トイレットペーパー
トイレットペーパー(便所紙、Toilet paper)とは、便所で用を足す際に後始末に用いられる紙。普通巻紙(ロール紙)になっているので、トイレットロールとも呼ぶ。俗に「便所紙」とも呼ばれる。
日本では「ティシュペーパー及びトイレットペーパー」として家庭用品品質表示法の適用対象とされており雑貨工業品品質表示規程に定めがある[1]。また、日本では日本工業規格によって品質や寸法などが細かく定められており[2]、通常、便所の各個室備え付けのホルダーにとりつけてある。しかし、国によってはロールがかなり大きく、その場合はホルダーもそれに対応したものとなっており、これが個室の入口に設置され必要分を取ってから個室に入るようになっている場合もある。
紙パックなど、さまざまなものがトイレットペーパーにリサイクルされており、最近では鉄道の使用済み切符もリサイクルされており、収集された切符は製紙工場において分離(磁気を抜く工程)・殺菌・洗浄・漂白等の工程を経てトイレットペーパーにリサイクルされている。
歴史
トイレットペーパーは14世紀に中国で最初に生産されたとされている。その当時は皇帝用であった。
便所用につくられた初めての工業製品は1857年にアメリカ合衆国のジョセフ・カエティによってつくられた。カエティの名前はすべての紙に印刷された。
トイレットペーパーやちり紙が普及する前は、裕福な人は羊毛、レース、麻を用いていた。そうでない人は、直接手を用いるか、ぼろ布、かんなくず、草、干し草、石、砂、苔、水、雪、トウモロコシの皮、貝殻、木の葉などを用いて拭いていた。日本では便所の近くにヤツデを植える例もあった。
また、使い捨ての物ではなく、洗って再利用する物もあった。古代ローマでは海綿を用いていた。日本では籌木(ちゅうぎ)という細長い板を用いていた。
帝政ロシアでは、部下が皇帝が用いるトイレットペーパーに皇帝の刻印を押した。ヘンリー8世の宮廷では、その手で王族の臀部を清潔にする便所担当の廷臣がいた。安全上の理由のため、特に信頼された廷臣のみが選ばれた。また、王と毎日二人っきりになる好機であるため、その影響力を得たいためにこの仕事を望む部下は多かったという。江戸時代の日本の大奥では、御台所は自分では尻を拭かず、大奥女中に拭かせるのが慣習であったが、中にはこの慣習に馴染めず自分で尻を拭いた御台所もいた。
日本では、トイレットペーパーが最初に求められたのは明治維新後で主にホテル、洋館で必要とされ、当時は日本にトイレットペーパーが無く、輸入していた。
トイレットペーパー以前は、明治の中頃から長い間、古紙が原料のちり紙と、パルプから作られた京花紙(おとし紙)がトイレで使う紙として使われており、下水道工事が本格化した昭和30年前後から「汲み取り式」から「水洗式」へ「和式便器」から「洋式便器」へと変化し、それとともにちり紙メーカーがトイレットペーパーを作り始めた。
トイレットペーパーが日本でも製造されるようになったのは大正後期のことで、今と違い吸水性が悪く溶けにくく、かたくて手でもんで使っていた。
設置方法
トイレットペーパーは紙巻器(トイレットペーパーホルダー)などで設置する。トイレットペーパーホルダーを2個配置した2連紙巻器もある。2個配置するのは紙切れが起きないようにしつつ1個がなくなった時点で補充でき紙を無駄にしないという利点があるためである[3]。2個配置でもトイレットペーパーを縦配置にセットし使用中のトイレットペーパーが完全に無くなって芯紙を取るまで次のトイレットペーパーが取り出せ無い盗難防止タイプもあり、さらに必要量しか引き出せない仕組みになっており、いたずらや盗難に遭いにくいとようになっている。
ホルダーを使用してトイレットペーパーを設置する場合、トイレットペーパーの向きには二つの可能性がある。どちらの方向にも利点があり、アメリカでは紙の先を上から手前にたらす人が多い。いずれを選ぶかは趣味や習慣の問題だが、標本調査を分析して社会的・経済的なステータスと関連があると指摘する論者もいるテンプレート:誰テンプレート:要出典。 テンプレート:Main
