ベタ
ベタ (テンプレート:Snamei)、トウギョ(闘魚)とは、スズキ目 キノボリウオ亜目オスフロネムス科(かつてはゴクラクギョ科)ゴクラクギョ亜科ベタ属(別名トウギョ属)の淡水魚。
広義には、ベタ属に含まれる50種ほどの魚をベタ、ベタ類と総称する。「ベタ」は属の学名 テンプレート:Snamei で、タイの方言に由来する。
特に、その中の1種であるベタ・スプレンデンス テンプレート:Snamei が、古くから特に観賞魚として世界中で広く親しまれており、狭義には、この種のことだけを指してベタと呼ぶ場合も多い。ただし、他種との交配がおこなわれることもあり、区別は曖昧である。
トウギョの和名でも呼ばれる。
特徴
タイのメコン川流域原産の熱帯魚で、大きな川から、水田、ときには洪水によって一時的にできた水溜りなどにも生息する。動物性プランクトンやボウフラなどの昆虫の幼虫類などを食べる。
もともとオスが縄張りを持つ種で、縄張り内に入る他個体を威嚇、攻撃する性質がある。飼育下でも、オス同士を混泳させると喧嘩を始めてしまうことから、2匹のオス同士を戦わせる遊戯のために飼われるようになり、「闘魚」、「シャム闘魚」の名がある。また2匹のオスを瓶などで仕切りにいれると互いに背ビレや尾ビレやエラを最大限まで広げて体を震えさせてに威嚇し合う。これを「フレアリング」と言う。品種改良の結果、より気性が荒い、強い品種ができていった。闘魚としての品種改良のための交配を重ねた副産物として、鮮やかな体色をもつものがあらわれ、美しさを求めてさらに品種改良が加えられ、目の覚めるような青や赤の体色で、ヒレの長い品種が誕生し、流通するようになった。なお、水槽が狭いと雄だけでなく雌も襲うことがある。
ベタ類は、水草などの浮遊物を集め、そこに泡をくっつけた浮き巣(泡巣)をつくり、そこに産卵し、生まれた稚魚を守る行動をするグループとしても知られる。縄張り行動や、生殖行動、巣作り、子育てなどの本能行動研究のための実験動物としても用いられている。
品種群
観賞魚としてのベタ類を大きく分けると、
- 闘魚としての品種改良が加えられた品種群(プラガット)
- その後、観賞魚として色の美しさを引き出した品種群(トラディショナル)
- トラディショナル・ベタを元にして、更なる血統管理を繰り返し、ヒレが大きく扇状に広がり、様々な色調をもった個体(ショウベタ)
- 品種改良が加えられていない野生種のベタ(ワイルド)、これにはベタ属のほかの種類も含まれる
などがある。ペットとしてのトラディショナル・ベタは、日本を含め、世界中で楽しまれている。ショウベタは、系統の維持に高度な技術を要する趣味として人気があり、英国のチャーチル首相も飼育していたという。
飼育
ベタ類は、キノボリウオ亜目の魚の共通の特徴として、エラブタの中に上鰓器官(構造が迷路に似ていることから「ラビリンス器官」とも呼ばれる)という空気呼吸をする器官を持ち、口を空気中に出して空気を口の中にいれ、そこから直接酸素を得ることができる。このため水中の溶存酸素が少ない状況でも生存でき、コップやグラスに入れて市販されていたり、その状態で飼育もできる。
また、水質にもあまり敏感ではなく、カルキを抜けば水道水でも飼うことができる。適切な水温は25℃前後。