エロス (小惑星)

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テンプレート:天体 基本 テンプレート:天体 発見 テンプレート:天体 軌道 テンプレート:天体 物理 テンプレート:天体 終了 エロス (433 Eros) は地球近傍小惑星 (NEAs) の一つ。1898年8月13日ドイツのウラニア天文台の所長カール・グスタフ・ヴィットによって写真観測により発見され(同日にオーギュスト・シャルロワも発見していたが発表が遅れた)、ギリシア神話の恋心と愛のエロースにちなんで命名された。これは、小惑星に初めて男性名が命名されたケースである。

エロスは初めて発見された地球近傍小惑星でもあり、アモール群に属する。太陽からの平均距離は1.46天文単位(およそ2億1900万km。火星の軌道の内側)で、地球へ最大2300万kmまで接近する。なお、地球近傍小惑星の中で2番目に大きい(最大の小惑星は (1036) ガニュメート)。

2012年1月31日には地球まで0.18天文単位まで接近した[1]。地球への接近は35年ぶりで、次の接近は2056年

近接探査

1975年ゴールドストーン電波望遠鏡によりエロスのレーダー観測が小惑星としては初めて行われ、形状が推定された[2]

1996年に打ち上げられた無人探査機「NEAR」は2000年2月15日にエロスの周回軌道に入り、おびただしいデータを送ってきた。以前から、エロスが変光する事が知られていたので、その形は細長く、しかも自転しているものと推定されてきたが、撮影された写真から、エロスはピーナッツ形をしていることが分かった。そして2001年2月12日(アメリカ時間)、探査機はエロスへの軟着陸を果たし、2週間にわたってデータを送信し続けた。ミッション終了後、NEARは「NEARシューメーカー」と改称された。

地形

テンプレート:Main エロスの10kmに渡って窪んでいる部分は発見当時"Saddle"()とあだ名が付けられ、後にギリシア神話の慕情の神の名を取りヒメロス (Himeros) と命名された。ヒメロスはエロスで最大のクレーターである。NEARシューメーカーが着陸したシューメーカー・クレーターはヒメロスの端の方にある。エロスで2番目に大きいクレーター、プシュケ (Psyche) はヒメロスの反対側にあり、直径は4.8Kmある。

エロスのクレーターには、恋愛に関係の深い神話や伝説、文学作品などに由来する名がつけられた。日本からは源氏物語の"Genji"(源氏)と"Fujitsubo"(藤壺)の名がクレーターに付けられている。

物理的性質

ファイル:Erosregolith.jpg
NEARシューメーカーが着陸直前に撮影したエロスの地表。レゴリスに覆われていることが分かる

エロスは細長い形状のため、地点によって重力や温度が大きく変わる。また、小物体が衝突すると衝撃で星全体が揺さぶられて表面のレゴリスが崩れるため、エロスには小クレーターが1km2あたり平均40個ほどしかない。

なお、NEARシューメーカーに搭載されたX線-ガンマ線分光器 (XGRS) による分析から、エロスはカンラン石輝石などを含む珪酸塩で構成された普通コンドライトで出来ていると見られている。

関連項目

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脚注

  1. Asteroid 433 Eros Getting Close to The Earth Orbit, Scienceray, 2012年1月30日2013年9月11日閲覧
  2. Eros: Calibration of Radar-Based Shape Constraints from First NEAR Images

外部リンク

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