拉麺のソースを表示

{{Otheruses|中国料理における拉麺|日本のラーメン（拉麺）|ラーメン}}
{{特殊文字}}{{JIS2004}}
{{Chinese|s=拉面|t=拉麵|p=Lā miàn}}
'''拉麺'''（lā miàn, ラーミエン、ラーメン）は、[[中華圏]]の[[麺]]の一種、および麺料理の名称。麺の生地を包丁で切った切麺に対した呼び方として、手で延ばしたものを「拉麺」と呼ぶ<ref name="andomomofuku">「麺ロードを行く」 P.18  [[安藤百福]]著 ISBN 978-4062038478</ref>。

== 概要 ==
[[ファイル:Niuroumian.jpg|thumb|right|280px|蘭州牛肉拉麺]]
[[ファイル:Lanzhou Ramen.JPG|thumb|right|280px|蘭州以外の土地でよく見られる蘭州拉麺]]
拉麺は、[[中華人民共和国]]では[[簡体字]]で'''拉面''' (lā miàn) と表記される。中国では「麺」（麵／面）は[[小麦粉]]を面状に伸ばしたものを指し、薄くのばした包む皮を「麺皮」（{{lang|zh-hant|麵皮}} / {{lang|zh-hans|面皮}}）、線状になったものを「麺条」（{{lang|zh-hant|麵條}} / {{lang|zh-hans|面条}}）と呼ぶ。拉麺は、麺条の一種。

中国国家食糧局（{{lang|zh-hant|中國國家糧食局}} / {{lang|zh-hans|中国国家粮食局}}）によると、拉麺は小麦粉・塩・水を用いた麺で<ref name="chinagov">[http://www.chinagrain.gov.cn/n16/n1092/n1977/n80847/82115.html {{Lang|zh|什么是拉面？}} ] 中国国家食糧局 小麦編（中国語）</ref>、[[陝西省]]・[[甘粛省]]から[[新疆ウイグル自治区]]にかけての[[中国西北部]]で伝統的に食される[[ラグマン]]に由来するとされる<ref name="chinagov"/>。

特徴は、小麦粉を練って生地を作ったあと、両手で生地を引っ張ったり、上下に振ったり、板に叩きつけたりしながら伸ばしていく<ref name="chinagov"/>。生地が一本が二本、二本が四本、四本が八本と、引き延ばされるごとに徐々に麺が細くなって本数が増えていき<ref name="andomomofuku"/>、その長さは 1 - 2 m にもなる。

後述の蘭州拉麺のように、[[かん水]]を使用している拉麺も存在する<ref name="sakamoto"/>。中国にはコシがない麺や弱い麺が多い中で、このような製法で作った麺は、日本の[[ラーメン]]のような強いコシを持つ<ref name="andomomofuku2">「麺ロードを行く」 P.151-155  [[安藤百福]]著 ISBN 978-4062038478</ref>。

中華人民共和国以外の[[中華圏]]においては、小麦の麺ではないもの、細く引きのばした手延べ麺ではないものでも、「拉麺」の文字が料理名（メニュー）とし使用されている場合がある。

== 中華人民共和国の拉麺 ==
拉麺には、土地の名称を冠したものとしては、'''蘭州拉麺'''や'''河南拉麺'''が有名で、現代は[[北京市|北京]]や[[上海市|上海]]、[[広州市|広州]]など、[[中国西北部]]以外でもこの名称を冠した麺料理店を見ることができる。これらは料理名ではなく、日本で言う「ご当地ラーメン」のようなもの。また中国西北部の伝統的な拉麺とは別に、料理名として、メニューの中に'''拉麺'''の名称をつけた料理を提供しているところもある。

=== 拉麺 ===
[[大連市|大連]]の麺料理店では、複数の店で「拉麺」をメニューに見ることができる。具がとくに入っておらず、素ラーメンのような麺料理が確認できる<ref name="sakamoto">「誰も知らない中国拉麺之路」 P.54 坂本 一敏著 ISBN 978-4098250097</ref>。

=== 蘭州拉麺 ===
{{Main|蘭州拉麺}}
甘粛省の省都[[蘭州市|蘭州]]では、蘭州拉麺は'''[[:zh:兰州牛肉面|牛肉麺]]'''と呼ばれ、至るところで提供されている。この牛肉拉麺は、[[回族]]（イスラム教徒の少数民族）の馬保子が、[[清朝]]の[[光緒|光緒年間]]（19世紀末から20世紀初頭）に考案したとされる<ref name="sakamoto2">「誰も知らない中国拉麺之路」 P.15-16 坂本 一敏著 ISBN 978-4098250097</ref>。回族は[[ハラール|イスラームの戒律]]で[[豚肉]]を食すことが出来ないが、[[牛肉]]は食すことができる。[[漢民族]]の中国人もこの牛肉拉麺を食し、朝食としてとる人々もいる<ref name="andomomofuku2"/>。

蘭州拉麺は特徴として「一清二白三紅四緑五黄」といわれ、「一清」はスープが澄んだ「[[湯 (中華料理)#種類|清湯]]」であること。「二白」は[[ダイコン|大根]]が入っていること。「三紅」は[[ラー油|唐辛子油]]の赤い色。「四緑」は麺の上に乗せる[[香菜]]を指し、「五黄」は麺が黄色がかっていることを表している<ref name="sakamoto2"/>。

麺にはかん水が用いられており、「蓬灰」 (péng huī, ペンフイ) と呼ばれる植物の灰や、「積積草」（積は草かんむりに積の字）と呼ばれるヨモギの仲間の草から作った灰汁を使ったものなどが使用されてきたものの、現代では化学合成のものも代用されている<ref name="andomomofuku2"/><ref name="sakamoto2"/>。麺の種類は、丸くて細い麺（細い順に、毛細、細、二細）から、平たい麺（幅の狭いものから順に、韮葉、小寛、寛、大寛）まで種類がある<ref name="andomomofuku2"/><ref name="sakamoto2"/>。幅 5 cm を越える幅広い麺もある。

スープは牛骨を煮込んだ湯（たん）で澄んでいるが、蘭州の牛肉拉麺は、醤油、すり下ろしたニンニク、辣油、山椒に酢を合わせて煮込んだ、どろっとしたタレを麺の上からかける<ref name="andomomofuku2"/>。

=== 河南拉麺 ===
{{節stub}}

== その他中華圏の拉麺 ==
中華圏や[[華人]]・[[華僑]]社会には、さまざまな「拉麺」の字を宛てた食品や製品が存在する。中には切麺や[[インスタントラーメン]]など、もともと「拉麺」の漢字が持つ意味の、引っぱって延ばした麺ではない麺にも、拉麺の文字が使用されている場合がある。

台湾では、日本風ラーメンに「拉麺」の文字を宛てている<ref>博多拉麺（{{lang|zh-hant|博多拉麵}}）、赤坂拉麺（{{lang|zh-hant|赤坂拉麵}}）、武蔵野拉麺（{{lang|zh-hant|武藏野拉麵}}）など、当て字としての拉麺の文字が見受けられる。</ref>。

なお、[[大韓民国|韓国]]にも「拉麺」（ラミョン、{{lang|ko|라면}} / {{lang|ko|拉麵}} / ramyeon）と称する料理が存在するが、インスタントラーメンを指し、生麺を用いるのは一般的ではない。

== 脚注・参考資料 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist}}

== 関連項目 ==
* [[回族]]

{{麺}}
{{デフォルトソート:らあめん}}
[[Category:中国の麺料理]]
[[Category:甘粛省]]