橋本治
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橋本 治(はしもと おさむ、男性、1948年(昭和23年)3月25日 - )は、日本の小説家、評論家、随筆家。
目次
来歴・人物
東京都杉並区出身。アイスクリーム屋の息子に生まれる。大学在学中に、「とめてくれるなおっかさん 背中の銀杏が泣いている 男東大どこへ行く」というコピーを打った東京大学駒場祭のポスターで注目される。イラストレーターを経て、 1977年の小説『桃尻娘』(第29回小説現代新人賞佳作)を振り出しに、文筆業に転じる。該博な知識と独特な文体を駆使して評論家・随筆家として活躍する一方、古典文学の現代語訳・二次創作にもとりくむ。また、編み物にも才能を発揮。製図を作ってから精密に編み込まれたセーターなどが話題を呼び、男の編み物を出版するに至った。編み込まれた題材はデビッド・ボウイのアラジン・セイン、山口百恵、浮世絵など。糸井重里、野坂昭如、早川タケジらがつとめた。
1984年度のフジテレビのイメージキャラクターをおかわりシスターズと共につとめたことがある。
小林秀雄賞(第6回より)の選考委員を務めている。
新著『日本の行く道』では、子供がいじめで自殺するようになり、「自助努力」を強制する思いやりのない社会ができたのは、産業革命に端を発する経済発展が原因だとし、「産業革命前に戻せばいい」(それが無茶なら60年代前半に戻して)「超高層ビルをなくす」という主張をしている[1]。
学歴
著書
小説・戯曲
- 『桃尻娘』 講談社、1978年、のち講談社文庫・ポプラ文庫
- 『暗野』(ブラックフィールド) 北宋社、1981年、のち河出文庫
- 『その後の仁義なき桃尻娘』 講談社、、1983年、のち講談社文庫
- 『ふしぎとぼくらはなにをしたらよいかの殺人事件』 徳間書店、1983年、のち徳間文庫
- 『帰ってきた桃尻娘』 講談社、1984年、のち講談社文庫
- 『サイモン&ガーファンクルズ・グレイテスト・ヒッツ+1』 大和書房、1984年、のちちくま文庫
- 『大戦序曲』 河出書房新社、1985年、のち河出文庫
- 『無花果少年と瓜売小僧』(いちぢくボーイとうりうりぼうや) 講談社、1985年、のち講談社文庫
- 『愛の矢車草』 新潮文庫オリジナル、1987年、のちちくま文庫
- 『ハイスクール八犬伝』1-8 徳間書店、1987–91年
- 『無花果少年と桃尻娘』 講談社、1988年
- 『鞦韆』(ぶらんこ) 白夜書房、1988年、のち新潮文庫・ちくま文庫
- 『愛の帆掛舟』 新潮文庫、1989年、のちちくま文庫
- 『雨の温州蜜柑姫』(あめのおみかんひめ) 講談社、1990年
- 『流水桃花抄』 掌篇小説集、河出書房新社、1991年、のち河出文庫
- 『月食』(戯曲) 河出書房新社、1994年
- 『生きる歓び』 角川書店、1994年、のち角川文庫
- 『桃尻娘プロポーズ大作戦』 河出文庫、1995年
- 『花物語』 さべあのま絵、集英社、1995年
- 『三日月物語』 毎日新聞社、1996年
- 『橋本治小説集成』1–6 河出書房新社、1997年
- 『平安女絵巻 女賊』 集英社、1998年
- 『つばめの来る日』 角川書店、1999年、のち角川文庫
- 『蝶のゆくえ』 集英社、2004年、のち集英社文庫
- 『Ba-bahその他』 筑摩書房、2006年
- 『夜』 集英社、2008年、のち集英社文庫
- 『巡礼』 新潮社、2009年、のち新潮文庫
- 『橋』 文藝春秋、2010年、のち文春文庫
- 『リア家の人々』新潮社、2010年、のち新潮文庫
- 『幸いは降る星のごとく』 集英社、2012年
- 『初夏の色』 新潮社、2013年
評論・エッセイ
- 『花咲く乙女たちのキンピラゴボウ』 北宋社、1979–81年、のち河出文庫
