冥祥記
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冥祥記(めいしょうき)は、中国・南朝の宋・斉代の人である王琰が撰した志怪小説集である。
撰者の王琰は、当時の名家である太原の王氏の出身であり、南斉の太子舎人、梁の呉興県令となったことが知られている。本書の成立は、自序中に見える479年(建元元年)より、本書に触れる『観世音応験記』が成立した501年(中興元年)の間に比定されている。
『隋書』「経籍志」は、本書を子部・小説家類とはせず、史部・雑伝類に著録している。このことは、単に本書のみにとどまらず、志怪小説が創作の産物ではなく、事実を記録したものとして認識されていたことを示している。
テキスト
本書は早くに散佚してしまい、完本は存在しなかった。魯迅が輯佚した『古小説鉤沈』所収本が、現在、唯一まとまって見ることができるテキストである。魯迅は、『太平広記』より38条、『法苑珠林』より124条、重複を除いて合計132条の説話を収録している。