オオヤマネコ

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テンプレート:生物分類表 オオヤマネコ(大山猫)は、ネコ科オオヤマネコ属 Lynx に属する中型獣の総称。欧米での呼び方をそのまま用いて、リンクスと称することもある。狭義の「オオヤマネコ」は、オオヤマネコ属のの1つ、ヨーロッパオオヤマネコ Lynx lynx(ユーラシアオオヤマネコ、ヨーロッパリンクス)を指す。 オオヤマネコ属には、ヨーロッパオオヤマネコのほか、カナダオオヤマネコ Lynx canadensisスペインオオヤマネコ Lynx pardinusボブキャット Lynx rufus の3種が属する。

体長85-115センチ。は短い。アメリカに生息するカナダオオヤマネコは平均12キロ、ユーラシアに生息するヨーロッパオオヤマネコは平均22キロと体のサイズに開きがある。北米ヨーロッパアジア北部に生息する。の上でも楽にジャンプできるため、行動範囲が広く1晩で40km移動することもある。カナダオオヤマネコは主にネズミリス昆虫ウサギを捕食し、ヨーロッパオオヤマネコはこれらに加えシカなどの大きな獲物も狙うことがある[1]。天敵はピューマなどのより大型のネコ科動物。

「視力の鋭い者」のたとえ

オオヤマネコ/リンクス lynx の名は、「」を意味するギリシャ語に由来し、照度の単位ルクス lux とも同根である。これは、オオヤマネコの眼がかすかな光でもよく見えることに由来するが、古代ローマでは観察眼の鋭さを「オオヤマネコの眼」と表現し、英語では、lynx-eyed 「オオヤマネコの眼をした」という表現で「眼の鋭い」ことを表す。古代から中世にかけて、どんなものでも見透かしてしまう超越的な視線の持ち主と考えられた「ボイオティアの大山猫(リンクス)」の名が、しばしば比喩として引かれた。[2]

中世キリスト教では、明敏や明智を表すものとして、貴族の紋章にオオヤマネコを用いたものがある。17世紀に設けられた西洋星座やまねこ座も、明るい星のない星域に「この星座を見るためには誰もがヤマネコのような目を必要とするから」という理由からオオヤマネコがイメージされている。また、1993年公開の映画山猫は眠らないはスナイパーである主人公をオオヤマネコに例えたものである。

日本におけるオオヤマネコ

北海道・本州・四国・九州の縄文時代草創期~晩期の遺跡や、秋吉台の洞穴で旧石器時代更新世)のオオヤマネコの骨が断片的であるが発掘されている。

オオヤマネコは縄文人の狩猟対象動物であり、縄文時代のハンターにとっては勇敢さと狩猟技量の高いことなどを誇示する最良の動物であったと考えられる。 縄文時代の遺物の中には犬歯の歯根部への穿孔したものがあり、垂飾りに使われたと考えられている。また下顎骨は首飾りに使ったと考えられる。

オオヤマネコはユーラシア大陸におけるマンモス動物群の一要素として最終氷河期の頃ヘラジカトナカイなどとともにおそらく北海道経由で日本列島に渡来したと考えられる。 [3]

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脚注

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  1. ナショナルジオグラフィック日本公式サイト「オオヤマネコ」解説より
  2. ボイオティア Boeotia は中部ギリシャの1地方。「もしも人間がボイオティアの大山猫のように、皮膚の下にあるものを見ることができるならば、誰もが女を見て吐き気を催すことになろう」というオドン・ド・クリュニー(10世紀フランス修道士)の言葉が有名。
  3. 長谷川善和・金子浩昌・橘麻紀乃・田中源吾「日本における後期更新世~前期完新世産のオオヤマネコLynxについて」『群馬県立自然史博物館研究報告(15)』群馬県立自然史博物館 (2011年)