- 『秘本世界生玉子』 北宋社、1981年、のち河出文庫
- 『よくない文章ドク本』 大和書房、1982年、のち徳間文庫
- 『熱血シュークリーム』上 北宋社、1982年
- 『蓮と刀、男はなぜ男をこわがるのか』 作品社、1982年、のち河出文庫
- 『極楽迄ハ何哩』 河出書房新社、1983年、のち徳間文庫
- 『革命的半ズボン主義宣言』 冬樹社、1984年、のち河出文庫
- 『とうに涅槃をすぎて』 徳間文庫、1984年
- 『根性』 朝日出版社週刊本、1985年、のち徳間文庫
- 『合言葉は勇気』 筑摩書房、1985年、のち文庫
- 『デビッド100コラム』 冬樹社、1985年、のち河出文庫
- 『親子の世紀末人生相談』 フィクション・インク、1985年、のちちくま文庫『青空人生相談所』に改題
- 『ヴィヴィッドボーイのカリキュラム』 パルコ出版局、1985年
- 『ロバート本』 作品社、1986年、のち河出文庫
- 『完本 チャンバラ時代劇講座』 徳間書店、1986年
- 『恋愛論』 講談社文庫オリジナル、1986年、のちSB文庫
- 『問題発言』1–2 思想の科学社、1987–88年
- 『アストロモモンガ』 ネスコ、1987年、のち河出文庫
- 『貞女への道』 主婦の友社、1987年、のち河出文庫・ちくま文庫
- 『オイディプス燕返し!! 蓮と刀・青年篇』 河出書房新社、1987年
- 『虹のヲルゴオル』 大和書房、1988年、のち講談社文庫
- 『ぼくたちの近代史』 主婦の友社、1988年、のち河出文庫
- 『風雅の虎の巻』 作品社、1988年、のち講談社文庫・ちくま文庫
- 『橋本治雑文集成パンセ』1–7 河出書房新社、1989–90年、のち河出文庫
- 『男の編み物、橋本治の手トリ足トリ』 河出書房新社、1989年
- 『さまざまなエンディング』 主婦の友社、1990年
- 『江戸にフランス革命を!』 青土社、1990年、のち中公文庫
- 『'89』 マドラ出版、1990年、のち河出文庫
- 『武器よさらば』 橋本治書簡集1972–1989、弓立社、1990年
- 『恋の花詞集 歌謡曲が輝いていた時』 音楽之友社、1990年、のちちくま文庫
- 『義経伝説』 河出書房新社、1991年
- 『青春つーのはなに?』 集英社文庫、1991年
- 『ナインティーズ』 小学館、1991年、のち河出文庫
- 『橋本治の思考論理学』 夜中の学校 2、マドラ出版、1992年
- 『シンデレラボーイ シンデレラガール』 河出文庫、1992年
- 貧乏は正しい!シリーズ
- 『貧乏は正しい!』 小学館、1993年、のち小学館文庫
- 『貧乏は正しい! ぼくらの最終戦争』 小学館、1995年、のち小学館文庫
- 『貧乏は正しい! ぼくらの東京物語』 小学館、1996年、のち小学館文庫
- 『貧乏は正しい! ぼくらの資本論』 小学館、1996年、のち小学館文庫
- 『貧乏は正しい! ぼくらの未来計画』 小学館、1996年、のち小学館文庫
- 『源氏供養』 中央公論社、1993–94年、のち中公文庫
- 『ぼくらのsex』 集英社、1993年、のち集英社文庫
- 『ぬえの名前』 岩波書店、1993年、のち幻冬舎文庫
- 『絶滅女類図鑑』 文藝春秋、1994年、のち文春文庫
- 『浮上せよと活字は言う』 中央公論社、1994年、のち平凡社ライブラリー
- 『美男へのレッスン』 中央公論社、1994年
- 『秋夜』 小論集、中央公論社、1994年
- 『宗教なんかこわくない!』 マドラ出版、1995年、のちちくま文庫
- 『春宵』 小論集、中央公論社、1995年
- 『「広告批評」の橋本治』 マドラ出版、1995年
- 『ひらがな日本美術史』1–7 新潮社、1995–2007年
- 『幕末の修羅絵師国芳』 とんぼの本、新潮社、1995年
