ジェームズ・ポッター

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
2014年5月23日 (金) 20:57時点における114.19.59.51 (トーク)による版 (人間関係)
(差分) ← 古い版 | 最新版 (差分) | 新しい版 → (差分)
移動先: 案内検索

ジェームズ・ポッター(James Potter)は、J・K・ローリングの小説『ハリー・ポッター』シリーズ、及びその派生作品に登場する架空の魔法使いである。

概要

ハリー・ポッターの父親。故人。

シリウス・ブラックリーマス・ルーピンセブルス・スネイプホグワーツ魔法魔術学校の同窓であり、彼らを通じてハリーは生前の父について知っていく。

登場巻

第1巻(みぞの鏡に映って)、第3巻(名前のみ)、第4巻(霊魂として)、第5巻(スネイプの記憶の中で)、第7巻(記憶の中、及び霊魂として)

人物

通称

学生時代、シリウスたちから「プロングズ(Prongs)」と呼ばれていた。Prongは「枝分かれ(の先端)」を意味し、鹿の枝角の形状に由来したものである。

外見

瞳の色ハシバミ色である他は、息子と瓜二つの外見である(ハリー曰く「鼻は自分より少し高い」)。髪の毛をくしゃくしゃにする癖がある。

略歴

1960年3月27日、"純血"ポッター家の嫡男として誕生。高齢出産だった両親に溺愛されて育つ[1]

1971年、ホグワーツ魔法魔術学校に入学。所属寮はグリフィンドールで、同寮の同級生であるシリウス・ブラックリーマス・ルーピンピーター・ペティグリューと親しくなる。一方、同学年のスリザリンセブルス・スネイプと対立し始める。

10代後半の頃、シリウスの所有するマグル製のバイクに2人乗りし、マグルの警官2名と死喰い人3名に追われるという騒動を起こしている[2]

1977~1978年頃、リリーと、リリーの姉ペチュニア及びペチュニアの婚約者バーノンと食事をするが、バーノンとの問答で彼を怒らせてしまう。ペチュニアとバーノンの結婚式にも出席し、バーノンには話をすることは断られるが、「アマチュアのマジシャンのようなもの」と形容される[3]

1978年6月、ホグワーツを卒業し、不死鳥の騎士団の創設メンバーに加わる[4]。また、ホグワーツ在学中から好意を寄せていたリリー・エバンズと結婚した。

1980年7月31日、長男ハリーが誕生するが、シビル・トレローニーの「予言」を知ったヴォルデモートから家族ともども命を狙われるようになる。そのため、アルバス・ダンブルドアの指示を受け、ゴドリックの谷の自宅で事実上の軟禁生活を送ることになる。 しかし秘密の守人の裏切りに遭い所在地を突き止められ、1981年10月31日、妻と息子を守るためヴォルデモートに立ち向かい、殺害された[5]。21歳没。 墓はゴドリックの谷に建てられる。

死後、1995年6月24日のハリーとヴォルデモートの決闘の際には呪文逆戻し効果で霊魂状態でハリーの前に現れ、1998年5月2日のホグワーツの戦いでは蘇りの石で再び霊魂状態でハリーの前に現れている。

性格

友人であるルーピンから「きわめて冷静」とされ、犬猿の仲であったスネイプは「きわめて傲慢」と形容し、唯一無二の親友であるシリウスには「横柄なバカ小僧」(arrogant little berk)と称賛されている。

学生時代は多くの他の生徒から英雄扱いされていた人気者で、シリウスとのコンビはミネルバ・マクゴナガルに「あんなに手を焼かされた二人組はいない」と言わしめ、フリットウィックには「一心同体」さえ言われている。悪戯好きで、よくシリウスと罰則を受けていた。

5年生の頃は気に入らない相手(闇の魔術に傾倒した者)に遊び半分で呪いをかけるなど傲慢な側面もあった。また当時は見せびらかしな部分があり、特に好意を寄せていたリリーが近くにいたときはその傾向が強く、それを止めさせられるのはシリウスだけだったとハリーはスネイプの記憶でその光景を見た際に確信している[6]

