サイキックフォース

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サイキックフォース』(Psychic Force)は、株式会社タイトーによって製作されたコンピュータ・ビデオゲームの登録商標である。

概要

1996年4月に業務用(=ゲームセンターなどのロケーション用)ビデオゲームとして稼動を開始した。その後は家庭用ゲーム機への移植、バージョンアップ版や続編タイトルの登場などのシリーズ展開も行われた。

現時点における同シリーズの最新タイトルは、2005年12月に発売されたプレイステーション2用ソフト「サイキックフォースCOMPLETE」である。本作も収録されているが、再現度については色々と問題が多い。

一般的には3D対戦型格闘ゲームとされているが、フィールドに奥行きが存在しないため2D対戦型格闘ゲーム、あるいは対戦アクションと解釈されることもある。

現在はシリーズ展開は打ち切られており、システムのみが時折流用されている状況である。

基本ルール

「サイキッカー」と呼ばれるプレイヤーキャラクターの中から1人を選び、対戦相手のプレイヤーキャラクターを倒すことを目的とする1対1の対戦型アクションゲーム。ゲームは「対戦中の両者を真横から同時にとらえる」サイドビュー視点で進行するが、一般的な対戦格闘ゲームにおける「ジャンプ」の概念が存在せず、キャラクターはプレイフィールド内を上下左右に「飛び回る」ことになる。

キャラクターの操作には8方向レバー1本とボタン3個を使用。8方向レバーで通常移動と各種コマンドの入力を、1個のガードボタンで防御関連の動作を、2個の攻撃ボタン(弱攻撃ボタン強攻撃ボタン)で各種攻撃とダッシュでの移動を、それぞれ担当する。

さまざまなアクションを駆使し、各ラウンドの制限時間内に対戦相手キャラクターのライフゲージ(=体力)をすべて奪えば1ラウンド先取。これを繰り返し、規定のラウンド数を先取した側がその対戦の勝利者となる(=負けた側のプレイヤーはゲームオーバーとなる)。 ただし、制限時間内に決着がつかなかった場合、対CPU戦ではライフゲージをより多く残している側が1ラウンド先取となり、対人戦では各ラウンドごとに10秒間のサドンデス(=延長戦)を戦わねばならない。