- 『無意味な年無意味な思想』 マガジンハウス、1997年
- 『橋本治の明星的大青春』 集英社文庫、1997年
- 『橋本治の男になるのだ』 ゴマブックス、1997年、のちちくま文庫『これも男の生きる道』に改題
- 『ハシモト式古典入門』 ゴマブックス、1997年、のちちくま文庫『これで古典がよくわかる』に改題
- 『消えた言葉』 アルク新書、1998年
- 『冬暁』 小論集、中央公論社、1998年
- 『夏日』 小論集、中央公論社、1998年
- 『ああでもなくこうでもなく』 マドラ出版、2000年
- 『天使のウインク』 中央公論新社、2000年
- 『二十世紀』 毎日新聞社、2001年、のちちくま文庫
- 『橋本治が大辞林を使う』 三省堂、2001年
- 『さらに、ああでもなくこうでもなく』 マドラ出版、2001年
- 『「わからない」という方法』 集英社新書、2001年
- 『大江戸歌舞伎はこんなもの』 筑摩書房、2001年、のち筑摩文庫
- 『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』 新潮社、2002年、のち新潮文庫
- 『「日本が変わってゆく」の論(ああでもなくこうでもなく 3)』、マドラ出版、2002年
- 『人はなぜ「美しい」がわかるのか』 ちくま新書、2002年
- 『シネマほらセット』 河出書房新社、2004年
- 『いま私たちが考えるべきこと』 新潮社、2004年、のち新潮文庫
- 『戦争のある世界(ああでもなくこうでもなく 4)』、マドラ出版、2004年
- 『上司は思いつきで物を言う』 集英社新書、2004年
- 『ちゃんと話すための敬語の本』 ちくまプリマー新書、2005年
- 『勉強ができなくても恥ずかしくない 1–3』 ちくまプリマー新書、2005年
- 『ひろい世界のかたすみで』 マガジンハウス、2005年
- 『乱世を生きる市場原理は嘘かもしれない』 集英社新書、2005年
- 『橋本治という行き方 – What a way to go! –』 朝日新聞社、2005年
- 『失楽園の向こう側』 小学館文庫、2006年
- 『権力の日本人』 双調平家物語ノート 1、講談社、2006年
- 『このストレスな社会!(ああでもなくこうでもなく 5)』、マドラ出版、2006年
- 『小林秀雄の恵み』 新潮社、2007
- 『日本の行く道』 集英社新書、2007年
- 『いちばんさいしょの算数 1–2』 ちくまプリマー新書、2008年
- 『最後の「ああでもなくこうでもなく」そして、時代は続いて行く』 マドラ出版、2008年
- 『あなたの苦手な彼女について』 ちくま新書、2008年
- 『橋本治という考え方 – What kind of fool am I? –』 朝日新聞社、2009年
- 『大不況には本を読む』 中公新書ラクレ、2009年
- 『明日は昨日の風が吹く』 マドラ出版、2009年
- 『院政の日本人』 双調平家物語ノート 2、講談社、2009年
- 『日本の女帝の物語 – あまりにも現代的な古代の六人の女帝達』 集英社新書、2009年
- 『失われた近代を求めて I 言文一致体の誕生』 朝日新聞出版、2010年
- 『浄瑠璃を読もう』 新潮社、2012年
- 『その未来はどうなの?』 集英社新書、2012年
- 『橋本治という立ち止まり方 – On the street where you live –』 朝日新聞出版、2012年
- 『失われた近代を求めて II 自然主義と呼ばれたもの達』 朝日新聞出版、2013年
- 『国家を考える』 ZINCLO! BLUE 001、グレイプス、2013年
古典の現代語訳
- 『桃尻語訳 枕草子』全3巻 原作:清少納言『枕草子』、河出書房新社、1987–88年、のち河出文庫
