心はロンリー気持ちは「…」
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心はロンリー気持ちは「…」(こころはロンリーきもちは。「…」部分は通常読まないが、「てんてんてん」とする場合もある)とは、明石家さんま主演のフジテレビの特別番組である。
特徴
- 一応表向きは男女の恋愛をテーマに繰り広げられるドラマだが、エキストラ(主に劇団七曜日)やセット、背景などの部分でストーリーと全く関係のないギャグをふんだんに散りばめた異色の作品として制作された。ドラマのストーリーとは一切絡まない部分でのボケであったため、後に過去の放送を振り返るトークで解説があって大半の者がそこで初めて気づいた、というほどの難解なボケもあった。織り交ぜられるネタの多さに本筋のストーリーを追うことが困難になることもしばしばだが、元々設定自体が添え物であり、視聴者がギャグを見つけ出すことにシリーズの本質があるといっても過言ではない。
- 村上ショージ、ラサール石井、関根勤、松尾伴内、劇団七曜日といった、さんまに縁のあるメンバーが脇役を務めている。
- 1980年代には9回放送されたが、製作をしていた三宅班は、視聴率10%を切ったら辞めようと考えていたため、IXで一旦製作が打ち切られ、Xは莫大な赤字を出すなど最終回のつもりで製作したが、21世紀に入ってから2003年に1回復活した。なお、XとXIの復活版2作についてはステレオ制作されている。
- 現在、IXを除いてDVD化されているが、権利上の問題でカットされているシーンが何箇所かある。
- ちなみに、初回放送時のタイトル原案は「あっぱれ花屋さん」だった(主役が花屋という設定であったため)が却下され、その後「心はロンリー、気持ちはガンジー」というタイトルに決定していたが、放送直前にガンジーが銃殺される事件が発生したため、「ガンジー」の部分を「…」に変更したタイトルで放送されることとなった。
ギャグの例
- BGMの歌詞が全部設定の説明になっている。(通称:『ト書き歌』)
- さんまを見つけたマドンナが指で銃を撃つふりをして「バーン!」と言い、さんまが振り返るシーンで、さんまの後ろに本当に銃で撃たれた格好をして倒れるエキストラを配置。
- 視聴者に指示を出すテロップが出て、「音量を上げて下さい。」と出るとその後、小さい声で「助けて~」と声が聞こえる。「すいません。と言って下さい」と出るとウェイトレスがやって来る。
- 部屋に置いてあるぬいぐるみが動いたり、置物が生き物。
- 「オレたちひょうきん族」に登場した「ナンデスカマン」などの衣装が出て来る。同番組で使用したギャグも出て来る。
- 河川敷のベンチでマジメな会話をしている最中に突然その前をかご屋や人力車が走る。
- ダジャレや言葉遊び。(さんまの住んでいるアパートの部屋の壁に女子プロレスラーのミミ萩原のポスターと、障子に「メアリー」というタイトルの公演のポスターが貼られていたもので、これが「壁に耳(ミミ)あり、障子に目あり(メアリー)」というダジャレ。)しかし、それらのギャグに対してツッコミをするシーンはほとんどない。
- 「…」の部分がアイキャッチのたびに変わる。
- 例:心はロンリー気持ちは「CMに行け」、心はロンリー気持ちは「僕のそばに」
- Xを除きラストで「そして 15年が過ぎ―」「ある春の日」というテロップが出てさんまが商店街でそのストーリーに纏わる商売をしている(1作毎手前に付け足され長回し、エキストラの配置、動きまで放送時と一緒。)所でエンディングになる。
- 証拠写真やパネルの中にさんまデビュー当時の宣材写真(白のタキシードに両手をかざしながら右膝を上げている)が紛れ込んでいる。
エピソード
- パート1の明石家さんまの相手役となる子役のオーディションにまだモデル活動のみだった頃の後藤久美子(当時10歳)が参加していた。その時、明石家さんまも立ち会っており、抜きんでた美貌をその場で讃えたり、彼女の所属事務所からも熱烈な推薦が出されていたものの、年齢の割にあまりにも大人びていた顔立ちのため、設定していた役柄と合わずに落選させた。もし、受かっていたら彼女の女優デビュー作品となっていたことから、さんまとスタッフはひどく後悔したという。
- 必ず、歌とダンスが交じる「ミュージカルシーン」があるが、これは三宅のアイデア(というよかは、三宅がミュージカル好きで、何らかの形で番組に入れたいと思ったからであったという)。
- パート4でさんまの妹役を演じた今井美樹の彼氏役を演じた柳葉敏郎は、この番組の大ファンであったらしく、さんまに強く出演を熱望していた(その後、ヤクザ映画で共演する事になる)。
