ウシガエル

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ウシガエル(牛蛙、学名:Rana catesbeiana)は、カエル目(無尾目) アカガエル科アカガエル属のカエルの一種。

分布

アメリカ合衆国東部・中部、カナダ南東部、メキシコ北東部に自然分布する[1]

日本(北海道本州四国九州南西諸島)、大韓民国台湾、アメリカ合衆国(プエルトリコ)、ヨーロッパ(イタリアオランダフランスなど)、キューバメキシコタイマレーシアに外来種として定着している[2]

形態

体長11-18センチメートル、体重500-600グラムほど。アカガエル属の特徴でもある背側線(はいそくせん)が無い。

オスの背面は暗緑色で、淡黒色の斑紋がまばらにある。メスの背面は褐色で、斑紋がオスよりも多い。雌雄ともに腹面は白いが、オスでは喉の部分が少々黄色みがかる。鼓膜は非常に大きく、メスでも眼の直径にほぼ等しく雄ではその倍近くある。

生態

水草の繁茂する流れの緩やかな河川湿地などに生息する。警戒心が強く、外敵が近づくと跳躍して逃げる。鳴き声は「ブオー、ブオー」というウシに似たもので、和名の由来にもなっている。声は非常に大きく数キロメートル離れていても聞こえることもあり、時に騒音として問題になるほどである。

食性は肉食性で昆虫類節足動物甲殻類などを主な食物とし、日本ではカマキリヤゴバッタトンボなどをよく食べている。また、魚類、両生類、小型爬虫類鳥類、小型哺乳類さえも捕食することがあり、食糧が不足すると共食いをすることもある。

繁殖形態は卵生で、日本では5-9月に寒天質に包まれた6,000-40,000個の卵を産む[1]。幼生の状態で越冬し、翌年の夏に変態し幼体になる。幼体は水場をつたい他の水場へと移動する。

人間との関係

食用

食用とされることもあるため食用ガエルという別名を持つ[1]。ただし食用蛙という語は、食用にされる様々なカエルの総称としても使われ得るので、注意が必要。皮をむいた後ろ足を食用とし、世界各地で養殖されている。

日本には1918年に、東京帝国大学の教授であった動物学者の渡瀬庄三郎が食用としてアメリカ合衆国(ルイジアナ州ニューオリンズ)から十数匹を導入した。その後、1950年から1970年にかけて輸出用として年間数百トンのウシガエルが生産されたといわれている[1]。これに関連してアメリカザリガニが本種の養殖用の餌として輸入された。

味は鶏肉、特にササミに似る。肉は脂がほとんど無いため、炒め物やフライとして食べることが多い。ただしフランス料理店や中華料理店を除くと、平成以降の日本ではいわゆる「下手物料理」を出す居酒屋くらいでしか見られない。また、おたまじゃくし寿司のタネとした「おたま寿司」も存在する。「食用蛙供養塔」が東京都江戸川区浄土宗法龍寺にある。

現在の日本では後述するように法律で流通が規制されたこともあり、本種が食用として利用されることはまずない。しかし、実験動物としての需要はなおも大きい[1]

外来種問題

食用として養殖された個体が逃げ出し、日本各地のみならず世界中に定着してしまっている。日本では水産試験場の主導のもと各地に放逐が繰り返されたが、食材としての価値が薄れると必要なくなった本種を処分するためさらなる放逐が横行した[3]。また、教育や実験目的で飼育されていた個体も遺棄された可能性がある。

大型かつ貪欲で、環境の変化に強い本種は在来種を捕食してしまうことが懸念されている。日本を始めアメリカや韓国では在来カエルの減少が問題視されており、本種が生息している水域では他のカエルが見られなくなってしまった場所もある[3]国際自然保護連合によって世界の侵略的外来種ワースト100に指定されているほか、日本でも日本生態学会によって日本の侵略的外来種ワースト100に選ばれている。

こうした悪影響からヨーロッパや韓国では輸入が禁止されている[1]。日本では2006年に外来生物法により特定外来生物に指定された。この法律に従って日本国内では飼育や販売が禁止されており、本種が流通することはなくなった。また、野生化している本種を駆除以外の目的で捕まえることは違反であり、飼育している個体を野外へ放すこともできない。これらの行為を行った場合、個人であれば3年以下の懲役または300万円以下の罰金という厳しい罰則が科せられる。ただし、学術利用などの合理的な目的があれば特別な許可を得ることで捕獲や飼育が限定的に認められる。

参考文献

  1. 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 テンプレート:Cite book
  2. ウシガエル 国立環境研究所 侵入生物DB
  3. 3.0 3.1 テンプレート:Cite book

関連項目

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