東京海上日動火災保険
東京海上日動火災保険株式会社(とうきょうかいじょうにちどうかさいほけん、英称:Tokio Marine & Nichido Fire Insurance Co., Ltd.)は、日本の損害保険会社である。
保険料収入・損益とも長らく業界最大手であったが、他社の経営統合により、2010年以降、保険料収入ベースではMS&ADグループとNKSJグループに次いで3位となっている[1]。
目次
概要
2004年10月1日に、ミレアホールディングス傘下の東京海上火災保険と日動火災海上保険が合併して発足した。略称は東京海上日動。また、東海日動やTOKIO MARINE NICHIDOなどと呼ばれる場合もある。
旧会社の知名度を生かすため、持株会社の名称に合わせたミレアの名称を採用しなかった。三菱グループの一員である。「トウキョウ(トキオ) マリーン」の名はテンプレート:要出典であり、海上保険の取扱では世界最大である。2008年7月1日に、持株会社の名称を東京海上ホールディングスに改称した。
なお、合併の際には東京海上火災保険株式会社を存続会社として発足したが、「新会社を設立する」という理念のもとで合併がなされた。会社概要では、「創業」として、東京海上保険が設立された1879年8月を掲げている。
沿革
合併以前の旧会社である東京海上火災保険および日動火災海上保険の沿革をそれぞれ以下に記す。
東京海上火災保険
その前身・東京海上保険は日本最初の保険会社(海上保険会社)であり、売上高では、日本の損害保険業界トップ。かつての三菱財閥、現在の三菱グループに所属する会社として発足している。略称は東京海上や東海上など。また、大学生の就職人気企業ランキングにて、文系部門での第1位を長年得ていたこともあった。
- 1879年8月 - 東京海上保険設立
- 1891年1月 - 明治火災保険設立
- 1918年4月 - 東京海上火災保険に商号変更
- 1919年3月 - 三菱海上火災保険設立
- 1944年3月 - 明治火災保険および三菱海上火災保険を吸収合併
日動火災海上保険
東京銀座に、日動画廊、熊本県東京事務所と本社ビル(日動火災・熊本県共同ビル)を共有。「動産三社」の一角。旧安田財閥。
- 1898年2月 - 東京物品火災保険設立
- 1911年11月 - 東邦火災保険設立
- 1914年1月 - 日本動産火災保険に商号変更
- 1944年8月 - 東邦火災保険を吸収合併
- 1946年12月 - 日動火災海上保険に商号変更
主力商品
事業展開国(一部)
- テンプレート:SIN
- テンプレート:MAS
- テンプレート:Flagicon タイ
- テンプレート:Flagicon インドネシア
- テンプレート:VIE
- テンプレート:PHI
- テンプレート:Flagicon 中国
- テンプレート:ROC
- テンプレート:Flagicon イギリス
- テンプレート:Flagicon フランス
- テンプレート:GER
- テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国
- テンプレート:Flagicon メキシコ
- テンプレート:Flagicon ブラジル
- テンプレート:Flagicon インド
- テンプレート:Flagicon アラブ首長国連邦
- テンプレート:Flagicon サウジアラビア
不祥事
2005年、大手損害保険の「保険金不払い問題」が明らかになり、同社においても17,934件、金額にして9億6014万円分もの不払いが判明した。そして同年11月25日には金融庁から一部業務停止命令が下されるなど厳しい行政処分がなされた[2]。東京海上日動はこの時点で損保大手6社中では不払い件数第4位と市場占有率に比して不払いが少なく、役員が辞任した損害保険ジャパンや三井住友海上火災保険と比べてあまり批判の対象にはならなかった。
ところが2006年8月11日、前年11月25日の行政処分後に数社で新たな不払いの発覚が相次いだのを受け、金融庁が再調査を指示。2006年9月29日に発表された同社の調査結果によると、昨年時点の3倍以上となる68,395件、金額にしておよそ46億円分もの不払いが新たに判明した[3]。
その後も不当な不払いの発覚は収束する事が無く、2006年10月31日には第三分野保険での不払いが判明。件数は809件、2億6900万円分が不適切であるとの結果となった[4]。そして2007年3月14日、この事態を重く見た金融庁により、同社は業務改善命令に加え、同年4月2日から3ヶ月間、第三分野商品の販売禁止を命令される(一部業務停止命令)という厳しい行政処分を科されることになった[5]。
2006年11月20日には、合併前の旧日動火災海上保険が1989年から2004年9月に渡って販売していた積立保険、介護保険、所得補償保険などの契約分で、契約の失効や契約解除による返戻金の不払いが約5万件、3億7千万円分あったことが判明した[6]。
このように、次から次へと新たな不当不払い事案が明らかになり、問題の終息が全く見えないことを重く見た金融庁が、2006年11月17日に損保各社に不払いの再々調査を指示。同社は2007年3月末までに調査が完了すると発表し、同年3月30日にその調査結果を発表。これによると、新たに2万4594件、金額にして24億7600万円もの不払いが確認され、合計で8万4715件、金額にしておよそ68億5400万円まで不払いが膨らんだ[7]。
