オートマティスム
オートマティスム(Automatism、Automatic writing)とは、心理学用語で「自動筆記」「自動記述」という意。あたかも、何か別の存在に憑依されて肉体を支配されているかのように、自分の意識とは無関係に動作を行ってしまう現象などを指す。
霊能者による自動筆記
たとえば霊媒や、予言者・チャネラーなどと呼ばれる人々は、「死者の霊が下りてきた」「神や霊に命令されている・体を乗っ取られている」「高次元の存在や宇宙人とチャネリングを行う」などの「理由」により、無意識的にペンを動かしたり語り始めたりする。これは神霊などがこの世界に接触を図る方法として説明されている。日本ではかつて「神がかり」「お筆先」とも呼ばれていた。
シュルレアリストによる自動筆記
第一次世界大戦後、フランスの詩人でダダイストでもあったアンドレ・ブルトンは、ダダと決別して精神分析などを取り入れ、新たな芸術運動を展開しようとした。彼は1924年、「シュルレアリスム宣言」の起草によってシュルレアリスム(超現実主義)を創始したが、彼が宣言前後から行っていた詩作の実験がオートマティスム(自動記述)と呼ばれている。
これは眠りながらの口述や、常軌を逸した高速で文章を書く実験などだった。半ば眠って意識の朦朧とした状態や、内容は二の次で時間内に原稿用紙を単語で埋めるという過酷な状態の中で、美意識や倫理といったような意識が邪魔をしない意外な文章が出来上がった。無意識や意識下の世界を反映して出来上がった文や詩から、自分達の過ごす現実の裏側や内側にあると定義されたより過剰な現実・「超現実」が表現でき、自分達の現実も見直すことができるというものだった。
原理の解明
憑依現象の一種と考えて、自己催眠の一形態として説明されるケースがある。また統合失調症や夢遊病など、なんらかの病的要因が潜んでいるケース、薬物などの使用によるケースも指摘されている。