廃棄物の処理及び清掃に関する法律

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廃棄物の処理及び清掃に関する法律(はいきぶつのしょりおよびせいそうにかんするほうりつ、昭和45年12月25日法律第137号)は、廃棄物の排出抑制と処理の適正化により、生活環境の保全と公衆衛生の向上を図ることを目的とした法律である。廃棄物処理法廃掃法と略される。最終改正は平成20年5月2日法律第28号。

歴史

1900年伝染病の蔓延を防ぐために制定された汚物掃除法が元となっており、このときに、ごみ収集が市町村の事務として位置付けられている。当時は公安管轄の法律であり規制と罰則を中心とした内容であった。1954年清掃法に改正された。

1960年代になると、経済の高度成長に伴って、大量消費、大量廃棄によるごみ問題が顕在化した。また、ごみ焼却場自体が公害発生源として、問題となってきた。1970年公害国会において、清掃法を全面的に改める形で、廃棄物の処理及び清掃に関する法律が成立した。1976年には改正され、「措置命令規定の創設」、「再委託の禁止」、「処理記録の保存」、「敷地内埋立禁止」などが定められた。

1990年代には、大きく以下の3回の改正が行われた。

  • 1991年改正 - 特別管理廃棄物制度の導入(特別管理産業廃棄物を対象としてマニフェスト制度を導入)、廃棄物処理施設についての規制強化(施設設置が届出制から許可制に)、廃棄物の不法投棄の罰則強化などが行われた。
  • 1997年改正 - 廃棄物の再生利用に係る認定制度の創設、廃棄物処理施設の設置に係る手続の規定(生活環境影響調査の実施など)、マニフェスト制度の拡大(すべての産業廃棄物に)、不法投棄原状回復基金制度の創設などが行われた。
  • 2000年改正 -「廃棄物処理基本方針」(国)および「都道府県廃棄物処理計画」(都道府県)策定制度の創設、マニフェスト制度の見直しなど排出事業者処理責任の徹底、廃棄物の野外焼却(野焼き)の禁止(直罰規定の導入)、支障の除去等の命令の強化などが行われた。

2000年代は改正が頻繁に行われ、例えば、最終処分場跡地の形質変更を行う際には、都道府県知事等への届出が義務化された。2006年には、石綿含有廃棄物に係る処理基準が定められた。

目的

廃棄物の排出を抑制し、及び廃棄物の適正な分別保管収集運搬再生処分等の処理をし、並びに生活環境清潔にすることにより、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的とする(1条)。

内容

廃棄物の定義国民、事業者、地方公共団体の責務、一般廃棄物の処理、産業廃棄物の処理等について定める。

廃棄物が地下にある土地の指定
15条の17(指定区域の指定等)
1項を根拠に、廃棄物最終処分場跡地を各自治体が指定区域として指定している。指定区域になると土地改変時には届出が必要になると共に、土壌汚染地下水汚染に注意が必要である。また、土地取引においては、重要事項説明内容として買主に十分説明しなければ宅地建物取引業法上の処分を受ける場合がある。

廃棄物の定義

この法律において「廃棄物」とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であって、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによって汚染された物を除く。)をいう(2条)。

ここで「不要物」については、「占有者が自ら、利用し、又は他人に有償で売却することができないために不要になった物」との解釈が厚生省(当時)環境衛生局環境整備課長通知[1]により示されており、有価物は廃棄物ではないと判断される[2]

放射性廃棄物は、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律などによって規定されるため、廃棄物処理法の対象外である。また、法では「廃棄物」を産業廃棄物一般廃棄物に大別している。

産業廃棄物は、「事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類その他政令で定める廃棄物」(第2条第4項第1号)および「輸入された廃棄物」(同第2号)とされ、産業廃棄物以外のものが一般廃棄物とされる。

産業廃棄物処理業

  • 産業廃棄物収集運搬業
  • 特別管理産業廃棄物収集運搬業
  • 産業廃棄物処分業
  • 特別管理産業廃棄物処分業

構成

  • 第1章 総則(1条~5条の8)
  • 第2章 一般廃棄物
    • 第1節 一般廃棄物の処理(6条~6条の3)
    • 第2節 一般廃棄物処理業(7条~7条の5)
    • 第3節 一般廃棄物処理施設(8条~9条の7)
    • 第4節 一般廃棄物の処理に係る特例(9条の8~9条の10)
    • 第5節 一般廃棄物の輸出(10条)
  • 第3章 産業廃棄物
    • 第1節 産業廃棄物の処理(11条~13条)
    • 第2節 情報処理センター及び産業廃棄物適正処理推進センター
      • 第1款 情報処理センター(13条の2~13条の11)
      • 第2款 産業廃棄物適正処理推進センター(13条の12~13条の16)
    • 第3節 産業廃棄物処理業(14条~14条の3の3)
    • 第4節 特別管理産業廃棄物処理業(14条の4~14条の7)
    • 第5節 産業廃棄物処理施設(15条~15条の4)
    • 第6節 産業廃棄物の処理に係る特例(15条の4の2~15条の4の4)
    • 第7節 産業廃棄物の輸入及び輸出(15条の4の5~15条の4の7)
  • 第3章の2 廃棄物処理センター(15条の5~15条の16)
  • 第3章の3 廃棄物が地下にある土地の形質の変更(15条の17~15条の19)
  • 第4章 雑則(16条~24条の6)
  • 第5章 罰則(25条~34条)
  • 附則

脚注

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関連項目

資格

外部リンク

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  • 廃棄物の処理及び清掃に関する法律の運用に伴う留意事項について(昭和46年10月25日環整45号)
  • なお、循環型社会形成推進基本法は、有価・無価を問わず「廃棄物等」として定義する。