鉄道駅ではいたずらや盗難、放火を懸念してトイレットペーパーを設置していない場合があり、この場合トイレの前に設置された自動販売機で購入する。最近はサービス向上のために、トイレットペーパーが以前に設置されていなかった鉄道駅のトイレでも設置されているトイレが増えている。
- ファイヤーホールド(三角折り)
ホテルや百貨店、劇場、店舗など様々な場所でトイレットペーパーの先端が三角に折られホルダーにセットされているのを見かけるが、この風習は「ファイヤーホールド」(または「三角折り」)と呼ばれるもので、1870年代にはトイレットペーパーが普及していたアメリカの消防署で、消防士が緊急出動指令を受けた際にトイレに入っていても迅速に緊急対応ができるようにと考案されたものである[4]。 日本では1900年代半ばに広まったとされ、帝国ホテルの清掃員が「清掃は完了した」ということを他のスタッフに伝える手段(サイン)として行ったものと言われている。
トイレットペーパーの種類
トイレットペーパー はシングル巻とダブル巻があり使用者の好みで選べ、使用者の利便性のためにミシン目などがいれられていたりすることが多く、清拭や吸収を目的とした使用感を向上させるために、製造過程でエンボス加工されている製品も多い。
トイレットペーパーの芯は、ボール紙製が多いが、芯紙が無い、芯なしタイプや、水解紙製の芯であるものも存在する。
トイレットペーパー のカラーも様々で白色の他に、主に薄水色、薄ピンク色、薄黄色、薄緑色等があり、絵柄が印刷された物も存在しカラフルな個性的な絵柄の物も出回っている。
また、トイレットペーパやトイレットペーパの芯紙に香料が付けられトイレ内を芳香できる製品も存在している。
市販のトイレットペーパーの長さはJISで規格されており、JISで規格されているトイレットペーパーの寸法は、1巻(ロール)の長さを27.5m、32.5m、55m、65m、75m、100mの6種で、許容差+3となっているるが、パブリック向けの業務用についてはロールの一巻きあたりが150メートルから210メートルと通常のペーパーより大幅に長く、頻繁に取り替えにくい場所でも利用者が困ることが少なくなるようになっている。
水洗便器とトイレットペーパー
水洗便所でトイレットペーパーは洗浄水を流しても水流の関係で、便器のトラップの水溜りでクルクルと回るだけで、流れに乗りにくい状況が発生する事がある。
特に、吸引作用が無く、水勢のみで洗い流す洗い出し式和式便器等の洗浄方式によっては、に完全に便器内から無くならず、滞留する現象が発生する。
これは大便洗浄の時にはきちんと流れて、小便洗浄時や紙だけ流す時は流れにくいのは、トイレットペーパーの紙の間に空気が入ってしまい、浮力により便器の水溜りでクルクルと回るだけで流れない事があり、この場合紙を丸めるなどして、ある程度固めてから、便器に捨てて、流す事で解消出来る。
トイレットペーパーが便器から流れきれない場合でも少量であれば水解紙製であれば詰まりの原因にはならない。
また、公共のトイレでトイレットペーパーの芯を不心得者によって水洗便器に捨てられ、詰まりが発生することあることある事から、芯紙が無い、芯なしタイプや、水解紙製の芯のトイレットペーパーを使うことで、芯を便器に捨てられても詰まりの発生を防止することができ、最近ではパブリックな公共のトイレでは芯なしタイプや、水解紙製の芯のトイレットペーパーが使われる事が多くなっている。水解紙製のトイレットペーパーの芯は浄化促進剤が含まれており、便器のトラップの水溜りで完全に水解するように出来ている。
脚注
関連項目
外部リンク
- トイレットペーパー - トイレットペーパーに関する記事をあつめたポータルサイト。