ラプンツェル
ラプンツェル(Rapunzel)は、グリム童話(Die Kinder und Hausmärchen)に収録されている作品(KHM 12)。髪長姫と訳されることもある。
グリム兄弟が童話集から性的な要素を省いた例としてよくあげられる。
初版では主人公が夜ごと王子を部屋に招き入れて逢瀬を重ね、結果として妊娠。それがばれてしまったため放逐されたプロセスを詳細に書いているが、後の版では逢瀬シーンが最小限に、さらに性行為の暗示は全てカットされ、放逐の理由も外部の人間である王子を招き入れ、恋仲にまでなっていることをうっかり言ってしまったためとされ、後に自分が生んだ子供と暮らしている描写が挿入されることにより「妊娠」が発覚、という版に改変された。
ラプンツェルは「ちしゃ」と訳されることがあるが、本来はキク科のレタス(ちしゃ)ではない。ラプンツェルと呼ばれる野菜はオミナエシ科のノヂシャ、キキョウ科のCampanula rapunculusなど複数存在する。妊婦が食べるのによいとされる植物である。
あらすじ
あるところに夫婦がいた。長年子供がなかった2人だが、ある時やっと子供を授かる。妊娠した妻は隣に住むゴーテルという魔女の庭のラプンツェルを食べたくてたまらなくなる。食が細ってやつれた妻に「ラプンツェルが食べられなければ死んでしまう」と懇願された夫は、妻と生まれる子のために魔女の敷地に忍び込むとラプンツェルを摘み取りにかかるが、魔女に見つかってしまう。しかし夫から事情を聞いた魔女は、好きなだけラプンツェルを摘んでもいいが、子供が生まれたら自分に渡せと言う。
やがて妻が生んだ女の子は、即座に魔女に連れて行かれる。ラプンツェルと名付けられた娘は、森の中に築かれた入り口のない高い塔に閉じ込められる。魔女はラプンツェルの見事な長い金髪をはしご代わりに、窓から出入りしていた。 そんなある日、森の中を歩いていた王子が美しい歌声に引かれ、塔の中に閉じこめられたラプンツェルを発見。魔女と同じ方法を使って塔に登る。はじめて男性との性交渉を知ったラプンツェルは驚くが、やがて愛し合い、魔女に隠れて夜ごと王子を部屋に招き入れて頻回に性交渉を行う。その結果ラプンツェルは妊娠する。
その事実を知って激怒した魔女はラプンツェルの髪を切り落とし、荒野へと放逐する。 一方、何も知らずラプンツェルを訪ねてきた王子は待ち受けていた魔女から罵られる中で全ての顛末を知って絶望し、塔から身を投げて失明する。
7年後、盲目のまま森をさまよっていた王子は、男女の双子と暮らしているラプンツェルとめぐり会う。うれし泣きするラプンツェルの涙が王子の目に落ち、王子は視力を回復する。王子はラプンツェルと子供たちを伴って国に帰り、皆で幸せに暮らす。
映画
ウォルト・ディズニー・ピクチャーズが、ディズニープリンセス映画の新作として、本作を題材にした『塔の上のラプンツェル』を2010年冬にアメリカ合衆国で公開した。当初アメリカでは原作と同じく『ラプンツェル』(テンプレート:En)という題だったが、商業的戦略のため『タングルド』(テンプレート:En)に変更された。
作品はアニメーション映画史上第3位の興行収入を記録するヒット作となり、第84回アカデミー賞の歌曲賞にノミネート。