アクトレイザー
『アクトレイザー』(ActRaiser) は、エニックス(現:スクウェア・エニックス)が発売、クインテットが開発したスーパーファミコン用ゲームソフト。
本記事では『アクトレイザー』、および続編の『アクトレイザー2 沈黙への聖戦』について記述する。
目次
アクトレイザー
テンプレート:Infobox 1990年12月16日にスーパーファミコン(以下、SFC)用のソフトとして発売された。本体発売後1ヶ月内にリリースされた、SFC最初期のソフトの1つである。また、SFCでは初めて8Mbitの大容量ロムカセットを採用したソフトでもある。エニックスとしては初のSFC用ソフトとなる。
アクションゲームに分類されるが、横スクロールアクションパートとクリエイションモードと呼ばれるライフスケープ形式のシミュレーションゲームパートに分かれており、厳密にはアクションシミュレーションといえる。当時としては、アクションとシミュレーションの融合は珍しかった[1]。
2003年11月からは携帯電話アプリ版も配信された[2](現在は配信終了)ほか、2007年3月20日よりWiiのバーチャルコンソールでも配信されている。Wiiディスクに先駆けてスクウェア・エニックスがWiiに参入をした。要800Wiiポイント(800円相当)。バーチャルコンソール独自の機能として、中断時の状態を保存できる。関連商品としてサントラが2種、攻略本(チャレンジブック)が1冊、漫画作品が全3巻出されている。
ストーリー
昔、魔王サタンの力により天空の孤島に追放された神が目覚めた。だが、地上は悪魔がはびこり、人間が住めない世界になっていた。サタンに立ち向かい、世界を再び平和にするためには、人々の信仰心が必要である。神は人々の住める世界を作り、人口を増やし、サタンを倒して世界に平和を取り戻すため戦う。
ゲーム内容
各地域ごとにアクションモード1、クリエイションモード、アクションモード2の順に進行する。
クリエイションモードはアクションモード1をクリアした地域ならいつでも行えるので、アクションモード2を後回しにしておき、別地域のクリエイションモードを進めて人口を増やすことでアクションモードを有利にすることもできる。アクションパートの難易度が高いという声が多く上がり、続編としてアクションに焦点を絞った『アクトレイザー2 沈黙への聖戦』と、シミュレーション性を追求した『ソウルブレイダー』の二作が製作された[3]。
アクションモード
横スクロールのアクションゲーム。戦士型の石像に宿った神を操作する。典型的なジャンプアクションで、攻撃手段は剣を振るのみで操作性が悪い。物語を進めると魔法も使えるようになる。ライフ制と残機制で、全てのライフを失うと残機が1減る。ステージの終わりにはボスが存在し、これを倒すとクリアになる。アクションモードは1と2がある。Act1は、各地域で最初に行う。これをクリアするとクリエイションモードとなる。Act2は、魔物の巣を全て封印すると出現し、これをクリアすることで、その地域をクリアしたことになる。
クリエイションモード
アクションモード1によって解放された地域には神殿と男女2人の人間が創造され、これを起点に土地を開発して人口を増やし、魔物の巣を封印させる。
町の発展方向を指し示すことでその方向に道が作られ、町が発展していく。土地は、木が生い茂っていたり乾燥して砂漠化しているなど普通に開発することができない状態になっていることが多いため、「奇跡」を使って気象を操作する(雷を落とし邪魔な木や岩を破壊する、太陽で照らし湿原を干拓する、など)ことで人が住める土地を増やしていく。開発を行っている間にも、魔物が発展の妨害をするので、天使を操作して矢を発射し、魔物を撃退していかなければならない。また、人は生活の中で問題を発生させるので、それも解決していかなければならない。
ある程度人口が増えたら人を各土地にある魔物の巣へと導き、魔物の巣を封印させる。全ての魔物の巣を封印することによって、アクションモード2へと進むことができるようになる。世界の総人口が増えることでプレイヤーのレベルが上がりアクションモードでのライフが増加する。また、神の能力が上がるアイテムや新しい魔法を入手するイベントも起こる。ある地域の民から献上されたアイテムが、他の地域の発展に役立つこともある。
機械的な作業のみではなく、ドット絵で描かれた細かな人間たちがアニメーションし、各々の都市の事情やシナリオが盛り込まれている。
音楽
