アラベスク (歌手)
アラベスク (Arabesque) は、1977年にデビューし、1984年頃まで活動した西ドイツ(当時)の音楽プロジェクトである。
竹の子族などの支持もあり、80年代前期の日本における洋楽の人気の牽引車となり、日本発の人気は韓国・中国語圏などアジアにまで広がった。また、当時のソ連や中南米でも成功を収めたが、一方、本国西ドイツでは「哀愁のマリゴット」(チャート8位)しかヒットしなかった。
歴史
1977年、西ドイツの実業家であるヴォルフガング・メーヴェス(Wolfgang Mewes)は、当時ドイツから世界に向けてヒットを連発していたボニーMに触発されて、自らもボニーMのようなプロジェクトを作りたいと思い立ち、傘下の音楽出版社でプロジェクトチームを組み、プロトタイプとして「ハロー・ミスター・モンキー」を制作、世界各地に売り込みをかける。
1978年、日本のビクター音楽産業が、「ハロー・ミスター・モンキー」の日本での発売権を獲得し、大ヒットを記録。このヒットによって、それまでいろいろな人物が入れ変わり立ち変わりしていた「アラベスク」は、音楽プロデューサーにジーン・フランクファーター(Jean Frankfurter)、シンガー・チームにサンドラ・アン・ラウアー(Sandra Anne Lauer)、ミシェーラ・ローズ(Michaela Rose)、ジャスミン・エリザベス・フェッター(Jasmin Elisabeth Vetter)という固定したメンバーによるプロジェクトとして活動することとなる。
特に1979年から加入しメイン・ボーカルに起用された当時17歳だったサンドラ・アン・ラウアーは、美貌かつ小顔で手足が長いモデル体型の美女で、この頃の日本のアイドルにはいないタイプで人気を牽引した。アラベスクの活動停止後、1982年の日本公演・6thアルバム『キャバレーロに夢中』に参加した、キーボード奏者・ソロアーティスト・プロデューサー(作品にはマイク・オールドフィールドの「アイランド」、ヒューバート・カーなど)として活動していたマイケル(ミヒャエル)・クレトゥのプロデュースでソロ・デビュー、1988年に結婚(現在は離婚)、エニグマ参加に至る。
アラベスクとしては長らく活動休止状態だったが、2006年12月、オリジナルメンバーのミシェーラ(Michaela Rose)をメインボーカルに新メンバー、ザビーネ・ケンパー(Sabine Kaemper)、ジルケ・ブラウナー(Silke Brauner)の3人がモスクワのレトロ・FMフェスティバルにゲスト出演し、往年の曲を披露した。世界ツアーやニューアルバムのリリースも噂されている。
ディスコグラフィ
オリジナル・アルバム
- 『アラベスク・ファースト』 - Friday Night (1978.12.5)(日・独ともに1st)
- 『ペパーミント・ジャック』 - City Cats (1979.10.25)(日・独とも2nd)
- 『ハイ・ライフ』 - Marigot Bay (1980.5.21)(日・独とも3rd)
- 『さわやかメイク・ラブ』 - Arabesque IV (1980.12.5)(日本4th)
- 『ビリーズ・バーベキュー』 - Arabesque V (1981.8.21)(日本5th)
- In For A Penny (1981)(独4th。日本盤『さわやかメイク・ラブ』『ビリーズ・バーベキュー』からの編集盤。ドイツでの最後のオリジナルアルバム)
- 『キャバレーロに夢中』 - Caballero (1982.4)(日本6th) *裏ジャケにキーボード:マイケル・クレテュ、ギター:マッツ・ビョークランド(「ザンジバル」、「シークレット・ランド/サンドラ」共作者)の記載
- 『愛のリプライ』 - Why No Reply : Arabesque VII (1982.12)(日本7th)
- 『恋のルーザー』 - Arabesque VIII (1983.12)(日本8th)
- 『恋はナイト・アンド・デイ』 - Time To Say 'Good-Bye' (1984.12.16)(日本9th。ラスト・アルバム)
ベスト・アルバム/企画アルバム
- 『アラベスク・グレイテスト・ヒッツ』 - Greatest Hits (1981.5)(初来日を記念した企画盤、アラベスク初のベストアルバム)
- 『カラフル・アラベスク』 - Everybody Likes Arabesque ~Nonstop Hit Medley~ (1982.3)(またも来日を記念した特別企画盤。こちらはノンストップミックスが特徴的。)
- 『ファンシー・コンサート アラベスク・ライブ イン・ジャパン』 - FANCY CONCERT ~Arabesque Live In Japan~ (1982.10)(日本公演ライブアルバム)
- 『ラジオ☆アラベスク』 - RADIO ARABESQUE (1983.9)(「『本人たちがDJするラジオ局』で自分たちの曲紹介をする」という、一風変わった企画盤)
- 『アラベスク・ベスト・コレクション』 - ARABESQUE BEST COLLECTION (1984.5.21)※
- 『ハート・オン・ファイア / アラベスク・スーパー・ベスト』 - ARABESQUE SUPER BEST (1984.8.21)※(上記と同一内容の初ベストCD)
- 『ハロー・ミスター・モンキー~恋にメリー・ゴランド / アラベスクのすべて』 - ARABESQUE BEST SELECTION (1986.11.1)(解散後の初ベストアルバム)
- 『<Best One>アラベスクのすべて』 - Best One - ARABESQUE (1987.11.1)
- 『<Best One>決定版アラベスク・グレイテスト・ヒット』 - Best One - ARABESQUE (1989.11.21)(全20曲、1988.10.21にジャケット違いが発売)
