文化英雄

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文化英雄(ぶんかえいゆう、culture hero)とは、や作物の栽培法などの有意義な発明や発見をもたらし、人間世界の文化に寄与したとされる伝説的人物やある種の動物のことをいう。

文化英雄は民族、部族の始祖やトーテムとして位置づけられることも多い。また文化英雄は至高創造神と異なり、既存の世界の上で特定の文化要素の創造を行う存在である。文化英雄の中には、いたずらを行う異界の存在であるトリックスターである例も見られる。

例えば、ポリネシア神話のマウイは、無数の冒険譚の主役であり、火を人々にもたらし、主要な技術の発明をもたらした存在であるとともに、いたずらや反社会的行動をするトリックスターでもある。彼は異常出生した半神半人の出自を持ち、次々と天・地上・地下界に滞在し、その活動が神々と人間の間を絶えず往復しながら展開する。このことは、彼に両義的性格をもたらし、トリックスターの地位を与えるとともに、人々に欠けていたものを異界、外部からもたらすという文化英雄の役割を可能にさせている。

アメリカ・インディアンの神話では、しばしばコヨーテなど特定の動物が文化英雄とトリックスターの両面を持ち、秩序と破壊、文化と自然の媒介者の位置を占める。

主な文化英雄

プロメーテウス
神話に登場する文化英雄としてよく知られているのは、ギリシア神話のプロメーテウスである。彼は、ゼウスの意志に逆らい、全知全能のゼウスを見事に欺いて、火や穀物を人間にもたらす。その極悪の行いに怒ったゼウスは、彼をカウカーソス山の山頂に張り付けにし、生きながらにして毎日肝臓をハゲタカについばまれる責め苦を行い、人間にも数々の苦痛、災い、病を与える正義の鉄槌を下した。
ケツァルコアトル
中米で大きな勢力を誇る翼蛇神ケツァルコアトルも、著名な文化英雄である。彼はアステカ神話における主要な神であり、人類を創造した神であり、火をもたらし作物を与え、農耕、文化、芸能など人類に必要なあらゆるものを伝えたとされている。
ルシファー
聖書創世記において、イヴアダム知恵の樹の実(禁断の果実)を食べさせることによって、無知だった人に知恵を授ける。

(創造主は悪魔が知恵を人に与えたことを知ると、人の無限の可能性に恐怖し、汚れてしまった人に、死と生きる苦しみ、女性が子を産むときの肉体的苦痛を増し、男性に服従することを運命づけ、エデンから追放した。この知恵をえたことが人の犯した最大の罪で、いわゆる「原罪」である。)

グリゴリ
聖書『エノク書』に出る堕天使の一団。エグリゴリとも言う。人類に知識を授ける。

(知恵に加え知識を得た人は様々な意味で繫栄し、神に縋る必要がなくなり、自立していく。この罪に神は、神に縋っていた、身も心も弱い善良なノア達以外を大洪水で虐殺して滅ぼす。)

ワイナミョイネン
フィンランド民間伝承およびカレワラで重要な位置を占めている。

関連項目

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