Baudot Code
Baudot code(ボーコードあるいはボドーコード)は国際テレックス網の標準文字コードである。ドナルド・ミュレーが1905年2月にジャーナル・オブ・インスティテューション・オブ・エレクトリカル・エンジニアーズ[1]誌上で発表し、1931年5月にスイスのベルンで開催された第3回CCITにおいて国際テレグラフ・アルファベット No.2[2] (ITA2)として承認された。フランス電信公社の技術者エミル・ボー[3]が1876年3月に特許を取得(フランス特許第111719号)した文字コード[4]とアイデアは似ているが、全く異なるものである。
概要
通信速度が遅い回線に適合させるため、5ビット(当時は「5単位」と呼ばれていた)の文字コードである(CCITT(現ITU-T)No.2が推奨されていた)。シフトコードで活字を切り替えていたため、FIGS(数字・記号)コードで数字・記号に切り替えると次にLTRS(文字)コードでアルファベットに戻すまで数字・記号のままである。また、通信回線の信頼性が低かったため切り替えコードが欠落しアルファペットと数字・記号の切り替えがうまくいかないこともあった。この対策として文字主体の通信では、スペース符号を受信すると自動的に文字シフト動作を行う「アンシフト・オン・スペース」機能を用いて文字化けを軽減しようとする機器があった。
企業などでテレックスが使用されることは少なくなったが、現在も、アマチュア無線のRTTYで使用されている。
送信方法
一文字ごとに下位ビットからスタートビット1・ストップビット1.5の調歩同期方式(非同期)で送り出される。非同期方式は機械式継電器を利用した電気制御・停止機構のテレタイプ端末の設計と密接に関わっていた。
初期のシステムは同期符号化方式を使ったが、機械的な同期を取ることは困難だったのである。
また、復帰・改行のコードを続けて送信するのは、当時の電子的な記憶装置のない機械式プリンターで行頭復帰と行送りの動作に時間がかかったためであるテンプレート:要出典。
文字コード割り当て
2進 | 10進 | 16進 | LTRS | FIGS | ||
---|---|---|---|---|---|---|
ITA2 | US Bell | |||||
0 0000 | 0 | 00 | NULL | |||
0 0001 | 1 | 01 | E | 3 | ||
0 0010 | 2 | 02 | LINE FEED(改行) | |||
0 0011 | 3 | 03 | A | - | ||
0 0100 | 4 | 04 | SPACE(空白) | |||
0 0101 | 5 | 05 | S | ' | BELL | |
0 0110 | 6 | 06 | I | 8 | ||
0 0111 | 7 | 07 | U | 7 | ||
0 1000 | 8 | 08 | CARRIAGE RETURN(復帰) | |||
0 1001 | 9 | 09 | D | ENQ | $ | |
0 1010 | 10 | 0A | R | 4 | ||
0 1011 | 11 | 0B | J | BELL | ' | |
0 1100 | 12 | 0C | N | , | ||
0 1101 | 13 | 0D | F | 保留域 | ! | |
0 1110 | 14 | 0E | C | : | ||
0 1111 | 15 | 0F | K | ( | ||
1 0000 | 16 | 10 | T | 5 | ||
1 0001 | 17 | 11 | Z | + | " | |
1 0010 | 18 | 12 | L | ) | ||
1 0011 | 19 | 13 | W | 2 | ||
1 0100 | 20 | 14 | H | 保留域 | STOP | |
1 0101 | 21 | 15 | Y | 6 | ||
1 0110 | 22 | 16 | P | 0 | ||
1 0111 | 23 | 17 | Q | 1 | ||
1 1000 | 24 | 18 | O | 9 | ||
1 1001 | 25 | 19 | B | ? | ||
1 1010 | 26 | 1A | G | 保留域 | & | |
1 1011 | 27 | 1B | FIGS(数字・記号) | |||
1 1100 | 28 | 1C | M | . | ||
1 1101 | 29 | 1D | X | / | ||
1 1110 | 30 | 1E | V | ; | ||
1 1111 | 31 | 1F | LTRS(文字) |
- ITA2とアメリカの US Bellとは記号のコードに若干の相違がある。
- ENQは他の端末へ「あなたは誰ですか」と問い合わせる時に使用される。
- FIGSの0D,14,1Aコードは、ITA2では保留域となっており、国際テレックスでは使用されない。
参考文献
安岡孝一, 安岡素子: 文字符号の歴史 欧米と日本編, 共立出版, 東京, 2006年2月, ISBN 4-320-12102-3.
脚注
- ↑ テンプレート:Lang-en-short
- ↑ テンプレート:Lang-en-short
- ↑ Émile Baudot
- ↑ 後の国際テレグラフ・アルファベット No. 1