ホンダ・インテグラ
インテグラ(Integra)は、本田技研工業がかつて生産、販売していたクーペまたはハードトップ型の乗用車である。
通称は「インテ」。ベルノ店の専売車種だった。
目次
初代 AV/DA1/2型(1985-1989年)
テンプレート:Infobox 自動車のスペック表 1985年にクイントがフルモデルチェンジされ、クイントインテグラ(Quint integra )としてデビューした。当時としては珍しい全車DOHC搭載という、スポーティなイメージを売りにして発売され、3ドア/5ドアハッチバックと4ドアセダンのラインナップ[1]を持ち、先代クイントが商業的に失敗したため、そのイメージを払拭するべく3ドアモデルのみを先行発売し、3ドアは2月20日に、5ドアは11月1日に、そして4ドアは1986年10月25日に発売された。
さらに、アメリカではホンダの高級車チャンネル「アキュラ」において「アキュラ・インテグラ」として、レジェンドに次ぐアキュラブランド第2弾として発売された。
デザインは日米共同で進められ、全体のスタイルの特徴として、1985年6月に登場する3代目アコードを小型化したようなスタイルで、当時のホンダ車に多かったリトラクタブル・ヘッドライトを採用している。
当初は、クイントインテグラ用に開発されたZC型 1.6L 直4 DOHCエンジンのみを搭載し、PGM-FI仕様は、基本的にシビックおよびCR-Xの「Si」と同じものであるが、クイントインテグラ専用にシングルキャブレター仕様も開発された。ヘッドカバーは当時のF1と同じブラウンに塗られている。シングルキャブレター仕様の5速MT車では、15km/L(10モード燃費)という低燃費を実現している。
4ドアセダンがラインナップに加わった際に、シビックの普及モデルと共通のEW型 1.5L 直4 CVCC SOHC 12バルブ シングルキャブレター仕様のエンジンが搭載され、発表以来の売りの一つであった全車DOHC搭載ではなくなっている。
1987年10月のマイナーチェンジによって、ZC型のPGM-FI仕様のヘッドカバーは、黒色塗装となり、エンジン出力も120PS(NET値)から130PSへとパワーアップされた。外観上の変更はフロントバンパーのデザイン変更程度であったが、内装は細部に使い勝手の向上が図られた。足回りは基本的にシビックおよびCR-Xと共通であったが、この車のキャラクターに合わせ若干マイルドな味付けが施されていた。この足回りは当時、米カー・アンド・ドライバー誌で高評価を得ている。
当時ホンダがイギリスのローバー社と提携していた関係で、オーストラリアではこのモデル(5ドアハッチバックのみ)のバッジエンジニアリング車がローバー・416iとして1986年から1990年にかけて販売されていた。
- Honda Intagra Seitenansicht Cambridge 1987.jpg
5ドア 英国仕様
- 1st Gen Integra Sedan.jpg
4ドア 米国仕様
- MHV Rover 416i 01.jpg
ローバー・416i
2代目 DA5/6/7/8/DB1/2型(1989-1993年)
テンプレート:Infobox 自動車のスペック表 1989年に2代目にフルモデルチェンジした。通称・「カッコインテグラ」。ボディは3ドアクーペ(4月20日発売)と4ドアハードトップ(5月12日発売)との2種類が用意されていた。このモデルから単独名のインテグラとなる。4代目シビック(EF型、通称グランドシビック)とサスペンション部品を共有し、初のVTEC搭載車となった。北米ではクイントインテグラに引き続いて「アキュラ」にて「アキュラ・インテグラ」として販売され、人気を博した。なおこのモデル(1991年式・1.6L・5速MT)は、今上天皇が皇居内を移動する際に使うプライベートの愛車(4ドアハードトップタイプ)として、2013年現在も使用されている[2][3]。
1992年8月に、特別仕様車であるZX スペシャル・セレクトが発売され1993年5月まで販売された。
エンジンは発売当初B16A型 1.6L 直4 DOHC VTEC(160PS:MT/150PS:AT)とZC型 1.6L 直4 SOHC(120PS:PGM-FI/105PS:CVデュアルキャブ)の2種類であったが、後にB18B型 1.8L 直4 DOHC(140PS)が4ドアに追加された。マイナーチェンジ後、B16A型は5代目シビック(EG型)およびCR-X デルソルと同じ170PS(MT)へとパワーアップされた。 北米では当初B18B型とZC型の2種類であったが、後にB16A型のストロークを変更し排気量を拡大したB17A型 1.7L 直4 DOHC VTECが追加された。 テンプレート:-