共通システム

本シリーズでは、一般的な対戦格闘ゲームとの差別化をはかるべく、独創的なシステムが多数採用されている。

サイコゲージ
画面左右端には縦に長い2本のゲージが表示されている(左端がプレイヤー1側、右端がプレイヤー2側)が、このうち下のゲージを「サイコゲージ」という。
サイコゲージは、一般的な対戦格闘ゲームの必殺技に相当する超能力技や、強力な防御システムであるバリアガードを使用すると規定値ぶん消費され、3ボタンを同時に押し続けるサイコチャージという操作によって回復できる(何もしなくても回復するが、そのスピードはサイコチャージより遥かに遅い)。消耗しすぎると行動の自由を大きく制限されてしまうので、このゲージの「消費」と「回復」のバランスを適切に管理することは、対戦における重要な課題となる。
クイックダッシュ
通常の加速移動である「レバー+両攻撃ボタン」の8方向ダッシュに他に、「レバーを入力せずに両攻撃ボタンを同時に押す」という操作により、相手のいる角度へ直線的にダッシュするクイックダッシュができる。移動に関するアクションの中で移動スピードが最も速く、相手の弱ショット攻撃を弾くことが可能。またクイックダッシュ中、即座に弱攻撃(からの連続技)、強攻撃、つかみ技(ガード+弱攻撃)を出すことができる。
あらかじめクイックダッシュの射程内に相手をとらえていれば、相手キャラクターのわずかな隙を突いて接近戦に持ち込むことが可能。連続技のダメージが高い本作においては重要な攻撃手段となる。
超能力技
一般的な対戦ゲームの必殺技に相当する強力な技。規定量のサイコゲージが残っている状態で、超能力技ごとに固有のコマンドを入力して発動する。相手を直接攻撃するショット攻撃が大半を占めるが、中には自身の能力を一時的に強化するものや、相手の行動の自由を制限するもの、不利な状況から即座に脱出するものなど補助的な技もあり、そのバリエーションは幅広い。さらに一部の超能力技は、特定のタイミングで追加コマンドを入力することにより、技の性質に変化をつけることもできる。
なお、本作ではコマンド入力の始点が8方向に対応している。例えば、コマンド表に「←→→+強ボタン」と表記されているコマンドは「→←←+強ボタン」や「↑↓↓+強ボタン」と入力しても出すことが可能。レバーを回転するタイプのコマンド技は、右回り・左回りのどちら方向へ回してもよい。
バリアガード
本作を象徴する強力な防御システムのひとつ。「ガードボタンを押しながらレバー1回転」というコマンド入力により、全方向からの攻撃を完全に防御するバリアを展開する。コマンド完成と同時に発動するためスキが無く、また展開中のキャラクターは半無敵状態となるが、この状態を維持するには前述のサイコゲージが必要で、展開中は徐々にサイコゲージが減少する。
相手の攻撃を防御する使い方だけでなく、相手キャラクター本体にバリアを直接ぶつけて弾く攻撃的な使い方も有効。弾かれた相手は一瞬だけ操作不能となり(ダメージはゼロ)、そのぶん弾いた側は有利な状況に立てる。特に、初代「サイキックフォース」ではバリアで弾いた敵にクイックダッシュ弱攻撃で追撃できる現象が発見され、この現象を利用した強力な戦術の登場によって、対戦における定石は大きく覆されることとなった。
結界
キャラクターの動き回るフィールドは「結界」と呼ばれる立方体の空間で、対戦中のキャラクターは原則として、結界の壁を越えて移動することができない。この壁に直接触れてもダメージは無いが、相手の攻撃で吹き飛ばされたり、バリアで弾かれるなどして「ぶつけられた」場合は接触ダメージを受けて硬直してしまう。逆にぶつけた側にとっては、硬直中の相手キャラクターに追撃を決めるチャンスとなる。
なお、結界の壁は基本的に破壊不能だが、続編である「サイキックフォース2012」以降の作品においては、特定の条件で相手を倒した時に「倒されたキャラクターが結界の壁を突き破って吹き飛ぶ」演出が追加された。
コンボ(連続攻撃)と「連続技」に関するルール
近距離での弱攻撃を出した後、特定のコンボルートにしたがって順序良く攻撃ボタンを追加入力すると、コンボと呼ばれる連続攻撃を繰り出すことが可能。コンボのルートには複数のバリエーション(初代では4種類、その後「サイキックフォース2012」で6種類に増加)が存在し、さらに特定の攻撃からは、超能力技コマンドを先行入力することにより硬直時間をキャンセルして超能力技を出すことができる(コンボスペシャル)。
この仕様を利用し、相手キャラクターを壁際に追い込んでから「弱強→キャンセル超能力技」などで攻撃すれば、コンボで壁にぶつけた相手キャラクターを超能力技で追撃する形になり、確実に大ダメージを与えることが出来る。ただし、壁による硬直は連続技1セット中に1回までしか組み込むことができず、2回目の壁による硬直が発生すると相手キャラクターはやられ判定が消え、強制的に落下していくダウン状態となる。
サドンデス
対人戦でのみ発生する延長戦。各ラウンドの制限時間内に勝負がつかなかった場合、両者ともにライフゲージとサイコゲージがゼロにリセットされ(サイキックフォース2012ではライフゼロ、サイコゲージ200%になる)、通常よりもはるかに狭い結界で10秒間の延長ラウンドが開始される。
なお、サドンデスでも時間切れになった場合、あるいは相打ちになった場合は「両者ともに1ラウンド取得」と扱われる。このため、先に1ラウンド取った側が絶対有利となっている。
さらに、一度でもサドンデスを経験すると、以後通常ラウンドのフィールドも狭くなる(0.8倍の広さになる)
また、対人戦において両者が同時に規定数のラウンドを取得した場合は、両者ともゲームオーバーとなる。

