電気ブラン

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ファイル:神谷バー・グラス・デンキブラン・電氣ブラン・お冷.jpg
写真左から、デンキブラン、電氣ブラン〈オールド〉、水。(神谷バー店内で。2009年平成21年)6月5日
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デンキブラン(アルコール30度)のボトル(720ml)。(2009年平成21年)6月6日
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電氣ブラン〈オールド〉(アルコール40度)のボトル(360ml)。(2009年平成21年)6月6日
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食券の半券は写真左から、デンキブラン、電氣ブラン〈オールド〉。(神谷バー店内で。2009年平成21年)6月5日

電気ブラン(でんきブラン)は、東京都台東区浅草にある神谷バーの創業者、神谷伝兵衛が作ったアルコール飲料

概要

当時電気が珍しかった明治時代に誕生した、ブランデーベースのカクテルである。大正時代に流行した文化住宅・文化包丁などの「文化…」、あるいはインターネットの普及につれて流行した「サイバー…」や「e-…」などと同様に、その頃は最新のものに冠する名称として「電気…」が流行しており、それにブランデーの「ブラン」を合わせたのが名前の由来である。発売当初は「電氣ブランデー」という名で、その後「ブランデー」ではないことから現在の商標に改められた。

その度数は当時45度と高く、口の中がしびれる状態と、電気でしびれるイメージとが一致していたため、ハイカラな飲み物として人気を博した。ただし発売元の合同酒精では、電気ブランという名称の由来は「電気との言葉がひどくモダンで新鮮に響いたから」とし、「口の中が痺れるため」という説は否定している。ブランデー、ジンワインキュラソー、そして薬草が配合されている。材料の詳細、配合の割合は今も秘密にされている。

現在もオエノンホールディングス傘下の合同酒精株式会社が醸造・販売を行っており、普通に購入できる。また2010年代ハイボールウイスキーソーダ水で割ったもの)ブームの追い風を受けて、近年は東京都内の飲食店や居酒屋などで電気ブランのハイボールをメニューに出す店も増えている。

度数により、電気ブラン(30度)、電気ブランオールド(40度)の2種類がある。神谷バーのメニューでは前者をデンキブラン、後者を電氣ブランとしている。

飲み方

基本的にはよく冷やしてストレートで飲む。神谷バーでは、注文すると口直しの氷水のグラスと共に運ばれてくる。さらに同店では生ビールチェイサーにして交互に飲むことを勧めている。人によっては、黒ビールをあわせる場合もある。

には冷たい魚介類料理が合うとされる。

作品・言及

作家の太宰治は作品『人間失格』の中で、「酔いの早く発するのは、電気ブランの右に出るものはないと保証し、……」と書いている。

あがた森魚1972年昭和47年)にリリースしたアルバム『乙女の儚夢』には、神谷バーと電気ブランを謳った曲「電気ブラン」がある。

作家の森見登美彦の小説『夜は短し歩けよ乙女』及び『有頂天家族』には、偽電気ブランと呼ばれる、電気ブランを真似して造られた酒らしきものが出てくる。

1985年昭和60年)に刊行された須藤真澄の漫画短編集に『電氣ブラン』(東京三世社刊)がある。なお、作中には電気ブランの描写は全くない。のちに竹書房から再刊された版は新字体で『電気ブラン』となっている。

参考文献

外部リンク