3代目 DC1/2/DB6/7/8/9型(1993-2001年)
テンプレート:Infobox 自動車のスペック表 1993年に3代目へフルモデルチェンジ(5月21日:3ドアクーペ、7月23日:4ドアハードトップ)した。5代目シビック(EG型、通称スポーツシビック)とプラットフォームを共有していた。初期型のヘッドランプはプロジェクター4灯であったが、日本国内では販売が振るわず、2年後の1995年8月に行われた最初のマイナーチェンジでは先代モデルのような横長のヘッドランプに変更された。これ以降がいわゆる後期型となる。なお、輸出仕様は4代目にバトンタッチするまで、プロジェクター4灯のまま変わらなかった。写真を見比べるとわかるが、プロジェクター4灯の前期と後期ではフロントバンパーの丸目のくりぬき形状が異なる。また、日本国内でも3ドア「SiR-II」はプロジェクター4灯仕様のまま、1998年1月に廃止されるまで残された。
エンジンはB18C型 1.8L 直4 DOHC VTEC(180PS)の他、B18B型 1.8L 直4 DOHC(145PS、4ドア専用)、ZC型 1.6L 直4 SOHC(120PS:PGM-FI および 105PS:CVデュアルキャブ)の3種類が当初用意された。駆動形式は基本的にFFであるが、ZC型(PGM-FI仕様)搭載の4ドアハードトップには、インテグラの歴史の中で唯一のリアルタイム4WD(デュアルポンプ・システム)も設定された。
1995年8月24日に、インテグラとしては初めて「タイプR」が3ドアクーペと4ドアハードトップにそれぞれ設定された。同時に行われたマイナーチェンジでは、前述の通りヘッドライトが変更された他、B18BとZCキャブレター仕様が廃止された。
1998年1月29日のマイナーチェンジでは、ABS、両席用SRSエアバッグシステムが全車標準装備となり、ヘッドライト、テールランプ、リアバンパーなどが変更された。また、プロジェクター4灯ヘッドライトの3ドア「SiR-II」が廃止された。
先代までや、この頃の一般的な乗用車のモデルチェンジ周期の4年と異なり、この3代目は8年の間製造販売が続けられた。
- Integra.jpg
3ドア 米国仕様
- Honda Integra 1996 3door.jpg
3ドア 後期型
4代目 DC5型(2001-2006年)
テンプレート:Infobox 自動車のスペック表 2001年7月2日に4代目へフルモデルチェンジした。7代目シビック(EU/EP型)とプラットフォームを共有し、このモデルと同時期に絶版となったプレリュードと統合された形となり、全幅が1,725mmまで拡大されて3ナンバー登録となった。インテグラとして最初で最後の3ナンバー車でもある。また、統合の関係からボディタイプも4ドアハードトップが廃止され、3ドアクーペのみになった。
エンジンはK20A型 2.0L 直4 DOHC i-VTECのみで、グレードは標準グレードである「is」とハイパフォーマンスモデルである「タイプR」が設定された。エンジン出力は「is」は160PS、「タイプR」は220PSである。また、トランスミッションは「is」が5速MTまたは5速AT、「タイプR」が6速MTを採用する。
フロントサスペンションが、先代モデルのダブルウィッシュボーンから、生産性、プラットホーム他車種流用のコスト削減の理由からマクファーソンストラットながら、ダブルウィッシュボーンの性能を求めた、「トーコントロールリンクストラット」なるフロントサスペンションに変更した。
北米ではアキュラブランドでアキュラ・RSXの名で販売された。
2004年9月16日のマイナーチェンジ時には、「is」に変わり「タイプS」が設定されたほか、通称涙目のライトの廃止や、ボディーカラーの追加変更、盗難対策としてイモビライザーが標準装備された。後期型のバンパーを前期型に流用して、フェイスリフトをすることも可能である。
2006年4月に、クーペ型乗用車市場低迷の影響を受け、日本での生産終了が発表された[4]。
- 05-06 Acura RSX.jpg
アキュラ・RSX 後期型
搭載エンジン
初代
- エンジン種類:水冷直列4気筒横置き
