聊斎志異
テンプレート:出典の明記 『聊齋志異』(りょうさいしい、聊斎志異)は、中国の清代の短編小説集。作者は蒲松齢(1640年(崇禎13年) - 1715年(康熙54年))。
概要
聊齋は作者の号および書斎の名であり、『聊齋志異』とは「聊齋が怪異を記す」の意味。内容は神仙、幽霊、妖狐等にまつわる怪異譚で、当時世間に口伝されていたものを収集して小説の形にまとめたものである。聊斎志異がいつ頃書かれたのかについて正確な所は分からないが、作者の没後約半世紀を経て刻本として上梓された。版本によって異同があるが、会校会注会評本では全12巻503篇。
後世への影響
日本には江戸時代の後期に伝わり、翻訳、翻案がなされ、近代作家では芥川龍之介、佐藤春夫、木下杢太郎、太宰治などに影響を与えた。井伏鱒二も柴田天馬訳の賛辞を書いている。司馬遼太郎も初期エッセイの一節で、柴田天馬訳のファンだったと述べている。
安岡章太郎は、作者の生きかたとみずからの人生を重ね合わせた、『私説聊斎志異』(講談社、講談社文芸文庫 のち「作品集」岩波書店)を書き、小林恭二も日本を舞台とした『本朝聊斎志異』(集英社)を著した。
なお、澁澤龍彦も作品の中で何度か触れている。佐藤さとるは、翻案ファンタジー集『机の上の仙人 机上庵志異』(講談社文庫)を書き、手塚治虫は、後期の短編作品集『新・聊斎志異』を描いた。
チェコの作家フランツ・カフカは本作からの数編を翻訳し、その内容の「精巧さ」を賞賛した。
1959年には日本テレビで『名作劇場 聊斎志異』としてテレビドラマ化されている[1]。1959年4月21日 - 6月9日、20:00 - 20:30放送[1]。
本作の一編「聶小倩」が、1987年にレスリー・チャン、ジョイ・ウォン主演で『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』(原題:倩女幽魂)として映画化されヒットした。
訳書
- ※現行で購入しやすい版本のみ
- 志村有弘訳 『聊斎志異の怪』 角川文庫、抜粋訳。
- 立間祥介訳 岩波文庫(上・下)と岩波少年文庫、抜粋訳。
- 田中貢太郎訳 明徳出版社、抜粋訳。 35篇を編訳、原文写刻と公田連太郎の注入り。
- 柴田天馬訳 ザ・大活字版シリーズ・全一冊本 第三書館(新版2007年)、(旧版の一つに角川文庫全4巻)、全訳。
- 柴田天馬訳 『和訳 聊斎志異』 ちくま学芸文庫、2012年5月、ISBN 9784480094568、抜粋訳。
- ※抜粋訳版だが、原文・書き下し・注解・現代語訳が揃った詳細な版。
- 第9巻 黒田真美子編訳で2009年4月、第10巻 竹田晃・黒田真美子編訳で同年10月に刊行。
論考
- 陳舜臣 『聊斎志異考 中国の妖怪談義』(中公文庫、1997年8月→新版2011年6月) ISBN 9784122054974
- 稲田孝 『聊斎志異を読む 妖怪と人の幻想劇』(講談社学術文庫、2001年) ISBN 4061594923。旧版は講談社選書メチエ