続編における追加システム

続編タイトルでは以下のゲームシステムが追加された。

回避バリア
「EX」以降では、相手に吹き飛ばされている最中に「レバー左右要素+ガードボタン」のコマンドを入力するとサイコゲージを消費しつつ(「EX」では40%、「2012」では50%)瞬時にバリアを張り、追撃を防げるようになっている。
ハイパーチャージ
「2012」及び「2」以降では、「サイコチャージ(ボタン全押しっぱなし)中にレバー一回転」コマンドを入力すると、体力最大値と引き替えにサイコゲージ最大値と攻撃力を最大200%までアップさせることが出来る。より多くの超能力技を駆使したい時や早期決着を望みたい時に有用。
バリアブレイク
「2012」及び「2」以降では、「レバー相手方向+強攻撃」ボタンにより、相手のバリアを破壊する格闘攻撃が出来るようになった。キャラにより差異はあるが概して発生が速く、大きく前進しながら攻撃するが、隙は大きい。また、サイコゲージを50%消費する。
スライドダッシュ
「2012」及び「2」以降では、「レバー左右要素+両攻撃ボタン」で相手の側面に回り込むようなダッシュを行える。通常のダッシュよりも移動速度が速い。また、僅かながら完全無敵になる時間が存在する。
「2012」ではこの技を特定方法で入力することにより通常止まれない位置で隙無くダッシュを止めることができる、「SODEダッシュ」と呼ばれるテクニックがあり、上級者同士の対戦では必須技となっている。
PSYインパルス
「2012」及び「2」以降では、「ダウン中に強または弱攻撃ボタン連打」をすることで、サイコゲージ25%を消費しつつ、起き上がりの際に衝撃波を発生させて相手を吹き飛ばすことが出来るようになっている。弱版と強版ではちゃんと性能が違い、弱は発生が早く、強は効果範囲が広くなっている。

稼動後の反響とシリーズ展開

1996年4月より全国のゲームセンターで正式稼動を開始した『サイキックフォース』は、インカム面では苦戦するものの一定のプレイヤー人気を獲得することに成功し、同時にタイトーの看板タイトルとして確固たる地位を得た。女性層・アニメファン・家庭用ゲーム機ユーザーなど「当時はあまりゲームセンターに行かない客層」からも高い人気を獲得し、この人気にタイトーが応える形で、OVAやCDドラマなどのマルチメディア展開も積極的に進められた。

しかし一方で、「ゲームそれ自体にお金を使ってくれないファン層を多く抱えてしまう」というキャラクターゲーム特有の問題も発生。特に、続編である「サイキックフォース2012」の稼動にあたっては「ロケテスト実施店舗が、インカムや客層を考慮した結果正式導入を見送った」事例も発生した。

結局、本シリーズはそのプレイヤー人気の高さをインカムに直結させることができず、アーケードにおける展開は比較的早期に打ち切られることとなる。

マルチメディア展開と並行して、家庭用ゲーム機への移植や続編タイトルのリリースなどもおこなわれた。ここではコンピュータ・ビデオゲームに類するシリーズ作品について列挙する。