- パート7の時、山口美江と芳本美代子がマドンナとして一緒に出演した。このとき、番組のプロデューサーである三宅恵介が当時有名だった「しば漬け」のCMに出演していた山口にオファーを出し続けたことで出演したのだが、演技については全くの素人だった山口はNGを出してしまう。特に問題が起きたのが、2人がマラソンコースを歩くシーンだった。このシーンは動きながらの長ゼリフで、途中いろいろなエキストラがギャグに徹しているという、通常のドラマより難しい状態だったために、山口は段取りを完全に覚え切れなかった。これが原因で長時間掛かってしまったあげく、オファーした本人である三宅が、「なんで、あんなのを(山口)キャスティングしたんだ!」とスタッフに怒りまくったという。その際、さんまから、「あんたがオファーしたんやろ」と無意識につっこんでしまったという。その後、パート8では「7代目マドンナ」としてカメオ出演している。
- パート9にはまたまた山口美江と浩野はるいがカメオ出演を果たしている。
- パート7はアイスホッケーがドラマの主軸となったが、午前中はフィギュアスケートの練習で使うために、スケート場を借りる事ができず、ほとんどが深夜に撮影されていた。また、出演者であった地井武男は年長だったせいか、練習量が少なく、終盤の引退シーンではおぼつかない状態だった。この経験からか、フジテレビドラマ「プライド」でアイスホッケーの選手を演じる事になった木村拓哉に、「アイスホッケーのドラマするんやろ。めっちゃ大変やぞ」とアドバイスしている。
- 過去に、ひょうきん族レギュラーのそのまんま東が「明石家さんま殺人事件」という推理小説を書き、その内容はひょうきん族の裏側をベースに作られたのだが、作中に、心はロンリーのパート8の内容も書かれている(何度か警察犬ロンリー号と書かれている)。
- パート8の撮影時、子役の子供がスタッフが用意したメニューに注文をつけていたところ、撮影が押していたせいもあるのかさんまが珍しく、「黙って、それ(を)食え!」と激怒し、双子が同時に泣いてしまった。その際、放送作家の藤沢めぐみとADの栗原美和子が2人を連れてトイレに行き、泣き止むまであやすこととなった。その後、撮影がストップし、間が持たなくなったさんまが男子トイレに行くと、隣の女子トイレにいた2人の声が聴こえ、「あんな奴(さんま)には負けてたまるか!」と固く誓っていたという。
- パート8はシリーズ通して唯一、ヒロインである浩野はるいをオーディションで決めたのだが、当時大学生の22歳のはるいは、女優になる気にならず、三宅曰く、「今は何をしているか分からない」とのこと。
- パート9終了後、1997年までの8年間放送しなかったのは、パート9が初めて視聴率を10%を切ってしまったためである(ひょうきん族が終了した時期でもあり、スタッフとも、低視聴率の場合は打ち切ろうと考えていたという)。
- パート10は、海の近くに実際に石で作った家を建て、そこで撮影を行なったのだが、精魂込めて作ったセットを撮影後に壊すのはもったいないと思ったのか、そのまま残していた。ところが、撮影終了後1週間後に台風が直撃してしまい、セットが崩壊してしまった。ちなみに、パート10から11までの間が6年開いたのは、このドラマで大赤字を出してしまったかららしい。
シリーズ
- 出演:明石家さんま、田中美佐子他
- 心はロンリー気持ちは「…」III(1986年2月21日放送、「金曜おもしろバラエティ」枠)
- 心はロンリー気持ちは「…」IV(1986年9月25日放送、「木曜ドラマストリート」枠)
- 心はロンリー気持ちは「…」V(1987年3月20日放送、「金曜女のドラマスペシャル」枠)
- 心はロンリー気持ちは「…」X(1997年2月21日放送、「金曜エンタテイメント」枠)
映像作品
- DVD単体
- 心はロンリー気持ちは「…」XI(2003/11/19発売)ASIN: B0000DJWHH
- DVD-BOX
- 心はロンリー 気持ちは「・・・」I~III BOX(2004/11/17発売)ASIN: B0003JKMKG
- 心はロンリー 気持ちは「・・・」IV~VI BOX(2005/03/02発売)ASIN: B00077D91I
- 心はロンリー 気持ちは「・・・」VII VIII X BOX(2005/07/20発売)ASIN: B0009RPCPM
- 著作権上の理由でIXを全面カット、一部の音楽を差し替えで対応。
スタッフ
- 脚本:大岩賞介、君塚良一、藤沢めぐみ、杉本高文
- プロデューサー:横澤彪→山縣慎司→加茂裕治
- ディレクター:三宅恵介
- アシスタントディレクター:平林長務、豊島浩行、片岡飛鳥、渡辺琢、
- 制作進行:豊島浩行
関連項目
- 明石家マンション物語(こちらもさんまが司会したコメディーバラエティーで、「メゾン・ド・ロンリー」は当作品から由来する)