- 『<Best One>アラベスクのすべて』 - ARABESQUE (1984.12.16)(全18曲。1990.11.25、1991.10.25と『<Best One>アラベスク・ベスト・コレクション』としてそれぞれジャケット違いで再発売。)
- 『<TWIN BEST>アラベスク・ベスト・ヒット36』 - ARABESQUE BEST HITS 36 (1992.11.26)(2枚組のコンピレーション・アルバム)
- 『ベスト・オブ・ベスト』 - BEST OF BEST ARABESQUE (1994.10.26)(1500円シリーズの廉価版。価格のためか10曲しか入ってない)
- 『Arabesque Deluxe』 - Twin Best (1995.06.28)(2枚組のコンピレーション・アルバム。本国ドイツでは1994年に発売)
- 『アラベスクのすべて』 - THE BEST OF ARABESQUE (1996.1.24)(5枚組の「ビクター・ファミリー・クラブ」通販専用盤。後に一般にも発売)
- 『アラベスク・ノン・ストップ・ベスト・ヒッツ』 - ARABESQUE NON-STOP BEST HITS (1998.3.4)(ノンストップ・リミックス盤)
- 『アラベスク・ベスト・コレクション』 - ARABESQUE BEST COLLECTION (2001)(ソニーのCD専門通販「The CD Club」企画盤、唯一の『他メーカー発売』アルバム。廃盤)
- 『<おとなBEST>ARABESQUE』(2009.9.16)(久々の『メーカー企画』ベスト、SHM-CD仕様。カバージャケットはドイツ盤シングル「哀愁のマリゴット」の別カットと思われる写真が使われている。)
- 『スーパー・ベスト』 - ARABESQUE Super BEST (2009.12.4)(TSUTAYA限定の廉価版。上記『おとなBEST』から「貴方を待って」「ディスコ・フィーバー」「キャバレーロに夢中」「ルシファーズ・ラバー」「ザ・マン・ウィズ・ザ・ガン」「終幕」の6曲を除いたもの)
- アルバムの原題は、ドイツ盤のあるものはドイツ盤に準拠したため一部日本盤とは異なる。
シングル
- 『ハロー・ミスター・モンキー』Hello Mr.Monkey -『バギーボーイ』 Buggy Boy (1978)
- 『フライデイ・ナイト』Fryday Night -『貴方を待って』 Someone The Waiting For You (1978)
- 『フライ・ハイ』Fly High Little Butterfly -『ギブ・イット・アップ』 Give It Up (1979)
- 『今夜もロック・ミー』Rock Me After Midnight -『ディスコ・フィーバー』 In The Heat Of The Disco Night (1979)
- 『ペパーミント・ジャック』Peppermint Jack -『ルシファーズ・ラバー』 Lucifer's Lover (1979)
- 『ハイ・ライフ』High Life -『ローラー・スター』 Roller Star (1980)
- 『恋のペントハウス』Parties In A Penthouse -『ジングル・ジャングル・ジョー』 Jingle Jangle Joe (1980)
- 『さわやかメイク・ラブ』Make Love Whenever You Can -『ひとりぼっちの朝食』 I Dont Wanna Have Breakfast With You (1980)
- 『ミッドナイト・ダンサー』Midnight Dancer -『狼に気をつけて』 Keep The Wolf From The Door (1981)
- 『恋にメリーゴーランド』In For A Penny In For A Pound -『私のナイス・ヒーロー』 The Hero Of My Life (1981)
- 『ビリーズ・バーベキュー』Billy's Barbeque -『インディオ・ボーイ』 Indio Boy (1981)
- 『幸せのジャックポット』Hit The Jackpot -『フラッシュ・イン・ザ・パン』 A Flash In The Pan (1981)
- 『キャバレーロに夢中』Caballero -『愛しのストーリー・テラー』 Tall Story Teller (1982)
- 『ヤング・ファースト・ラブ』Young Fingers Get Burnt -『ザンジバル』 Zanzibar (1982)
- 『愛のリプライ』Why No Reply -『ディスカバー・ミー』 Discover Me (1982)
- 『あの愛をもう一度』Pack It Up -『ステューピッド・ボーイズ』 Stupid Boys (1983)
- 『気分もエアロビック』Dance Dance Dance -『サンライズ・イン・ユア・アイズ』 Sunrise In Your Eyes (1983)
- 『恋のルーザー』Loser Pays The Piper -『天使と悪魔』 Angel Face (1983)
- 『ハート・オン・ファイア』Heart On Fire -『それならムーヴ・オン』 You Better Get Move On (1984)
- 『恋はナイト・アンド・デイ』Time To Say -Good Bye- -『サンセット・イン・ニューヨーク』 Sunset In Newyork (1985)
※邦題付の曲のみ表記
備考
日本で2000年にヒットしたモーニング娘。の「ハッピーサマーウェディング」はサウンドアレンジやメロディにおいてアラベスクの影響を強く受けており、アラベスクへのオマージュともいえる楽曲である。
2014年からグリーンチャンネルで放送されている教えてVANdaくん! 勝ち馬リサーチャーの番組オープニングでペパーミント・ジャックが使用されている。