーが加入。1974年、結成6年目にプロ・デビューを果たす。デビュー後、アメリカ・ツアーを前にドラムスがニール・パートに変わり、以降、不動のラインナップとして現在に至る。幾度かJuno Award[1]を受賞(末尾「Juno Award受賞履歴」を参照)。1994年にはその殿堂入り[2]を果たした。2013年にロックの殿堂入りを果たした。
目次
来歴
デビューとその時代背景
彼らのデビューした1974年当時はレッド・ツェッペリン(Led Zeppelin)の全盛時代で、彼らも類に洩れずツェッペリンの影響を強く受け、デビュー当初はレッド・ツェッペリン直系と言えるストレートで骨太なサウンドの典型的ハードロックバンドであった。
ハードロック・バンドからの脱皮
デビュー・アルバム発表の殆ど直後というタイミングで、ドラムスがニール・パートにメンバーチェンジしたことがバンドにとっての転機となった。 彼は哲学的な詞をバンドに提供し、これをサウンドで表現しようとする事が動機となり、その後プログレッシブ・ロック的な発展をしていく事となる。アルバム「フェアウェル・トゥ・キングス」ではシンセサイザーを用いている。
プログレ色と大作主義
「フェアウェル・トゥ・キングス」収録の最終曲 "Cygnus X-1 Book 1" を、大作主義的曲になる事を匂わせた上で「to be continued(続く…)」としてしまった。 実際この段階では次作で大組曲 "Cygnus X-1 Book II" を構想しており、この予告編としてこれを入れたのである。そして苦労の末に発表されたアルバム「神々の戦い」は大作主義的であるが、そこに展開されている歌詞は、その後のニール・パートの歌詞の作風となる「少ない単語で端的に言い表す」ものに既になっていた。
ラッシュらしさの確立
次作「パーマネント・ウェイヴス」では「短い曲」で「シングルをリリースする」という目標が(レーベルの意向も強くあって)立てられた。そして生まれたのが "The Spirit of Radio" である。この曲の長さは「4分59秒」であった。ここで行なわれた「耳馴染み易いポップな歌」と「技巧性の高い演奏&複雑なリズムアレンジ」との両立がこの後のラッシュの独自性ということになっていく。
メンバー
- ゲディー・リー:ベース、ボーカル、キーボード、ペダルベース
- そのハイトーンのボーカルは「鶏の首を絞めた声」とたとえられている。曲中でベースとキーボードを交互に弾き分けたり、ベースを弾きながらペダルベースを演奏するというスタイルも持つ。 シーケンサーによる自動演奏も援用するようにはなったが、「自分で弾ける限りは弾く」という基本姿勢があると言われる。使用しているベースはフェンダー・ジャズベース、リッケンバッカー、スタインバーガー、ウォルなど。尊敬するベーシストは、ジェフ・バーリン。
- アレックス・ライフソン:ギター
- デビュー当初はディストーションをかけたギターのリフを主体としていたが、その後には、ポリスのアンディ・サマーズのようなコードカッティングとディレイ処理を組み合わせた奏法も行なっている。ライブ演奏においても、シーケンサーやテープとの同期を試み、ソロに多少のアレンジを加えた演奏をしている。
- ニール・パート:ドラムス、パーカッション
- ありとあらゆる打楽器類[3]を並べたドラムセットを使用している。音楽活動以外では、自転車、オートバイで旅行するのが趣味である。
ディスコグラフィー
アルバム
発表年 | アルバム・タイトル(邦題) | アルバム・タイトル(原題) | US最高順位 | US売上枚数 |
---|---|---|---|---|
1974年 | 閃光のラッシュ | Rush | 105 | 500,000 |
1975年 | 夜間飛行 | Fly By Night | 113 | 1,000,000 |
1975年 | 鋼の抱擁 | Caress Of Steel | 148 | 500,000 |
1976年 | 西暦2112年 | 2112 | 61 | 3,000,000 |
1976年 | 世界を翔けるロック | All The World's A Stage | 40 | 1,000,000 |
1977年 | フェアウェル・トゥ・キングス | A Farewell To Kings | 33 | 1,000,000 |
1978年 | 神々の戦い | Hemispheres | 47 | 1,000,000 |
1980年 | パーマネント・ウェイヴス | Permanent Waves | 4 | 1,000,000 |
1981年 | ムーヴィング・ピクチャーズ | Moving Pictures | 3 | 4,000,000 |
1981年 | ラッシュ・ライヴ~神話大全 | Exit...Stage Left | 10 | 1,000,000 |
1982年 | シグナルズ | Signals | 10 | 1,000,000 |
1984年 | グレイス・アンダー・プレッシャー | Grace Under Pressure | 10 | 1,000,000 |
1985年 | パワー・ウィンドウズ | Power Windows | 10 | 1,000,000 |
1987年 | ホールド・ユア・ファイア | Hold Your Fire | 13 | 500,000 |
1988年 | ラッシュ・ライヴ~新約・神話大全 | A Show Of Hands | 21 | 500,000 |
1989年 | プレスト | Presto | 16 | 500,000 |
1991年 | ロール・ザ・ボーンズ | Roll The Bones | 3 | 1,000,000 |
1993年 | カウンターパーツ | Counterparts | 2 | 500,000 |
1996年 | テスト・フォー・エコー | Test For Echo | 5 | 500,000 |
1998年 | ディファレント・ステージズ・ライヴ | Different Stages | 35 | 500,000 |
2002年 | ヴェイパー・トレイルズ | Vapor Trails | 6 | 500,000 |
2003年 | ラッシュ・イン・リオ | Rush In Rio | 33 | 500,000 |
2004年 | フィードバック | Feedback | 19 | |
2005年 | ルート30 | R30 | - | |
2007年 | スネークス・アンド・アローズ | Snakes & Arrows | 3 | |
2008年 | スネークス・アンド・アローズ・ライブ | Snakes & Arrows Live | 18 | |
2012年 | クロックワーク・エンジェルズ | Clockwork Angels | 2 | |
2013年 | クロックワーク・エンジェルズ・ツアー | Clockwork Angels Tour | 33 |
ベスト・アルバム
- 1990年 クロニクルス CHRONICLES
- CD化に伴い前2作のライヴアルバムからカットされた「What You're Doing」(『ALL THE WOLRD'S A STAGE』収録)と「A Passage To Bangkok」(『EXIT...STAGE LEFT』収録)の2曲を収録したベスト盤。
- 2003年 ザ・スピリット・オブ・レイディオ THE SPIRIT OF RADIO
- 2009年 レトロスペクティブ 3 RETROSPECTIVE Ⅲ
Juno Award受賞履歴
Juno Award オフィシャル・サイトより。ノミネートは殆ど毎年されているので割愛。
- 1975年:Most Promising Group of the Year(最も有望な新人に贈られる賞)
- 1978年:Group of the Year
- 1979年:Group of the Year
- 1991年:Best Hard Rock/Metal Album -「プレスト」(Presto)
- 1992年:Hard Rock Album of the Year -「ロール・ザ・ボーンズ」(Roll The Bones)
- 2004年:Music DVD of the Year -「ラッシュ・イン・リオ」(Rush In Rio)
日本公演
脚注
関連項目
外部リンク