- 弁機構:DOHCベルト駆動 吸気2 排気2
- 排気量:1,590cc
- 内径×行程:75.0mm×90.0mm
- 圧縮比:9.3
- 最高出力:135PS/6,500rpm(グロス値)→120PS/6,500rpm(ネット値)→130PS/6,800rpm(ネット値)
- 最大トルク:15.5kgf·m/5,000rpm(グロス値)→14.0kgf·m/5,000rpm(ネット値)→14.7kgf·m/5,700rpm(ネット値)
- 燃料供給装置形式:電子制御燃料噴射式(ホンダPGM-FI)
- 使用燃料種類:無鉛レギュラーガソリン
- 燃料タンク容量:50L
- ZC型(キャブレター仕様)
- エンジン種類:水冷直列4気筒横置き
- 弁機構:DOHCベルト駆動 吸気2 排気2
- 排気量:1,590cc
- 内径×行程:75.0mm×90.0mm
- 圧縮比:9.3
- 最高出力:115PS/6,500rpm(グロス値)→100PS/6,500rpm(ネット値)
- 最大トルク:13.8kgf·m/4,000rpm(グロス値)→12.8kgf·m/4,000rpm(ネット値)
- 燃料供給装置形式:キャブレター
- 使用燃料種類:無鉛レギュラーガソリン
- 燃料タンク容量:初代ZC型(PGM-FI仕様)を参照
- EW型
- エンジン種類:水冷直列4気筒横置き
- 弁機構:CVCC SOHCベルト駆動 吸気2 排気1
- 排気量:1,488cc
- 内径×行程:74.0mm×86.5mm
- 圧縮比:9.2
- 最高出力:76PS/6,000rpm(ネット値)
- 最大トルク:11.8kgf·m/3,500rpm(ネット値)
- 燃料供給装置形式:キャブレター
- 使用燃料種類:無鉛レギュラーガソリン
- 燃料タンク容量:初代ZC型(PGM-FI仕様)を参照
2代目
- エンジン種類:水冷直列4気筒横置き
- 弁機構:DOHCベルト駆動 吸気2 排気2 VTEC
- 排気量:1,595cc
- 内径×行程:81.0mm×77.4mm
- 圧縮比:10.2
- 最高出力:160PS/7,600rpm→170PS/7,800rpm(MT)、150ps/7,100rpm→155PS/7,300rpm(AT)
- 最大トルク:15.5kgf·m/7,000rpm→15.6kgf·m/7,300rpm(MT)、15.3kgf·m/6,000rpm→15.6kgf·m/6,500rpm(AT)
- 燃料供給装置形式:電子制御燃料噴射式(ホンダPGM-FI)
- 使用燃料種類:無鉛プレミアムガソリン
- 燃料タンク容量:50L
- ZC型(PGM-FI仕様)
- エンジン種類:水冷直列4気筒横置き
- 弁機構:SOHCベルト駆動 吸気2 排気2
- 排気量:1,590cc
- 内径×行程:75.0mm×90.0mm
- 圧縮比:9.1
- 最高出力:120PS/6,300rpm
- 最大トルク:14.5kgf·m/5,500rpm
- 燃料供給装置形式:電子制御燃料噴射式(ホンダPGM-FI)
- 使用燃料種類:無鉛レギュラーガソリン
- 燃料タンク容量:2代目ZC型(PGM-FI仕様)を参照
- ZC型(キャブレター仕様)
- エンジン種類:水冷直列4気筒横置き
- 弁機構:SOHCベルト駆動 吸気2 排気2
- 排気量:1,590cc
- 内径×行程:75.0mm×90.0mm
- 圧縮比:9.1
- 最高出力:105PS/6,300rpm
- 最大トルク:13.8kgf·m/4,500rpm
- 燃料供給装置形式:キャブレター(CVデュアルキャブ)
- 使用燃料種類:無鉛レギュラーガソリン
- 燃料タンク容量:2代目ZC型(PGM-FI仕様)を参照
- B18B型
- エンジン種類:水冷直列4気筒横置き
- 弁機構:DOHCベルト駆動 吸気2 排気2
- 排気量:1,834cc
- 内径×行程:81.0mm×89.0mm
- 圧縮比:9.2
- 最高出力:140PS/6,300rpm
- 最大トルク:17.4kgf·m/5,000rpm
- 燃料供給装置形式:電子制御燃料噴射式(ホンダPGM-FI)
- 使用燃料種類:無鉛レギュラーガソリン
- 燃料タンク容量:2代目ZC型(PGM-FI仕様)を参照
3代目
- B18C型
- エンジン種類:水冷直列4気筒横置き
- 弁機構:DOHCベルト駆動 吸気2 排気2 VTEC
- 排気量:1,797cc
- 内径×行程:81.0mm×87.2mm
