大人の見る繪本 生れてはみたけれど
テンプレート:Infobox Film 『大人の見る繪本 生れてはみたけれど』(おとなのみるえほん うまれてはみたけれど)は、1932年の小津安二郎監督の日本映画。サイレント。
概要
小津安二郎監督のサイレント時代を代表する傑作で、当時急激に増加した東京郊外に住むサラリーマンの悲哀を子供の目から風刺した喜劇映画である。小津作品の特徴である、フェードイン・フェードアウトを使わずに固定したカットをつなぐ場面展開はこの作品によって決定付けられた。1932年度のキネマ旬報ベストテンで第1位にランクインされた。
撮影中に子役がケガをしたため中断し、合間に『春は御婦人から』を撮影している。撮影に出てくる電車の路線は池上線であり、電車が通るころあいを見計らってカメラを回したという[1]。
ランキング
- 1959年:「日本映画60年を代表する最高作品ベストテン」(キネマ旬報社発表)第3位
- 1979年:「日本公開外国映画ベストテン(キネ旬戦後復刊800号記念)」(キネ旬発表)第17位
- 1989年:「大アンケートによる日本映画ベスト150」(文藝春秋発表)第31位(サイレント映画としてトップ)
- 1995年:「オールタイムベストテン・日本映画編」(キネ旬発表)第52位
- 2009年:「映画人が選ぶオールタイムベスト100・日本映画編(キネ旬創刊90周年記念)」(キネ旬発表)第59位
あらすじ
良一、啓二のお父さんは、重役の岩崎の近くに引っ越して出世のチャンスをうかがっている。だが、兄弟の前では厳格そのもの。引っ越しで転校した兄弟は早速地元の悪ガキグループと喧嘩した揚句、鬱陶しくなって小学校をずる休みするも担任の家庭訪問で知られ、二人は父さんから大目玉。そのうち悪ガキ仲間と友達になり一緒に遊ぶようになる。その中には岩崎の子供もいる。ある日、みんなで「うちの父ちゃんが一番えらい」と自慢する話が出る。兄弟も自分の父親が一番えらいと信じて疑わなかったが、ある日、岩崎の家へ行って見せてもらった十六ミリ映画の中で、父は岩崎の前でお世辞を言い、動物のまねまでしてご機嫌伺いをしていた。怒った二人は食事も取らず、またしても学校をサボって抗議する。しかし、その抗議も長続きせず母のとりなしで兄弟は夕食を食べて寝る。父も子供の寝顔を見ながら、家族のためとは言いながら子供を絶望させたことを後悔する。翌朝、いつものように父と兄弟は一緒に家を出る。
スタッフ
キャスト
- 父:斎藤達雄
- 母:吉川満子
- 長男:菅原秀雄
- 次男:突貫小僧
- 重役:坂本武
- その子供:加藤清一
- 酒屋の小僧:小藤田正一
- 先生:西村青児
- 遊び仲間:飯島善太郎、藤松正太郎、葉山正雄
- 映写機を回す部下:笠智衆(ノンクレジット)
作品データ
- 製作:松竹蒲田撮影所
- フォーマット:白黒 スタンダードサイズ(1.33:1) サイレント
- 初回興行: 名古屋・松竹座
- 同時上映 :
脚注
- ↑ 『小津安二郎物語』(厚田雄春・蓮實重彦)筑摩書房・1989年