  • サイキックフォースEX(業務用ビデオゲーム)
1996年7月より全国のゲームセンターにて稼動開始。
初代「サイキックフォース」を再調整したバージョンアップ作品で、初代では隠しキャラクターだった「キース」が条件なしで使用可能になった。それに伴い、基本システムからキャラクター全員の性能に至るまで、ゲームバランス向上のための大がかりな調整が実行されている。
特筆すべきはバリアガードに関する調整で、展開中のサイコゲージ消費量が秒間60%(初代の2倍)になり、バリアで防いだ瞬間にもサイコゲージが追加で減少するようになるなど性能低下が著しい。しかし、やられ中にコマンドを入力しゲージを消費することにより、通常技キャンセル超能力技による追い討ちを回避することができる「回避バリア」が追加されている。半面、攻撃に関するシステムは大幅に強化(単発の近接強攻撃をノーマルガードさせると、相手を吹き飛ばすことができるなど)されたため、結果的に「より相手を攻め崩しやすい」「超能力ゲージの管理・使用方法に戦略が必要な」ゲーム性となっている。
1996年10月発売。
ゲームの基本仕様は『サイキックフォースEX』をベースにしつつ、家庭用オリジナルとなるストーリーモードを加えた移植版。ストーリーモードは1人プレイ専用で、キャラクター同士の会話シーンやキャラクター個別のエンディングデモが追加されている。
その他、影山ヒロノブの歌う主題歌が印象的なオープニングアニメーションや、家庭用向けにアレンジされたBGMの追加など、幅広い層のファンを取り込むべく作り込まれた完成度の高い作品である。
  • サイキックフォースパズル大戦(プレイステーション用ソフト)
1997年10月発売。
タイトーの看板タイトル『パズルボブル』シリーズとのコラボレーション作品。登場キャラクターがすべてサイキックフォース関連のキャラクターになっている。ゲームをプレイして一定の条件を満たすとギャラリーがアンロックされていき、ギャラリー内では次回作の登場キャラクターなどの隠し情報を閲覧できた。ストーリーや世界観は本編と対照的にギャグ調にパロディされている。本作のみの隠しキャラクターとして、本編の没キャラクター案を復活させた「鈴木正人(仮)」が登場する(彼にストーリーモードはない)。
  • サイキックフォース2012(業務用ビデオゲーム)
1998年6月より全国のゲームセンターにて稼動開始。
正統なシリーズ続編。当初は1997年度内に完成予定だったが、開発中にHDDがクラッシュするアクシデントの発生により開発作業が遅れ、予定より半年ほど遅れての稼動開始となった。
IBM-PCベースの新システム基板「WOLFシステム」を使用したことにより、映像・音声の質は格段に向上している。ゲームシステムは、前作の反省点を踏まえた調整や新規システムの追加が功を奏し、ゲームルールはかなり複雑になったものの、対戦ツールとしてのゲームバランスは飛躍的に向上した。
しかしながら、タイトーによるプロモーション戦略の失敗から、ファン層とゲームセンターの客層が一致しないこととなり、シリーズの業務用作品としては、本作が最後となる(本来、調整版である『サイキックフォース2012EX』を出す予定があったことが後に語られている)。
また、「WOLFシステム」は故障しやすい基板であり、現在でも現役で稼働しているものは非常に少なくなってしまっている。
本作の時代設定と同じ年に当たる2012年12月20日より「NESiCA×Live」移植版が稼動開始。業務用オリジナル版からの純粋な移植のため、後の家庭用に見られるキャラクターの追加やグラフィックの向上などは行われていない。プレイ中は4:3の画角を逆手にとって、両端に使用しているキャラクターのコマンド表が常時表示される。また、タイトル画面で表示される著作権表示の年数が「1995, 1997」から「1995, 2012」に変更されている。
1998年12月発売。
業務用の完全移植に加え、ストーリーモードなど家庭用オリジナル要素を追加した移植版。ドリームキャストのマシンスペックが高いこともあり、業務用でできた一部のバグ技が再現不可能なことを除けば、ほぼ完璧な移植度・再現度である。
  • サイキックフォース2012Windows用ソフト)
1999年、アンバランスより発売。
ドリームキャスト版の後に発売されたが、前述のドリームキャスト版での追加要素は搭載されず(実質業務用のベタ移植)、コンフィグも別プログラムな上に貧弱(ゲーム設定・ジョイパッドのキー設定は可能だが、グラフィック関係の設定は皆無だった)であり、当時としては厳しい動作スペックを要求したものの好評を博した(後述の「COMPLETE」が出た現在でも、前述のDC版かWindows版を勧められる程である)。尚、Glide対応版(国内PCゲームでは実質唯一の採用例でもある)とDirectX対応版のプログラムが同梱されていて、環境に合わせていずれかをインストールする方式だった。
2001年にはXP以降(Vista/7 32ビット版でも動作)のOSに対応し価格を下げた「復刻版」が発売される(前述の初期版は9x系OSでのみ動作)。初期版では搭載されなかったグラフィック関係の設定が出来る様になったが、その代わりGlide非対応となった(それ以外は初期版に準ずる)。また、設定資料集も同梱されている。
  • サイキックフォース2(プレイステーション用ソフト)
1999年発売。
『サイキックフォース2012』をベースに、プレイステーション版オリジナルの要素を加えてリメイクされた作品。別のキャラクターの超能力技を覚えて使用できるPSY-EXPAND(サイ・エキスパンド)モードが加えられ、また『サイキックフォース2012』で登場しなかった3キャラクター(ソニア・ブラド・玄真)が復活した。ストーリーモードやオープニングアニメなど、移植版の伝統ともいえる要素も収録されている。
2008年9月10日に、PLAYSTATIONStoreで配信が開始された。
2005年発売。
『サイキックフォース』、『2012』の移植版と『2012』にソニア、ブラド、玄真の3人が登場する『サイキックフォース2012EX』の3タイトルを収録。ウォン、エミリオ、ウェンディーのフィギュアが付いた限定版(どれか1体のみと3体セットの計4バージョン)も発売された。しかし移植度・再現度に難がある。

