NEARシューメーカー
テンプレート:宇宙機 NEARシューメーカー(ニア シューメーカー) (NEAR Shoemaker) は、アメリカ航空宇宙局(NASA)のディスカバリー計画の一環として行われた、地球近傍小惑星・(433)エロスを探査するミッション、または探査機の名前である。
もともと探査機の名前は「NEAR (Near Earth Asteroid Rendezvous; 地球近傍小惑星接近計画)」だったのだが、エロス探査前に亡くなった、計画の重要人物ユージン・シューメーカーを偲び、ミッション終了後、「NEARシューメーカー」と改名された。
概要
NEARは、太陽系形成の仕組みを解明するにあたって非常に重要な手がかりとなる地球近傍小惑星である、エロスを探査する。このミッションでは、エロスの大きさ、形状、質量、密度、組成、地表と内部の構造及び磁場の詳細な探査がおこなわれることになった。
エロスとの遭遇に先立ち、NEARは小惑星(253)マティルドを接近飛行することになった。1997年6月27日、NEARはマティルドから2400kmの距離を接近通過しながら観測を行った。
NEARは、1999年1月にエロスに遭遇し、軌道を周回しながら約1年間エロスを探査する予定であった。しかし、軌道修正に誤差動が生じたため、1998年12月、計画はスイングバイに変更された。この結果、エロスとの遭遇は2000年2月に延期された。
1998年1月、NEARは地球スイングバイを終えてエロスに向かった。そして2000年2月14日、NEARはエロスとのランデブーに成功し、小惑星の軌道に到着した最初の探査機となった。
その後、主に地表から20 km~40 kmの範囲の軌道を周回し、時には地表3 kmの低空周回をしながら、エロスの形状、起伏に富んだ地表、地表を覆うレゴリス、溝や尾根といった地表の地形、そしてクレーターなど、計画をはるかに上回る16万枚以上の画像を撮影した。
小惑星の地形図作成が完了した後、エロスへの軟着陸が行われた。元々、探査機は着陸用には設計されていなかったが、今後の小惑星探査ミッションのために、実験的に着陸を行うことになった。成功する確率は1%以下だと言われていたが、無事成功した。
日程
- 1996年2月17日: デルタIIロケットで打ち上げ。
- 1997年7月28日: 小惑星(253) マティルドに接近。
- 1998年1月23日: 地球でスイングバイを行う。
- 2000年2月14日: エロスの周回軌道に入る。
- 2001年2月12日: エロスへの軟着陸に成功。引き続き、ガンマ線分光計で地表の成分分析を行う。
- 2001年2月28日: 全ミッションを終了。
- 2001年3月14日: 「NEARシューメーカー」と改称。
探査機器
- マルチスペクトル撮像カメラ
- 近赤外線分光計
- X線・ガンマ線分光計
- 磁力計
- レーザー距離測定器
- 電波科学機器
- 重力計