入学以前から「闇の魔術」を嫌っており、スリザリン寮を蔑視していた。その為、学生時代は「闇の魔術に首までどっぷり浸かっていた」と言われるスネイプと対立しており、悪質な「悪戯」を仕掛ける要因となっていた。それ故にマグル生まれへの偏見はなく、スネイプがリリーに「穢れた血」と言った際には激昂している。

ルーピンが狼人間であると知ると仲間と共に動物もどきになる方法を調べ能力を会得し、ルーピンが狼状態のときでも一緒にいられるようにするなど友情にはとても篤かった。ルーピンは、第6巻でハリーに「自分(ルーピン)が人狼であることはふわふわした小さな問題(=ジェームズにとっては気にならないこと)」だったと言っており、また第7巻ではジェームズが「友を信じないのは不名誉極まりない」とかつて言い放ったと述べている。

食事でバーノン・ダーズリーを怒らせた際(前述、7年生か卒業後のこと)にも、早く仲直りをしようと思っていることからも、その時にはある程度の礼をわきまえる人間になっていた模様。また嫌っていたスネイプの命の危機には自らの危険を顧みず助けに行くなど、彼なりに一線は弁えていた(スネイプは事件が起きて自分たちの秘密がばれて気まずくなるから保身が理由だったと言っているが本当だとしてもスネイプ自身が認めていた恐怖に立ち向かって助けたのでやはり正義感の理由が強い)。

残された者たちの彼を悼しむ言葉から、ホグワーツ卒業後は騎士団として立派な人物だったことが伺える。

才能

ホグワーツ在学中の成績は極めて優秀で何をやらせても一番だった。首席にもなっている。その才能は悪戯行為にも遺憾なく発揮され、それが原因となり成績は良いが監督生にはなることはなかった。 優秀な飛び手でもあり、寮対抗クィディッチ試合ではチェイサー[7]として活躍した。また、それらの才能をスネイプに妬まれていた。

学生でありながら非合法の動物もどきになることに成功し、牡鹿に変身することができる。なお守護霊も牡鹿であり、ハリーに受け継がれている。

忍びの地図を作った人物のひとりである。

人間関係

家族からは愛されて育った。両親はジェームズに多額の遺産を遺していた。

ホグワーツ在学中は、シリウス・ブラックリーマス・ルーピンピーター・ペティグリューと親しく付き合っていた。

特にシリウスとは、入学前のホグワーツ特急で既に意気投合しており、以降無二の親友として兄弟同然の付き合いをしていた。結婚に際しては花婿付添人を依頼し、息子ハリーの誕生に際して名付親を依頼したことから、シリウスに対する信頼が伺える。またスネイプの記憶から、5年生時点のジェームズのストッパーはシリウスだけだった様子。

ルーピンに関しては、彼の優しさやユーモアセンスにシリウス共々魅了され、入学直後に友達になっている(ジェームズとシリウスは、自分達が必ずしも持ち合わせていなかったルーピンの優しさやユーモアセンスを評価していた。)。低学年時にシリウスと共に彼の秘密を知ると、数年がかりで動物もどきになり、篤い友情を示した。

ピーターからは、英雄視され、憧れられていた。

妻のリリー・ポッターにはホグワーツ在学中から好意を寄せていたが、ホグワーツ特急で出会った当初から改心するまでは「傲慢でいやなやつ」と思われ、「見ていると吐き気がする」と言われたこともある。しかし7年生になるとジェームズが傲慢さを改めたため、リリーとの交際が始まり、卒業後結婚に至る。