なお、類似ゲームとして本作のシステムを一部流用した作品も存在する。

  • テレビアニメーションX 運命の選択(プレイステーション用ソフト)
2002年8月、バンダイより発売(開発元はタイトー
CLAMP原作のアニメ『X』の世界観をベースにした対戦ゲーム。基本的な仕様は『サイキックフォース2』を踏襲しているが、ハイパーチャージや手動でのサイコチャージが削除されたり、特定の技をL/Rボタンに登録してワンボタンで発動できるなど、細部においてはかなりの変更が見られる。
ゲームをプレイすることでポイントが溜まり、そのポイントを消費して各種ギャラリーや隠し要素をアンロックできた。
  • ローゼンメイデン ゲベートガルデン(プレイステーション2用ソフト)
2007年3月、タイトーより発売。
アニメ『ローゼンメイデン』のゲーム化第二弾。テキストアドベンチャーの合間に挿入される戦闘シーンにおいて、登場人物どうしの空中戦が「サイキックフォース」と同じ視点の対戦アクションゲームになっている。

CDアルバム

  • サイキックフォース オリジナルサウンドトラック
  • サイキックフォースDRAMACDゲーム
  • サイキックフォース
  • サイキックフォースオリジナルドラマCD~WISH YOU WERE HERE
  • サイキックフォースPSYCHIC FORCE
  • サイキックフォースパズル大戦
  • 「サイキックフォース」 EXTRA SONG TRACKS

※尚、PS版サイキックフォースOP「ON THE VERGE OF REVIVAL」の歌詞がそのまま収録されているアルバムは存在せず、同曲では歌詞が変更された楽曲のみとなっている。

小説

世界観と登場キャラクター

本作の世界観は「社会から阻害される異端者」という普遍的なストーリープロットを踏襲している。常人にはなしえない奇跡を起こす超能力を持ちながら、その「超能力を持っている」という事実により社会的に迫害(人体実験などを含む)を受け、孤立する……という筋書きは過去にも様々な形で提示されたシナリオであり、現在も『超人ロック』(聖悠紀・作)や『X-MEN』など様々な作品にて見ることができる。

『サイキックフォース』のストーリーと登場キャラ

21世紀、サイキッカー(=超能力者)の力を恐れた人類社会は、彼らを一方的に管理しようとしていた。しかし、サイキッカーは自分たちの自由と安全を勝ち取るべく超能力集団「ノア」を組織する。だが、自分たちを「人類より優れている」と信じて疑わないサイキッカーの自負心は組織を徐々に自己変質させていき、西暦2010年、ついに「ノア」はサイキッカーによる理想郷を創るべく暴走を始めてしまう。