- 『絵本 徒然草』 原作:兼好法師『徒然草』、河出書房新社、1990年、のち河出文庫
- 『窯変源氏物語』1–14 原作:紫式部『源氏物語』、中央公論社、1991–93年、のち中公文庫
- 『古事記』 原作:太安万侶編『古事記』、少年少女古典文学館 1、講談社、1993年
- 『笛吹童子』 原作:北村寿夫『笛吹童子』、痛快世界の冒険文学、講談社、1998年
- 『双調 平家物語』1–15 原作:作者不詳『平家物語』、中央公論新社、1998–2007年
- 『仮名手本忠臣蔵』 原作:二代目竹田出雲・三好松洛・並木千柳『仮名手本忠臣蔵』、橋本治・岡田嘉夫の歌舞伎絵巻 1、ポプラ社、2003年
- 『桃尻語訳 百人一首』 原作:藤原定家編『百人一首』、海竜社、2003年
- 『義経千本桜』 原作:二代目竹田出雲・三好松洛・並木千柳『義経千本桜』、橋本治・岡田嘉夫の歌舞伎絵巻 2、ポプラ社、2005年
- 『菅原伝授手習鑑』 原作:二代目竹田出雲・三好松洛・並木千柳『菅原伝授手習鑑』、橋本治・岡田嘉夫の歌舞伎絵巻 3、ポプラ社、2007年
- 『国性爺合戦』 原作:近松門左衛門『国性爺合戦』、橋本治・岡田嘉夫の歌舞伎絵巻 4、ポプラ社、2010年
- 『妹背山婦女庭訓』 原作:近松半二・松田ばく・栄善平・近松東南・三好松洛『妹背山婦女庭訓』、橋本治・岡田嘉夫の歌舞伎絵巻 5、ポプラ社、2012年
イラスト
共著
- 『悔いあらためて』 糸井重里共著、北宋社、1980年、のち光文社文庫
- 『ふたりの平成』 中野翠共著、主婦の友社、1991年、のちちくま文庫
- 『仲よく貧しく美しく』 島森路子共著、マドラ出版、1994年
- 『愛の処方せん』 福島瑞穂共著、毎日新聞社、1995年
- 『子どもが子どもだったころ』 毛利子来共著、集英社、1998年、のち集英社文庫
- 『川田晴久と美空ひばり アメリカ公演』 岡村和恵共著、中央公論新社、2003年
- 『モディリアーニの恋人』 宮下規久朗共著、新潮社(とんぼの本)、2008年
- 『橋本治と内田樹』 内田樹共著、筑摩書房、2008年
- 『浮世絵入門 恋する春画』 早川聞多・赤間亮・橋本麻里共著、新潮社(とんぼの本)、2011年
作詞
- 『悲しみよようこそ』 パンタ『KISS』所収
- 『恋のクレセント・ムーン』 パンタ『KISS』所収
雑誌・特集
- 「特集・橋本治 -『桃尻娘』から『リア家の人々』まで 無限遠の小説家」 『ユリイカ 詩と評論』2010年6月号
テレビドラマ出演
受賞歴
- 1977年 『桃尻娘』で第29回小説現代新人賞佳作
- 1996年 『宗教なんかこわくない!』で第9回新潮学芸賞
- 2002年 『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』で第1回小林秀雄賞
- 2005年 『蝶のゆくえ』で第18回柴田錬三郎賞
- 2008年 『双調平家物語』で毎日出版文化賞
外部リンク
- デジタルももんが - 私家版目次付き著作リスト
- 独身上手と結婚上手の間で - 篠原勝之 橋本治 糸井重里 鼎談 2000年8月
- 手技の知性、足技の知性 1 (Internet Archiveのキャッシュ)|同2|同3 - 『フットボールウィークリー』内の橋本治によるコラム
- 橋本治と話す平賀源内。 - 2004年1月11日 江戸東京博物館「平賀源内展」で行われた糸井重里との対談
- マガジン 9 条『この人に聞きたい』 - マガジン 9 条『この人に聞きたい』その 1 必要なのは軍隊ではなく交渉能力
- マガジン 9 条『この人に聞きたい』 - マガジン 9 条『この人に聞きたい』その 2 憲法なんて、空気や空みたいなもの
- 橋本治の相変わらず役に立たない話 - 『週プレNEWS』内の橋本治によるコラム [2012年4月05日-]