石膏

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石膏(せっこう、gypsum)とは硫酸カルシウム(CaSO4)を主成分とする鉱物である。硫酸カルシウムの1/2水和物がバサニ石(CaSO4・0.5H2O)、2水和物が石膏(CaSO4・2H2O)、無水物が硬石膏(CaSO4)。これら硫酸カルシウムの各水和物および無水物を一纏めに「石膏」という場合もあるので注意を要する。

半水石膏(バサニ石)

テンプレート:Infobox 鉱物 硫酸カルシウム・1/2水和物(CaSO4・1/2H2O)を半水石膏焼石膏またはバサニ石(bassanite)という。

土壌中及び溶岩内から発見されている[1][2]

半水石膏は、水と化学反応し二水石膏に変化する。骨折時の治療用具としてのギプス、型取り用の石膏は粉末状の半水石膏を水と反応させ二水石膏(単に「石膏」ともいう)として硬化させたものである。

日本薬局方では「焼石膏」として記載されている。

豆腐凝固剤としても用いられており中華人民共和国南部や台湾などでは「豆腐花」など、日本では絹ごし豆腐といった柔らかい豆腐の製造に適する。これは溶解してイオン化塩析効果を発揮する速度がにがりよりも遅いため、濃厚な豆乳の全体を均質に凝固させやすいからである。

二水石膏(石膏)

テンプレート:Infobox 鉱物 硫酸カルシウム・2水和物(CaSO4・2H2O)を二水石膏軟石膏、または単に石膏(gypsum、狭義の「石膏」)という。比重2.23の無色の結晶。硬度1.5~2。水に難溶。単斜晶系に属する。

二水石膏は加熱(160~170℃)により水分を失い、半水石膏に変化する。

天然には、温泉作用や蒸発岩の一種として生じる。蒸発岩としては陸地に閉じ込められた海水が干上がることによって、溶解度の関係から炭酸カルシウム(石灰岩)、硫酸カルシウム(石膏)、塩化ナトリウム(岩塩)の順で沈殿し、それぞれの地層をつくる。石膏は難溶ではあるが、0.2g/100cc程度の溶解度を有するため、石膏の地層が広く露出した地域では長年月の間に雨水による溶解が進行し、石膏カルストが発達する。

天然には単結晶のほかに結晶集合体が生じ、透明のものを透明石膏セレナイト、selenite)、繊維状のものを繊維石膏(satinspar)、細かい粒状のものを雪花石膏アラバスター、alabaster)と呼ぶ。セレナイトは窓用として、アラバスターは彫刻の素材として古来より用いられてきた。また排気ガスの脱硫過程、燐酸化学肥料の製造工程、製塩でも生じるためこれらは回収される。

また生薬として漢方薬に配合されたり、防火用の石膏ボード、彫刻などに使われる。

石膏ボード

石膏ボード建築材料として幅広く用いられる材料であり防火性、遮音性に優れている。石膏ボードには約21%に相当する結晶水が含まれており、これが耐火性に大きく寄与している。近年、建築物の建て替えに伴い発生する廃石膏ボードが廃棄物処理場の地下水に生息する硫酸塩還元細菌に代謝されて硫化水素を発生し環境上の問題となっており、リサイクルなど廃棄物化させない処理方法が研究されている。

ラスボードとは、塗壁の下地に使用される孔あき石膏ボードのことである。左官材の付着をよくするために孔があけられている。施工性、耐火性、遮音性に優れている。

生薬

ファイル:A herbal medicine Gypsum.jpg
生薬として用いられる石膏

天然の二水石膏は、日本薬局方に医薬品名「石膏」として記載されている生薬である。天然物であるから純粋の硫酸カルシウム・2水和物ではなくケイ素、アルミニウム、鉄などの化合物が少量含まれる。

生薬としての石膏は、解熱作用や止渇作用などがあるとされる。石膏を含む漢方方剤は竹葉石膏湯、防風通聖散、桔梗石膏など多数ある。

石膏パック

薬品を混ぜたクリームを清潔にした顔に塗り、その上に石膏をのせるパック。石膏は水分を加えたときに熱を生むので、その作用を利用している。若干息苦しさを感じるが、美容に良いこともあり人気は高い。

無水石膏(硬石膏)

テンプレート:Main 無水硫酸カルシウム(CaSO4)を無水石膏または硬石膏(anhydrite)という。

参考文献

脚注

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  1. Bassanite(mindat.org)
  2. Bassanite Mineral Data(webmineral.com)

関連項目

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外部リンク

テンプレート:モース硬度