バーン・グリフィス(Burn Glifeis) 声優真殿光昭(ドラマCD版:子安武人、OVA版:関智一)
を操るサイキッカーで、本作のストーリーの中核となる人物。アメリカ合衆国出身の高校生。世界を恐怖させている超能力集団「ノア」の総帥が、3年前に行方不明となった親友キースであることを知り、親友の暴走を止めるべく戦いを挑む。絵に描いたような熱血漢で、鳥のとさかを思わせる前髪がトレードマーク。
ウェンディー・ライアン(Wendy Ryan) 声優:白石文子
を操るサイキッカー。オーストラリア出身の少女。生き別れとなった姉のクリスを探すうちに、クリスの所属する研究所が「ノア」内部にあることを突き止める。バーンと出会ったのちは「ノア」と敵対する側に立つ。思い込みが激しく行動第一主義の側面あり。
エミリオ・ミハイロフ(Emilio Michaelov) 声優:高山みなみ
を操るサイキッカー。ロシア出身の中性的な風貌の少年。自らの超能力が原因で両親に殺害されかけ、その際「身を守るために無意識に使った」超能力により街を壊滅させてしまう。その後は放浪の身となり「ノア」からも接触を受けるが、最終的にはバーンとともに「ノア」と敵対する側に立つ。その背中には鮮やかな光の羽根が輝いている。
ソニア(Sonia) 声優:白石文子
電撃を操るサイキッカー。肉体はウォンの研究所で作成された人工生命体で、精神は研究中の事故の影響により、研究者だったウェンディーの姉・クリスの精神が宿っている。事故の詳細や、なぜクリスの精神が宿ったのかなどは明らかにされていない。超能力集団「ノア」への忠誠心を刷り込まれているが、その忠誠心は徐々に「ノア」総帥・キースへの忠誠心に変わってゆく。
ブラド・キルステン(Brad Kirsten) 声優:中尾隆聖
重力を操るサイキッカー。温厚な性格と極めて残忍な性格を併せ持つ多重人格者のドイツ人。超能力集団「ノア」に参加した折、総帥・キースによって殺人衝動を抑えるテレパシー療法を施されるが、戦闘と破壊が日常化していく中で、その衝動は自身でも、またキースのテレパシーによっても抑えることができなくなってゆく。
六道玄真(Genma Rokudou) 声優:秋元羊介
「影高野」と呼ばれる宗派に属する退魔師で、密教由来の呪術を駆使する。彼の術は本来は魔物(および魔物にとりつかれた人物)に向けておこなわれるものだが、サイキッカーの存在を魔物に並ぶ脅威とみなした影高野の指示により、玄真たち退魔師は「人の世のために」サイキッカーを攻撃する。
ゲイツ・オルトマン(Gates Oltman) 声優:津久井教生
アメリカ軍所有の対サイキッカー用サイボーグ第1号。ゲイツ・オルトマンとは身体を提供した男性の名前で、妻子をサイキッカーに殺された復讐のため、自ら志願して改造を受けた。人間の脳は生き残っているが、ボディはほぼすべてメカに換装されている。最優先命令「サイキッカーの消去」にもとづいてサイキッカーを攻撃する。
リチャード・ウォン(Richard Wong) 声優:真殿光昭
時間を操るサイキッカー。香港の貿易会社の前社長の私生児で、幼い頃から一族に虐げられてきた。しかし彼は持ち前の明晰な頭脳と超能力を駆使し、ついには一族ことごとく蹴落として会社を乗っ取るまでに至る。その強大な経済力と社会への影響力を生かし、超能力集団「ノア」を利用して世界の覇権を奪い取ることを画策する。
キース・エヴァンス(Keith Evans) 声優:津久井教生
を操るサイキッカー。イギリス出身の青年。バーンの親友であったが、ある日突然に姿を消す。その後は超能力を研究するためのサンプルとして人体実験を強要されていたが、他のサンプル達と協力して反乱を起こし、ただ一人だけ生き残って脱出を果たした。その後の逃亡・潜伏中にリチャード・ウォンと接触。彼の協力のもと、超能力集団「ノア」総帥としてサイキッカーたちを統率する。

『サイキックフォース2012』のストーリーと登場キャラ

第一次超能力戦争から2年後の西暦2012年、サイキッカーたちは二大勢力を形成し、凄まじい戦いを繰り広げていた。一つは前大戦で崩壊した「ノア」が再びキースによって組織された「新生ノア」。もう一つは「ノア」を裏で利用していたウォンが率いる「軍サイキッカー部隊」。この二大勢力の戦いは再びサイキッカーたちを戦いへと導いていく。

