史学雑誌
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史学雑誌(しがくざっし)は、公益財団法人史学会が発行する歴史学の月刊学術雑誌。創刊は1889年(明治22年)。日本の歴史学研究において最も権威ある雑誌の1つ。
歴史
1877年(明治10年)から1902年(明治35年)まで慶應義塾大学、東京帝国大学、陸軍大学で歴史編纂学を教授したドイツ人のお雇い外国人・ルートヴィヒ・リースの肝入りで1889年(明治22年)12月に史料編慕所の創設、史学会の創立に伴う機関紙『史学会雑誌』として創刊され、1892年(明治25年)に『史学雑誌』と改称された[1]。
特徴
この雑誌において特筆すべきは毎年の第5号に掲載される「回顧と展望」である。「回顧と展望」では前年に発表された研究の中から、各時代・地域・国ごとに特筆に値するものを執筆者が選び批評を行っている。『史学雑誌』の編纂自体は東大系の学者で構成されているが、「回顧と展望」では出身に拘らず幅広い研究が渉猟されているその年の執筆者によっては俎上に上る研究にやや偏りが出る場合もあると言われるが、原則的に主だった研究は網羅されており、国内のみならず、海外での研究も含めた動向を知る事が出来る。
特に歴史学を始めたばかりの学生にとって、「回顧と展望」は読むべき論文、学術書を示すのみならず、数年分あるいは十数年分を調べる事によって、現在までの大まかな研究の流れを把握する事が出来る為、研究史を知る上で最も重要な文献の1つであり、自分の研究を研究史の中で位置付け、意義付けをする上において最初にあたるべき「史学史」の史料であると言える。
参考書籍
脚注
- ↑ ラビ・M・トケイヤー『ユダヤ製国家 日本』徳間書店、2006