作曲は古代祐三。サウンドトラックのライナーノーツでは、弦楽器と管楽器をベースにしたオーケストレーションでゲームミュージックを表現したいと思っていたと綴り、山下章にも「今度のはね、クラシック風なんです」とうれしそうに語ったと、従来のシンセサイザ然とした楽器から、PCMをベースとした管弦楽器を基調とする表現に強く意欲を示していた。その作業は、音源に関するノウハウがまったくない状態からスタートし、曲の習作はサウンドボードIIで作られ、ミスティ・ブルーのサウンドトラックに収録されている。楽曲群のうち、「フィルモア」の曲調が異なっているのは、ハードに慣れるため、自分の作りやすいパターンで最初に作った曲だからとしている。[4]
本作品のBGMは、ファイナルファンタジーシリーズ」の作曲者植松伸夫が「『アクトレイザー』の楽曲は業界内で一つの"事件"だった」と、ファミ通や同誌発行元のエンターブレイン社主催のゲーム音楽コンサートのステージ上などにおいて度々述べている様に、同業者などからも高い評価を得ている。当時『ファイナルファンタジーIV』を開発中だったスクウェアのチームが『アクトレイザー』の曲を聴き、そのレベルの差に愕然とし、開発末期にもかかわらず音源ドライバーから音色に至るまで作り直したという逸話もあった[5]。 その後、2012年のFINAL FANTASY展では、植松本人により、大げさな表現であると訂正され、実際には、音源のサンプリングをやり直した程度としつつも、「当時は勝てなかった」と、評価している[6] [7]ように、リリース時期を加味すれば、優れた表現を実現していたといえる。
スーパーファミコンは、PCM8音と当時としては豪勢に見える音源の仕様ではあったが、音源用のバッファは64KiBとその用途に対して非常に小さく、高品質な再生には工夫が必要であった。本作では、圧縮や、波形ループポイントの設定などの工夫によって、当時としては高品質な楽音の再生を実現している。尚、音色の波形ループの設定などは、当時手作業であった。[8]
ゲーム本編は大ヒットとはいかなかったものの、サウンドトラックについては、現在でもオリジナル音源版・オーケストラアレンジ版の双方共にインターネットオークションなどにおいて高値で取引されており、オリジナル版は再版された。
- アクトレイザー(アルファレコード・G.M.O.レコード)ALCA-105 [1]
- 交響組曲「アクトレイザー」(アルファレコード・G.M.O.レコード)ALCA-182 [2]
- 古代祐三 BEST COLLECTION vol.1(Five Records)VGCD-81
- MISTY BLUE/YUZO KOSHIRO(アルファレコード) ALCA-123
- メインは別ゲーム「ミスティー・ブルー」の曲だが、後半に没曲を含む、サウンドボードIIで作られた習作が一部収録されている。
キャラクター
- 神
- 主人公で、アクションモードの操作キャラクター。光の魂の様な姿をしており、戦士型の石像と一体化して魔物達と戦う。
- エンジェル
- 神と共に行動するクリエイションモードの操作キャラクター。
敵キャラクター
クリエイションモードの敵
- ナッパーバッド
- 巨大なコウモリ。人間を連れさらう。
- ブルードラゴン
- 青い竜。雷で民家を焼き払う。
- レッドデビル
- 赤い悪魔。田畑を干上がらせる。
- スカルヘッド
- 巨大なドクロ。放っておくと地震を起こし、町に大被害をもたらす。
ボスキャラクター
- セントール
- フィルモアAct1のボス。人馬一体の魔界の騎士。手にした槍から稲妻を放つ。
- ミノタウロス
- フィルモアAct2のボス。牛頭の巨人。サタンの分身で、サタンの夢から生まれた。デスヘイムでは、強化して復活した。
- マンティコア
- ブラッドプールAct1のボス。血の海を住処とする人面の妖獣。口から炎を吐く。
- ウルフ・ツェッペリン
- ブラッドプールAct2のボス。ヴァンパイア(狼男)。サタンの分身で、サタンの夜の翼から生まれた。デスヘイムでは、強化して復活した。
- ダゴバ
- カサンドラAct1のボス。巨大なアリジゴク。
- 砂の王 ファラオ
- カサンドラAct2のボス。巨大な黄金の仮面。サタンの分身であり、巨大なピラミッドに眠る。デスヘイムでは、強化して復活した。
- 蒼龍
- アイトスのAct1のボス。滝を住処とし、水の刃を飛ばして攻撃する。
- 炎の王 火炎車
- アイトスのAct2のボス。輪入道のような姿をしている。サタンの分身で、サタンの焼けつく吐息から生まれた。デスヘイムでは、強化して復活した。