2007年5月18日に、損害保険協会会長を務める同社社長の石原邦夫が衆議院財務金融委員会の参考人招致を受け、これに出席。一連の保険金不払いについて釈明した。なお、政治献金について質問されたところ、同社は2005年に1,764万円、2006年もそれと同等額を自民党へ献金していたことが明らかになった。本来支払わなければならないものを支払わず、支払わなくてもよいものに支払っていた体制が問題視された[8]。
さらに2014年に入って、それまでの発表以外にも、約12万件の不払いがあることを掌握しながら、対応していなかったことが明らかになった[9]。
保険金不払い以外では、2006年12月10日に2×4工法の建築物に対する火災保険料を取りすぎていた問題が発覚している。
保険金不払いに対する経営責任
この問題に関して、同社は長らく経営者の減給等の対応は示してこなかった。が、2007年3月14日に発動された行政処分を重く見て、同年4月8日には当時の社長である石原邦夫が同年6月末をもって社長職を辞任する意向を示し[10]、6月21日をもって辞任した。そして同日、代表権のない会長職へ就任した[11]。 後任には当時専務であった隅修三が昇格、社長となった。なお、同社の持ち株会社であるミレアホールディングスの社長職についても同様の人事が行われた。
この他、石原は同時にNHK経営委員長も務めていた時期があったが、世論の批判拡大に加え、第三分野保険での不正不払いによって同社に行政処分が下されたことなどにより、保険金不払い問題をはじめとする同社の不祥事への対応に本腰を入れなければならないと判断し、2007年4月10日をもって辞任した[12]。 なお、石原本人は同時に委員の役職も辞するつもりであったが、総務大臣の菅義偉から説得され同年6月末まで委員として留任していた。
関連企業
- 東京海上日動ファイナンス
- 東京海上日動あんしん生命
- 東京海上日動フィナンシャル生命保険
- 東京海上アセットマネジメント
- 東京海上キャピタル
- 東京海上日動メディカルサービス
- 東京海上日動ベターライフサービス
- 東京海上日動リスクコンサルティング
- 東京海上日動安心110番
- 東京海上日動システムズ
- 東京海上日動コミュニケーションズ
- 東京海上日動ファシリティーズ(旧:東管)
- 東京海上日動キャリアサービス
- 東京海上不動産投資顧問
- 日新火災海上保険
- ミレア・モンディアル
- 東京海上日動調査サービス
- イーデザイン損害保険
- 東京海上ビジネスサポート(特例子会社)
- 東京海上研究所
脚注
関連項目
- 損害保険
- シュワブ東京海上証券
- アニコム
- オスカー・ニーマイヤー(サンパウロ支店旧ビルを設計)
- パイノパイノパイ(東京節。歌詞中に東京の名所として海上ビルヂングが登場)
- 日本水泳連盟
- 全国JOCジュニアオリンピックカップ水泳競技大会(旧東京海上時代より特別後援)
- 日本陸上競技選手権大会(旧日動火災時代の1989年から2008年まで特別協賛)
- 小日向文世(2010年8月から登場のイメージキャラクター「東京海ジョー」の声を担当)
- 東京海上日動 ROUTE38(一社提供ラジオ番組、JFN系)
- 東京海上日動 By Your Side(JFN系「クロノス」の1コーナー)
- THE PARTNER(一社提供テレビ番組)
- 東京海上日動 Presents Humanglobe Traveler(一社提供ラジオ番組、JFN系)
- 東京海上日動ビッグブルー
- 東京海上日動火災保険サッカー部
外部リンク
- 東京海上日動火災保険
- コミュニケーションコンテンツ『安心World』 東京海上日動火災保険
- キッズコンテンツ『みらい研究所』 東京海上日動火災保険
- 損保、不作為の40年 不払い26万件に拡大、収束はなお遠く(日経ビジネスオンライン)
テンプレート:東京海上ホールディングス テンプレート:三菱グループ
テンプレート:芙蓉グループ- ↑ asahi.com(朝日新聞社)損保の勢力図一変 3グループ決算、首位交代-ビジネス・経済 - asahi.com(朝日新聞社ウェブサイト)、2010年8月確認。
- ↑ 金融庁 平成17年11月25日「損害保険会社26社に対する行政処分について」保険業法第132条第1項等の規定に基づく命令(業務改善命令)
- ↑ 東京海上日動 2006年9月29日 付随的な保険金の支払漏れに関する検証結果等と再発防止に向けた各種取り組みの進捗状況について(PDF)
- ↑ 東京海上日動 2006年10月31日 第三分野商品の保険金支払に関する検証結果等について(PDF)
- ↑
- ↑ 東京海上日動 失効返れい金等の支払漏れについて(PDF)
- ↑ 東京海上日動 2007年3月末期限の各種調査結果について 2007年3月30日(PDF)
- ↑ 11月までに支払い完了 不払い問題で生保協会長表明(フジサンケイビジネスアイ)
- ↑ 東京海上、未払い12万件か…把握して対応せず 読売新聞 2014年2月6日
- ↑ 石原東京海上社長が退任へ/NHK委員長も辞任の意向 四国新聞社
- ↑ 2007/04/13 当社の役員人事異動(PDF)
- ↑ 石原経営委員会委員長の委員長辞任について