電気ブラン
電気ブラン(でんきブラン)は、東京都台東区浅草にある神谷バーの創業者、神谷伝兵衛が作ったアルコール飲料。
概要
当時電気が珍しかった明治時代に誕生した、ブランデーベースのカクテルである。大正時代に流行した文化住宅・文化包丁などの「文化…」、あるいはインターネットの普及につれて流行した「サイバー…」や「e-…」などと同様に、その頃は最新のものに冠する名称として「電気…」が流行しており、それにブランデーの「ブラン」を合わせたのが名前の由来である。発売当初は「電氣ブランデー」という名で、その後「ブランデー」ではないことから現在の商標に改められた。
その度数は当時45度と高く、口の中がしびれる状態と、電気でしびれるイメージとが一致していたため、ハイカラな飲み物として人気を博した。ただし発売元の合同酒精では、電気ブランという名称の由来は「電気との言葉がひどくモダンで新鮮に響いたから」とし、「口の中が痺れるため」という説は否定している。ブランデー、ジン、ワイン、キュラソー、そして薬草が配合されている。材料の詳細、配合の割合は今も秘密にされている。
現在もオエノンホールディングス傘下の合同酒精株式会社が醸造・販売を行っており、普通に購入できる。また2010年代のハイボール(ウイスキーをソーダ水で割ったもの)ブームの追い風を受けて、近年は東京都内の飲食店や居酒屋などで電気ブランのハイボールをメニューに出す店も増えている。
度数により、電気ブラン(30度)、電気ブランオールド(40度)の2種類がある。神谷バーのメニューでは前者をデンキブラン、後者を電氣ブランとしている。
飲み方
基本的にはよく冷やしてストレートで飲む。神谷バーでは、注文すると口直しの氷水のグラスと共に運ばれてくる。さらに同店では生ビールをチェイサーにして交互に飲むことを勧めている。人によっては、黒ビールをあわせる場合もある。
肴には冷たい魚介類料理が合うとされる。
作品・言及
作家の太宰治は作品『人間失格』の中で、「酔いの早く発するのは、電気ブランの右に出るものはないと保証し、……」と書いている。
あがた森魚が1972年(昭和47年)にリリースしたアルバム『乙女の儚夢』には、神谷バーと電気ブランを謳った曲「電気ブラン」がある。
作家の森見登美彦の小説『夜は短し歩けよ乙女』及び『有頂天家族』には、偽電気ブランと呼ばれる、電気ブランを真似して造られた酒らしきものが出てくる。
1985年(昭和60年)に刊行された須藤真澄の漫画短編集に『電氣ブラン』(東京三世社刊)がある。なお、作中には電気ブランの描写は全くない。のちに竹書房から再刊された版は新字体で『電気ブラン』となっている。
参考文献
- 浅草「電気ブラン」はなぜ電気?(日本の歩き方) - 日本経済新聞電子版(2014年1月4日)
外部リンク
- 神谷バー・電気ブランとは テンプレート:Ja icon
- デンキブラン汐留バー(愛知県博物館明治村内店舗)テンプレート:Ja icon デンキブランと香竄葡萄酒をそれぞれバニラアイスにかけたアフォガードなどのメニューもある。