セブルス・スネイプとは犬猿の仲で、激しく対立していた。学生時代は同学年のスネイプにシリウス、ルーピン、ピーターと共に対立し、時に悪質な「悪戯」を仕掛けるようになる。理由はジェームズが嫌っていた闇の魔術にスネイプが傾倒していたからだが、スネイプはリリーと幼馴染で親しい仲かつ好意を寄せており、ジェームズも彼女に好意を寄せていたため嫉妬による部分もあった(反対にスネイプもジェームズが人気者であることや、彼のクィディッチの才能などを妬んでいた)。また、一方的に攻撃していたわけでなく、スネイプも呪いを自作し反撃していた(ルーピンは第7巻で、スネイプは昔から危険な切り裂き呪文のセクタムセンプラを得意としていたと発言している。)。5年生の時、ジェームズが大勢の前でスネイプを宙吊りにした際、止めに入ったリリーをスネイプが屈辱から「穢れた血」と呼んで以降2人の仲は決定的に破綻した。以降スネイプはこの事件のきっかけとなったジェームズに対し、より深い憎しみを抱くようになった。そのため7年生になりジェームズの高慢さが改められた後も、隙あらば呪いをかけてくるスネイプと対立していた。
しかし、自身を退学に追い込もうとルーピンの秘密を嗅ぎ回っていたスネイプに対して、シリウスが人狼となったルーピンの居場所を教えた(スネイプは必然的にそこに向かう)ことを聞かされた際には、自らの危険を顧みずスネイプを引き戻しに行くなど、嫌ってはいたが殺したい程憎い相手ではなく、一線は弁えている。

息子のハリー・ポッターは、自分が父親似であると言われることに誇りを感じていたが、上記の5年生時のジェームズのスネイプへの仕打ちを見て彼の方に同情し(ダドリー等から自身が受けた仕打ちと重ねたと思われる)、リリーがなぜジェームズと結婚したのかと悩んだ事もあった。しかし後にシリウスとルーピンに真実を聞かされ誤解を解き、ジニーとの間に生まれた長男に、ジェームズとシリウスのファーストネームをとって、「ジェームズ・シリウス・ポッター」と名付けるなど、命を捨てて自分を守った父に尊敬の念を失う事はなかった。

映画

エイドリアン・ローリンズが演じている。日本語版の吹き替えは後藤敦が担当。

『不死鳥の騎士団』では、回想で学生時代のジェームズが登場するが、この時はロビー・ジャーヴィスが演じた。

脚注

テンプレート:Reflistテンプレート:ハリー・ポッターシリーズ

cs:Harry Potter (postava)#James Potter da:Familier i Harry Potter#James Potter de:Figuren der Harry-Potter-Romane#James Potter en:Order of the Phoenix (fiction)#James Potter fr:Univers de Harry Potter#Ordre du Phénix it:Potter (famiglia)#James Potter lt:Poterių šeima#Džeimsas Poteris nn:Jakob Potter no:Familien Potter#Jakob Potter pl:Członkowie Zakonu Feniksa#James Potter ru:Джеймс Поттер sv:Familjen Potter#James Potter tr:Zümrüdüanka Yoldaşlığı#James Potter

vi:Hội Phượng Hoàng#James Potter
  1. 家宝といっても過言ではない透明マントを幼少の頃に受け継いでおり、そのことからも甘やかされていたことが窺える。
  2. J・K・ローリングがチャリティ用に書き下ろした短編のエピソードより。
  3. 『ポッターモア』からの情報
  4. 騎士団の活動に専念するため就職はしなかった。またルーピンに経済援助をしていた。
  5. 家族を守ろうとして死んだジェームズが、リリーやハリーに愛の守護魔法を遺せなかった理由に作者は「形振り構わず、後先考えず、動物的に敵に突撃してしまい、想いを“自己犠牲の精神”にまで昇華できなかったから」と語っている。
  6. しかし当のシリウスがジェームズ同様に悪戯好きであり、彼に輪をかけて闇の魔術に傾倒する者を蔑視していた為、事実上ジェームズはほぼ誰にも止められない有様だったことも分かる。
  7. 映画ではシーカー