- ラフレシア
- マラーナAct1のボス。巨大な食人植物。「核」の部分以外、一切の攻撃を受け付けない。
- 蛇の王 カーリア
- マラーナAct2のボス。コブラの頭に6本の腕を持つ。サタンの分身で、サタンの陽根から生まれた。デスヘイムでは、強化して復活した。
- マーマンフライ
- ノースウォールAct1のボス。名前の通り、空を飛ぶ人魚。
- フロストワイヴァーン
- ノースウォールAct2のボス。全身が氷の飛竜。サタンの分身で、サタンの凍てついた氷の瞳から生まれた。デスヘイムでは、強化して復活した。
- 魔王サタン
- デスヘイムのボスで、本作の黒幕。
地名
- 天空城
- 神の拠点。空に浮かんでおり、各地域へと移動できる。
- フィルモア (Filmoa)
- 森林と草原が広がる、物語のスタートとなる土地。
- ブラッドプール (Bloodpool)
- 血のような赤い湖のある湿原の多い土地。フィルモアと隣接しており、湖畔には城が建つ。
- カサンドラ (Casandra)
- 砂漠で覆われた灼熱の土地。全ての大陸で最も広く、最終的に人口が最も多い地域となる。
- アイトス (Aitos)
- 火山が存在する、高台の土地。
- マラーナ (Marana)
- 鳥の形をした島が存在する、多湿な熱帯気候の土地。大陸から離れた島で、面積はやや狭い。
- ノースウォール (Northwall)
- 一面を厚い雪と氷壁で覆われた、寒冷な土地。
- デスヘイム (Deathheim)
- 魔王サタンが潜む島。各地の悪魔を撃破すると浮上する。強化して復活した各ステージのAct2のボスが次々と襲い掛かり、その先には魔王サタンが待ち受ける。
スタッフ
漫画版
加藤元浩による漫画作品が、『月刊Gファンタジー』(当時エニックス)にて1993年11月号より1995年3月号まで連載された。単行本は全3巻。ゲーム内容とは異なったオリジナルの話となっている。
登場キャラクター
- ダーツ
- 漫画版オリジナルキャラクターで主人公の盗賊。あるきっかけにより、ねずみになった天使と同行する。
アクトレイザー2 沈黙への聖戦
テンプレート:Infobox 1993年10月29日に、SFC用ソフトとして本作の続編である『アクトレイザー2 沈黙への聖戦』が発売されたが、クリエイションモードを完全に削除し、また日本国外市場向けのゲームとして製作されたため、難易度の高いゲームとなった。日本国外版に先駆けて発売された日本国内版は、難易度が若干低く調整された[9]。
欧州では4万本、北米では10万本の出荷を記録している。国内では、前作がローンチタイトルに近い存在でハード初期購入者の初期選択肢のひとつになりやすかったとはいえ40万本出荷されたのに対し、本作は4万本という結果になった。
ストーリー
魔王サタンとの戦いから数千年後の世界。人々は平和と繁栄を謳歌してきたが、同時に神への信仰は薄れ、怠惰、嫉妬、大食、貪欲といった負の感情が世に渦巻くようになった。そして魔王サタンはそれらの負の感情を糧とし、前以上の力を得て復活、天空城への侵攻を開始した。魔王軍の撃退に成功した神であったが、魔王の6つの分身は再び人々の心に巣食い、力を蓄え始めた。今度こそ魔王サタンを完全に滅ぼし、魔物に取り付かれた人々を救うために、神は再び地上に降り立つ。
キャラクター
- 神
- 本作は飛行能力を持ち、武器は剣と盾を装備している。
- イベント天使
- 街や国の状況を教えてくれる。
- バトル天使
- アクションステージが存在する場所で、神が地上へ送り出す。
- パスワード天使
- パスワードを教えてくれる。
ボスキャラクター
- ランガー
- インダステンの森のボス。不気味な雲に乗った死神。突風と鎌を駆使して攻撃してくる。
- ラスティーウォーム
- ベネフィックリバーのボス。カタツムリを模した怠惰の悪魔。落石と水流で攻撃する。
- エンヴィー
- タートイズアイランドのボス。タートイズアイランドを海に沈めた魔物。目からは石化光線を発射する。
- ジェラシックフレア
- アルテリアのボス。醜く歪んだ女性の頭部のような外見の嫉妬の悪魔。嫉妬の炎そのものが弱点。
- グリード
- モデーロのボス。多数のグールを生み出すグロテスクな巨人。
- グルトニー
- デモンズケイブのボス。蟻のような昆虫を模した暴食の悪魔。
- バルカン
- デスフィールドのボス。人の心を失ったジャスタニアの王。素早い動きで大剣を操る強敵。
