超広帯域無線
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超広帯域無線(ちょうこうたいいきむせん) は無線通信方式の一つで、近距離で高速通信と位置検出が可能な無線技術のこと。一般的にUWB (Ultra Wide Band) と呼ばれ、この方式を採用した通信規格が多く研究・実用化されている。
この技術は元々アメリカの軍事技術として開発されたが、連邦通信委員会 (FCC:Federal Communications Commission) から2002年2月14日に民間利用の認可が下りたことがきっかけとなり注目された。 アメリカでは特別な免許無しでの使用が可能。
目次
定義
広義の超広帯域無線
- 500MHz以上の帯域幅を使用する無線通信(1.5GHz以上の帯域幅とする事もある)
または
搬送波・変調の有無に関わらず、近距離高速通信が可能な無線技術のこと。
狭義の超広帯域無線
インパルスレディオ(Impulse Radio, インパルス無線)方式で、変調をせずに、1ナノ秒 (ns) 以下の数百ピコ秒 (ps) 程度の非常に短いインパルス状の純粋なパルス信号列を無線で送受信する通信方式のこと。
一般的な超広帯域無線
搬送波・広帯域変調を用いた、近距離高速通信が可能な無線技術のこと。位置測定やレーダーの機能も持ち合わせている。IEEE 802.15.3aのことを示す場合が多い。Wireless USBの基本技術でもある。 但し、IEEE 802.15.3a WG(ワーキンググループ)は、後述のMB-OFDMを支持する陣営とDS-UWBを支持する陣営間の合意形成ができないまま、2006年1月の会議で規格の策定を放棄したため[1]、現在は各方式の陣営によるデファクトスタンダードの獲得競争が行われている。
特徴
- 消費電力が少ない
- 妨害電波に強い
- 高速通信が可能。ただし、距離が長くなると極端に速度が低下する。
- 位置検出の精度が高く、誤差は数cm内
- 従来以上に広い周波数帯に拡散して通信を行う
- 半径10m程度の近距離での使用がターゲット
使用する帯域・帯域幅(基本)
- マイクロ波帯
- 米国では3.1GHz~10.6GHzが利用可能
- 日本では3.4~4.8GHz、7.25~10.25GHzが利用可能[2][3]
- 単位周波数当たりの出力レベル(放射電磁雑音規制値) - -41.3 dBm/MHz
- 準ミリ波帯
- 22GHz~29GHz
- ただし23.6~24GHzについては電波天文・地球探査衛星などで使用される帯域のため、この帯域に対する妨害を与えないことが条件となる。[4]
通信速度
変調方式
- MB-OFDM (MultiBand Orthogonal Frequency Division Multiplexing) - Multiband-OFDM Alliance (MBOA) が推進
- OFDMを応用。3.1GHz~10.6GHzの帯域を14バンドに分割し割り当て、それを5つの論理チャンネルにグループ化。
- DS-UWB (Direct Sequence UWB) - モトローラ陣営が推進
- インパルスレディオ方式とDSスペクトル拡散方式のハイブリッド。
以下の方式は上記の方式の折衷方式である。
- CSM(Common Signaling Mode:コモン・シグナリング・モード)方式
問題点
- 衛星通信やIEEE 802.11aの使用帯域が重複
- 各国の電波法による割り当ての問題
- 通信エリアが非常に狭い
超広帯域無線方式を採用した通信規格
- IEEE 802.15.3a
- Wireless USB
脚注
- ↑ 規格策定放棄に至った経緯(英語)テンプレート:PDF
- ↑ 電波法施行規則、無線設備規則及び特定無線設備の技術基準適合証明等に関する規則の各一部を改正する省令案等に係る電波監理審議会への諮問及び意見の募集 - UWB無線システムの制度の整備
- ↑ 周波数割当計画
- ↑ 【レポート】マイクロウェーブワークショップ2005 - 次世代無線技術の動向 - マイコミジャーナル
関連項目
- 無線アクセス : 方式間の比較
- Personal Area Network