ジョン・ポープル
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サー・ジョン・アンソニー・ポープル(Sir John Anthony Pople、1925年10月31日 - 2004年3月15日)は、イギリス生まれで主にアメリカで活動した理論化学者である。1998年に「量子化学における計算化学的方法の展開」でノーベル化学賞を受賞した。
生涯
1925年、サマセットで生まれる。レナード=ジョーンズの下で学び、1951年ケンブリッジ大学で数学の学位を得る。その後、英国立物理学研究所を経て、1964年にアメリカに渡りカーネギー・メロン大学の物理化学科の教授を務めた。1986年からはノースウェスタン大学の化学科教授を務めている。
研究
主な業績は分子軌道法の理論を作ったことである。1953年にルドルフ・パリサー、 ロバート・パールとともにPariser-Parr-Pople法(PPP近似)と呼ばれるπ電子系の近似法を考案した。1965年頃からは同じく半経験的分子軌道法の、分子の主要構成価電子全体をあつかうCNDO法(Complete Neglect of Differential Overlap法)、INDO法(Intermediate Neglect of Differential Overlap法)を開発した。
一方で、半経験的なCNDO法やINDO法には、同時に複数のパラメータの信頼性を上げる事やd電子系への応用などが困難だという欠点があった。これを克服する手法として非経験的分子軌道法(ab initio methods)の開発を進め、1970年にはGAUSSIAN 70を開発している。GAUSSIANは量子化学交流プログラム機構を通じて世界中に普及し、4年ごとの改訂ではウォルター・コーンの提唱した密度汎関数法を取り入れるなどの改良が続けられた。今日、ab initio計算プログラムとして最も広く用いられている。