竜飛定点
竜飛定点(たっぴていてん)[注 1]は、青森県東津軽郡外ヶ浜町字三厩龍浜にある、北海道旅客鉄道(JR北海道)の施設である。海峡線(津軽海峡線)青函トンネル内の海底部の区間に存在する。
1988年3月13日の青函トンネル開業時に竜飛海底駅(たっぴかいていえき)として設置され、見学整理券を持った見学客のみが乗降できる特殊な駅として機能していた(後述)。
概要
青函トンネルの青森県側の定点として、非常時の旅客避難所および保線基地、トンネルの維持に必要な各種機械類の設置を目的として設置された[1]。吉岡海底駅とともに、青函トンネル内に設置された駅の一つであったが、一般的な意味での「駅」ではなく、海底駅見学整理券を持った見学者以外の一般旅客の利用はできなかった。非常時と係員以外、地上への出入りも不可能であった[注 2]。
下記休館期間を除き、国道339号の青函トンネル記念館(道の駅みんまや)より当駅の見学(有料)ができた。ただし、記念館側から入る場合はプラットホームへ行くことはできなかった。逆に、当駅側から入った見学者は地上の記念館に青函トンネル竜飛斜坑線を使って上がった際に、復路のケーブルカーの出発時間までなら記念館の外に出ることも可能であった。
以前は「竜飛海底駅見学コース」で、のちに「竜飛記念館コース」(当駅と青函トンネル記念館見学)が設定され、一本化された。そのため、国道339号が冬季通行止めとなる11月中旬から4月下旬までの間、青函トンネル記念館も休館になる場合が多く、その期間は駅の見学コース自体が設定されていなかった。
北海道新幹線の工事に伴い、見学者向けの停車および見学コースの営業は2013年11月10日をもって取りやめられることになり[2][3]、最後の土日となる11月9日・10日には函館支社によるツアーが企画された[4]。2014年3月14日をもって、正式に廃止された[5][6][7]。駅が廃止された後も、緊急時のために避難設備は残されている[8]。
廃止されるまでは、海面下149.5mの日本一低い位置にある鉄道駅であった[9][注 3]。
歴史
- 1988年(昭和63年)3月13日:海峡線の開業とともに、竜飛海底駅として開設。
- 2002年(平成14年)12月1日:東北新幹線(盛岡駅 - 八戸駅間)開業にともなうダイヤ改正を実施。快速「海峡」が廃止され、津軽海峡線の普通列車が消滅したことに伴い、特急「白鳥」・「スーパー白鳥」のみの停車となる[10]。
- 2013年(平成25年)11月11日:全ての列車が停車しなくなる[6]。なお、10日まで停車していた列車の所要時分に変化はなく、当駅で時間調整のための運転停車が行われていた。
- 2014年(平成26年)3月14日:竜飛海底駅が廃止[7]、竜飛定点となる。
駅構造
相対式2面2線ホームを持つ地下駅であり、列車の退避などはできなかった。休止される直前は特急「白鳥」・「スーパー白鳥」のうち2往復のみが停車していた。
本線に設置されていたプラットホームは在来線規格で、幅は84cmと非常に狭い[注 4]。これは、避難用に新幹線規格の状態で設置された従来のホームと在来線列車との間には隙間があり、在来線列車とホームの間で転落する危険があるとの判断から、海底駅見学開始時に運輸省からの指導によってそれらを埋めるために設置されたものである[注 5]。駅の廃止後は新幹線車両の通過に支障を来すため、撤去される。
旅客扱いをする特急「白鳥」・「スーパー白鳥」では2号車のドアを非常ドアコックで開閉していた。なお、快速「海峡」が運転されていた頃は函館行1号車、青森行12号車のみ開き、その他はドアカットされていた。
駅周辺
- 横取基地
- 保守用車両の待避・留置場所および資材の搬入口として設置された。現在は上り線側のみの使用となっており下り線側に線路は敷設されていないが、新幹線建設に伴い整備される予定である。
- 避難所
- 列車火災や停電などの際に、旅客が一時的に避難する場所として設置され、約1,000人を収容可能である。300人が座れるベンチのほか、簡易トイレ、公衆電話が設置されている[注 6]。海底駅だった頃には、見学者向けに青函トンネルの概要や建設時の様子を伝えるパネルなどが設置されていた。
- 鋼索斜坑
- 記念館駅と体験坑道駅(海面下140m)を結ぶケーブルカー「もぐら号」(青函トンネル記念館 青函トンネル竜飛斜坑線)が通る斜坑で、距離は778mである。上記休館期間を除き旅客輸送を行っている。また、斜坑には階段が併設されており、竜飛海底駅のある位置から地上まで2,247段ある。
隣の駅
脚注
注釈
出典
関連項目
外部リンク
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