マイト(Might) 声優:緑川光
を操るサイキッカー。過去の記憶が一切なく、他のサイキッカーを狩る使命感だけが残っている。そのためどの組織にも所属せず、無差別にサイキッカーを狩る毎日を送っていたが、パティと出会ってからはその気持ちに変化が表れていく。
パトリシア・マイアース(Patricia Myers) 声優:くまいもとこ
愛称「パティ」。を操るサイキッカー。母を捜す旅の途中でマイトに襲われるが、彼女の歌声が彼の心を開かせた。それ以来、マイトとは互いに惹かれあっていくが、彼と彼女の間にはある秘密が隠されていた。
ウェンディー・ライアン(Wendy Ryan) 声優:氷上恭子
を操るサイキッカー。行方不明となったバーンを探すため、そしてエミリオが軍の手先になった理由を知るために戦う。
灌頂玄信(Genshin Kanjou) 声優:糸博
前作登場した玄真の兄弟子で、玄真同様呪術を駆使する。「影高野」の総本山を襲い仲間を皆殺しにしたサイキッカーに復讐し、彼らにさらわれた神妃である(しおり)様を助けだすために旅に出る。
カルロ・ベルフロンド(Carlo Belfrond) 声優:中村大樹
を操るサイキッカー。前大戦後もキースの思想を信じ続けており、彼を探し出して「新生ノア」を立ち上げる。キースへの想いは狂信的とも言えるほど大きなものである。「新生ノア」の指揮はほとんど彼が執っており、軍兵器の修復なども請け負っている。
レジーナ・ベルフロンド(Regina Belfrond) 声優:福島おりね
を操るサイキッカー。カルロの妹で「新生ノア」に所属している。兄であるカルロに兄弟以上の感情を抱いており、彼のこととなると見境いがなくなってしまう。
ゲイツ・オルトマン(Gates Oltman) 声優:津久井教生
「新生ノア」の命令で戦うサイボーグ。前大戦の途中で機能を停止した後、カルロによって修復される。「α(アルファ)」という新たな名を付けられた彼は記憶を消され、妻と娘を殺したサイキッカーのために戦うことになってしまう。
刹那(Setsuna) 声優:酒井哲也
を操るサイキッカー。「軍サイキッカー部隊」に所属する、ウォンによって創られた人工サイキッカー完全体第一号。プライドが高い自信家だが、人工サイキッカーゆえの劣等感も強い。自分を小馬鹿にしているガデスには、同じ軍に所属していながら殺意すら抱いている。
ガデス(Gudeath) 声優:大友龍三郎
重力を操るサイキッカー。元は「新生ノア」の一員だったが、「軍サイキッカー部隊」に裏切った傭兵サイキッカー。ウォンの野望にもキースの思想にも興味はなく、己のためだけに戦う狡猾で非情な男。
エミリオ・ミハイロフ(Emilio Michaelov) 声優:高山みなみ
を操るサイキッカー。前大戦後ウォンに拾われ「軍サイキッカー部隊」に所属している。前作とは性格が豹変しており、殺戮行為を無邪気に楽しむ残忍な性格に変貌している。これは実はウォンにより洗脳されたためであり、ストーリーを進めていくと前作同様の純粋な性格に戻る。
この本来の性格は隠しカラーとして使えるようになり、普通のものと台詞が異なるものになっている。さらにエミリオ編のラストに登場する、エミリオの心の中に潜む凶悪な「闇エミリオ」も隠しカラーで使用可能で、これと本来の性格のエミリオとを戦わせると特殊な台詞を言うようになっている。
リチャード・ウォン(Richard Wong) 声優:真殿光昭
時間を操るサイキッカー。前大戦でバーンとキースの一騎打ちの途中、「ノア」の基地を爆破しキースを亡き者にしようとしたが失敗。その後は敵対してきた「軍サイキッカー部隊」に身を寄せて、現在では指揮官の立場に立っている。前作同様に数々の策略を巡らせており、多くのキャラクターのストーリーに絡んでいる。
キース・エヴァンス(Keith Evans) 声優:津久井教生
を操るサイキッカー。前大戦ではサイキッカーの理想郷を創ろうとし、それを阻止しようとしたバーンと一騎討ちをするが、戦いの途中で「ノア」の基地爆破が起こってしまう。間一髪でバーンによって助けられるが、その後キースは思想への情熱や気力を失い「ノア」総帥の座も離れてしまう。しかし、ガデスの裏切りにより窮地に陥った「ノア」の生き残りを救おうと考えるカルロにより、「新生ノア」の総帥の座に再び舞い戻ることになる。
バーン・グリフィス(Burn Glifeis) 声優:真殿光昭
を操るサイキッカー。前大戦ではキースの野望を阻止するべく彼と一騎討ちをするが、戦いの途中で「ノア」の基地爆破が起こってしまう。倒壊する基地からキースは助けだせたが、バーン自身は力尽きてしまう。その後キースによって体は冷凍保存され、2年後ついに親友との決着をつけるべく目を覚ます。

参考文献

  • サイキックフォース2012公式設定資料集 ISBN 4-471-36039-6

外部リンク


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