- 圧縮比:10.6
- 最高出力:180PS/7,600rpm(MT)、170PS/7,200rpm(AT)
- 最大トルク:17.8kgf·m/6,200rpm(MT)、17.8kgf·m/6,000rpm(AT)
- 燃料供給装置形式:電子制御燃料噴射式(ホンダPGM-FI)
- 使用燃料種類:無鉛プレミアムガソリン
- 燃料タンク容量:50L
- B18B型
- エンジン種類:水冷直列4気筒横置き
- 弁機構:DOHCベルト駆動 吸気2 排気2
- 排気量:1,834cc
- 内径×行程:81.0mm×89.0mm
- 圧縮比:9.2
- 最高出力:145PS/6,300rpm
- 最大トルク:17.4kgf·m/5,200rpm
- 燃料供給装置形式:電子制御燃料噴射式(ホンダPGM-FI)
- 使用燃料種類:無鉛レギュラーガソリン
- 燃料タンク容量:3代目B18C型を参照
- ZC型(PGM-FI仕様)
- エンジン種類:水冷直列4気筒横置き
- 弁機構:SOHCベルト駆動 吸気2 排気2
- 排気量:1,590cc
- 内径×行程:75.0mm×90.0mm
- 圧縮比:9.1
- 最高出力:120PS/6,300rpm
- 最大トルク:14.5kgf·m/5,500rpm
- 燃料供給装置形式:電子制御燃料噴射式(ホンダPGM-FI)
- 使用燃料種類:無鉛レギュラーガソリン
- 燃料タンク容量:3代目B18C型を参照
- ZC型(キャブレター仕様)
- エンジン種類:水冷直列4気筒横置き
- 弁機構:SOHCベルト駆動 吸気2 排気2
- 排気量:1,590cc
- 内径×行程:75.0mm×90.0mm
- 圧縮比:9.1
- 最高出力:105PS/6,300rpm
- 最大トルク:13.8kgf·m/4,500rpm
- 燃料供給装置形式:キャブレター(CVデュアルキャブ)
- 使用燃料種類:無鉛レギュラーガソリン
- 燃料タンク容量:3代目B18C型を参照
4代目
- エンジン種類:水冷直列4気筒横置き
- 弁機構:DOHCチェーン駆動 吸気2 排気2 i-VTEC
- 排気量:1,998cc
- 内径×行程:86.0mm×86.0mm
- 圧縮比:9.8
- 最高出力:160PS/6,500rpm
- 最大トルク:19.5kgf·m/4,000rpm
- 燃料供給装置形式:電子制御燃料噴射式(ホンダPGM-FI)
- 使用燃料種類:無鉛レギュラーガソリン
- 燃料タンク容量:50L
車名の由来
- Integra - 「統合する、完全なものにする」を表す「Integrate(インテグレート)」から作られた造語である[5]。この車名は1982年7月発売の二輪車・CBX400Fインテグラで初めて採用され、その後、CB750F、CBX550F、VT250F、MBX80、VF400Fとフルフェアリング標準装備各車に採用されていた。四輪のインテグラ販売終了後は再び二輪車での車名に採用されている詳しくはホンダ・インテグラ (オートバイ)を参照。
- Quint - 五人組や五重奏を意味する「Quintet(クインテット)」を短縮した造語である。なお、欧州ではクインテットの名称で販売されていた。
脚注
- ↑ 5ドアハッチバックは先代のクイント、3ドアの発売から1年半遅れて登場した4ドアセダンは、同時に廃止となったバラードセダン購買層の受け皿として設定された。4ドアセダンは5ドアハッチバックの後部をトランクとして独立した。
- ↑ 天皇陛下80歳 祭祀、ドライブ ご近況写真公開 - Yahoo!JAPANニュース 12月23日(月)7時55分配信
- ↑ 天皇陛下のインテグラ - YouTube
- ↑ 当初は最後の300台を生産し、同年6月に正式な終了を予定していたが、それを惜しむ声が寄せられたため、150台増産で1か月延長の同年7月までとなった。
- ↑ 全車DOHCエンジン搭載 流麗なスタイリングの「クイントインテグラ」を発売
関連項目
- 本田技研工業
- ホンダ・クイント - 先代車種
- ホンダ・インテグラSJ - EK型シビックフェリオの姉妹車
- ホンダ・インテグラタイプR - 派生車
- ホンダ・シビック
- マイケル・J・フォックス - 2代目インテグラのCMに出演していた
外部リンク
テンプレート:ホンダ車種年表 (初期) テンプレート:ホンダ車種年表 テンプレート:アキュラ車種年表 テンプレート:Honda テンプレート:自動車