駅集中管理システム
テンプレート:出典の明記 駅集中管理システム(えきしゅうちゅうかんりシステム)とは、一部の鉄道事業者が導入している、無人駅または駅員が常時対応していない駅(特殊勤務駅)の無人時間帯で、自動券売機、自動改札機、自動精算機などを管理駅で遠隔管理・制御するシステムのことである。駅務自動化システムや無人駅システムとも呼ばれる。
目次
名古屋鉄道
概要 (名鉄)
導入経緯
交通輸送において自動車への依存度が高い名古屋圏の中で、名古屋鉄道の持つ広範な営業線区には閑散線区も多く、またこれらの多くは無人駅であるため車掌の改札作業の負担やキセル乗車による減収などの問題を抱えていた。今後は人口減少などによる運賃収入の減少も見込まれ、一層の省力化も必要となるためこれらに対応すべく駅集中管理システム導入が図られることになった。
同時にストアードフェアシステム「SFパノラマカード」(トランパス)も導入されることにより、利用客へのサービス向上などの効果も期待されている。これらの導入により車内精算が2012年4月から廃止された。
名鉄ではまず高横須賀駅の高架化をきっかけに同駅で試行導入を行い、2001年から各線に本導入を始めた。最初の導入は三河線(山線側)の三河知立~平戸橋の各無人駅。この当時はまだトランパスが導入されておらず、車内運賃収受を行わないワンマン運転開始に伴う措置として導入した。その後はトランパスの導入を間近に控えた路線の無人駅あるいは無人化予定駅で一斉に導入を進めていたが、藤浪駅や黒田駅など高架化や駅舎の改築・駅前への大型スーパーの開店で先行導入した駅もある。
- 各路線でのトランパス導入以前に駅集中管理システムを先行導入した駅
路線 | 管理駅 | 被管理駅 | 主な理由 |
---|---|---|---|
名古屋本線 | 名鉄一宮駅 | 黒田駅 | 2004年6月24日に開業した『イオンモール木曽川』による利用者増に対応するため。 同時に「トランパス」にも同日から対応した。 |
三河線 | 豊田市駅 | 三河知立駅 | 車内運賃収受を行わないワンマン運転開始に伴う措置 |
三河八橋駅 | |||
若林駅 [特] | |||
竹村駅 | |||
上挙母駅 | |||
梅坪駅 | |||
越戸駅 | |||
平戸橋駅 | |||
常滑線 | 太田川駅 | 新日鉄前駅 | 明確な理由は不明だが、同駅で試行導入をしたものと思われる |
常滑駅 | 榎戸駅 | 榎戸~常滑間高架工事完了に伴う再無人駅化 (ただし同駅のトランパス導入にはおよそ半年間かかった) | |
多屋駅 | 榎戸~常滑間高架工事完了に伴う駅高架化 | ||
河和線 | 太田川駅 | 高横須賀駅 | 駅高架化をきっかけに同駅で試行導入をしたため |
津島線 | 須ヶ口駅 | 藤浪駅 | 駅高架化 |
広見線 | 犬山駅 | 日本ライン今渡駅 | 駅ビルの解体に伴う措置 |
- [特]:特殊勤務駅(時間帯によっては駅員が不在になる駅)
設備・詳細
このシステムは、無人駅に自動券売機・自動改札機・自動精算機が設置されているほかに、構内放送装置・モニタリングカメラやインターホンを備え付け、管理駅の駅員が磁気非対応券の精算や問い合わせを受け付けることができる。何らかの原因で乗車券の磁気が乱れるか抜けてしまったり、非磁気券を持っている場合にはインターホンで管理駅の駅員を呼び、インターホンのカメラ部分にその乗車券をかざすと、遠隔操作で改札機が開放される。その際、乗車券は備え付けの回収箱に入れる。
また、車掌による車内検札や乗車券の発券作業や無人駅での改札作業が、各駅に設置されたこれらの機器に置き換えられたことで車掌の乗務が不要となり、ワンマン運転が可能となる(小牧線と三河線で実施)ほか、システム導入線区内の駅員配置駅を無人化または、特殊勤務駅にすることもできる。
導入する自動改札機にストアードフェアシステム「SFパノラマカード」(トランパス)対応の機能を併せ持たせることで、利用客は対応カードを持っていれば乗車券を購入する必要がなくなる。
駅の廃止
このシステムは機器の購入・設置と駅の部分改良が必要で 設備投資が高額になるため、名鉄は利用者が非常に少なくかつ市街地に位置しない駅は廃止とする方針をとった。
このため、まず名古屋本線の東笠松駅と広見線学校前駅、次いで西尾線鎌谷駅と三河荻原駅、河和線椋岡駅と布土駅、尾西線弥富口駅の計7駅が廃止された。
現況
名鉄ではこのシステムを2007年度までに全線に導入する予定であったが、計画を変更し蒲郡線の全駅(吉良吉田駅を除く)、広見線の4駅ならびに尾西線の弥富駅には導入しないことを正式に発表した。また、モンキーパークモノレール線は導入されることなく、2008年(平成20年)12月28日付けで路線自体が廃止された。なお築港線については、1駅間のみの路線であることから、接続駅である大江駅で運賃の収受を行っており、そのため導入予定から外されている(大江駅は2005年1月からトランパス対応になり、それと同時に築港線専用改札口も対応させたため、事実上は築港線もトランパス導入済みである)。
導入線区
非導入路線・駅
有人駅への設置
有人駅でも改札口を増設する際にこのシステムを導入する例が時々見受けられる。2010年現在の導入駅は以下のとおり。
- 笠松駅(一宮方面改札口)
- 名鉄一宮駅(南改札口・4階駐車場改札口)
- 国府宮駅(橋上改札口)
- 名鉄名古屋駅(4番線入口・南改札口・西改札口)
- 金山駅(東改札口)
- 鳴海駅(東改札口)
- 新安城駅(北改札口)
- 東岡崎駅(北改札口)
- 徳重・名古屋芸大駅(西改札口)
- 犬山駅(北改札口)
- 犬山遊園駅(新鵜沼方面改札口)
- 新鵜沼駅(東改札口)
- 南加木屋駅(西改札口)
- 巽ヶ丘駅(東改札口)
- 知多武豊駅(東改札口)
- 西尾駅(エレベーター専用改札口)
- 田県神社前駅(平安通方面改札口)
- 大森・金城学院前駅(北改札口)
- 三郷駅(南改札口・東改札口)
- 木田駅(南改札口)
- 甚目寺駅(北改札口)
東京急行電鉄
新京成電鉄
横浜新都市交通
能勢電鉄
- 1990年に全駅に自動改札機が設置された後、1991年という早い時期から駅集中管理システム(遠隔操作システム)が稼動している。
- 各無人駅の改札口は山下駅に設置された遠隔制御センターから遠隔管理される。
その他
- 三岐鉄道(北勢線のみ。駅務機器自動化システムと呼ばれている。)
- 東京都交通局(日暮里・舎人ライナーのみ。)
- ゆりかもめ
- 多摩都市モノレール
- 関東鉄道(常総線のみ)
- その他、関西の私鉄各社にもスルッとKANSAI加入をきっかけにこのようなシステムを導入した会社も多い。
- JR西日本では同様のシステムを「改札口コールシステム」と称する。
- JR東海でも類似のシステムを導入する予定