Apple I
Apple I(アップル ワン)とは、アップルコンピュータが最初期に製作したマイクロコンピュータである。「Apple 1」と表記されることもあるが、これは基板の表面に「Apple Computer 1」と刻印されていたため。
スティーブ・ジョブズとともにアップル社を創業したエンジニア、スティーブ・ウォズニアックがほぼ独力で開発したマイクロコンピュータ(ないし、周辺装置を容易に仕立てられるよう周到に設計された、ある種のワンボードマイコン)である[1][2]。アップルコンピュータの創立者3名が私財を投じて作った。ジョブズは唯一の移動手段だったフォルクスワーゲンのバンを売り[3]、ウォズニアックはHP-65という電卓を500ドルで売った[4]。
1976年7月、カリフォルニア州パロアルトのホームブリュー・コンピュータ・クラブで披露された[5]。
大ヒットとなったApple IIの名前からその前身として存在を伺うことはできるが、こちらは実機がそう多くないこともあり、広く知られているのは情報という形を通してである。
歴史
1976年7月、666ドル66セントという価格で発売[6]。この価格設定は、ウォズニアックが「数字の繰り返し」が好きだからで、同時に地元の店に500ドルで売ったので、そこから3分の1値上げしたからでもある[7]。約200台を生産(うち、売れたのは約170台)。当時、他のホビイスト向けコンピュータは組み立てキットとして販売されていたが、Apple I は60個以上のチップを実装済みの回路基板として販売された。しかし筐体は無く、キーボード、ケース、トランス(レギュレータはオンボード)を自分で用意して組み立てなければならなかった。カセットテープインタフェースについては別売りで用意され(75ドル)、拡張スロットに挿して使用した。
当時としては内蔵の端末回路が際立っている。必要なのはキーボードと安価なテレビ受像機だけである。競合する Altair 8800 などは、フロントパネルのトグルスイッチでプログラミングし、ランプ(赤のLEDなど)で表示させており、コンピュータ端末やASR-33のようなテレタイプ端末に接続するには別のハードウェアを追加する必要があった。そのため Apple I は革新的マシンだった。BASICもテープで提供された。1977年4月、475ドルに値下げした[8]。同じく4月に Apple II を発表し6月から出荷開始していたが、1977年8月まで Apple I も販売していた[9]。アップルの製品価格表から Apple I が消えたのは1977年10月のことで、その時点で正式に販売終了となった[10]。Apple I について顧客からの質問に応えサポートできる人間はウォズニアックだけだった。そのためアップルは Apple I オーナーに Apple II のディスカウントや Apple I の下取りなどを提供して Apple I から Apple II へ乗り換えさせた。アップルは回収した Apple I を全て裁断して廃棄した。このため現存する Apple I は非常に希少である[11]。
コレクターズアイテムとしての Apple I
2012年の時点で現存しているのは世界で約50台、そのうち動作するものは6台しか存在しないといわれている[12]。希少であるためコレクターズアイテムとなっている[13]。
- 1999年のオークションで5万ドルで落札されたと言われている[14]。
- 2006年9月12日放映のテレビ番組・開運!なんでも鑑定団にて未組立状態の品に600万円という鑑定額が付いた。
- 2009年9月、eBayにて1万7千ドルで売れた[15]。
- 2010年3月23日、eBayにて42,766ドルで売れた[16]。
- 2010年11月、シリアル番号82の Apple I がロンドンのクリスティーズにて133,250ポンド(約21万ドル)で落札。落札額がここまで高いのは、珍しいドキュメントとオリジナルのパッケージ(箱。送り主の住所としてジョブズの実家の住所が書かれたラベルがある)、ジョブズ自身がタイプしてサインした手紙(技術的質問への返事)、オリジナルの送り状(セールスマンの名前として "Steven" と書かれている)が付属していたためである。もともとの購入者はイタリアの Polytechnic University of Turin で、BASICプログラムの実行に使われていた[17][18][19]。
- 2012年6月15日、実動する Apple I がサザビーズのオークションで37万4500USドル(約2950万円)で落札された[13][12]。
エミュレータ、クローン、レプリカ
一方で、 Apple I のソフトウェア互換なレプリカである Replica I が2003年、約200ドルで発売された[20][21][22]。日本では Vintage Computer が代理店となり販売している[23]。他にもレプリカや自作用キットや指示書などが出回っている[24]。
出典
参考文献
- Price, Rob, So Far:the First Ten Years of a Vision, Apple Computer, Cupertino, CA, 1987, ISBN 1-55693-974-4
- Owad, Tom (2005). Apple I Replica Creation: Back to the Garage. Rockland, MA: Syngress Publishing. Copyright 2005. ISBN 1-931836-40-X
外部リンク
- Apple I Owners Club
- Apple I Operational Manual
- Apple I project on www.sbprojects.com
- Apple 1 Computer Registry
- Macintosh Prehistory: The Apple I
- LCF Historical Collection – Apple 1 Video
- John Calande III blog – Building the Apple I clone
- Pom1 Apple 1 Emulator
- ↑ テンプレート:Cite news
- ↑ NPR : A Chat with Computing Pioneer Steve Wozniak
- ↑ Kelley: Jobs' vision changed the way we work, play
- ↑ Steve Jobs: Steve Wozniak Remembers
- ↑ テンプレート:Cite book
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ Wozniak, Steven: "iWoz", page 180. W. W. Norton, 2006. ISBN 978-0-393-06143-7
- ↑ April 1977 Price List | Applefritter
- ↑ Bill of Sale | Applefritter
- ↑ October 1977 Price List | Applefritter
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ 12.0 12.1 テンプレート:Cite news
- ↑ 13.0 13.1 テンプレート:Cite news
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ replica I – the apple I(c) clone, retrieved August 15, 2009
- ↑ replica I at official Briel computers web site, retrieved August 15, 2008
- ↑ Gagne, Ken Image gallery: Building an Apple-1 replica from scratch, Computerworld, 2009-08-14, story with pictures for assembling a Briel replica I from a kit, retrieved August 15, 2009
- ↑ Replica I 解説 - Vintage Computer のページ。Replica I と Apple I の解説。
- ↑ Owad, Tom Apple I Replica Creation, retrieved August 15, 2009