- フューリアン
- アルメタ火山のボス。炎を操る憤怒の悪魔。上昇する岩石を飛び移りながらの戦いとなる。
- コンフュージョン
- パレスのボス。巨大な氷の裸婦像。小さな結晶に分離しながら攻撃してくる。
- ディセプター
- 王の精神世界のボス。ラヴァラス王の精神をその身に捕らえた色欲の悪魔。前作ラスボスのサタンに似た外見を持つ。
- デスペアー
- グラティスのボス。グラティスを支配するゴブリンキング。強力な魔法を使いこなす。
- ドーム
- ストームルークのボス。黄金に輝く竜。その正体は自ら強欲の悪魔と化したコルニクス王である。
- デストラクター
- バベルの塔のボス。サタンの分身ではなく、ハンブルトンの科学技術と人間の傲慢を象徴する人造の機械神。
- 魔王サタン
- デスヘイムのボスで、本作も黒幕。人型となっており、暗黒の泉に半身を浸している。
地名
- 天空城
- 神の拠点。空に浮かんでおり、各地域へと移動できる。序章にあたるデモ画面にて、攻め込んできたサタンの軍勢との激戦の地となった。
- ディリジェンス
- ベネフィックリバーの畔にある働き者たちが集う森の村。村民は怠惰の悪魔の力によって堕落し、生きる気力すら失いつつある。
- インダステンの森
- ディリジェンス西方に広がる森。不気味な雲より降る雨が人々を堕落させ、魔物の蔓延る森と化している。
- ベネフィックリバー
- ディリジェンスの生活用水ともなっている、ベネフィックリバーの上流域。水源にはサタンの分身の一つである怠惰の悪魔が巣食っている。
- タートイズアイランド
- 巨大な亀の甲羅の上に、水没したディボーテから避難した人々が築いた町。魔物によって人々は石に変えられ、海中に没している。
- アルテリア
- ディリジェンス西方の海。かつては陸地であり、ディボーテの町が存在していたが、嫉妬に狂った巫女によって海中に没した。海中に残る神殿には嫉妬の悪魔が潜んでおり、巫女の遺した嫉妬の炎が今も燃え盛っている。
- テンポニア
- ディボーテの南東に位置する農業で栄えた町。しかし、大食の悪魔によって飢えと争いに苦しむ町へと成り果ててしまった。
- モデーロ
- 大食の悪魔を象徴する不気味な口が点在するテンポニア東の荒地。餓死した人々がグールとなって蠢いている。
- デモンズケイブ
- 大食の悪魔が潜むテンポニア北東の洞窟。巨大な昆虫の巣となっており、テンポニアの穀物を食い荒らしていた。
- ジャスタニア
- 西の大陸の荒地に位置する軍事大国。激怒の悪魔に心を支配された王によって友好国だったフェイボリアンに侵攻を始めた。
- フェイボリアン
- ジャスタニアと山を隔てて隣接する国。ジャスタニアと交戦状態にある。
- デスフィールド
- ジャスタニアとフェイボリアンが無意味な激戦を繰り広げる戦場。悪に染まったジャスタニア王が砦に陣取っている。
- アルメタ火山
- ジャスタニアの東に位置する休火山。激怒の悪魔によって再び火山活動が活発になっている。
- ラヴァラス
- 悪魔によって氷に閉ざされた国。色欲の悪魔に取り付かれた王が醒めない眠りについた事で、不安が広がっている。
- パレス
- ラヴァラスの王宮。魔物の発する凄まじい冷気が国全体を凍てつかせている。色欲の悪魔は王の精神世界の中に潜んでいる。
- レオン
- 西の大陸に位置する小国。新王コルニクスによって重税が課せられ、人々は苦しい生活を強いられている。
- グラティス
- 重税を払えなかったレオンの人々が送られた地下牢。迷路のように複雑に入り組んでいる。
- ストームルーク
- 金銀財宝が山と積まれたレオンの王城。貪欲の悪魔と取引し、贅の限りを尽くすコルニクス王が君臨している。
- ハンブルトン
- もっとも進んだ文明を持つ南の工業国。神への信仰心は希薄で、自らの技術に驕るあまりバベルの塔を建造し、神に成り代わろうと企む。
- バベルの塔
- ハンブルトンの人間が神に挑む為に建造した機械の塔。最上階には人間の傲慢を象徴する人造神が鎮座している。
- デスヘイム
- 魔王サタンの根拠地。強力な結界に守られており、天空城ごと突入するという捨て身の荒技で挑む事になる。魔王サタンの他、前作と同様に復活したサタンの分身が待ち受けている。
出典
外部リンク
- バーチャルコンソール - アクトレイザー
- アクトレイザー レビュー(英語)
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